健康生活TOP 糖尿病 【拡張GI】脂肪で上昇が遅れる食後血糖値変動を見落とすな

【拡張GI】脂肪で上昇が遅れる食後血糖値変動を見落とすな

甘い食べ物

血糖値と言うのは、何かを食べた時にそれに含まれる糖質が消化され、小腸で吸収された時に上昇します。ですので、食べたものに糖質があまり含まれないとそれほど大きく上昇しません。

一方、たくさん含まれていても消化するのに時間がかかると急激な上昇は避けられます。いずれも糖尿病を予防改善するのには効果のあることなのですが、少し注意した方が良い事もあるのです。

GI・GLの計算方法とその利用の限界

GI(グリセミック指数)やGL(グリセミック負荷)は、血糖値をどの程度上昇させるかについて食品ごとに知ることができる便利な指標です。

しかし、2つの理由から利用者に誤った情報が伝わってしまうこともあるのです。今回はその限界点や利用方法、新しい考え方や指標について見てみましょう。

GIの求め方とその不統一の問題

GIのG、グリセミックとは「血糖」のことです。そのインデックス(指数)なのでGIと言うことになります。この指数は次のように求められます。

まず、基準になる食べ物を設定します。それを50g食べた時の血糖値の変動グラフを描きます。そして0分から120分までのグラフが描く上昇幅の面積を計算します。

次にGIを決める食べ物を50g食べた時にも同じように測定します。この時の面積を基準の食べ物のグラフの面積で割って100を掛けた物がGIの値になります。

GI値表1

このグラフで描いた赤の塗りつぶしの面積を、基準になる食品の描く青の網掛けの部分の面積で割って100を掛けた数値が、基準食品に対する試料1のGIと言うことになります。

この場合、数値で言うとおよそ65~75くらいですね。

ところが、この基準食品に何を持ってきているのかが、GIを決めている組織によってばらばらなのです。国際的な標準はオーストラリアにあるシドニー大学のGI研究グループが取りまとめています。

それによると基準になる食品は50gのブドウ糖です。ですので、このシドニー大学の数値を引き写したものであれば信頼できる数値でしょう。

しかしアメリカなどの健康サイトではパンを基準にしていることもあると聞いています。そんなことをすると全く意味をなさない数値になりますね。

パンと一口に言っても、精白小麦粉を使っているか全粒粉を使っているかで全く血糖値の上がり方が変わってきますから、基準にできる食物ではありません。

同様に、ご飯についてもお米の品種や炊飯方法、食べる時の温度などにも影響されますから基準にはなり得ないのです。

ところが日本国内の情報を見渡してみると、外国の複数の情報からデータを引き写していることも多く、書かれていることをそのまま使うことができないケースも少なくありません。

健康のためにはデータを見極める力も持とう

GIやGLの一覧表を見つけたら、引用元や計算基礎にシドニー大学のGI研究グループのデータから、正しいと思われる物を選択して使っていることを確認してから利用するようにしましょう。

と言うのも、シドニー大学は世界中から集めたデータをそのまま公開していて、正確さの判断は利用者に任せているからです。一例を見てみましょう。

スクロース(ショ糖:普通のお砂糖の主成分のことです)についてのデータを、シドニー大学が世界から集めたものです。50gの物だけを選びました。

研究を行った国 GI GL(参考)
アメリカ 58 6
オーストラリア 59 6
日本 60 6
オーストラリア 60 6
南アフリカ 65 7
中国 84 8

このように、研究によって数値にはばらつきが現れます。GLが低いのは、お砂糖を1回に使う量が少ないからですね。おそらくティースプーン1杯程度で計算していると思われます。

幸いなことに、お砂糖についてはこのように日本で行われたデータがあったので、私たちはそれを参考にすればいいでしょう。

しかし、全体を良く見てみると中国の値だけがうんと離れていますね。このようなデータは全体から見た場合使用しない方が良いデータと言うことになります。

ですので日本のデータがあっても、万が一それが他の研究と比べてひどく離れているような時は、平均的なところを見た方が良いのです。

それが難しい場合、最低でも対照基準値がブドウ糖50gによるものであることを確認するべきです。英語のサイトの場合 “control”(対照群)、”glucose”(ブドウ糖)となっていれば合格です。

GLはGIから導き出されるためGIの不正確さが影響してしまう

アメリカでよく利用されているGLは、実際に1食分として供される食べ物に含まれる炭水化物の量を勘案して決めていますので、より実態に即した数値と言えるでしょう。

しかし、計算式は「GL=GI×1食分の炭水化物量」ですので、GIに影響される数値でもあります。

困ったことに、もともとのGIが正確でないとGLも誤ったものになってしまう…と言うわけです。

食事の内容によってGI・GLが大きく変動する可能性がある

例えば、ご飯を食べる場合ご飯自体のGI・GLは変わらなくても、何と一緒に食べるかで血糖値の上がり方は変わります。

塩おにぎりと味噌汁で食べた場合、もとのご飯だけの場合と変わらないか、むしろ上がる場合があります。逆にステーキと一緒に食べると下がりやすくなりますね。

脂肪分はカロリーを上げるがGIを下げる

油の多いおかずと一緒にご飯を食べると、ご飯のでんぷんを脂肪分がコーティングしてしまうため、消化が遅くなって糖質の吸収が遅れることがあります。このため、食事全体で見た場合GIが下がるわけですね。

一方、塩だけのおにぎりの消化吸収は調味なしのご飯とほとんど差がありませんし、味噌汁を一緒に摂ると、水分の働きで小腸にまで送り込まれる時間が短くなって早く吸収されるためGIが上がるわけです。

もちろんこれは血糖値だけに着目した話であって、全体のカロリーで見た場合、油の多い食事はカロリーが高くなるので要注意ですよ。

食後2時間と言う思い込みがGIを不正確にしている

例えば、糖尿病であるかどうかの検査で行われる75g経口ブドウ糖負荷試験では、ブドウ糖を摂ってから2時間後の血糖値で糖尿病かどうかの判断をします。

これは糖質を摂っても、健康であれば2時間くらいで元の血糖値に近いところまで戻ると言うことが前提になっているわけですね。

もちろんそのことに間違いはありませんが、それをすべての食べ物に当てはまるとして考えてしまうところから勘違いが発生するのです。

食べ物によっては2時間で血糖値が元に戻らないこともある

先に紹介したグラフですが、基準食物はブドウ糖、試料1はハチミツのデータから、見やすいように近似して作ったものです。

実際、ブドウ糖の場合、ほぼ2時間で元に戻りますし、ハチミツの場合戻るのはさらに少し早いのです。では他の食べ物ならどうなるでしょう。

次のグラフは、パンについてのデータから作ったグラフです。もちろんハチミツにせよパンにせよ、一般的な食べ物の場合すべて製品ごとに差が出ますから、飽くまで模式図であることは了解しておいて下さい。

GI値表2

ここでもGIはおよそ70前後になっています。しかし、それは2時間後までの血糖値の変化を見てその後は切り捨てているからなんですね。実際には3時間半経ってもまだわずかに血糖値が下がりきっていません。

しかし一方で、ハチミツに比べるとパンの方が血糖値の上がり方が緩やかなため、ピークの血糖値はパンの方が低くなっています。これはインスリンの追加分泌が少なくて済んでいると言う意味でもあります。

ですから、ハチミツよりは膵臓に対する負荷が少ないかもしれませんが、一方で長時間インスリンの分泌が必要になっていることは気になるところでもあります。

油の多い食べ物では血糖値のピークが遅れてくることもある

次のグラフは、ダークチョコレートのデータから作った模式図です。ダークチョコレートと言うことは、ミルク分が少ないか入っていないと言うことですね。

実はチョコレートの場合、ダークだろうとミルクだろうと、糖質量や脂質量、カロリーには大して差はありませんから、チョコレート全般と考えて頂いても良いでしょう。

GI値表3

驚くべきことに、食後2時間以上経ってからの方が血糖値の上昇幅が大きくなっています。これはカカオマスのような脂肪分がしっかり糖分をコーティングしているため、吸収が大きく遅れるからだと考えられています。

しかし、食後2時間までの血糖値の変動の面積を見て決めている現在のGIでは、ダークチョコレートのGIは30~40程度と言うことになってしまうのです。

糖尿病対策に使える改善された指標が研究されている

それではこれまでのGI・GLは役に立たないと言う意味なのでしょうか。そんなことはありません、今後も利用できる性質のもので、よりしっかり見ておくべき数値なのです。

これまでに使われてきたGIが大きい数値になっていると言うことは、食後2時間までの血糖値上昇が大きいことを意味しています。

つまり、2時間の間に大量の追加インスリン分泌が必要で、膵臓に負荷をかけるのが高GI・GL食品だと言うことになるので、それはある程度控えるようにした方が糖尿病の予防改善に役立つと言うことに変わりはありません。

血糖値の測定時間を拡大した拡張GIと言う考え方

ならば、消化吸収の遅いものについては、現在食後2時間までの数値を基準に決めているGIについて、もっと長い時間で測ればいいのではないかと言うことも考えられますね。

しかし、どこまでの長さで測定するのが良いのかと言うのが難しい問題です。そこで、チェコ共和国・パラツキー大学医学部の研究グループは拡張GIと言う考え方を提唱しています。

(抜粋)

食品のGIを計算するために用いられてきた2時間と言う長さは、必ずしも全体の血糖応答を反映しないことは既に知られている通りです。

この時間中の血糖反応の程度は、グルコーススパイクと関連すると言う意味で重要でした。しかしこの数値と、4時間程度で血糖値を完全に元の水準に戻す働きとは全く別のものと考えるべきです。

食後の充分長い時間をもとに計算されるGIは、健常者に対しても、糖尿病患者に対しても、より効果的な食事の計画を提供できます。

この「拡張GI」の研究の強みは、食後150分・180分のデータを基に、食後210分を超えるタイミングでの血糖プロファイルを計算で導き出せることにあります。

このように、2時間を超え、2.5時間目と3時間目のデータを取ることで、それ以降の血糖値変動についても計算式から推測が可能だと言うのです。

これで求めた拡張GIは血糖値の上りの遅い食べ物について有効です。ですので、従来のGIと拡張GIを組み合せれば、より有効な糖尿病対策が打ち出せるのと言うわけですね。

まだ定着するまでには時間がかかるかもしれない

GIと言う考え方が登場して30年余り。現在ではすっかり一般化したと思いますが、最初のころは全く日本には知られておらず、普及したのは21世紀に入った頃だったんじゃないでしょうか。

ですので、こうして提唱された拡張GIですが、一般化するまでにはもう少し計算式などの整備も必要でしょうし、時間がかかるでしょう。また、これに基づいた拡張GLと言うのも開発されるかもしれませんね。

予めこうしたものが考えられ始めていると言うことを知っておけば、いざ登場した時にすぐ生活に取り入れられますから、きっとお役に立つでしょう。

今すぐに拡張GIの考え方を生活に利用できないか

アプリコットダンプリング

将来に対する予備知識も良いけど、こうした新しい考え方があるなら今すぐに利用したい…と思うのが人情です。

もちろん、発表された論文などはありませんから、先にご紹介したチェコの論文からヒントになる部分がないかを探ってみましょう。

消化の早いものや液体のものはこれまでのGIをそのまま利用

先の研究で示された食品のうち、2時間以内に元の水準まで血糖値が下がった、つまり従来のGIでも拡張GIでも差がないものがあります。

  • トマトスープ
  • ハチミツ
スープは液体ですので小腸に届く時間が短く、またでんぷんよりも糖類が多いため血糖値の上昇と降下が早かったと言うことですね。

また、ハチミツもほぼ純粋な糖類ですので、2時間以内に処理できると言うことです。

一方、これらの食べ物は短時間で血糖値を急上昇させる危険性があると言うことになりますので、従来の数値を使ってGIの低いものを選ぶようにしましょう。

この研究で用いられたトマトスープはGI=40ですので、安心な食べ物ですが、ハチミツはGI=77ですからちょっと危ないですね。しかし、量さえ控えておけば問題はありません。

腹持ちの良いものは4時間ぐらいお腹にあると考える

先の研究では、血糖値が元に戻るのに3.5時間くらいかかり、食後2時間段階ではおそらく2/3程度しか処理できていなかったものは次のようなものです。

  • パン
  • チーズ掛けミートラビオリ
  • 魚フライとバター入りマッシュポテト
  • ウエハース
  • チョコパフ(米)
主食やおかずですが、やはりある程度油を使った料理は2時間では処理しきれないようですね。

こうしたものは4時間くらいはお腹の中で血糖値を上げていると考えて、食後4時間ぐらいはおやつなどに手を付けない方が良いでしょう。

こうした研究は、食事を食べ始めてからの時間で測ることが多いので、例えば正午にお昼ご飯を食べ始めたとしたら、おやつは4時ごろにした方が良いと言うことです。

でも、夕食の時間や就寝時間との兼ね合わせも慎重に考えましょうね。それと、お十時なんて贅沢なおやつを食べるのは…糖尿病予防的には避けた方が良いでしょう。

逆に、空腹時間が長すぎて血糖値が下がり過ぎると、次の食事の内容如何では、急激すぎる血糖値の上昇を招く可能性もあります。

ですので、就寝時を含まずに食事と食事の間が9時間以上あくような場合は、両方の食事から4時間以上になるタイミングで何かをお腹に入れておくことは悪くありません。

できれば甘いものより、消化に時間のかかるタイプの糖質なんかが良いでしょう。食物繊維が多いタイプのシリアルバーなどは血糖値の安定に良いかもしれません。

甘さと油の組み合わせは長時間血糖値を上げ続ける

血糖値が3.5時間経っても元のレベルに下がらなかったものもあります。

  • ダークチョコレート
  • アプリコット・ダンプリング
  • チョコパフ(小麦)

チョコパフはパフがお米か小麦かで血糖値に与える影響が異なってきました。原因は判りません。また、ダークチョコレートも長時間血糖値を上げた状態にしています。

そして、アプリコット・ダンプリング、焼き菓子ですね。これは大量のバターを使うお菓子ですので、やはり油脂分が影響しているのだと思われます。

これらは甘いお菓子ですが、血糖値の上昇は穏やかです。ですので、少量を食べることはむしろ好ましいかもしれません。一方で、たくさん食べてしまうと次の食事の時になっても血糖値が元に戻っていない可能性があります。

ですので、油を含んだ甘いお菓子は少量を食後に食べるのがベストと言えますね。できれば20~30グラム程度に小さく切ったり割ったりしたものがお勧めです。

最初は面倒だけど習慣づければ健康にも美容にも役立つ

このような考え方で食事の習慣を組み立て直してみるのは、きっと糖尿病予防や改善、ひいては美容にも役立つ食事習慣になるでしょう。

最初は面倒ですが、考え方が身に付けば、一々計算しなくても自然に良い食事パターンが選べるようになるはずです。いま一度食卓を見直してみませんか?

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