健康生活TOP 糖尿病 SDSとは?お米と血糖値の関係は糖質含有量だけじゃ測れない

SDSとは?お米と血糖値の関係は糖質含有量だけじゃ測れない

米

皆さんは遅消化性でんぷん・SDSと言う名前をお聞きになったことがあるでしょうか。レジスタントスターチならテレビでよくやってるから知っているけど、遅消化性でんぷんなんて聞いたこともないという方が多いと思います。

これは、考え方としては20世紀終わりごろに導入されたものの、まだ定義づけが充分確定されていないことが影響していると思います。しかし、実際のところ糖尿病予防には、レジスタントスターチより大きな働きをしそうな物なんです。

でんぷんの消化は糖尿病と密接な関係がある

でんぷんとは、ブドウ糖が3,000個から250,000個くらい繋がった、多糖類と呼ばれる大きな分子です。大きな分子ですから、構成単位のブドウ糖にまで分解してやらないと人間には吸収することができません。

一方、ブドウ糖は小腸で吸収されて血糖値を押し上げる物質です。ですから、果糖ブドウ糖液糖などの甘味料を使った清涼飲料水の飲みすぎは糖尿病に直結するわけですね。

消化されるかどうかが現在注目されているポイント

ダイエット食品で有名なグルコマンナン、こんにゃくの食物繊維ですね。これも名前の通りグルコース(ブドウ糖)と、マンノースと言う単糖類が結びついた多糖類です。

紙の成分と言えばセルロースですね。実はセルロースもブドウ糖がたくさん集まってできている多糖類ですが、ヤギじゃないので人間にとっては栄養になりません。

ヤギもおなかの中に消化酵素があるわけじゃなく、胃腸の中にセルラーゼと言う酵素を出す微生物がいて、それがセルロースをブドウ糖に分解してくれるので栄養になるのです。

このように、多糖類が栄養になるかどうかは、それをブドウ糖などの単糖類にまで分解してくれる消化酵素を持っているかどうかで決まります。

でんぷんは二段階で消化され小腸で吸収される

ご飯をよく噛むと甘く感じられるようになりますね。これはご飯に含まれるでんぷんが、唾液に含まれるアミラーゼと言う酵素によってマルトース(麦芽糖)やオリゴ糖、一部はブドウ糖にまで分解されるからです。

そうして糖類にまで分解されたでんぷんは胃を通って小腸にたどり着き、そこでブドウ糖はそのまま吸収されます。オリゴ糖は膵液のアミラーゼによって麦芽糖に分解されます。

麦芽糖は小腸の内側表面に存在している、膜酵素と呼ばれるマルターゼによって、ブドウ糖に分解されると同時に吸収される仕組みになっています。

糖尿病のお薬として有名な「グルコバイ」「セイブル」「ベイスン」や、難消化性デキストリンなどは、このマルターゼの働きを阻害することでブドウ糖の生成を抑え、血糖値の上昇を防いでいます。

マルターゼはα(アルファ)グルコシターゼと言うグループに含まれるため、こうしたお薬の作用を「αグルコシターゼ阻害作用」と呼んでいます。

2型糖尿病の原因は大別して2つ、同時に対策するのがベスト

糖質制限については、糖尿病学会や研究者の先生の間で、今もまだ意見の分かれるものですので、有効性に関して決して安易に結論を出せるものではありません。

しかし、糖尿病患者と言う立場から言うと、一定の条件下において劇的な治療効果をもたらしてくれるものであるという事実は、身を持って経験しています。

2型糖尿病は生活習慣病で、しかも内分泌にかかわる病気なので決して単純なものではありません。しかし、私たちにとって最も比重を置いて考えなければいけないのは2点だけに絞られ、あとは副次的なものだと思います。

その2つとは体重と糖質摂取の方法です。

普通体重が維持できないと糖尿病は改善しない

肥満すると体脂肪が増えます。特に青年期以降、30代に差し掛かれば内臓脂肪の増加が問題になりますね。

体脂肪が増えると、インスリンの効きが悪くなって糖尿病が発病または悪化します。目安はBMIが25以上になると危ないです。つまり太ると血糖値が下がらなくなると言うことですね。

さて、細かいメカニズムの説明を読むのが面倒な人は、このすぐ下の「カロリーや体重が適切でも~」の小見出しまで飛ばして下さい。

人は食べ過ぎたり運動が不足すると、取り込んだエネルギーを中性脂肪に変えて脂肪細胞に蓄積します。平たく言えば「太る」と言うことですね。

脂肪細胞が大きくなってしまうと、そこからはMCP-1(単球走化性たんぱく質-1)と言う物質が分泌され、血管内の白血球の一つ、単球を血管外に引っ張り出してマクロファージに変化させます。

マクロファージはMCP-1に引き寄せられて脂肪細胞の周りに集まり、TNF-α(腫瘍壊死因子-α)と言う、本来は腫瘍などをやっつける物質を放出します。

一方、細胞の表面にはインスリン受容体と言うものがあって、食べ物を食べたときに放出されるインスリンを受け取る働きをしています。

これがインスリンを受け取ると、細胞の奥に潜んでいるGLUT-4(グルコース輸送担体-4)が細胞表面に出てきて、血液などの中のブドウ糖を細胞に取り込み始めるのです。

ところが、TNF-αが過剰になると、このインスリン受容体に結びついてしまい、インスリンが来たというシグナルを細胞に使えられなくしてしまうのです。

そうなるとGLUT-4は細胞表面に出てこなくなり、血糖の受け取りを行わなくなるとというわけです。これがいわゆる「インスリン抵抗性の発現」と言う状態なのです。

こうなってしまうと、食べ物を食べて血糖値が上がっていてインスリンが出ているのに、細胞への取り込みが行われなくなって血糖値が上昇したままになる、つまり2型糖尿病になる・悪化するということです。

これを改善するには、とにかく体重・体脂肪・内臓脂肪を減らすことです。まずは栄養バランスを見ながら、肉体労働の度合いに応じたカロリー以下に抑えるようにしましょう。

筋肉を減らしちゃだめですよ。本末転倒になるので運動量は確保しましょうね。普通体重の範囲に入ったら無理して痩せる必要はありません。痩せること自体が目的になってしまうと、確実に体を壊します。

カロリーや体重が適切でも糖質の摂り方で糖尿病が発病・悪化

誤った食事をしていると、BMI22で、そこから増減しない毎日のカロリー摂取でも糖尿病になりますし、なった人は悪化します。そこで登場するのが糖質制限というわけです。

カロリーコントロールが充分にできて体重もベストなのに、血糖値が下がらないとなると、お薬を増やしたり体重をさらに減らしたり。これではどんどんほかの病気を呼び寄せてしまいます。

こうした人は糖質の摂り方に問題があるのです。甘いお菓子などには充分注意を払っているけれど、ご飯やパン、麺類、粉ものをたくさん食べていたりすると危険です。特に注意すべきはご飯と麺類ですね。

カロリーを抑えるために脂質を減らし、炭水化物、それも9割以上が糖質であるご飯や麺類を食べていると、体重は増えなくても、食事のたびにインスリンが大量に追加分泌されます。

インスリンは血糖値の上昇、つまり糖質の摂取によって分泌されるわけですから、糖質が多い食事をするとたくさん分泌されてしまうのです。

どうしても糖質と言うと糖類、つまり甘いものと思い込みがちですが、甘味があまり感じられないでんぷんやオリゴ糖なども糖質です。食物繊維以外の炭水化物はすべて糖質です。

そうなるとインスリンを出す膵臓が疲れてしまうんですね。そして分泌量が減ると血糖値は上がったままになります。その血糖は膵臓の血管にも流れて行って膵臓を痛めつけます。

そしてさらにインスリンの分泌が落ちるという悪循環にはまるわけですね。ですから、体重が正常範囲なのに血糖値が下がらない人は、糖質を控えるのがいいのです。

糖質制限は血糖値の変動を抑えることだけを目的にすべき

糖質を制限すると、副次的に体重が減ることもありますが、基本的に糖質制限で体重を減らすことはあまり良くないと感じます。少なくとも体重減少を目的に糖質制限はしない方がいいでしょう。

糖質制限は、あくまで血糖値が急上昇するのを防ぐのが目的であって、それ以外の目的を持って行うのはお医者様の厳格な指導の下に行うべきです。

末期の肺がんの一部にケトン食と言う、極端な糖質制限を行う治療法の実験が行われていますが、一般的に糖質制限はがんには有効ではありません。

それは、がん細胞は先に紹介したGLUT-4ではなく、赤血球や脳細胞と同じGLUT-1と言うグルコース輸送担体を細胞表面に持っているからなのです。

多少の負荷がかかってしまいますが、脳細胞はケトン体からもエネルギーを得られますので、糖質は必須ではありません。脳細胞は糖質を効率よく利用できるというだけです。

一方、赤血球は糖質以外のエネルギーが利用できません。つまり、赤血球が生きて行ける程度の糖質があれば、がん細胞はエサに困らないと言う意味ですので、特別な場合を除いてがんに糖質制限は無効と思った方がいいでしょう。

RDSとSDSとRS・これからのでんぷんの考え方

最近のテレビ番組などでよく見かけるレジスタントスターチですが、冷ご飯に存在するといった内容でずいぶん注目を集めています。あるいは雑穀や全粒穀物にも多いことがクローズアップされています。

レジスタントスターチは糖質に分類されながら、実際には食物繊維のように働く物質ですので、何となくすごくお得な栄養素のようなイメージがありますよね。

レジスタントスターチの種類

このレジスタントスターチには4種類あるということはこれまでにも何度か紹介しました。その中で、でんぷん自体が食物繊維などの固い殻に包まれていて消化酵素が届かないRS1と言うのは、今回の話題から外します。

これは、雑穀などに多いもので、ご飯とはあまり関係がないからです。一方、加熱調理が不充分で糊化していないものや、でんぷん自体がもともと消化されにくいものをRS2と呼んでいます。

さらに、話題の冷ご飯は、いったん糊化したものが老化したでんぷんで、これをRS3としていますね。RS4はこうした現象を利用して人工的に作り出したレジスタントスターチです。

レジスタントスターチは”Resistant Starch”(抵抗性でんぷん)の頭文字をとってRSと呼ばれるようになってきました。さて、これ以降はまた細かいメカニズムの話になるので、興味のない方は次の「SDSに着目した美味しくて~」の見出しまで飛ばして下さい。

でんぷんの種類と難消化性になる理由

でんぷんにはアミロースと言うものとアミロペクチンと言うものがあることはこれまでにもお話してきました。このアミロースが多いと難消化性になりやすいとされてきましたが、どうも微妙に違うのかもしれません。

でんぷんはどちらも、ブドウ糖が繋がることで、らせん状のひものような形をしています。それがほぼ一本の線になっているのがアミロース、たくさん枝分かれしているのがアミロペクチンです。

アミラーゼと言う酵素はこの2つを、「端から」麦芽糖などの形で切り取って行きます。ですので、枝分かれしているアミロペクチンの方が効率よく消化できるというわけですね。

しかし、1回に1個か2個しか切り取れないとは言っても切り取れる以上、消化されることになりますよね。でも、実際には消化されないでんぷんが、特に老化したでんぷんで多く見られるのはなぜでしょう。

このような研究発表が米どころ秋田の秋田県立大学の研究者さんたちから行われています。

(抜粋)

アミロース含量と同様に,あるいはむしろアミロペクチンの長鎖量の方がRS値を高める重要な要因であると考えられます。

高RS系統は、他の系統よりも炊飯後の温度低下に伴い、老化する速度が極端に早いことが明らかになりました。

また、高RS系統から単離したRSの構造解析を行ったところ、通常の澱粉とは全く異なる構造であることわかりました。

アミロースおよびアミロペクチンの長鎖が老化により二重らせんを形成することで、消化酵素による分解を免れているものと考えられます。

つまり、でんぷんの分子同士が絡まりあって消化されなくなっているという可能性を指摘しているんですね。

しかし、この研究そのもののきっかけは「レジスタントスターチが多い米は不味い」というところからスタートしていますので、ちょっと悲しいものがあります。何とかならないものでしょうか。

消化性でんぷんにも消化速度に差がある

レジスタントスターチに対して、消化されるでんぷんのことをダイジェスティブルスターチ(消化性でんぷん:Digestible Starch)・DSと呼んでいます。

そして、この中にも消化速度が速いものと遅いものがあることがわかっています。これが先に話題に出した「アミロースの消化速度」に関する部分なのです。

アミロペクチンの長鎖部分が絡まりあって消化されなくなっているのではなく、もともと消化がゆっくりなアミロースの消化されにくさによる消化速度の遅さが注目されています。

ですので、頭に”Slowly”(遅い)のSをつけてSDSと呼んでいます。これに対して、消化されやすいアミロペクチンがメインの物を、頭に”Rapid”(早い)のRをつけてRDSとしているんですよ。

このSDSは消化されることはされますので、事実上の食物繊維であるRSに比べると、おそらく食味はそれほど悪くなりにくいのではないかと考えられています。もちろん料理は選ぶでしょう。

一方、消化されると言っても、時間がかかりますから血糖値の上昇はゆっくりになります。

血糖値の上昇がゆっくりになるということは、インスリンの追加分泌も短時間でドカンと出す高負荷型から、長時間ゆっくり出し続ける低負荷型になるでしょう。

お米の味の好みが粘り中心になって糖尿が増えた?

もともと日本国内では「ササニシキ」や「日本晴」と言う、ややアミロースの多いお米がたくさん作られていました。つまり、きれいに精白してあっても、やや血糖上昇が遅かったと考えられる品種です。

しかし、いつのころからかアミロースが少なくアミロペクチンの多い、粘りの強い「コシヒカリ」が人気となって、あっさりしたアミロース多めのお米は減っていったのです。

もちろん、それ以外にも気候変動に弱いとか病虫害の問題もあったでしょう。しかし、頭でっかちで風で倒れやすいため「コケヒカリ」と揶揄されるコシヒカリは、いまでも食味の点で一番人気です。

SDSに着目した美味しくて血糖値上昇の緩やかなお米の開発

インディカ米

ここにきて、糖尿病が国民病とまで言われるようになったことを受けて、主食であるお米の品種改良と調理法の開発によって健康に寄与しようという動きがあちこちで見られます。

まず、私たちの身近にある、アミロースの多いお米と言うとインディカ米です。年配の方にはタイ米と言った方が判りやすいかもしれませんね。長粒種と呼ばれる細長い形のお米です。

これは、普通に炊飯したのではパサパサして食べにくいという評価がありますが、これはアミロースが多いことに起因します。また、インディカ米は独特の香りがあるので、炊き方にも一工夫必要です。

一番簡単なのは、お米をパスタだと思って処理するのがいいですね。沸騰した大量のお湯に研いだ米を投入して芯がなくなるまで茹で、ゆであがったらざるに開けてお湯を捨て、ご飯を適当な容器に入れて蒸らせばOK。塩はいりません。

もちろんこのままでご飯として食べてもOKですが、食感や食味が嫌いだと言う人は、このご飯でチャーハンを作るとすごく美味しいですよ。普通の日本のお米のチャーハンに戻れなくなります。

もちろんチキンライスなどにしてもいいし、ドライカレーも、普通のカレーにもよく合います。普通のカレーの場合、ちょっとスープっぽい物の方がおいしいですね。

このように油と合わせた料理にすると、カロリーは上がりますが糖質の吸収はさらに減りますので、糖尿病対策には最適です。カロリーは食べる量でコントロールして下さい。美味しいので難しいかもしれませんが。

これから注目を集めそうな品種が次々と登場

26年産としてデビューしたホシユタカは、長粒種でありながら食味の良さを誇っています。もちろん長粒種として先に紹介したような料理にも最適です。

インド型品種の「夢十色」は、ちょっとアミロースが多すぎるくらいなので加工用米としての活躍が期待されます。でも有名なクスクスには最適と言う評価です。

本来は米のような粒のパスタで作る料理ですが、お米でできるのは日本人としてはうれしいですよね。「モミロマン」も同じような特性を持っています。

一方、小麦アレルギーの人向けに最近普及が進んできている米粉ですが、それに最適な「越のかおり」と言う高アミロース米があります。これで作られた米粉麺は麺離れもよく食感がとても良いそうです。

このように、アミロースが多くてSDSが豊富なお米の品種が次々と開発されています。いくら糖尿病にいいからと言って、冷ご飯ばかりではつらいですし、ましてやご飯禁止なんてのは日本人として苦痛以外の何物でもありません。

まだSDSに関する基準が定まっていませんが、SDSと言うキーワードに敏感になっておいていただくのが、これからの糖尿病対策に有効と言えるでしょう。

キャラクター紹介
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