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糖尿病改善に効果のある微量栄養素クロムは過剰摂取に注意して

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クロムと言う金属元素があります。必要量は少ないのですが、体内で血糖コントロールに重要な役割を果たしている必須ミネラルの一つです。

しかしながら、その事実を曲解したとんでもない宣伝を行うサプリなどが多く、公的な機関は様々な方法で注意を呼びかけています。

基本的には、糖尿病患者であってもクロムは通常の食事で不足しませんから、くれぐれもサプリで摂ろうとは考えないで下さいね。

クロムは糖尿病に効く?クロムと糖尿病の正しい因果関係とは

ではクロムの摂取が糖尿病に効果がないのかと言うと、必ずしもそうではありません。クロムの投与が、糖尿病改善に効果が見られる場合もあるのです。

実際のところ、多くの人が気になっているであろう、2型糖尿病に効果があった例も報告されています。

クロムは血糖に対してどう働くのか

人間の体の中にはGTF(Glucose Tolerance Factor:耐糖因子)と呼ばれる物質があり、この物質が血糖値を下げるホルモンであるインスリンの受容体に結合することで、神経伝達を増強してインスリンの効きを活性化するのです。

GTFの主成分はクロモデュリンと言うペプチドです。ペプチドと言うのは、たんぱく質より短いアミノ酸の集まりです。クロモデュリンには通常4個のクロムが結合しています。

体内のクロムが何らかの事情で不足すると、クロモデュリンはアポ型と呼ばれるクロムを持たない形になり、これにはインスリンを活性化する働きはありません。すると糖尿病を悪化させることになるのです。

クロムはこのようにして、インスリンの効きを活性化する働きを担っているのです。

厚生労働省文書の悪用

厚生労働省の文書によると、クロム不足状態の患者さんの症例が報告されており、そのことを広告宣伝に使っているサプリ会社も見かけますね。でも、注意してください、この症例の患者さんはきわめて特殊な状態だったんです。

この40歳の女性は、3年半の間クロムが入っていない高カロリー輸液を受けておられたのです。高カロリー輸液を受けていると言うことは、口から食べ物を摂ることができない状態だったと言うことですね。

 クロムが添加されていない高カロリー輸液を3.5 年間投与された40歳の女性において、体重減少、耐糖能低下、末梢神経の非炎症性変性、両側性錯感覚、運動失調、呼吸商の低下が出現した。

通常の食べ物を摂ることができない状態を3年半も続けると言うのは、きわめて特殊な状況ですよね。

しかも高カロリー輸液の中にはブドウ糖がたっぷり入っています。これを直接血管の中に流し込んでいるのですから耐糖能にも影響が出るでしょう。

このような特殊な事例は、クロムが耐糖能に影響している可能性を示唆する参考情報にはなっても、決してサプリで経口摂取する必要性を示していることにはなりません。

サプリが摂れるくらいなら、通常の食べ物も口から摂れるわけで、そうなるとそこまで極端なクロム不足になることはないはずですからね。

糖尿病患者はクロムが不足することがある

各種の報告でも示されている通り、糖尿病患者は体内のクロムの量が不足することが知られています。クロムが不足すると、先にお話しした通り耐糖因子の働きが悪くなり、インスリンが活性化されず、糖尿病が悪化します。

ここで注目して戴きたいのは「クロムが不足して糖尿病になった」のではなく、「糖尿病になったからクロムが不足して、さらなる悪化を招いた」と言う悪循環であることです。

ですから、当然クロムを何らかの形で補充すれば、一時的にではあっても改善する可能性はあるわけですね。

糖尿病でクロムが不足する本当の理由

上の説明を読むと、よほど特殊な状況でない限り、最初に糖尿病があってそれからクロムが不足して悪循環に陥るという流れは理解してもらえるでしょう。

ならば、そもそも糖尿病になるとなぜクロムが不足するのかと言うことになりますよね。それが判ればクロム不足による糖尿病の悪化ほ改善できるかもしれません。

クロムは吸収されにくいミネラル

クロムサプリの宣伝などを見ると、クロムは吸収されにくいミネラルであると言う説明が行われています。確かにクロムは口にした量の、ほんの数%しか吸収されないミネラルです。

しかし、健康な人の場合クロムが不足することはありませんし、健康な人がクロムを積極的に摂っても、代謝系には影響を与えないことが判っています。

そうなってくると、糖尿病の人の体の中では、クロムを吸収しにくくしている何かが起こっていると言うことになりますね。

そして、吸収しにくいのなら、吸収しやすくしたものをたくさん摂ればいいと言う、安直な考え方に陥りがちな状況でもあるのです。

健康被害に繋がることも!クロムの危険性とそれを避けるには

クロムは金属元素ですが、周期表でいう6族元素になるので遷移金属と呼ばれるグループに入っています。遷移金属は他の元素と結びつく結合手のパターンが複数あることでも知られる元素の集まりですね。

と言うことで、クロムにも5つの結合価があります。普通自然に存在するのは3価クロムです。ある程度の年齢以上の方なら、昭和40年代後半に環境問題にもなった6価クロムと言うのを覚えておいでの方もおられるかもしれません。

6価クロムは化合物の持つ致死量が1グラム未満と言う猛毒物質です。自然にはほとんど存在しませんから、そうした急性毒性に関する心配はほぼ全くと言っていいほどありませんので安心してください。

安全な摂取量と言うのはいまだに不明な物質

クロムについては日本人の平均的な摂取量も調査されていませんし、どれくらい摂ると健康に悪影響があるのかと言う数値も確定していません。

ですから、厚生労働省も成人と乳児についての摂取目安量を提示しているだけで、幼小児および青少年については目安量すら示していません。成人の摂取目安量は1日当たり10μgです。

クロムの吸収量は経口摂取量の2%程度ともされていますので、200ng(ナノグラム:10億分の1グラム)も吸収されていれば間に合うと言う、本当に微量要素だと言えるでしょう。

厚生労働省は、最大許容量については定めていません。世界保健機関WHOは、暫定値として、1日当たり最大250μgを示しています。

 世界保健機関(WHO):”Trace elements in human nutrition and health”(1996)

「新たな知見が得られるまでクロムの補助的摂取は、250μg/日を超えるべきではない。」と記載されている。

一方、地方自治体による参考データ程度ですが、日本人の場合食べ物から30~100μg程度は摂れているだろうと言うデータは存在します。つまり、過不足のない良い摂取状態だと言うことですね。

食べ物の含有量

クロムはほとんどの食べ物に含まれていますので、何を摂ればたくさんとれるのかと言うのは難しいですね。むしろ、さまざまなものをいろいろ食べておけば間に合うと言うイメージです。

強いて挙げれば、ミルクチョコであれば42gで10μgを超えるクロムが摂れます。ただし、それでカロリーが234kcal、糖質が21.8gありますので…糖尿病の方にはちょっとお勧めしにくいかもです。

また、乾物系ですから量は摂り難いですが、海藻類や香辛料系にも多めです。粉末になったバジル、パセリ、パプリカ、黒コショウなどが多く含んでいます。

健康被害に繋がることもある

特に危険性が指摘されているのは、腎臓に何らかの症状を持っている人です。症状が悪化する可能性が高いので、摂るのは避けましょう。

また、糖尿病患者には腎臓を傷めている人も少なくないので、かなり慎重になる必要があると思います。

糖尿病性腎症の第1期は2つの判断基準「尿アルブミン値」が正常値で、「糸球体濾過量 :GFR」が正常値またはやや異常と言うステージです。つまり、検査値ではまったく正常でも、糖尿病であれば第1期とみなされる可能性があるんですね。

ですから、糖尿病にかかったら、糖尿病の改善の可能性があるクロムのサプリは摂らない方が良いと言う結論にもつながり、おかしな矛盾が生じてしまいます。予防には効果がないわけですからなおさらですね。

選択肢は2つ

1つは普段糖尿病の治療に通っている病院で、糖尿病の専門の先生に相談して適切な処方を行っていただく方法です。事前に血液検査を行ってもらい、血液中のクロム濃度が下がり過ぎていたら処方して下さるでしょう。

もう1つはクロムを吸収しにくくしている要素に対して対策を行うと言うものです。

ピコリン酸の不足でクロムが体内に取り込めなくなる!ビタミンB6を上手く補うには

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ビタミンB3とも呼ばれるナイアシン(ニコチン酸)の異性体にピコリン酸と言う物質があります。この物質は動物の体内においてクロムと言う金属原子を、まるでカニのはさみのように挟み込むキレート結合によって捉える物質なのです。

キレート化されたクロムは体内に吸収されやすくなり、身体の中でインスリンの働きを活性化する役に立つようになります。このピコリン酸クロムと言う存在が結構重要なんです。

サプリにもなっているピコリン酸クロム

そうなって来ると、当然ピコリン酸クロムの状態でサプリ化されるわけですね。一部にはトランスフェリン類と結合させたものもあるようですが、トランスフェリン類は大きな糖たんぱくですから、情報はないものの効率的には疑問が残ります。

しかしながら、ピコリン酸クロムは長期連用で健康被害が多数出ています。摂取量は600~2400μgだったそうですので、クロム換算で75~300μgです。塩化クロムの場合もっと多量でも副作用のなかった事例もあるようですから難しいところです。

それに良く考えてみれば、ピコリン酸も体内にある物質ですから、これが不足していると言うことになるんですよね。ではなぜピコリン酸が不足するのでしょう。

ビタミンB6の秘密

糖尿病になると、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの効きが悪くなったり、インスリン自体の分泌量が減ったりします。

インスリンの働きが悪くなったり、分泌量が減ったりすると、肝臓でたんぱく質や脂肪から糖分を作りだす糖新生と言う働きにブレーキがかかりにくくなります。

このためさらに血糖値が上がりやすくなるのですが、その裏側では糖新生で使われるビタミンB6の要求量が増えるため、体内のビタミンB6が減ってきます。

通常、腸内細菌によって作り出されるため、ビタミンB6の欠乏症は起こりにくいのですが、この場合は足りなくなる可能性が出てきます。

必須アミノ酸のひとつ、トリプトファンは様々な物質に代謝されますが、そのうちの一つにビタミンB6の働きによって作り出されるピコリン酸があるのです。

健康な状態の時はこの働きでピコリン酸が供給され、食べ物として入ってきたクロムはインスリンの働きを活性化するのに充分な状態に保たれるのです。

しかし、糖尿病が原因でビタミンB6が足りなくなってくると、ピコリン酸が不足してクロムを身体の中に取り込めなくなってしまうのです。そうなるとますます糖尿病が悪化しますよね。

ビタミンB6は過剰摂取障害があるビタミン

ビタミンB6は水溶性ビタミンです。普通、水溶性ビタミンは過剰摂取障害が起こりにくいのですが、ビタミンB6についてはそれがあるところがちょっと特殊ですね。

ビタミンB6の推奨摂取量は10歳以上の女性で1日当たり1.2mg程度、10歳以上の男性で1.4mg程度です。思春期の青少年や妊娠授乳期には0.1mg~0.3mgほど余計に必要になるようです。

また、耐用上限量は、15歳以上の女性で1日当たり40~45mg、15歳以上の男性で50~60mgです。しかし、国内の大手製薬会社が出しているビタミンB製剤にはB6が50mg入ってますので、この程度は大丈夫なのでしょう。

ビタミン剤を上手く使おう

一日当たりの推奨摂取量を満たす程度なら、ピスタチオナッツやにんにくを80~100g程度食べれば間に合いますが、それでも毎日食べると言うのにはちょっと厳しい量かもしれませんね。

でも、さまざまな食べ物に含まれていますので、まず不足することはありません。でも、糖尿病でクロムの吸収を上げる目的の場合、先に紹介した第3類医薬品に分類されるビタミン剤が良いかもしれません。

これにはビタミンB6のほか、同じくトリプトファンの代謝にかかわるビタミンB2や糖質の代謝を助けるビタミンB1も配合されています。

さらには膵臓を保護する働きのニコチン酸アミドやさまざまな代謝に影響を及ぼすパントテン酸カルシウムも配合されていますので、良いビタミン剤かもしれませんね。

ここではあえて商品名をご紹介はしませんが、薬店で薬剤師さんにこの情報をお見せいただければ一発で判ると思います。ついでに糖尿病改善についてビタミン・ミネラル類の相談をされると、良いアドバイスがもらえるかもしれませんよ。

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