健康生活TOP 糖尿病 菊芋は血糖値を上げないが脂肪になる?効能・使用法と注意点

菊芋は血糖値を上げないが脂肪になる?効能・使用法と注意点

菊芋

菊芋と言う芋があります。糖尿病に効果があるとしてさまざまな健康食品として利用されています。

実際、血糖値をあまり上げず、食物繊維やオリゴ糖が多いと言う成分からも健康には寄与する部分が多いと思われます。

もちろん調理の仕方もいろいろありますし地方の名産品になっている加工品もあります。上手に利用すればおいしくて健康的ともいえるのですが、注意情報がちょっと少ないのが気になります。

そのあたりを含めて菊芋の食べ方を考えてみましょう。

菊芋はヒマワリの仲間だが芋を作る植物

菊芋は、分類としてはキク科ヒマワリ属に分類される多年草です。花は一重で、イトバハルシャギク(コレオプシス属)や菊菜のような黄色くてシンプルな花をつけますが、背丈はヒマワリ属だけあって2メートル以上に伸びる大きな草です。

菊芋写真
菊芋写真2

キク科の植物に比較的多いパターンで、秋になると花をつけそのあとで地中に芋ができます。この10月下旬ごろに採れる芋が糖尿病に良いと言われる菊芋です。

この芋はサツマイモのような塊根(根の一部が太った芋)ではなく、ジャガイモのような塊茎(地下茎に栄養が蓄えられて太った芋)です。

菊なのに芋と言うと意外な感じがしないでもないですが、同じキク科のダリアや食用のヤーコンも芋を作ります。5メートルくらいに大きくなることで有名な皇帝ダリアも球根と言うより芋と言った方が適切な感じですね。

原産地のメキシコには食用のダリアもあるそうですよ。

菊芋の有効成分はイヌリンと言う消化されない多糖類

菊芋にはほとんどでんぷんが含まれません。これは栄養を地下部分に蓄える植物では少数派ですね。多くの食用植物では栄養をでんぷんとして蓄えており、それが次の世代を育てるために使われています。

そのでんぷんを私たちが美味しく頂いているという訳ですね。その植物を食べると、多糖類のでんぷんは消化酵素のアミラーゼとαグルコシターゼによって単糖類のブドウ糖にまで分解され、私たちの栄養として利用されます。

もちろんブドウ糖ですから、吸収されると血糖値が上昇するわけです。

イヌリンと言う多糖類を消化する酵素を人間は持っていない

そのでんぷんの代わりに菊芋で栄養貯蔵用に使われているのが、やはり多糖類であるイヌリンです。多糖類ですから栄養として利用しようと思うと、でんぷんと同じように単糖類にまで分解してやらないといけません。

しかし、イヌリンを分解するイヌリナーゼと言う消化酵素を人間は持っていません。そのため、イヌリンが炭水化物の中心を占める菊芋を摂っても血糖値が上昇しないという訳なのです。

さて、それでは同じ塊茎に栄養を蓄えるじゃがいもと栄養成分を比較してみましょう。食べられる部分100gあたりの数値になります。

食品名 熱量 炭水化物 たんぱく質 脂質 食物繊維
菊芋 35kcal 15.1g 1.9g 0.2g 2.0g
じゃがいも 76kcal 17.6g 1.6g 0.1g 1.3g

(文部科学省・食品成分データベースの検索結果より抜粋)

どちらも水分量は8割程度で、ほかの栄養素もそれほど大きな差があるわけではありません。にもかかわらずカロリーだけが2倍以上の開きがありますね。これは先ほどお話ししたでんぷんとイヌリンの差が原因だと思われます。

そこで、よく使われるアトウォーターの換算係数を使ってカロリーを見てみました。炭水化物とたんぱく質は4kcal/g、脂質は9kcal/gとして計算するやり方です。ダイエットに興味のある方にはおなじみでしょう。

脂質とたんぱく質はそのまま当てはめて、残りのカロリーを炭水化物のグラム数で割ってみると、菊芋の炭水化物は約1.7kcal/g、ジャガイモの炭水化物は約3.9kcal/gになります。

ジャガイモの方は食物繊維の部分を考えるとほぼ換算係数通りの数値になりますが、菊芋の方は半分以下ですね。これは、小腸で吸収されなかったイヌリンが、大腸で腸内細菌によって分解されて生まれたカロリーと見ればつじつまが合います。

この数値からも菊芋の炭水化物は小腸で吸収されない、すなわち血糖値を上げないであろうことは見て取れますね。

菊芋は積極的に血糖値を下げるのではなく上げないだけ

さて、ここで菊芋について少し注意していただきたいことをお話しします。それは、菊芋を食べれば血糖値が下がるという「積極的効果」はほとんどないと言うことを忘れないで頂きたいと言うことなのです。

健康食品の宣伝を見ると「天然のインスリン」と言ったコピーを見かけることがあります。しかし、これは嘘とは言えないまでも、やや誇大広告的なイメージが拭えません。イヌリンには血糖に対して働きかける性質はないからです。

菊芋の血糖上昇抑制効果とは

先にお話しした通り、菊芋の主成分はイヌリンと言う消化されない炭水化物です。ですので、おなかいっぱい食べても血糖値はほとんど上昇しませんし、芋ですから満腹感を与えてくれる食べ物ではあります。

このため、1回の食事全体から摂取される糖質量を抑える効果は期待できるでしょう。その結果、食事1回あたりの血糖上昇を抑えることも可能です。しかし、これは血糖値を下げているのではなく上げていないだけです。

ですので、菊芋を食べていれば、他で甘いものやご飯、そばなどをたくさん食べても血糖値を下げてくれると考えてはいけません。

回りまわって血糖値を下げる効果が無いわけではない

何とも歯切れの悪い小見出しですが、これはこう言うことです。

血糖値が高い状態が続くと、インスリンを分泌する膵臓自体が高血糖ににさらされて、インスリンを分泌する能力を徐々に失ってゆきます。

この状態を「糖毒」と言います。一方、菊芋などを食事に利用することで食後高血糖を防ぐと、膵臓を痛めつける糖毒状態が緩和されます。その結果、まだ死滅せず休眠状態だっただけの膵臓の細胞が復活してきます。

そうするとインスリンの分泌量がある程度回復して、血糖値を下げてくれるようになると言う好循環に入ることができるのです。

つまり、せっかく菊芋を食べていても他で血糖値を押し上げるような食事をしていたのでは、菊芋の効果自体を台無しにしてしまうので大変もったいないことになるのです。

菊芋を食べ過ぎると不調を訴える人も少なくない

多くの食物繊維や難消化性糖質と同じように、イヌリンも量によっては胃腸に不快感を覚える人が多いようです。これは難消化性糖質が腸内細菌によって代謝され、有機酸が作られる過程でガスを発生させるからなんですね。

主に二酸化炭素、メタン、水素のガスが良く作られます。このためおなかが張ったり、おならの量が増えたりすることがよく見られる不快症状です。

bodys response to ingesta

作られる有機酸は健康に資するしガスは無臭だけれど不快は不快

イヌリンを腸内と同じ環境で細菌に与えた結果、最初は乳酸が、後になって酢酸や酪酸が多く作られるようになっているという実験結果があります。特に酪酸は大腸がんの発生を抑制するのでありがたいですよね。

また、同時に発生する水素ガスは非常に強力な抗酸化物質ですから、これも歓迎したいところです。しかし、おなかが張るというのは決して気持ちの良いものではありません。

水素もメタンガスも二酸化炭素も臭いのない気体ですが、おなかの中には臭いのする物質もありますので、その臭いを連れて出てくることになるおならは、状況次第では困った存在になりえます。

繰り返し摂っているうちに身体が慣れて、こうした不快感は減るという報告もありますが、詳しいことは不明です。

どのくらいまでなら食べても不快症状が出ないのか

これは気になるところですよね。あまり少ない量だと、食べたという満足感がないため、糖質を減らして血糖値を抑えるという効果が期待しにくくなります。

副作用としては胃腸のガス、腹部膨満感、胃痙攣がよく知られている。これらの症状は用量が30gを超えると更に多くなる。

健常女性64名(20~36歳)を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化比較試験において、イヌリン含有低脂肪スプレッド (1日使用量に14gのイヌリンを含有) を4週間摂取させたところ、胃腸不快感が増えた。

健康な男女26名(18~60歳、米国)を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、イヌリン10g/日またはフラクトオリゴ糖5g/日までの摂取は、腹部膨満感などの胃腸症状を伴わずに利用できた。

人によっては、イヌリンを含む食品に重篤なアレルギーを起こすことがある。

これは、純粋なイヌリンとしてのデータですので、先ほど紹介した菊芋の栄養分析に照らしてみましょう。菊芋の炭水化物はほとんどが食物繊維とイヌリンですから、だいたい100g食べると15gくらいのイヌリンを含む難消化性糖質を摂ることになります。

同じ栄養情報に書かれていた菊芋の廃棄率は30%でしたので、だいたい皮をむく前の菊芋で100gくらいまでなら、おなかに不快感を覚えることはないだろうと考えて差し支えないでしょう。

また、皮をむく前で300g、食べられる部分として200gを超えると不快症状が重くなるかもしれませんね。

イヌリンに対するアレルギーはアナフィラキシーショックが報告されているので怖いですが、かなり稀有な例のようです。

ですので初めて食べる時は少量にしておいて、身体に変調がないことを確認してからにしましょうね。

菊芋の入手と保存はどのようにすればいいのか

菊芋は大きなスーパーなどで売っていることも見かけますが、必ずしも安定供給という訳ではないようです。

とは言え、これは芋と言う食品として食べることで、満足感を得ながら血糖値を上げないことがメリットの食品ですから、乾燥粉末にしたようなサプリで摂ることにはそれほど大きなメリットがあるわけじゃありません。

菊芋の弱点はすぐに悪くなってしまって保存が難しいこと

ジャガイモと同じ塊茎だからと言って、ジャガイモと同じように台所の隅っこに転がしておいても日持ちするという訳じゃないところがちょっと弱いですね。常温では一週間ぐらいと言う情報もあります。

室温ではすぐカビが生えたり、フカフカになっちゃったりしてダメになります。土付きのまま新聞紙にくるんで冷蔵保存すると、結構持ちはよくなるようですが、そんなのに冷蔵庫の中を占領されるのは困ることもあります。

ですので、大手食品スーパーの他、農協の販売所などで、菊芋をよく扱っている手近なお店を見つけておくのがポイントになるでしょう。

一方で、お薬じゃありませんから毎日食べる必要もありません。入手できる時に食べて、他の時は違う食材で間に合わせても良いですね。

基本的に、食物繊維や難消化性糖質が多くて、食べても血糖値を上げない食物であれば似たような効果は期待できます。代表選手はこんにゃくですが、水気が多いので芋に比べると食べ応えがないという弱点はあります。

保存が難しければ自分で作ってみるというのも一つの方法

おはようございます☁️ 2015.8.28 #goodmorning #元気花 #菊芋

myago0719さん(@myago0719)が投稿した写真 –

菊芋の栽培は、日当りのいい場所さえあればそれほど難しくありません。むしろ、環境省によって要注意外来生物に指定されるぐらい繁殖力は旺盛です。

結構広い面積が必要で連作が難しいことなどもあるので、自分で栽培するときは事前調査は充分に行ってくださいね。芋は食べる直前に掘り出すのが長持ちさせるコツだということです。

菊芋は正しく調理し新鮮なうちに食べないと効果が薄れる

菊芋がイヌリンをたっぷり含んでいるのは、次に地上部を成長させるときの養分として地下に貯め込んだからです。と言うことは菊芋の中にはイヌリンを分解する酵素が含まれていると言うことですね。

では、イヌリンが分解された物質と言うのは私たちにとってどのような働きをするのでしょうか。

イヌリンは分解されると中性脂肪の原料になる

でんぷんはグルコース(ブドウ糖)が集まって構成されているのと同じように、イヌリンはフルクトース(果糖)が集まって多糖類を構成しています。ですので、分解すると果糖がいっぱいできるのです。

実際、工業的に果糖を作る時にはイヌリンの加水分解によって作っている場合もあるのです。果糖もその大半が吸収後すぐに肝臓に送り込まれて代謝されるため、血糖値をあまり上げません。

この部分ではメリットなのですが、デメリットとして果糖の方がブドウ糖より早く中性脂肪になってしまうという現象があるのです。詳しくは別の記事の後半で述べていますので参考にしてみてください。
食事の後の「冷たくて甘いデザート」は脂質異常症の原因になる!

そして、イヌリンを含んでいる菊芋は、イヌリナーゼと言う酵素を持っているため、長期間保存すると菊芋の中でイヌリンが果糖に代謝されてしまうのです。こうなると効果半減ですよね。新鮮なうちに食べましょう。

ジャガイモの場合と比べてみると調理のヒントが見えてくる

酵素は化学反応の触媒ですので、温度が高いほど化学反応は活発に起こりますが、酵素自体がたんぱく質なので温度が高すぎると酵素が変質してしまって働かなくなります。ですので適温と言う物が重要になります。

ジャガイモをおいしく茹でるには、皮付きのまま水から弱火で茹でます。そして、お風呂ぐらいの温度までは弱火を保ち、それを超えてお湯が熱くなったら、一気に強火で沸騰させるのです。

こうすることで、最初の方で芯まで40度くらいの温度が保たれます。これによってジャガイモが持っているアミラーゼと言う酵素が、最も効率的にでんぷんを糖に分解してゆくため美味しくなるのです。

一方、それより上になるとアミラーゼが働きにくくなるのと同時に、ジャガイモが固くなったり煮崩れしたりと言う現象が起こりやすくなるので、一気に温度を上げるのです。

ですので、菊芋の場合は逆のことをすればいいんです。できるだけ短時間で一気に温度を上げてしまうことで、イヌリナーゼと言う酵素が働かなくなりますので、果糖への分解が最小限で済むのです。

菊芋の調理については、レシピサイトなどにもたくさん載っていますから参考にされるのが良いでしょう。

cookpad「菊芋」検索結果ページ
cookpad菊芋検索結果ページ画像

菊芋で町おこしや村おこしをしている自治体もある

岐阜県や長野県、熊本県あたりでは、菊芋を使った地域おこしを行っている自治体もあります。もともと、江戸時代末期に食用として入ってきた外来作物ですが、近年ではすたれ気味だったのを掘り起こしたという感じですね。

みそ漬けなどの漬物にして日持ちをよくしているのも、私たちが食べる時のヒントになるかもしれません。美味しく利用して健康に役立てられるといいですよね。

キャラクター紹介
ページ上部に戻る