健康生活TOP 糖尿病 低カロリーの和菓子はいかが?糖尿病予防に有効な小豆の成分

低カロリーの和菓子はいかが?糖尿病予防に有効な小豆の成分

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和菓子と言えば、バターなどの油脂分をあまり使わないため洋菓子よりカロリーが低く、ダイエットには向いていると言う考え方があります。

一方、純粋な炭水化物が多く脂質によって糖質の吸収が妨げられないため、血糖値の上昇が早いのではないかと言う懸念もありますね。さて、和菓子は糖尿病予防の観点から見た場合どうなんでしょう。

食べ過ぎれば何でもNG食品になります

身もふたもない言い方ですが、どんなものであっても食べ過ぎれば糖尿病の誘因にはなり得ます。

極端な話、糖質ゼロ・カロリーゼロの食べ物でもたくさん食べると「たくさん食べると言う習慣」が身に付くことによって、他の食品による糖尿病発症の誘因になりますよね。

小豆で作った普通の粒あんの実際

まず、あんこである以上お砂糖はたっぷり使われていますし、お砂糖をしっかり使ってないあんこは和菓子として美味しくないです。標準的な作り方で言うと、概ね砂糖と小豆の量は同じ程度になっているでしょう。

製品としての粒あんで見ると、重量比で48%くらいが糖質(糖分と消化性でんぷん)ですね。これが血糖値を上げる要因でもあります。

一方、もともと脂質が少ないのが和菓子の特徴です。あんこで見た場合、わずか0.6%しか脂質は含まれていません。たんぱく質は5.6%くらい、食物繊維は5.7%くらい含まれています。微量要素を除いた、残り4割弱は水分です。

お饅頭の大きさは地方によって異なりますが、お菓子の本場京都では概ね40gくらいです。そのうちおよそ6割があんこの重さですから、お饅頭1個を食べた時には24g位のあんこを食べることになります。

そのうち48%ですから、お饅頭1個分のあんこ由来の糖質は11.5gくらいと言うことになりますね。

糖尿病を患っている人にとっては少し多めの糖質と言えるでしょうが、これだけを食べた程度では、それほど危険な血糖値上昇にはならないと思います。

小豆あんの不思議な食感と細胞構造の秘密

増粘多糖類などの添加物を加えていない砂糖と小豆だけで作られたあんこって、もっちりしていながら口の中でさらっと溶ける不思議な食感で、とっても美味しいですよね。

実はこの美味しい食感が、小豆あんが血糖値に影響を与えるファクターに影響しているかもしれないのです。

小豆を炊いたと言うご経験をお持ちの方も多いと思いますが、小豆からあんこを作る時には非常に科学的な作業を行っているんですよ。

小豆を炊き始めると、小豆の細胞の細胞壁の内側で、たんぱく質が熱によって固まり始めます。たんぱく質が固まる60℃くらいを超えると、今度はその内側ででんぷんが糊化し始めるのです。

細胞壁は食物繊維(セルロースやペクチン)でできています。その内側に固まったたんぱく質があり、中心部は糊化したでんぷんです。これは頑丈な構造ですので、こしあんにしても壊れることはありません。

小豆を炊く前、豆の状態で砕いて粉にしてしまうとこういう現象が起こらず、単なるでんぷんと食物繊維とたんぱく質が入り混じっただけのものになります。ですので当然炊いても美味しくないのです。

水につけてから豆のまま炊き始めると言う作業には、こうした物理的・化学的な性質を踏まえた意味が含まれてるんですよ。

一方、細胞一つ一つがこうした構造になってしまうとさらっとした感触にはなっても、まとまらなくなります。そこで濃い砂糖があんになった小豆の細胞を繋ぐ粘性を出しているのです。

つまり、砂糖がしっかり入ってないとあんこにならないんですね。あんこの甘さはこの砂糖によるものですから、食べれば小腸でブドウ糖と果糖に分解されて吸収され、血糖値を上げます。

一方、原料である小豆の持っている糖質であるでんぷんは、食物繊維に覆われ、固まったたんぱく質でコーティングされた状態ですから、なかなか消化吸収されにくい状態なんですね。

小豆はお米よりレジスタントスターチが多い

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消化されないため、食物繊維としてカウントされるでんぷん、レジスタントスターチはでんぷんの構成によってその量が変わります。

でんぷんはアミロースとアミロペクチンと言う2種類の炭水化物で構成されています。アミロースの量が多ければ多いほどレジスタントスターチの割合が増えるんですね。

これは2つの炭水化物の構造が原因です。でんぷんを消化する酵素アミラーゼは、でんぷんの化学構造の末端から次々とオリゴ糖の形で分子を切り離すことで消化してゆきます。

アミロースは比較的短いながら、螺旋になった鎖状の構造をしています。ですので、数がたくさんあっても、一つの分子には末端が2か所しかないと言えます。このためアミロースが多いでんぷんは消化されにくいんです。

一方、アミロペクチンは大きな分子ですが数多く枝分かれしているため、オリゴ糖を切り離す「端っこ」が非常にたくさんあるんですね。ですのでアミロペクチンが多いでんぷんは消化されやすくなっています。

もち米にはアミロースは全く含まれていません。普通のお米に含まれるアミロースは16~18%程度です。

一方、小麦では30%、とうもろこしでは25%程度がアミロースですね。小豆のでんぷんはこの中間ぐらい、約22%がアミロースでできています。

こうしたことから、加熱して冷めた時レジスタントスターチになっているのは、冷ご飯よりあんこのほうが多いと言うことになりますね。

美味しさを取るか節制を取るか

このように、小豆で作られたあんこは、小豆成分の部分では比較的血糖上昇の穏やかな食品であることが推察されます。

一方で、あんことして成立させるためには、いわゆる「つなぎ」として働くものが必要になります。普通はそれが甘味料としての機能を兼ねたお砂糖の役目なんですが、お砂糖は血糖値を急峻に上昇させます。

ならば砂糖の代替品として天然または人工の甘味料が使えないかと言うことになりますね。しかし、残念ながら血糖値の上昇効果を持たない甘味料には充分な粘りがありません。

そうなってくると増粘剤を入れてあんこの形にするしかなくなります。しかし、これでは本来のあんこの食感が失われてしまいますから、美味しさと言うのはあまり期待できなくなります。難しい問題ですね。

あんこを食べるなら粒あん?こしあん?

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あんこにも色々ありますが、基本的には裏ごしして皮を取り除いたこしあんと、皮が残ったままの粒あんに分けられます。

小豆の形をきれいに残したものや、敢えて小豆をつぶしたもの、またそのつぶし具合などによって様々ですが、一応小豆の皮が入っているのを粒あんとしておきましょう。

こしあんは低カロリー・低糖質!秘密は水分量

一般的な粒あんとこしあんを比べた場合、粒あんはこしあんの1.6倍近いカロリーがあります。これはその製法に秘密があるんですね。先にお話ししたようにこしあんは裏ごしで豆の皮を取り除いています。

つまり、ある程度水分量が多くないと裏ごしがしにくいんですよね。日本食品標準成分表2010によると、こしあんは粒あんの1.6倍弱の水分を含んでいます。

ですから、同じ重さを食べるならこしあんの方が低カロリーで低糖質であると言うことになります。先に紹介したように1個40gの饅頭のあんこは約24gです。

これに皮のカロリーと糖質が加わるわけですが、饅頭の場合皮の種類も色々ですから、ちょっと難しいですね。仮に薯蕷饅頭だとして、山芋と上用粉(米粉)と砂糖で作ったとして概算してみました。

薯蕷饅頭の皮のカロリーは1個分で約45kcal、糖質は約10gです。さて、その成分表に示されたカロリーと糖質量を基準に饅頭を概算比較してみましょう。

饅頭 カロリー(kcal) 糖質
粒あんの饅頭40g 約103kcal 約22g
こしあんの饅頭40g 約81kcal 約15g

もちろんお店によって製法も異なるでしょうから一概には言えませんが、単純にカロリーと糖質だけを気にするなら、こしあんの饅頭に軍配が上がりそうです。

小豆の皮には食物繊維とポリフェノールがいっぱい

小豆の赤い色はポリフェノールであるアントシアニンの色です。このアントシアニンのおかげで小豆の皮には強い抗酸化作用があります。

バターなどに使われることもある、ブチルヒドロキシアニソールという酸化防止剤があります。これは最大使用限度が200ppmと定められています。小豆の皮は、これの10ppm分に匹敵する抗酸化力を持っているのです。

また、食感から充分連想できるでしょうが、小豆の皮には不溶性食物繊維も豊富です。この2つの有力な栄養素を捨てちゃうのはもったいないですよね。

ですから、粒あんの方が良いのかなとも思えますが、先にお話ししたようにカロリーや糖質の問題もありますので、悩んでしまうところです。

糖分を避けるなら小豆粥はいかが

小豆粥は、茹で小豆があれば炊飯器でも作ることができるお手軽レシピですよね。有名レシピサイトにも、たくさん作り方が載っています。韓国風のものも、お米を使うところから日本のものに近いです。

一方、中国の小豆粥(紅豆粥)は、いわば「甘くないぜんざい」ですので、小豆の栄養が正味で摂れます。もちろん日本や韓国の物より糖質も少なめになりますよ。

最近では赤米を混ぜる流儀が流行しているようですが、私は昔ながらの小豆だけのものが好きです。中国のホテルでバイキング形式の朝食を摂ると、良くメニューに入ってますよ。

お好みのおかずと一緒に、あるいはちょっと塩を振っただけでも美味しく食べられます。今回の話題である和菓子からは少しずれましたが、小豆のもう一つの姿なので紹介しました。

小豆を機能性食品としてとらえる考え方もある

これまでにお話しした通り、小豆にはポリフェノールや食物繊維が含まれています。さらにはビタミンやミネラルも豊富です。

しかし、これまでの一般的な加工方法ではどうしても糖質などの問題が付きまといます。そこで、こうしたメリットだけを活かす方法がないのかと言うことに思い至ります。

小豆にはかなりの将来性が見込める

とても1回では書ききれませんので、今回は小豆について様々な食品の開発が行われていると言うことだけをお知らせしておきます。

近いうちにそちらに焦点を当てた記事を書くつもりですので、細かいことはそちらに譲りましょう。

今回の結論としては、よほど重篤な糖尿病患者ででもない限り、1日に小さめの饅頭1個程度であれば、小豆を使った和菓子は健康的な食べ物だと言うことになります。

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