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低GI天然甘味料アガベシロップは逆に糖尿病を起こす可能性も

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アガベシロップと言う名前をご存知でしょうか。血糖値を上昇させにくい天然甘味料として、アメリカが発信源となって世界に広まった、いわゆる健康食品です。

しかしながら、確かに血糖値は上昇させにくいにもかかわらず、血糖コントロールにおいては悪い結果をもたらす可能性のある食品だと言う事が判ってきました。

アガベはメキシコで愛されてきたリュウゼツランの学名

一見巨大化したアロエのようなリュウゼツランですが、分類としては万年青(オモト)やユッカ、ドラセナなどの観葉植物に近い種類です。学名や英名がAgaveなので、日本でもアガベと呼ばれることがあります。

そして、このリュウゼツランは食用植物としてメキシコで先史時代から愛されているものでもあります。

メキシコの万能植物

リュウゼツランは、若い花茎に糖分が大量に含まれるので、サトウキビのように食べたり、それを絞って甘味料として使う事をします。また、茎から糖液を絞ってこれを発酵させた、プルケと言う醸造酒もあります。

さらにプルケを、メキシコの法律に定められた方法で蒸留・熟成させたのが、中米の有名な火酒、テキーラなのです。

その他、観賞用になったり、繊維を取ったり、燃料にしたり、楽器にしたり、屋根を葺くのにも使われるなどまさに万能植物と言えますね。

もともとは低GI食品

マゲイシロップとも呼ばれる、このリュウゼツランから採られたアガベシロップですが、二糖類の砂糖(ショ糖)が成分ではなく、単糖類の果糖とブドウ糖を成分としています。

しかも、果糖の割合がブドウ糖のおよそ3倍と、非常に多くなっているのが特徴です。果糖は食べ物として口から入ってきた場合、そのまま血糖値を押し上げる効果を持っていません。

ですから血糖値を押し上げるのはブドウ糖の部分だけと言うことになります。また、アガベシロップには食物繊維のイヌリンが含まれていることもあるので、これも良い効果を出しているのでしょう。

ただ、イヌリンはそのままでは甘味料として邪魔なので、含有量が多すぎる場合などでは、コウジカビの一種を使って果糖に分解する技術も完成されているようですね。

果糖ぶどう糖液糖としてよく見る異性化糖と同じ危険性がある

果糖ぶどう糖液糖として清涼飲料水などに良く使われている異性化糖は、中性脂肪を増やしてしまうと言うところから、肥満や血中脂質の異常につながるとして批判されている甘味料ですね。

その原因は、一旦血糖やグリコーゲンにならずに、直接肝臓で代謝されてしまう果糖の反応性の速さにありました。

異性化糖とアガベシロップの比較

異性化糖の多くは果糖が55%程度の果糖ぶどう糖液糖です。アメリカあたりではHFCS(高果糖コーンシロップ)とも呼ばれています。さらに、日本で言う高果糖液糖になると、果糖の比率は85%に届くものもあるようですね。

一方、製品ごとにばらつきはあるものの、アガベシロップはブドウ糖との比率で見た場合75%程度の果糖が含まれています。

そうなってくると、果糖による弊害は、より危険性の高いタイプの異性化糖、高果糖液糖と変わらないと言うことになってしまいます。イヌリンを処理したタイプではもっと高くなるかもしれませんね。

イヌリン自体は水溶性食物繊維で、キクイモやにんにく、ゴボウなどに含まれています。ほとんどが2個から140個の果糖でできていて、末端にブドウ糖がくっついていると言う構造です。

人間の消化酵素では分解できませんので、血糖値を上げません。カロリーがわずかにあるのは他の食物繊維と一緒で、大腸の腸内細菌によって分解されるためです。

これをコウジカビを使って分解すると、66%から99%以上の割合の果糖を含んだものが出来上がると言うことになりますね。天然のアガベから絞っただけのものより、さらに果糖の割合が高くなってしまいます。

果糖とブドウ糖の性質の違い

他の機会にもお話ししましたが、ブドウ糖と果糖は、1分子ずつがくっついて、私たちが普段食べている砂糖の主成分であるショ糖になります。ですから、果糖自体が危険と言うのはいささか大げさに過ぎるかもしれません。

ブドウ糖は小腸で吸収されるとエネルギーとして使われなかった余りの部分は、肝臓でグリコーゲンに組み立てられて一時的に保存されます。

脂肪やアミノ酸とは違い、グリコーゲンはすぐにブドウ糖に分解できますから、エネルギーを一時的に貯蔵するにはもってこいの物質なのです。それでも余った分は、より長期に保存するための中性脂肪になります。

一方、果糖はブドウ糖より早く代謝されますが、余った分を一時的に貯蔵する手段がないので、肝臓でいきなり中性脂肪になります。その中性脂肪は血流に乗り、脂質異常症の原因にもなると言うことですね。

血糖値を上げない低GIなのに…!?糖尿病を誘発してしまう

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先にお話ししたように、アガベシロップは優れた低GI食品です。ですので血糖値はあまり上がりません。しかし、そのGIを下げている原因の果糖は、余った分は全部中性脂肪になるのです。

血糖値の上昇か中性脂肪の上昇か、どちらかを選べと言われると、ある意味究極の選択になってしまいますよね。でも本来ならば、摂りすぎなければどちらでも問題はないのです。

問題は、甘い味と言うのは摂りすぎてしまいやすいところにあるんですよ。

余ると使われにくい果糖

人間の身体は、おなかが減った時にグリコーゲンをブドウ糖に分解して使い、グリコーゲンを使い切ってから中性脂肪を分解してエネルギーにするので、グリコーゲンにできない果糖は、大変身体に残りやすいとも言えるのです。

血液中の中性脂肪は、体脂肪へと変化します。体脂肪が増えると、すなわち肥満ですね。体脂肪はインスリンの効きを悪くする物質を放出しますので、肥満すると血糖値が下がりにくくなります。

このことをインスリン抵抗性の発現と言いますが、それは糖尿病発病の第一歩なのです。

皮肉なことに、血糖値を上げない低GI食品が、そのまま糖尿病の原因になってしまうと言う事なんですね。しかも肥満や脂質異常症と言うオマケまでついています。

食べ物としても魅力ある甘味料

もちろん、アガベシロップが天然甘味料であることは間違いありません。ミネラルを豊富に含み、独特の風味のある美味しい食べ物の一つです。

妊婦さんがこれを発酵させたお酒であるプルケを飲んでいると、生まれた子供が5歳前くらいまでの間、そうではない子供より成長が悪いと言うデータがあります。

しかし、これはアガベの糖液が悪いと言うよりは、妊娠中にお酒を飲むと言うことの弊害の方がはるかに大きいでしょう。成長が悪いだけで済んでいるのなら御の字です。

ですから、健康がどうのこうのと言う目的で使うのはともかく、美味しい甘味料として食べる分には何の問題もありません。どんな食べ物でも食べ過ぎれば太りますしね。

一方、天然甘味料の魅力でお求めになる場合は、イヌリンの分解が行われていないことを確認されることがおすすめです。

健康に対して悪影響があると言われる異性化糖ですが、ブドウ糖を酵素によって果糖に変えています。アガベシロップでイヌリンが多すぎるものは、酵素で分解して果糖に変えています。

異性化糖を人工甘味料と位置付けるのであれば、アガベシロップのうちイヌリンの分解を行った物も全く同じで、人工甘味料とするべきでしょう。

必ずしも安心・安全ではない!自然食品嗜好の落とし穴

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このアガベシロップは天然・自然食品と人工の物との関係を考える上で良いチャンスですので、ここからは少し本題とは離れますが、付け加えさせて頂きます。

いわゆる有機農法や自然食品と言うものは、良いものが多いと私も思っています。しかし、「天然」「自然」「人工物ゼロ」は必ずしも「安全」「安心」「より良いもの」を意味しません。

例えばテトロドトキシン(フグ毒)、アコニチン(トリカブト毒)、アフラトキシン(発癌性カビ毒)などは、全部自然に作られる物ばかりですね。それどころか、ニコチンだって自然の植物から採れる物です。

危険性をどう認識するのか

逆に、私たちがお薬として飲んでいる、化学合成された薬品は、もともと自然に存在した薬草の有効成分を模倣したものも少なくありません。

ですので、「自然だから安全」「人工だから危険」と言う認識は早めに捨てた方が安全です。

健康を意識する上で特に怖いのは、安全な人工物を「危険な人工物」とレッテル貼りすることで、本当は危険な自然物を「安全な自然物」と宣伝されて、それを信じてしまう事なんです。

イメージによる勘違いが怖い

今度は食べ物からも少し離れますが、天然温泉の「ラドン泉」と言うものについて、皆さんはどのようにお感じでしょうか。

ラドン泉は、温泉1リットル当たり放射性ラドンが111ベクレル以上含まれている温泉のことです。ベクレルと言う単位が登場しましたね。ちょっと気になりませんか。

家庭用のお風呂だと200リットルぐらい入りますから、2万2千ベクレル以上と言うことになります。放射性ラドンは吸入すると肺がんの原因になることも判っています。

しかし、実際に危険性がどの程度あるのかはよく判りません。それでも天然温泉なら皆さん怖がらすに、それどころか喜んで入湯税を支払ってまで入浴しますよね。少なくとも私は大好きです。

でも、原子力発電所の近所のお家のお風呂から、仮に1万ベクレルの放射能が検出されたと報道されたら不安になりませんか?

このように、私たちは周辺状況に応じて、危険に対して過敏になったり鈍感になったりと言うことがあります。そして、むしろ危険なのは過敏になり過ぎることで、本当の危険を見落とすことなんですね。

健康と食品の関係も同じ

ネットで様々な情報が手に入りやすい今日ですが、良く見てみると一つのソースからたくさんの情報が繁殖しているだけで、本当に正しい情報かどうかの判別は困難なことが多いです。

できれば公的機関や、大学などの研究機関の情報を手に入れることで、自分の健康を守りましょうね。

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