健康生活TOP 発達障害 子供、大人のADHDをチェック!症状、原因、治療法を知っておこう

子供、大人のADHDをチェック!症状、原因、治療法を知っておこう

世の中にはいろいろな病気があります。これまで一度も聞いたことがない病名や症状の病気もきっとあるはずです。「病気」と呼ばれる以上、イメージとしては「身体的な苦痛」を伴うものと考えがちです。

ところが実は、身体的苦痛がない病気もあるのです。神経障害・精神障害と呼ばれる病気は身体的苦痛を伴わないことが多いですが、厳密な意味では、神経障害とも精神障害とも異なり、なおかつ身体的苦痛を伴わない病気があります。

その代表的な病気の1つに、ADHDがあります。ADHDは”Attention Deficit hyperactivity Disorder”の頭文字4文字を採用した一般的な病名であり、日本語では「注意欠陥障害」とか「多動性障害」などと呼ばれることが多いです。

近年特に成人した日本人に増加の傾向を示すADHDという病気の特徴などを、今回はいろいろな角度からお話していきます。

ADHDは発達障害の一種、その概要は?

増加の傾向にあることは事実ですが、それでもこのADHD、あるいは注意欠陥障害、多動性障害という病名にはまだそこまでのなじみがないと思います。そこでまずはADHDを厳密に定義づけるところからお話をはじめます。

ADHD(注意欠陥障害・多動性障害)の定義および診断基準
DSM-5の診断基準(不注意症状9項目、多動・衝動性項目9項目のどちらか、あるいは両方を17歳以上では6項目以上、16歳以下では6項目以上満たすこと)に合致すること、症状が12歳未満から存在していること、社会生活や仕事、学業の面で機能が損なわれていること、ほかの精神的・身体的障害では説明できない発達障害

(出典…ADHDについて-町田クリニック)

いちおう厳密な定義・診断基準という意味では上記のようになります。DSM-5というのはアメリカ精神医学会による精神障害の診断と統計マニュアルの第5版です。

ただ、ふつうこの情報から「ああ、なるほど!」とは合点がいかないと思います。詳細は後々お話するとして、上記をわかりやすくかみ砕いて説明すると、以下のようになります。

小児のADHD
  • 忘れ物が多く、過度の注意散漫、不器用(注意欠陥)
  • 落ち着きがない、(大声を出すなどして)自制が効かない(多動性)

といった傾向が際立っている症状

まあ正直小学校の低学年くらいであれば、ある程度は仕方がないかな・・・と思う部分もあるでしょう。小学校低学年であれば、病気というよりは性格による部分が大きいと判断されることも多いのではないでしょうか。

しかし近年より大きな問題として懸念されているのが、子供ではなく、「大人のADHD」のほうです。大人のADHDは、以下のように説明されることが多いです。

大人のADHD
  • 手順を踏まえるのが下手(段取りができない)で、遅刻が多い
  • 重要事項の遵守、約束を守ることなどができない
  • 人間関係のトラブルが絶えない
  • 待つ、こらえるなどの我慢ができず、不要な言動が目立つ

といった傾向が際立っている症状

たとえば会社員ともなると、さすがに「彼・彼女の性格だから・・・」では済まされない部分が多くなることも危惧されます。それでも大人になると、小児・子供のADHDのように自制がまったく効かないということは少なくなります。

とはいえ、大人のADHDは、小児・子供のADHDの5~7割程度がそのまま大人になっても継続すると考えられています。ということは、大人のADHDが増えているのだから、当然小児・子供のADHDも増えているのではないかとも考えられるのです。

このあたりの事情も含め、ADHDの原因などを次の章で考えていきます。

ADHDにはどんな原因が考えられる?

かつて「子供の性格は親の育て方次第」などと言われてきた時代もありました。というか、今でもこのことはいろいろなところで言われている気がします。ですからADHDのような「病気」も「親のせい」と勘違いされることが残念ながら多いです。

もちろん、親の育て方がその子にとってプラスとなるかマイナスとなるかの影響をおよぼすかどうかに関しては、おそらくまったくないことはないでしょう。ただこれは病気とは無関係な話です。

あくまでもADHDは病気であって、「ADHDという病気」の原因を焦点としたとき、親の育て方はほとんど無関係であると考えられるようになりました。では、ADHDの原因はいったいどこにあるのでしょうか?

結論から言いますと、まことに残念ながら、現在のところADHDの原因は特定されていません。ただし、もしかしたらこれが原因では?と考えられるファクターや手がかりがいくつかあるのです。

ADHDと家族性の関係は密接

厳密な意味で「原因」とは言えませんが、1つの重大な「傾向」としていえることは、ADHDには「家族性」が密接にかかわってきているということです。家族性という言葉はあまり聞いたことがないかもしれませんね。

家族性という響きからすると、どことなく「遺伝」をイメージしてしまうかもしれませんが、実はこの家族性という言葉は遺伝と(医学的には)ほぼ無関係なのです。家族性とは、遺伝因子ではなく環境因子です。

つまり、家族間の「遺伝」によって発症するのではなく、家族という「環境」がADHDとかかわっているのです。少々難しい話になるかもしれませんね。たとえば、「風邪」を考えればわかりやすいです。

「父親や母親が風邪をひいたら息子や娘も風邪をひいた」という事例は当たり前に起こることです。いわゆる「風邪がうつる」という極めて一般的な事象です。風邪がうつったのが遺伝であると考える人はいないでしょう。

もちろん、風邪の直接の原因は菌やウイルスですから、子供が親からもらった風邪をひいたとしても、その原因は環境因子に求められるわけではありません。ただ、そこには「家族性」があったことは事実です。

これが「家族性」の具体例になります。ただし、学校で友達から風邪をうつされたという場合は、その風邪の原因は環境因子にも家族性にも求められません。ただ、「環境」という条件が風邪の発症にかかわっているとは言えます。

たとえば糖尿病やがんなどの生活習慣病も、遺伝だけでなくこの「家族性」が論じられることが多いです。ADHDも実はこれとまったく同様で、両親の少なくとも一方がADHDだと、その子も50%の確率でADHDを発症するという研究結果が出ています。

ですから、ADHDは現在のところ「衝動を抑制する能力を欠いた生まれつきの病気」という側面と、「環境因子や家族性」に原因の手がかりを求めた後天性疾患の側面を持つと考えられているのです。

生まれつきとする説では、ADHDの原因は脳の何らかの障害にあると説明されることが多いです。ただ、その「何らか」の部分の詳細が現在のところ明らかになっていません。

脳の前頭葉にどうやら本質的な問題がありそうだというところまではわかっていますが、神経伝達物質の不足など、原因の候補がいくつか指摘されるにとどまるのが現状です。

もしかしてADHDなの?ADHDの症状とチェックの方法

ここまでのお話でおそらく、ADHDであることの自己診断、あるいは家族など医師以外の素人が判断を下すことが難しいという印象を覚えたと思います。そもそも上でご紹介した定義・診断基準からしていかにも難しそうですよね?

そこで改めて、ADHDの症状についてもう一度ご紹介し、そのチェックの方法についてもここでご紹介したいと思います。

ADHDは、特に子供はアスペルガー症候群や学習障害、さらには広汎性発達障害と混同されやすいですが、ADHDには大きく分けて3タイプの症状が現れます。

  • 不注意
  • 多動性
  • 衝動性

これらの症状タイプによって、アスペルガー症候群や広汎性発達障害との区別化を図るケースが多いです。

まずはこれら3つの症状タイプをまとめておきましょう。

ADHDでみられる症状の傾向:不注意症状

考える前に行動してしまうことで現れる症状です。

たとえば、

  • 単純作業でもミスをしてしまう
  • 勉強や仕事がずさん、いいかげん
  • 集中力に乏しく身の周りの片づけができない
  • 遅刻が多い
  • 約束を守れない
  • 重要事項を忘れてしまう

といった症状全体が見られます。

学校生活では先生からの指摘に従わず、宿題を忘れる、提出物を提出しない、紛失するといった傾向が見られ、社会人はレポートの作成、提出を怠り、道具の置き忘れ、紛失、仕事をおろそかにするといった傾向が見られます。

ADHDでみられる症状の傾向:多動性症状

一般に言われる「落ち着かない」状態が一般よりも顕著に見られ、また継続的、断続的に見られます。

学校生活では、手足をばたつかせる、じっとしていられずもじもじそわそわする、さらには授業中に出歩くなどの傾向が見られます。

社会人の場合、自分のデスクにとどまっていられず、会議や研修などでもその場を無断で離れる傾向がみられます。

不要なシーンで走り回る、高所を好んでよじのぼるといった不可解な行動が多く、必要以上の多弁の傾向がみられます。

ADHDでみられる症状の傾向:衝動性症状

規範やマナーへの配慮が欠落し、秩序を乱しやすいのが特徴です。

学校生活では、先生から指名される前の勝手な回答、他人の会話への執拗な割り込みなどの傾向がみられます。

大人になってからも、順番待ちの列に割り込む、もしくは必要に迫られていたとしても順番の列に加わることを避ける、他人の仕事に断りもなく手だしするなどといった傾向がみられます。

次は、ADHDのセルフチェックの方法についてもご紹介します。

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ADHDかな?と思ったら、まずはセルフチェックを!

初めの「ADHDの定義・診断基準」のところで登場した「DSM-5」というのは、ADHDの診断マニュアルのことです。これをもとに、医師は患者さんのADHDを診断します。

ですからADHDのセルフチェックにDSM-5をそっくり当てはめるのは、あまりにも専門的すぎてしまい、セルフチェックとしてはふさわしくありません。ここからセルフチェックの項目をご紹介しますが、DSM-5は採用しません。

その代わり、DSM-4という1つ前のバージョンを採用したセルフチェックを以下にご紹介しますので、ご本人はもちろん、ご家族がADHDでは?といった不安がある方は、一度セルフチェックを実施していただきたいと思います。

ただし、お子さんの場合、いわゆる「グレーゾーン(ADHDであるかどうかの判断が微妙な状況)」であるケースが多く、そういった意味では、素人がセルフチェックを実施することが必ずしもプラスにならない可能性もあります。

もちろん小学生以下のお子さんが下記のチェック項目をちゃんと理解すること自体が難しいという理由もあります。ですから以下のセルフチェックは、18歳以上の成人が対象のテストであると解釈してください。

では、チェックシートをご覧いただき、実際にチェックをしてみてください。1つのチェック項目に対し、主に7歳以前の幼少時、そして現在の2パターンで回答してください。その合計からADHDの可能性を判断します。

それでははじめます。

番号 項目(幼少時、現在それぞれに該当する項目は、右の欄にチェックを入れてください) 幼少時 現在
1 学校生活や仕事、もしくはその他活動において、十分に注意することができないまたは不注意な過ちをしばしばおかす
2 課題および遊びの活動において、注意の持続がしばしば困難である
3 直接話しかけられたときに上の空で聞いてしまうことがしばしばある
4 反発心、反抗心とは無関係に、先生や上司からの指示に従わず、学校生活、用事、もしくは職場での義務を最後までやり遂げようとしない、あるいはやり遂げられないことがしばしばある
5 課題、活動を順序立てて計画通りに遂行することがしばしば困難である
6 精神的努力(勉強、宿題、仕事など)の持続を要する課題に従事することをしばしば避け、嫌い、取り組んだとしてもいやいや行う
7 仕事や課題、活動に必要なもの(仕事道具や文具、玩具など)をしばしば紛失する
8 音や光、動き、軽微接触などによる外的な刺激によって集中力を持続できないことがしばしばある
9 日々の活動や日課をしばしば忘れる
10 手足をそわそわと動かす、またはいすの上でもじもじすることがしばしばある
11 教室その他で、座っていなければならない状況下でも無断で離席することがしばしばある
12 不適切な状況で、無駄に走り回る、高いところによじ登ったりすることがしばしばあった。あるいは、成人になってからもそのような衝動に駆られることがしばしばある
13 遊んだり余暇活動をしたりする際に、しばしば必要以上にうるさくする
14 ひとときたりともじっとしていない、あるいは盲目的に行動し続けることがしばしばある
15 必要以上の多弁になることがしばしばある
16 出題や質問の最中に先走って回答することがしばしばある
17 順番を待つ、あるいは順番待ちの列に並ぶことが困難と感じることがしばしばある
18 自分が参加していない会話、ゲームなどに割り込んで他者のコミュニケーションを妨害することがしばしばある

合計で幼少時、現在の少なくとも一方に10項目以上チェックがある人は、ADHDの可能性が疑われます。

(上記チェックリストの引用・参考:成人期のADHDの診断チェックリスト-森林公園メンタルクリニック)

上記以外にも、ADHDを発症するリスクが高い人として挙げられるのが、双極性障害(いわゆる「躁うつ病・そううつびょう」に代表される精神疾患)の患者さんです。双極性障害がある人で、ADHDの心配があると感じるなら、チェックを実施してみましょう。

上記のチェックはあくまでも「目安」であって、チェックが10以上あったとしても、必ずしもADHDであると確定したわけではなく、逆にチェックが10個に満たなくてもADHDであるという可能性は十分考えられます。

ですから少しでも不安があるなら、病院で検査をしたりもっと厳密なテストを受けたりして、お医者さんの診断を受けることをおすすめします。

ADHDをどう治療すればいい?効く薬はある?

幼少期にADHDを疑われたケースでは、年齢が問題を解決してくれるケースがまったくないわけではありません。これは上でお話した「グレーゾーン」に属するお子さんに多い経過であるといえます。

ただし、グレーゾーンであったとしても、治療はできるだけ早くからスタートしておいたほうがよいことは間違いありません。当然大人のADHDも治療によって改善することは十分可能ですので、早目の治療を心がけていただきたいと思います。

それでは、具体的にADHDの治療の方法をご紹介していきます。また、ADHDの治療で処方されるお薬についても簡単に触れておくことにしましょう。

ADHDの治療はどんな方法で行う?

ADHDの治療は、心療内科(メンタルクリニック)・精神神経科などで行うことが多いです。治療方法は、治療を行う医療機関や患者さんの症状にもよりますが、一般には、いきなり薬物療法を採用するわけではありません。

ADHDの治療の多くは、カウンセリング、環境調整などといった心理社会的治療からスタートすることになります。その後、必要に応じて薬物療法(主に投薬治療)が採用されることがあります。

また、予防的な治療を同時に行うケースも多いです。というのも、ADHDの患者さんは双極性障害をすでに発症していることが多いというお話をしましたが、治療の段階で双極性障害がなくても、その後症状が現れる可能性が考えられるからです。

ADHDの治療と同時に、うつや双極性障害、依存性疾患(アルコール依存症など)といった精神疾患の予防的治療が行われることがあるということも、覚えておきましょう。

ADHDの治療ではどんな薬がつかわれる?

ADHDの原因と考えられる前頭葉の働きを高める目的の薬が採用されることが多いです。前頭葉の機能を高める効果が期待される薬には、コンサータ、ストラテラ、リタリンなどがあります。

上記以外にも、ノルアドレナリンやドーパミンなどの神経伝達物質の不足を効果が期待できる抗不安薬やアトモキセチンなどが用いられることが多いです。使用する薬物によっては、けっこう値段が高くなってしまうこともあります。

そういったケースでは、医療費の助成制度(主に「自立支援医療制度」)を積極的に活用することも視野に入れておくとよいでしょう。

大人のADHDは特に深刻!子供のうちから予防の意識を

上記でお話したとおり、ADHDの原因はまだはっきりしていません。ということは、ADHDの根本的かつ明確な治療方法が確立しているわけでも、実はありません。であれば、あくまでも医学的な立場で言えば、予防方法もほぼないに等しいことになります。

とはいえ、ADHDはある日突然症状が現れる病気ではありません。ほとんどが「生まれつき」の病気として診断されるのがADHDの特徴です。であれば、「もしかしたらADHDかもしれない」という警戒心は持つことができるはずです。

基本的にはほとんどの病気に言えることですが、やっぱり病気の望まれる対処の基本は「早期発見」、「早期治療」であって、そのためには予防や警戒といった意識は非常に重要な意味を持ってきます。これはADHDについてもまったく同様のことがいえます。

実際大人のADHDが増加の傾向にあるのは、子供のAHDHの対処が思うように実施されなかったことと無関係ではありません。子供のADHDは大人になってから高い確率で引き継がれやすいことは、すでにお話したとおりです。

大人のADHDは、社会的責任がある立場だけに、子供のADHDよりも深刻であると言えなくもありません。同じADHDの症状であったとしても、当然大人のほうが周囲からはシビアな目で見られることになるわけですから。

もし仮に子供のうちにADHDに対する理想的な対処ができていれば、大人になってからADHDが引き継がれるリスクは、ゼロになるとは言いませんが、少なくとももっと軽減できるはずであることはまず間違いないでしょう。

逆に、子供のADHDの判断は、素人からすればそれだけ難しいということも同時に意味しているのです。だからこそ、「何かおかしい」と感じたら、親御さんの判断で早目に医療機関につれていくことも重要な意味を持ってくるのです。

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