健康生活TOP 皮膚炎 【写真あり】高齢者に多い皮膚のかゆみの原因、疥癬の症状と治療法

【写真あり】高齢者に多い皮膚のかゆみの原因、疥癬の症状と治療法

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疥癬は、ヒゼンダニの寄生によって皮膚に炎症が起こる皮膚感染症です。強いかゆみを伴い、集団発生を引き起こしやすいとても厄介な病気です。

衛生管理の徹底している現代のわが国でも、全国各地の高齢者施設では集団発生がしばしば起こり、施設のスタッフを悩ませています。

疥癬とはどのような病気なのか、その特徴と対処法についてまとめました。

ヒトに寄生するヒゼンダニが原因!とてもかゆい「疥癬」とは

疥癬(かいせん)は「ヒゼンダニ」という虫が寄生することで起こる皮膚感染症。ヒゼンダニは無気門亜目ヒゼンダニ科に属する雑食性のダニの一種です。

ヒゼンダニの「ヒゼン」は漢字で「皮癬」と書きます。まさに名前の通り、ヒトの皮膚にすみついて皮膚に炎症を起こすダニなのです。

ヒゼンダニの生態

ヒゼンダニはヒトからヒトに接触を通して感染するダニです。

大きさが成虫のメスで体長0.4ミリ、体幅0.3ミリの丸く厚みのある乳白色の虫です。オスの成虫はメスよりさらに小柄。とても小さなダニです。

ヒゼンダニの大きさ

ヒゼンダニは皮膚から離れると生きていけず、2~3時間で死んでしまいます。しかしヒトの皮膚にすみつくと、皮膚の表面を歩き回ったり皮膚にトンネル状の穴を作ったりと活発に動き回り、どんどん繁殖してしまいます。

ヒトには寄生しますが、同じくヒトに寄生するイエダニ・トリサシダニ・ツメダニのように血液や体液を吸うことはなく、ヒトの角質をエサにします。

そして皮膚の表面をはい回って交尾の相手を見つけ、メスは4~6週間かけて角質層に「疥癬トンネル」と呼ばれる穴を掘りながら、その間に計120個くらいの卵を生みつけます。

3~4日で卵が孵化すると、幼虫は疥癬トンネルから出てきて表皮の上で活動し始め、産卵から約2週間で成熟します。

卵から孵化して成虫まで生き残ることができるのは、全体の10%くらいといわれます。ヒゼンダニは乾燥に弱く、約16℃~約50℃以外の環境ではすぐ死んでしまいます。1世代の寿命もせいぜい1~2ヶ月くらいしかない、ひ弱な虫です。

しかしヒゼンダニが肉眼では見えにくく、疥癬トンネルや毛穴の中に潜んでいることが多いために、ヒトが寄生されてもその場所を特定することが難しいので、ひとたび感染が起こるとそう簡単には駆除することができません。

ヒゼンダニの感染経路

ヒゼンダニの感染経路は、ヒトからヒトのみです。

ヒトに寄生するヒゼンダニは動物には寄生しないので、患者さんがペットの犬や猫にうつしたり、逆にヒトがペットや野生動物からヒゼンダニをうつされて被害を受けるという心配はありません。

動物に寄生するヒゼンダニは、ヒトに寄生するものと種類が違います。

ヒゼンダニの感染経路には以下の2つがあります。

  • 直接感染
  • 間接感染
直接感染
ヒゼンダニに感染している人と直接皮膚を接触した時に感染します。

数時間そばにいただけで感染することはほとんどありませんが、家族間、恋人同士、介護者、ダンスのパートナーなど体を接触する機会の長い人同士では感染が起こりやすくなります。

間接感染
ヒゼンダニが付着した寝具やタオルなどをほかの人が触った時に感染します。

ヒゼンダニはヒトの皮膚から離れると長く生きられませんが、感染者が使ったタオルにヒゼンダニが付着していた場合、そこにほかの人の皮膚に触れることで間接感染を起こしやすくなります。

疥癬には2種類がある

疥癬には「通常疥癬」と「角化型疥癬」の2つの病型がありますが、疥癬のほとんどは通常疥癬です。

通常疥癬 角化型疥癬
ヒゼンダニの寄生数 数十匹以下のことが多い 100万~200万匹
宿主の免疫力 正常 低下している
ヒトへの感染力 弱い 強い
主な症状
  • 丘疹
  • 結節
  • 疥癬トンネルがある
  • 強いかゆみがある
  • 角質増殖
  • 激しいかゆみがある
  • (かゆみのない場合もある)

発症する場所 顔と頭部を除く全身 全身

角化型疥癬は感染力が強いため、介護施設や養護施設でひとたび感染が起こると集団発生しやすく、衛生管理が行き届いている現代でもなかなか予防や駆除の難しいところがとても厄介です。

どちらの疥癬も知らない間に発症し、ゆっくりと症状が表に表れます。疥癬はほかの皮膚病や虫刺されなどとも間違えやすく判別が難しい病気です、家族や施設の利用者に同じ皮膚症状が同時にあらわれたら疥癬を疑わなければなりません。

軽症で治りやすい「通常疥癬」の特徴と対処法について

通常疥癬は比較的症状が軽く、治療しやすい疥癬です。家族間、子供や若い人にみられます。

通常疥癬の症状

通常疥癬は次に挙げる3つの症状が特徴です。

  • 赤い丘疹(虫刺されに似た、直径1㎝以内の少し盛り上がった発疹)
  • 疥癬トンネルがみられる
  • 結節(直径1㎝より大きく節のように盛り上がっている発疹)

ヒゼンダニが寄生すると1~2ヶ月の潜伏期間を経て、虫刺されに赤いブツブツ(丘疹)が体のあちこちにみられ、強いかゆみを伴うようになります。

丘疹と疥癬トンネル

この丘疹は、幼虫や成虫が皮膚に潜った時にできる穴です。ヒゼンダニが脱皮するために皮膚に潜った時、その穴に脱皮殻や糞が残りアレルギー反応を起こして丘疹が生じます。

通常疥癬による丘疹はお腹、胸、脇、腕や太ももの内側、お尻などに好発します。また通常疥癬の約7%には、皮膚の柔らかい脇の下、陰部(男性)に結節がみられます。

丘疹の好発部位と結節の好発部位

メスが産卵するために掘る疥癬トンネルは、うねった線状の皮疹でその先端にメスがもぐる時にできた水疱がみられることが多いです。ヒゼンダニは角質層の堀りやすいところを好むため、疥癬トンネルは手のひらや指の間、足の裏に好発します。

通常疥癬

通常疥癬の原因

たいていは、感染者の皮膚に長時間接触する「直接感染」が原因で発症します。

  • 親子
  • 性関係があるパートナー同士
  • 介護職に従事する人

の感染が多くなっています。

間接感染による通常疥癬はそれほど多くありません。ただし、雑魚寝や寝具の共有からヒゼンダニの感染が広がる場合もあります。

通常疥癬の診断法

通常疥癬にみられる丘疹や結疹はほかの皮膚炎の症状とよく似ているので、見た目だけで疥癬だと判断することはできません。疥癬と診断する決め手になるのは、ヒゼンダニ、卵、脱皮殻、疥癬トンネルの有無です。

疥癬トンネルは通常疥癬のみに見られる症状で、手首や足首から先の皮膚をよく観察すると発見することもできます。

検査では「ダーモスコープ」という皮膚の観察専用の虫眼鏡を使って患部を拡大してヒゼンダニや卵などを探し出します。

また、患部の皮膚の先端を一部採取して水酸化カリウム液で溶かしたものを光学顕微鏡で鏡検し、ヒゼンダニや卵などを検出する方法もとられます。血液生化学検査、免疫学的検査は用いません。検査は数十分で終わるものです。

ヒゼンダニが寄生して間もない時はまだトンネルができていないので、線状の皮疹がない場合は通常疥癬と疑うことが難しくなります。

さらに通常疥癬の場合は、全身に寄生するヒゼンダニの数がたった5匹くらいしかいないため、専門医でもヒゼンダニが発見できる確率は10~60%といわれます。

皮膚の症状や周囲で疥癬の流行がみられるようならば、ヒゼンダニが見つかるまで繰り返し検査を試みる場合もあります。

感染力が強く重症化する「角化型疥癬」の特徴と対処法について

角化型疥癬は重症の疥癬です。1848年にノルウェーで発見され「ノルウェー疥癬」とも呼ばれます。

若い人や健康な人がヒゼンダニに感染した時は通常疥癬、病気療養中の人や高齢者など免疫力の低下した人が感染した時は角化型疥癬を発症する傾向があります。

非常に感染力が強く、感染から4~5日間と通常疥癬よりも短い潜伏期間で発症します。

角化型疥癬の症状

角化型疥癬は次に挙げる症状が特徴です。

  • 角質増殖(かさぶた・角質・鱗屑の重積)が起こる
  • 疥癬トンネルはみられない
  • 激しいかゆみを伴うこともあるが、かゆみの程度は人それぞれ

ヒゼンダニは全身の皮膚に寄生し、爪にも感染して爪疥癬が起こります。特に骨の出っ張った所や摩擦を受けやすい所に角質増殖が起こりやすく、特に手足、ひじ、ひざ、関節、お尻、耳たぶなどで症状が目立ちます。

角質増殖はかさぶたや垢などが重なって厚くなりガサガサするので、その見た目は「牡蠣の殻のよう」だと例えられます。

角化型疥癬の原因

角化型疥癬は、免疫力の低下している人が間接感染によって発症してしまうことが多い病気です。

患部はかさぶたや垢がはがれやすくなっていますが、その中にはヒゼンダニが多数含まれているため、かさぶたや垢が落ちた寝具などから周囲にいる人に容易に感染しやすいのです。

ヒゼンダニに感染して角化型疥癬を発症しやすいのは、次に挙げる人です。

  • 高齢者
  • ステロイドを長期服用していて、免疫力が低下している
  • がんや感染症など著しく体力が低下する疾患にかかっている人

免疫力の低下している人にヒゼンダニがうつると、急激に繁殖してしまいます。ただし免疫力が低下するとヒゼンダニが繁殖する理由ははっきり分かっていません。

角化型疥癬では、ヒゼンダニの数が100万匹以上と、通常疥癬とは比べ物にならないくらい全身を曝露されてしまうため、重症化しほかの人にもうつしやすくなってしまいます。

例えば、角化型疥癬の患者さんが使っている寝具などをほかの人が直に触れただけで容易に間接感染が起こります。そのため全国の高齢者施設では、度々集団発生が起こっています。

角化型疥癬の診断法

健康な人には起こらず免疫力の低下している人に発症し、角質増殖や爪疥癬といった特徴的な症状がみられる場合は、角化型疥癬を疑う必要があります。

角質には多数のヒゼンダニが含まれているため、患部の一部を採取して観察すればヒゼンダニが発見されやすく、通常疥癬よりも確実に診断することができます。

ただし中には体の一部に限定して症状が起こる場合があり、ほかの皮膚病と間違えられることもあります。

たいていは同時に複数の感染者が出るので、周りに同じ症状の人がいないか観察してみることで、疥癬と診断しやすくなります。

角化型疥癬は、夜も眠れないくらい激しいかゆみを伴うことが多い病気です。ただし、症状の出方はひとそれぞれです。

ヒゼンダニがいなくなれば完治!疥癬の治療法は

疥癬のような症状があらわれたら、疥癬に似た別の皮膚病の可能性も考えて膚科を受診し、原因を特定させましょう。

医師の指示に従って適切な治療を受け、寄生しているヒゼンダニをきちんと駆除することが大切です。

疥癬は、症状をしずめること、ヒゼンダニを死滅させることを目的に治療が行われます。

通常疥癬の治療は、外用薬と内服薬の併用です。

薬の種類 剤型 製品名 用途
イベルメクチン 内服薬 ストロメクトール錠 寄生虫の駆除
フェノトリンローション 外用薬 スミスリンローション ダニの殺虫
イオウ剤 外用薬 チアントール軟膏など ダニの繁殖を抑制
クロタミトンクリーム 外用薬 オイラックスクリーム かゆみをしずめる
安息香酸ベンジル 外服薬 / ダニの殺虫
抗ヒスタミン薬 内服薬 / かゆみをしずめる

ヒゼンダニは広範囲の皮膚に潜んでいる可能性があるため、治療中は全身に外用薬をしっかり塗ります。特にヒゼンダニが寄生しやすい指の間、脇、外陰部などは丁寧に薬を塗っておきます。

薬による駆除と清掃などによる感染予防を続け、ヒゼンダニが全滅した時に疥癬が完治したことになります。

定期的に診察し、ヒゼンダニが確認されなくなるまで治療を行います。通常疥癬は1ヶ月以内、角化型疥癬は2ヶ月くらいで終息することが一般的です。

疥癬の患者さん、周囲にいる人が日常生活で気を付けること

疥癬と診断されたら、患者さんは周囲にヒゼンダニをうつさないよう、日常生活に気を配る必要があります。

通常疥癬と角化型疥癬では、角化型疥癬のほうが感染力がかなり強く、それぞれの対処法も変わってきます。

通常疥癬の患者さんが気を付けること

通常疥癬は感染力がそれほど強くない病気ですが、寝起きを共にしている人や体が接近する時間の長い人同士ではどうしても感染しやすいので、患者さんはほかの人にヒゼンダニをうつさないよう注意して過ごす必要があります。

通常の生活を過ごすことができる
基本的に通常疥癬の患者さんは、周囲の人と一緒に通常の生活を送ることができます。同じ部屋で過ごしたり食事をしたりするだけで、空気、唾液などから感染することはありません。
長時間の接触には注意する
患者さんの周囲にいる人は、患者さんに長時間接触しないようにします。患者さんの皮膚に触れた後はしっかり手洗っておきましょう。

患者さんの肌に直接触れる時間が長いと、表皮を歩いているヒゼンダニが触れた人に移ってくる可能性があります。

同じ部屋で寝るのはなるべく避ける
できれば患者さんと家族は別の寝室で寝るのが安心です。

同じベッド・隣同士に並べた布団で寝ると、ヒゼンダニの間接感染を起こすことがあります。

タオルは共用しない
タオルなど患者さんの皮膚に触れた物をほかの人が共用してはいけません。患部をこすった時にヒゼンダニが移っている可能性があります。
衣類はこまめに取り換える
患者さんの肌着やパジャマは毎日清潔なものに取り換えます。
毎日の入浴で体を清潔に保つ
毎日入浴して全身をよく洗い、皮膚を清潔に保ちます。石鹸を使って、ヒゼンダニが潜んでいることの多い脇、指の間、外陰部などすみずみまで丁寧に洗います。
殺虫剤を使う必要はない
角化型疥癬は殺虫剤を使ってヒゼンダニを駆除する必要がありますが、通常疥癬では殺虫剤を使う必要はありません。
規則正しい生活を心がける
免疫力が低下すると通常疥癬から角化型疥癬に移行してしまう可能性があります。

高齢者、病気療養中の人は免疫力が低下しやすいので、規則正しい生活を心がけて免疫力の低下を防ぎましょう。

通常疥癬は比較的うつりにくい病気です。患者さんは気持ちがデリケートになっていますから、周囲の人は患者さんに過剰な対応をしないよう注意してくださいね。

角化型疥癬の患者さんと周囲の人が気を付けること

角化型疥癬は、通常疥癬と違って非常に間接感染が起こりやすいため、患者さんと周りの人は感染に注意する必要があります。

角化型疥癬のほとんどは、介護や看護が必要な高齢者や療養中の人です。患者さんのケアをする人が徹底して感染予防に努めましょう。

発症者が出たことを周囲に知らせ注意喚起する
施設などで角化型疥癬の発症者が見つかったら直ちに周知し、スタッフ一同で感染予防を始める必要があります。

患者さんと気付かずに周りの人が通常通りに接しているとアウトブレイク(短期間で起こる集団感染)が発生してしまいます。

個室に隔離する
患者さんはほかの人との接触を避けて過ごします。1~2週間程度は個室に隔離する形で管理する必要があります。
ケアする人は手袋・予防着を着用する
患者さんのケアをする人は、素手で患者さんに触れてはいけません。必ず、使い捨て手袋と長袖ガウンなどの予防衣を着用してから患者さんの個室に入室します。

床にもヒゼンダニや患者さんの皮膚が落ちているので、履き物の裏に付着して室外に持ち出さないよう、入室専用のスリッパに履き替えます。

患者さんに触れた衣類・寝具等からの間接感染を予防する
患者さんが使う衣類・寝具・タオルなどは、間接感染を予防するため毎日清潔なものに交換し、使用済みのものはビニール袋に入れて個別に扱うようにします。

ヒゼンダニと患者さんの落屑(はがれ落ちた皮膚)が付着しているので、間接感染の原因となります。落屑にはヒゼンダニが多数含まれています。

洗濯物は高温でヒゼンダニを死滅させる
ヒゼンダニは乾燥に弱く50℃以上で死滅するので、患者さんの洗濯物は個別に洗った後、50℃以上のお湯に10分間漬けたり乾燥機で20~30分乾燥させたりします。
入浴はほかの人の後で
毎日の入浴で全身を石鹸で丁寧に洗い、清潔に保つ必要があります。ブラシを使って垢やかさぶたをこすり落とすのが効果的です。

間接感染を予防するため、患者さんはほかの人とは個別に入浴し、入浴の順番も最後にします。また患者さんの入浴後は、はがれた落屑をしっかり清掃して置く必要があります。

部屋、寝具は徹底的に清掃を
ケアする人は患者さんの部屋を徹底的に清掃します。ケアをした後に部屋の床、ベッドマットに掃除機を丁寧にかけ、粘着シートでヒゼンダニや落屑をしっかり回収しておきます。
殺虫剤を使う
患者さんのケアをする前後には部屋にピレスロイド系の殺虫剤を噴霧します。その後に掃除機をかけるとヒゼンダニの駆除効果が高まります。
患者さんの周りにいる人も検査と予防薬を
角化型疥癬の患者さんが1人見つかれば、その周辺にも感染している人が潜在している可能性が高くなります。

家族、施設内にいる人、患者さんのケアにあたっている人も皮膚科で検査を受け、予防薬を使って感染の拡大を阻止する必要があります。

集団生活をしている人は「うつし合い」による再発やこじれに注意が必要ですね。

疥癬の見逃しに注意!症状が紛らわしい皮膚病とは

疥癬は少しでも早く治療を始めたい病気ですが、症状がほかの皮膚病と似ていて発見が遅れがちです。

疥癬と症状の似ている皮膚病にはどのような病気があるのかチェックしておきましょう。

疥癬と似ている症状:虫刺され

通常疥癬の赤いブツブツは、蚊、ノミ、ヒゼンダニ以外のダニによる虫刺されの症状にも似ています。疥癬という病気の存在を知らない人は虫刺されと思って市販の塗り薬で対処するかもしれません。

初期症状でヒゼンダニと通常の虫刺されを判別することは難しいのですが、蚊は肌が露出している部分、ノミは脚に刺されることが多く、ヒゼンダニ以外のダニは疥癬トンネルを作らないので、よく観察すると通常の虫刺されではないことに気付くこともできます。

疥癬と似ている皮膚病:乾皮症(皮脂欠乏性湿疹)

角化型疥癬のガサガサした皮膚は、悪化した乾皮症(皮脂欠乏性湿疹)の症状に似ています。

乾皮症は、水分と皮脂が欠乏した角質層が乾燥して荒れ、バリア機能の低下から刺激に敏感になり皮膚の炎症を伴うようになる皮膚病です。

原因は空気の乾燥、体の洗い過ぎ、熱いお湯での入浴などです。特に多いのは、高齢者の「老人性乾皮症」です。加齢によって皮膚の皮脂と水分が不足するために起こりやすくなります。

皮膚が乾燥すると表面に白い粉をふいてかゆみを伴い、悪化するとひび割れやかさぶたが目立ちガサガサするので、角化型疥癬の症状とよく似た感じになります。

角化型疥癬との違いは、全身ではなく腕、足、お腹など皮膚が乾燥しやすい部分に限定して起こるところです。

乾皮症は、薬で炎症をしずめ保湿して肌のバリア機能を正常に導くことで治りますが、角化型疥癬はヒゼンダニの駆除をしない限り症状が消えることがありません。

疥癬と似ている皮膚病:爪白癬

爪疥癬は、爪の皮膚病「爪白癬」の症状と似ています。爪白癬は10人に1人の割合、60代以上では全体の4割にみられる比較的ありふれた病気です。

爪白癬は水虫の原因となる白癬菌(皮膚糸状菌)が爪に感染して起こり、爪が黄白色に濁って、進行するとボロボロに崩れてしまいます。

指にかゆみのない部分的な角化型疥癬が起こると爪白癬と間違えてしまいがちです。爪白癬は抗真菌薬、疥癬はダニの駆虫薬を使った治療が必要なので、爪がボロボロになる症状があらわれたら皮膚科を受診して判別してもらいましょう。

不審な皮膚症状に気付いたら自己判断に任せず、早めに皮膚科で原因を判別してもらうことが一番です。

いくら清潔にしていても流行が終息しない厄介な疥癬

疥癬は、いくら衛生管理を徹底しても感染してしまう厄介な病気でもあります。

かつては30年おきに流行が起こるといわれ、1945年、1975年に爆発的な流行が起こりました。ところが2000年代に入ってからは流行が終わることなく、全国各地の施設で角化型疥癬の集団発生が続いています。

角化型疥癬の流行が終わらない理由には高齢化が関係しているようです。高齢者施設に入居する人口が増加しているため、高齢者の集団発生が増えています。

疥癬はかゆみによる苦痛が大きく、ケアする人の負担も大きくなってしまう病気です。

疥癬を早く治して流行の拡大を防ぐためにも、高齢者のいる家庭、高齢者のケアに従事するスタッフはもちろん、感染する可能性のある若い人も、疥癬について正しい知識を身につけておくことが大切だといえるでしょう。

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