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うつや自殺には食べ物も関係?9万人の食事調査で分かったこと

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国立がん研究センターがん予防・検診研究センターは、国内においてがん征圧の中核拠点となる機関です。

その中に、生活習慣や食生活と病気の関係を研究している「予防研究グループ」があり、プロジェクトのひとつとして「多目的コホート研究(JPHC研究)」が行われています。

グループの大規模な調査により、普段の食生活がこころの健康になんらかの影響を与え、食事内容によっては自殺やうつ病を防ぐ効果のあることを証明しました。

これは興味深い報告ですよね!この調査結果をもとに、私達がこころの健康を保つにはどのような食品を食べるのが効果的か、まとめてみました。

8.6年かけて9万人を食事調査し分かったこと

予防研究グループは多目的コホート研究のひとつとして、全国の約9万人の40~69歳の男女を対象に約8.6年かけて食事パターンと自殺の関連について調査し、次のような結果を発表しています。

今回の研究では、男女ともに、野菜や果物、いも類、大豆製品、きのこ類、海そう類、脂の多い魚、緑茶などが関連した健康型食事パターンにより自殺のリスクが低下するという結果が得られました。

「健康型食事パターン」というのは、調査対象者がとった食事パターンを次の3つに分けたうちのひとつです。

【3つの食事パターン】
健康型…野菜や果物、いも類、大豆製品、きのこ類、海そう類、脂の多い魚、緑茶など
欧米型…肉類・加工肉、パン、コーヒー、清涼飲料水、マヨネーズ、乳製品、魚介類
伝統型…ご飯、みそ汁、漬け物、魚介類、果物など

期間中に自殺した人達とそうでない人達の食事パターンを調査したところ、自殺のリスクが低いのは、「健康型食事パターンを取っている」かつ「精神的ストレスが低い」人達ということが分かっています。

自殺の原因はさまざまなのですが、研究結果からは少なくとも食生活が精神的ストレスや自殺のリスクに影響していることが推測できるのです。

もう少し詳しく知りたい方には、多目的コホート研究の調査報告を参考にされることもおすすめします。

健康型食事パターンが自殺を防ぐ理由は?

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ところで、健康型食事パターンが自殺のリスクを低下させているのはなぜでしょう。

これは健康型食事パターンの特徴である「豊富なビタミン」が関係していると考えられています。野菜や果物、大豆製品、きのこ類などはビタミンが豊富な食品です。

また自殺の原因になりやすいのが、現代人に増えている「うつ病」でもあります。精神的なストレスからうつ病にかかり、重度のうつ病に進行して自殺に走ってしまうケースも少なくありません。

しかし健康型の食事には、精神的ストレスを緩和させたりうつ病の進行を防いだりする特有のビタミンが十分に含まれているため、この食事パターンを取っている人達には自然とうつ病や自殺が起こりにくくなっているのです。そのビタミンは

  • カロテン
  • ビタミンC
  • ビタミンE
  • 葉酸

です。ちなみにほかの食事パターンはどうでしょうか?

欧米型の食事は野菜や果物が不足し、ビタミンCや葉酸が十分に摂取できません。伝統型の食事は、欧米型の食事に比べるとかなり栄養バランスも良いのですが、健康型の食事よりは野菜の量が少なくなっています。

たかが食事といえども毎日の積み重ねとなると、摂取している栄養素の種類や量がその人の健康に影響を与えていくわけですね。

ビタミンがどのようにこころの健康を保っているの?

ではこれらのビタミンは、どのようにこころに作用してうつ病や自殺を防いでいるのでしょう。

カロテン・ビタミンC・ビタミンE

カロテン・ビタミンC・ビタミンEは、高い抗酸化作用を持っているのが特徴です。これら抗酸化物質は、体に有害な活性酸素を除去し細胞の酸化を防ぐはたらきがあります。

過去の研究から、活性酸素による酸化のストレスがうつ症状を引き起こすことや、実際に抗酸化物質をあまり摂取しない人にうつ病が起こりやすいことが分かっています。

どちらかというと抗酸化物質は、がんや生活習慣病の予防、アンチエイジングに効果があることで知られてきましたが、実はこころの健康維持にも効果のある栄養素だったのです。

葉酸

ほうれん草の葉から発見された葉酸は、葉に豊富に含まれることからその名がつきましたが、これもビタミンの一種でかつてはビタミンB9とも呼ばれていた栄養素です。

葉酸には主に、成長に関与する酵素のはたらきを助けたり、赤血球を作って貧血を予防したりする役割があるほか、神経のはたらきを正常に保って精神を安定させる効果もあります。

また、葉酸の摂取が十分だと脳内でうつ症状を引き起すモノアミンの増加を防ぐことができるとも考えられています。

実際に葉酸の摂取量の多い人にうつ病の人が少ないことも分かっており、ビタミン類の中でもうつ病との関連が高いとして注目されつつある栄養素です。

…つまり、日頃からこころの健康を保つ栄養素を十分に摂取しておけば、精神的なストレスを受けたとしても冷静でいられたり自然と回避できたりするため、病的な抑うつには陥りにくいのですね。

これらのビタミンが効率良く摂取できる食品はこちら!

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さて、植物性の食品を中心とした健康型の食事パターンを継続していれば、自然にビタミン類をバランス良く摂取することはできるわけですが、できれば合理的にたぷりと摂取したいですよね?

そこで、これらの栄養素が高濃度に含まれ、かつ通常の食事から摂取しやすい食品をピックアップしてみました。

日頃からストレスの多い方、忙しい方、気分が落ち込みがちな方は意識して、毎日の食事にこれらの食品を盛り込んでいってください。

カロテンが摂取しやすい食品

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カロテンの1日当たりの摂取推奨量は定められていません。カロテンはビタミンAの作用を持つ栄養素です。その中でもβカロテンの摂取をおすすめいたします。

摂取したβカロテンは体内で必要な量だけがビタミンAに変換されるので、食べ過ぎても怖い過剰症を引き起こすことがありません。

    【おすすめの食品】

  • かぼちゃ(煮物3切れ相当130g)…5200μg
  • モロヘイヤ(おひたし1食相当50g)…5000μg
  • 小松菜(炒め物1食相当100g)…3100μg
  • ほうれんそう(おひたし1食相当50g)…2700μg

調理に使いまわししやすく、いつでもお店に売っている、という点では、にんじんもおすすめ。ただし1/3本で260μgと、上記の野菜には勝てません。

ちなみにカロテンは油と一緒に食べると体に吸収されやすいので、ドレッシングをかけたり油で炒めたりする食べ方も良いでしょう。

ビタミンCが摂取しやすい食品

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ビタミンCの1日の摂取推奨量は成人で100mgです。常に消耗されやすい上、まとめ摂りが効かず不足しがちな栄養素で、特にストレスの多い人、喫煙する人、妊婦・授乳婦はビタミンCが多く必要となります。

食事から大量に摂取しても体外に排出されるため、過剰症の心配はありません。ビタミンCにはストレスへの抵抗力を高める作用もあるので、こころの健康を保ちたい人は意識してどんどん摂取していきましょう。

    【おすすめの食品】

  • パプリカ(赤ピーマン1/2個)…120mg
  • パプリカ(黄ピーマン1/2個)…105mg
  • キウイフルーツ(1個)…54mg
  • いちご(5個)…45mg
  • ピーマン(1個)…40mg
  • レモン(1個分の果汁)…12mg

上記の食品以外では、ブロッコリーやモロヘイヤ、皮ごと食べるレモンもビタミンCが多くなっていますが、加熱すると損失されやすくレモンのビタミンCは食べづらい果皮に多いことからも、生でも食べやすい上記の食品をおすすめします。

ビタミンE

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ビタミンEの1日当たりの摂取推奨量は、成人の男性で6.5mg、女性で6.0mgとなっています。自律神経の調子を整え心身をすこやかに保つ作用もあるので、十分に摂取しておきたい栄養素です。

通常の食事で過剰摂取になることは少なく、ビタミンCと一緒に摂取するとさらに抗酸化作用が高まります。

    【おすすめの食品】

  • かぼちゃ(煮物3切れ相当130g)…6mg
  • アーモンド(10粒)…3.5mg
  • たらこ(1/2腹)…3mg
  • パプリカ(赤ピーマン1/2個)…2.7mg
  • いか(1/2杯)…2.7mg

このほか、紹介したカロテンの多いほうれん草・モロヘイヤ、ビタミンCの多いキウイフルーツも、ビタミンEが比較的多くなっています。

葉酸が摂取しやすい食品

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葉酸の1日の摂取目安量は成人で240μg、妊婦は480μgとなっています。葉酸は腸内でも生成されるので通常の食生活をとっていれば大きく不足することがありません。

ただし、喫煙や飲酒をしている人・ダイエット中の人・ストレスの多い人は葉酸を消耗しやすく不足が起こりやすいので、心身の健康を維持するためにしっかり摂取することをおすすめします。

ちなみに葉酸は、妊娠初期に不足すると胎児の成長に障害が起こることで有名となり、サプリメントを積極的に利用する女性も増えました。

しかし葉酸はサプリメントの過剰摂取による障害も起こりやすいため、食事から摂取し続けるのが理想です。

    【おすすめの食品】

  • 鶏レバー(1個40g)…520μg
  • サラダほうれんそう(1/2袋)…105μg
  • キャベツ(せん切りでサラダボウル大盛り1杯相当100g)…78μg
  • アボカド(1/2個)…50μg
  • 納豆(パック1個40g)…48μg

だんとつに含有量が多いのは鶏レバーです。このほか、葉酸は枝豆や葉もの野菜に多く含まれています。

ただし、葉酸は水にさらしたり加熱すると損失されやすいため、生食できる野菜や果物の利用がおすすめです。また、ビタミンCと一緒に摂取すると吸収率が高まります。ビタミンCの多いモロヘイヤやイチゴも葉酸が特に多い食品です。

…また、今回取り上げた食品には出てこなかったいも類・きのこ類・海藻類も、さまざまなビタミンやミネラルが含まれています。

ビタミンやミネラルはほかの栄養素と助け合って作用するため、こころの健康に直接作用しない栄養素も必要です。

こころの健康を保ちたい方は上記の栄養素をしっかりと、またそれだけにこだわらず、栄養バランスの良い健康型の食事を続けるようにしましょう。

健康型食事パターンは科学的に証明された効果的な食事

もちろん食品に薬のような強い作用はないので、健康型の食事を食べたからといってすぐに精神状態が良くなるというものではありません。

しかし、食事から摂取する栄養素が精神状態に良い作用をもたらすことは、9万人を対象に行った大規模な食事調査から科学的に証明されていることです。

ストレス社会の中でしなやかに生きていくために、多くの方に健康型食事パターンを実践していただきたいと思っております。

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