健康生活TOP うつ病 職場でのうつ病を予防する上司と部下が心掛けるお互いへの接し方

職場でのうつ病を予防する上司と部下が心掛けるお互いへの接し方

shutterstock_1490027092

働く人の20人に1人は会社や職場で、うつ病を発症しているか精神的な問題で休職を余儀なくされています。そして、うつ病の予備群も含めると、働く人の7割は何らかの精神的な問題を抱えながら仕事をしているという現状があります。

職場でのうつ病は、誰がいつなってもおかしくはない問題です。また、職場のうつ病は社員の健康だけでなく、会社の業績にも影響を及ぼすものです。職場でのうつ病をどのように予防すれば良いのでしょう?

職場で考えられるうつ病の原因…最も大きな要因は人間関係

厚生労働省が5年ごとに行なっている「労働者健康状況調査」によると、職場におけるストレスの最も大きな要因は人間関係だとしてます。職場内での人間関係が大きなストレスとなり、うつ病などの重い病気につながっているのです。

職場で起こるうつ病には次のような原因があります。

  • 職場内での人間関係
  • 長時間労働
  • 仕事量が多すぎること
  • 職場への拘束感
  • 神経を使う仕事が多いこと
  • 職場環境が悪いこと

人間関係によるストレスに加えて、こうしたストレスが重なることで、うつ病を発症するリスクがさらに大きくなっていくと考えられます。

うつ症状が悪化したり長期化したりすれば、最悪の場合、自殺にまで追い詰めてしまうことも考えられます。職場うつは、人の命に関わる重大な問題なのです。

なぜ職場でうつ病の社員を出してはいけないのか?

社員がうつになり長期間休職するようになると、うつ病になった本人だけでなく、会社組織としての様々なデメリットが生じます。

まず、仕事ができなくなった人の直接的な戦力の喪失が起こります。うつの社員が行なっていた分の仕事を他の人が変わって行なわなければならず、他の人への負担が生じます。これはチームや組織としてのモチベーションが下がることにつながります。

さらに、もし、うつ病になった本人が会社や上司を訴えるようなことになれば、職場のムードは一層悪くなり、会社としてのイメージも低下することになります。

まして、うつ病の社員が自殺でもしてしまうようなことがあれば、取引先からの信用が失墜し、社会一般からの厳しい制裁が加わることも考えられ、会社の存続すら危うくなる可能性も否定できません。

会社にとって社員がうつ病になるようなことは、会社にとっては悪い影響こそあれ、何のメリットもないのです。ですから、職場でのうつ病を防ぐことは、会社のリスク管理から考えても重要な課題ということができます。

職場でのうつ病を早期発見するためには?自分や他者を見極める

shutterstock_2298304392

会社は組織として動くことで生産性をあげています。組織の目的は、社員全員がハッピーになることにあります。組織の一員として自分自身の健康管理に責任を持つことは組織人としても社会人としても当然のことです。

しかし、うつ病は他の病気とは異なり、自分自身でも他人が見ても分かりにくい性質があります。そこで、他の病気とは別に心の病気に対する「メンタルマネージ」が必要になります。

メンタルマネージは、自分自身でも身につける必要があるものですが、特に上司や組織の管理者はチーム全体を正常に機能させる責任があるため、率先して身につけなければいけないスキルです。

そして、メンタルマネージは、うつ病のような病気が起こってから対処することよりも、病気を未然に防ぐという意味合いのほうが重要です。メンタルマネージに必要な要素とは、どのようなものか見ていくことにしましょう。

自分がうつ病でないか判断することが大事

うつ病は重症になるまで、他人が見てもなかなか気づきません。単なる気持ちの問題なのか、病気なのかの線引きが微妙なこともあります。そこで、まず基本となるのは自己管理です。

自分で自分の体調や心の状態を知り、積極的に予防に努める必要があります。次のような症状は軽度のうつ病で多く発症する状態ですから、体の調子が思わしくないときはもちろんのこと、日頃からチェックするようにしましょう。

  • 気分がひどく落ち込み、憂うつな状態が続いている。
  • 夜眠れなくなった、早朝に目が覚める。
  • 何をするにも億劫で、意欲が沸かない。
  • 集中力がなくなり、頭がボーッとしている。
  • 何もしなくても体がだるく感じたり、疲れた状態が続く。
  • 生きるのがつらく、いっそ死んでしまいたいと考えることがある。

こうした症状が2週間程度続く場合は、うつ病の可能性が高いと考えられます。また、症状が軽度であったり、断続的に起こる場合でも、うつ病の予備軍と考えられます。

大事なことは、うつ症状を単なる気のせいだと考えたり、すぐに治ると楽観しないことです。うつ病だと分かったらクビにされるのでは、という心配も要りません。健康な状態で働くということが本人にも組織にも一番大切なことなのです。

上司が注意すべき社員のうつ病サイン

自分がうつ病だと自分から言う人はほとんどいません。特に責任感が強く真面目な性格の人ほど、本当は辛いことを隠して振舞おうとするものです。

自分がうつ病であることに自覚ができない「仮面うつ」や、うつ病であることを隠して働こうとする「二重うつ」の社員も多いのです。

こうした、一見分かりにくいうつ病の社員を、上司が見つけてあげることも、社員の精神状態を把握する上役の大事な仕事です。そのためには、次のような、うつ病につながるSOSサインを見逃さないようにすることが大切です。

  • うつろな表情でぼんやりしているように見えることがある。
  • 質問されても言葉が浮かばずに黙り込むことがある。
  • 不必要に自分を責めて苦しんでいることがある。
  • 不眠を訴えることがある。
  • 思考や行動に一貫性がないことがある。
  • 業務外の食事会などへの関心が薄くなり、参加しなくなる。

上司やマネージャーは、こうした感情、思考、身体症状などから現れるうつ病のサインにできるだけ早く気づいてあげることが大切です。それは、社員の助けとなるだけでなく、組織そのものを守ることにもつながります。

うつ病が起こりやすい時期

ところで、うつ病が起こりやすい時期というものはあるのでしょうか?

最もうつ病が起こりやすいと考えられるのは、4月~5月、そして9月~10月です。

この時期は、季節の変わり目となるので気候の変化によって起こる「季節性うつ病」と、人事異動が行なわれることが多いので、「働く環境が変わりやすい」という2つの要因が重なりやすく、統計上、会社員が最もうつ病を発症する時期と言えます。

その他にも、ゴールデンウイークやお盆、正月、会社によってはリフレッシュ休暇など、長い休みから明けたタイミングで、うつ病が発症しやすいと言われています。これは、長い休暇で生活のリズムを崩しやすいことが関係してます。

こうした意味で考えても、いわゆる5月病と言われる不調は、気候、環境、連休などうつ病につながる要因が重なりやすいことからも、特に気をつけなければいけない時期だと言えます。

職場でのうつ病を予防する上司と部下のコミュニケーション

shutterstock_2988807562

職場でのうつ病で最も大きな要因となるのは、上司と部下の人間関係です。ただし、どちらが悪いということではなく、それぞれの立場や役割を尊重し、互いに円滑なコミュニケーションがとれるよう、協力し合わなければいけません。

言葉は大きな力を持つ

上司の何気ない一言で全くやる気がなくなることもあれば、同じく、何気ない一言によって励まさたり、急にやる気が沸いてきたりすることがあると思います。組織内で交わされる言葉には人を良くも悪くもする大きな力があるのです。

部下をうつ病にさせる上司の悪い言動

まず、上司や管理職にありがちな悪い言動については、最も気をつけなければいけません。会社内での人間関係の問題とは、社員とその直属の上司の問題だといえます。

上司にありがちな悪い言動を大きく分けると、次の4つに分類できます。

  • 「断定」すること
  • 「威圧」すること
  • 「否定」すること
  • 「命令」すること

どれも日常の職務を遂行する上で、当たり前に、行なわなければいけないことばかりです。しかし、こうした言動の裏には、相手の人間性をも否定するようなNGな態度が現れやすいのです。1つ1つ検証していきましょう。

【 断定 】

まず「断定」することについて。「○○は△△だ」という言葉は、一見するとリーダーシップがあるように思われるかもしれませんが、断定の裏には次のようなメッセージが含まれていることが多いのです。

  • 「上司である自分は優秀なのだから、私の言うことに従っていれば良い。」
  • 「上司は会社から認められた人間だから、君たちより偉いのだ。」
  • 「君たちは俺の部下なのだからリーダーである俺の方針に反対するな。」

このように「断定」とは単なる思い上がりに過ぎません。組織で働く管理職には、自分の言葉には、こうした裏メッセージが含まれているとは気づきもしないかもしれませんが、実際に社員にはそのように聞こえることも多々あるのです。

【 威圧 】

次に「威圧」について。最近は社内のコンプライアンスが徹底されすぎるためか、「バカヤロー」とか「コノヤロー」というような、高度経済成長時代なら社内で当たり前に聞かれていた言葉も消滅しつつあります。

そこまで言わなくても「~しなさい」「~すべきである」という「must」の意味になる表現を使う時には、威圧の意味が込められてしまう恐れがあるということです。「~できるよね」と笑顔でソフトな表現を使ったとしても威圧に変わりありません。

職務上、厳しい言葉でプレッシャーをかけなければいけない場面もあると思います。しかしながら、根本的には、威圧することは「強制」であり、場合によっては「強迫」という意味で捉えられることもあると認識することが必要です。

【 否定 】

次に否定について考えます。「否定」は社員をうつに陥れる最も問題のある言動につながることが多いので特に注意が必要です。それは、否定の表現は、社員個人を人間として否定しかねない性質を含むからです。

例えば・・・

  • 「だから君はダメなんだ」
  • 「君の言うことには全く賛成できない」
  • 「君の意見は、いつも見当はずれも甚だしい」

こうしたストレートな表現ではなくても、「彼(彼女)の意見に賛成の人?反対の人?」などと場にいる人に強制力のある賛同を求めることも否定することに変わりはありません。

否定の表現を使う時は、「コト」は否定しても良いのですが、それが「人」を否定することにつながってはいけません。

また、発言や行動の全てを否定するのではなく、「部分的な否定」になるように言葉を選ぶテクニックも必要です。

上司や管理職は、部下や社員を評価しなければいけない職務であることも十分に理解できるのですが、決して人間性まで否定してはいけません。というより、否定できるものではありませんね。

【 命令 】

命令の表現には、力が伴います。力とは職権、権限という絶対的な力です。組織の一員である以上、命令という権力に逆らうことはできません。

もし命令が遂行できなかったり、逆らったりすれば、組織としても懲罰を与えることが必要となるため、命令を受ける人は、自ずと恐怖感を抱かざるを得ないのです。他の言動にまして、人の心を追い詰めてしまう性質を持っています。

恐怖感とまでいかなくても、少なくとも「義務感」は伴います。たとえ命令に納得できなくても、「しなければいけない」というマイナス思考での行動になりやすいのです。

あるいは、「言われたことだけしていれば良い」という「指示待ち人間」を作ることにもつながるので、組織としてもマイナスの影響が返ってくるリスクもあります。

上司や管理職の立場を考えれば、場合によっては、強い言動で接しなければいけないことがあるのも事実です。その時に大切なことは、言葉の使い方においても「使用上の注意」があることを忘れてはいけないということです。

社員に厳しい言葉で接する時の「使用上の注意」とは?

言葉に「使用上の注意」があるとは、医薬品みたいだね。と思われるかもしれませんが、まさに言葉は使い方によって、毒にも薬になる表裏一体の性質があります。

これまであげた「断定」「威圧」「否定」「命令」という言動は、使い方を間違えれば、社員をうつ病に陥らせたり、使い物にならない「消極的な社員」にしてしまったりする危険性をはらんでいます。

しかし一方で、業務上、厳しく接しなければいけない、上司や管理職としての立ち振る舞いが必要なことも理解できます。この2つの大きな問題を両方一度に解決する方法は、厳しい言葉を使う時に心掛けるべき「使用上の注意」です。

使用上の注意とは、「ホスピタリティ」を持った上で言葉を使うということです。

【 ホスピタリティとは・・ 】

  • 「いたわる心」
  • 「ねぎらいう心」
  • 「大きな心」 

の3つの心の持ち方のことを言います。どんなに厳しい言動で、部下や社員に接する必要がある場合でも、この3つの心、すなわちホスピタリティーを持って接するようにすれば、少なくとも社員をうつ病にさせてしまうような事態は防げるでしょう。

「大きな心」はフランス語でノブレス・オブリージュ(Noblesse Oblige)のことで、「高貴な人が備えるべき崇高な気使いの心」や「位の高い人が持つべき常識や寛容さ」というような意味です。位だけ高くて言動が粗末な人も多いものです。

そして、もう少し具体的に言えば、次のようなことがホスピタリティを持った言動と言えます。

  • 相手の様々な事情を考慮して、それに配慮する。
  • 相手に注意を向け、言動や精神状態に気を配る。
  • 相手のことを大切に思い、思うだけでなく実際に大切にする。
  • どんな時でも丁寧な態度で接する。
  • できるだけ、こちらから相手に出向いていき、話し合う機会を作る。
  • 小さなミスや間違いをさらりと捨て、大切な点だけは見逃さない。

こうした言動は、すべて「心」がこもっていなければできないことだと思います。言葉の「使用上の注意」とは、こうした相手の心に配慮したり労わったりすることを忘れずに、言葉を使うということです。

また、人間は感情の動物であることも忘れてはいけません。「切って捨てる」ようなものの言い方をする人がいますが、たとえ言われる内容が正しくて、ものの言い方が悪い印象を与えてしまうがために、人間関係をこじらせることもあります。

昔からよく言われますが、連合艦隊司令長官の山本五十六の言葉にあるように「やってみて 言って聞かせて させてみて 褒めてやらねば人は動かじ」という「率先垂範」の行動が伴わなければ、口先で何を言っても相手にされないのかもしれません。

部下が自分自身でうつ病にならないための話の受けかた

shutterstock_1348286332

いくら上司が気を使っているつもりでも、部下や社員には、その気持ちが上手く伝わらないこともあるでしょう。そんな時には、社員も自分自身で防衛策をとらなければいけない必要も生じます。

自分がうつ病になることを回避するには、つぎのようなテクニックがあります。

  • 聞き流す
  • 笑ってあしらう
  • 聞こえなかったふりをする
  • 取り合わない
  • 同情する

病気になってまで働く必要はない

管理職であっても社員であっても、自分が病気になってまで働く必要はないのではないでしょうか?

私が以前勤めていた会社で、同じ部署の先輩の社員が、ある日突然、自殺してしんでしまった事件がありました。何の前触れもありませんでしたし、その人の異変などにも、残念ながら、全く気がつきませんでした。

その人は、どちらかといえば、物腰が柔らかく、いつも明るく元気な人だという印象がありました。

家族もおられ、まだ幼稚園くらいの小さな子供が2人いて、葬儀場で自分の父が死んだことすら、まだ理解していない様子だったことが、今でも目に焼きついています。

その後、その人は人事異動で研究職から営業職に回されていたことを知り、職種が変わったことで、環境の変化や何かしらの大きな悩みがあったのではないかと考えさせられました。

すぐ近くにいた自分が全く無力だったことも、いまだに反省しきれていません。こうした例が、他にもいくらでもあるのだと考えています。

会社は時として非情にならざるを得ないこともあります。

それぞれの立場で、自分が活き活きと働ける職場環境を作ることは、結局のところ、一人ひとりの努力の積み重ねだと思いますが、一定の我慢を超えたのなら、しばらく休みを取るなり、休職するという選択肢を持つ勇気も必要だと実感しています。

体裁が悪いという気持ちも大いに沸いてくるでしょうが、そんなことは、健康や命に比べれば、別にたいしたことではありません。命さえあれば、どうにでも生きていくことはできますし、幸福を感じる方法はいくらでもあるはずです。

組織の最終目標は、みんながハッピーになることです。

まずは、自分自身の心の健康状態を客観的に振り返る。そして、組織で働く全員が仲間を、ねぎらい、いたわり、大きな心を持って接することができているか、互いに考えてみることも必要ではないでしょうか?

キャラクター紹介
ページ上部に戻る