健康生活TOP うつ病 高齢者のうつ病予防に手紙が効果的。文通を趣味にする効果とは

高齢者のうつ病予防に手紙が効果的。文通を趣味にする効果とは

手紙を書く高齢の女性の手

日本では核家族化が進行し、高齢者の社会的孤立が問題視されています。社会から孤立することは、心身にさまざまな悪影響をおよぼします。

孤立を防ぎ、社会性のある生活をおくる手段としてお勧めなのは、手紙を書くことです。

文明が発達した昨今では、手紙を書く機会は少なくなっているかもしれません。ですが、手紙ならではの利点を知れば、きっとあなたも筆をとりたくなるはずです。

心身を健やかに保つには、他人との交流を持つことが重要

まずは、社会から孤立しないことの重要性を知りましょう。

高齢者は「出かけるのが面倒」「ひとと関わるのは億劫」などという理由で、自宅に閉じこもってしまいがちです。「仕事や生活に必要なことなら交流もするけれど、必要ではないのにあえて他人と関わるのは面倒」という方も多いですね。

いままで頑張って生きてきた方々ですから、好きなように過ごさせてあげたいですが、こういった社会からの孤立は、高齢者にとっては大きなリスクとなります。

社会的孤立が招くリスクとは?

社会的な関わりを持たなくなることが、どういったリスクを内包しているのかを、具体的な例をあげてみてみましょう。

うつ病の発症リスクが大きくなる
「自分で自分のことができるうちは、自分ひとりで好きなように過ごしていても問題はない」と思うかもしれません。ですが、そこにはさまざまなリスクが潜んでいます。

ひとりでいると、自分自身の気持ちを誰かに向けて発信する機会がなく、自分のなかに溜め込んでしまうことになります。また、喜怒哀楽を感じる機会もすくなくなり、感情が動かなくなりがちです。

社会から孤立していると、自分の存在意義や役割を見失い、生きている意味を感じにくくなってしまいます。人と関わるなかで自分の役割を見つけ、想いを交わすことが、人間の生活には大切な要素なのです。

認知症が進行しやすくなる
閉じこもった生活をしていると、認知症も発症しやすくなります。うつ病の症状には認知症と似たものも多く、また、うつ病がきっかけで認知症を発症することもあります。

交流が少なくなると、活動も減ります。いつもと同じ行動を惰性で行うことが多くなり、脳や体への刺激がとても少なくなってしまうのです。

また、社会から孤立した生活をしていると、認知症発症の兆しがあっても誰にも気づかれないこともあります。社会からの孤立は、認知症の誘発にもつながるのです。

体の機能が低下する
閉じこもった生活をしていると、活動する機会も減少します。出かける機会が減り、体を動かすことが少なくなってしまうと、自覚のないうちに体力や持久力が低下していきます。

また、ひととの交流がすくなくなると、会話をすることも減っていきます。会話する機会が少なくなると、舌や口を動かしたりする口の機能も低下も低下しやすくなっていくのです。

このなかでも、うつ病には特に注意が必要です。

うつ病では、認知症に似た症状を発症したり、ひととの関わりが厭わしくなって閉じこもり傾向に拍車をかけてしまったりします。生活のさまざまな場面への影響が大きい疾患です。

うつ病のセルフチェックをしてみよう

うつ病の状態とは、自分では気づきにくいものです。「いつも気持ちが落ち込んでいる」「なにもやる気になれない」などという時があっても、「そんなことは誰にでもあること」と思ってしまいがちだからです。

うつ病は、「几帳面なひとや、自分や他人に厳しい人がなりやすい」というイメージを持たれがちですが、誰でもなる可能性がある疾患です。

気になった方は、うつ病に関するセルフチェックをしてみましょう。

東邦大式SRQ-Dというものがあります。

18の質問に答えることで、自分の状態を自覚することができるものです。それぞれ

「いいえ」0点
「ときどき」1点
「しばしば」2点
「つねに」3点

として、加点方式でチェックします。

1 体がだるく疲れやすいですか
2 騒音が気になりますか
3 最近気が沈んだり気が重くなることがありますか
4 音楽を聞いて楽しいですか
5 朝のうち特に無気力ですか
6 議論に熱中できますか
7 くびすじや肩がこって仕方がないですか
8 頭痛持ちですか
9 眠れないで朝早く目ざめることがありますか
10 事故やけがをしやすいですか
11 食事がすすまず味がないですか
12 テレビをみて楽しいですか
13 息がつまって胸苦しくなることがありますか
14 のどの奥に物がつかえている感じがしますか
15 自分の人生がつまらなく感じますか
16 仕事の能率があがらず何をするのもおっくうですか
17 以前にも現在と似た症状がありましたか
18 本来は仕事熱心で几帳面ですか

(参照…東邦大式SRQ-Dうつ自己診断テスト より)

この設問において、「騒音が気になりますか」、「音楽を聞いて楽しいですか」、「議論に熱中できますか」、「頭痛持ちですか」、「事故やけがをしやすいですか」、「テレビをみて楽しいですか」の項目は加点しません。

そのほかの12の質問の合計点数で、結果をみていきます。

質問の合計点数が16点以上だった場合
専門機関での受診をお勧めします。うつ病が疑われる状態です。
11点以上15点未満だった場合
こころが疲れている状態です。適切に休養をとったり、保健師などへ相談することをお勧めします。
10点以下だった場合
今はこころの健康が保たれている状態です。今後も今の状態を保てるよう、健やかな生活を続けていきましょう。

ひとの気持ちは、かならずしも一定ではありません。時と場合や、おかれている環境によって、質問に対する答えは変わってくるでしょう。

気にしすぎることは、それ自体がストレスになってしまいます。ですが、不安な気持ちをひとりで抱え込んだままにすることも、あまり良いことではありません。不安が強くなったときは、だれかと話をしたり相談したりできるようにしましょう。

うつ病の予防には手紙がお勧め。その理由と効果とは?

不安な時は、だれかと話したり、だれかに相談したりすることが大切です。

ですが、身近に話をできるひとがいない場合もあります。孤独な高齢者が増え、その胸にかかえる不安を発信する手段を持たない方も増えています。

だからこそ、手紙という手段が有効となるのです。

臨床試験もおこなわれている、手紙を書くことで得られる効果

うつ病に対する治療は、精神的な休養をしっかりとることや、服薬療法があります。そのほかにも、否定的な考え方を見直し、柔軟な思考を得るための精神療法などもおこなわれます。

これらのほかに、手紙による介入をおこなった試験結果が報告されているのです。

外国でおこなわれた試験
1976年のアメリカで、うつ病患者に対して手紙で介入する試験がおこなわれました。その後、同じく手紙を用いた試験が、イスラエルやオーストラリアでもおこなわれています。

アメリカでの試験では、手紙で介入するようになってから、うつ病の患者が自殺する率が減ったという結果が得られています。イスラエルやオーストラリアでも、薬の飲みすぎや自傷行為に対して、効果が確認できたとの報告がされました。

日本でおこなわれた試験
最近では日本でも、京都大学東南アジア研究所のグループにおいて、試験がおこなわれました。「高齢のうつ病患者に手紙を出すという行為が、抑うつ状態を改善できるか」というものです。

こうして試験がおこなわれているのは、費用面での理由もあります。手紙でのやりとりでうつ病の症状が緩和できるなら、医療費の負担軽減についても期待できるからです。

大きな費用がかからないということは、手軽に始めることができ、長く続けることができるということです。加えて、離れて暮らしていても、大きな負担にならずにおこなうことができます。

対面で話すことが難しくても、手紙を上手に活用すれば、社会からの孤立を防止する有効な手段になるはずです。

手紙には、電話やメールにはないメリットがある

手紙にはさまざまなメリットがあります。

メールや電話に慣れてしまうと、手紙という伝達手段は、面倒に思ってしまうかもしれません。実際、メールや電話に比べると手間がかかりますし、相手に伝わるまでに時間もかかります。

けれど、その手間は、手紙ならではの長所でもあります。

自分のペースでやりとりができる
電話やメールは、急ぎの用事には便利なものです。いつでも即、相手からの連絡を受けることができます。ですがその分だけ、自分のプライベートを侵害されやすいという欠点があります。

都合の悪い時に電話がかかってきたり、のんびり過ごしたいときに即返信を要するメールが来たりしたこともあるでしょう。本当に急ぎの用事ならば仕方がありませんが、実際に確認するまで、重要性の判断はつけられないものです。

ですが、手紙であれば、そのような心配はありません。ポストに届いた手紙は、いつ読もうとも自由です。手紙は時間がかかって当たり前のものですから、自分の都合が良いときにじっくりと時間をかけて返事を書くことができます。

相手の生活の邪魔をする心配がない
手紙を受け取る側にとっても、プライベートの侵害という点では同様です。電話をかけるときは、こちらからは相手の状態がわかりません。「今電話をして、相手の都合が悪かったらどうしよう」と考えてしまうものです。

火急の用事であれば迷いなく電話ができますが、近況報告や雑談などに電話は用いにくいものです。ですが、手紙であれば、相手の都合を邪魔してしまうことはありません。

いつ読んでも構わない手紙ならば、相手の邪魔になることはありません。その分だけ、気楽にやりとりすることができますね。

伝える前に、何度でも内容を省みることができる
電話での会話は、口に出してしまったら、取り消すことができません。感情的になってしまったり、言葉を選ぶ余裕がなかったりすることもあるでしょう。

電話を切ったあと、「あのとき、あんなことを言わなければ良かった」と思ってしまうのは、なんとも後味の悪いものですね。

ですが、手紙であれば、封をして投函をする前に、何度でも内容を省みることができます。投函しさえしなければ、相手に届くことはありません。いつでも何度でも、書き直すことができるのです。

一見では不便にも思える手紙ですが、このようなメリットに代えることができます。これらの点だけでも、手紙というツールを見直すことができるでしょう。

手紙が持つ効果と、その理由

手紙がうつ病の予防に効果的というその理由は、手紙が持つメリットだけの話ではありません。手紙を書くことや、自分宛の手紙を受け取ることが、うつ病の高齢者へのこころの支えにもなり得るのです。

手紙でのやり取りで得られる、こころと体への影響について考えてみましょう。

孤独な気持ちを緩和できる
手紙を書くときには、それを送る相手のことを頭に思い浮かべます。自分が想いを向ける相手がいることを自覚でき、「ひとりぼっちではない。この世にいるだれかと、つながりを持つことができている」という実感を抱くことができます。
ひとの温もりを感じられる
手書きの筆記には、そのひとの癖や、そのときの感情がこもるものです。また、電話とは違い、手紙はいつまでも手元に残ります。何度でも見返すことができ、手紙を受け取ったときの感動を思い返すことができます。
手紙に書く話題を探すために行動する
手紙を書くようになると、手紙に書くための話題が欲しくなりますね。日常の他愛ないことや季節の移ろいなど、今までは見過ごしていたような何気ないことにも、自然と意識が向くようになります。

ときには、手紙に書く話題作りのために、外出してみたり、新しいことに取り組んでみたりするようになるかもしれません。

文章を考えることが、頭の体操になる
手紙を書くときは、まず伝えたい物事を文章にすることから始まります。自分がなにを伝えたいのかを言語化し、どうやったら相手に伝わるのかを考え、相手が不快にならない文章を構築することは、頭をとても複雑に働かせる作業です。
手指の運動になる
手紙を書くということは、筆記用具を持ち、文字を書くということです。人に読ませるための文字ですから、きれいな字を書こうと集中しますね。手紙に書く文字ですから、大きさも小さくなります。

考えながら手指を動かすことは、脳の活性化にも役立ちます。ただ訓練のためだけに手指を動かすよりも、ずっと楽しく取り組むことができますね。

これらの作用から、高齢者のうつ病予防には特に、手紙を用いることが効果的と考えられます。

手紙を書く機会をつくろう

高齢者のうつ病の予防に、手紙が効果的であることはお分かりいただけたでしょう。

離れて暮らす家族や、手紙でのやりとりができる友人・知人がいる場合には、すぐにでも始められる取り組みですね。ですが、手紙でやりとりできる相手を見つけるのは、意外と難しいものです。

そんなときには、習い事や公募を利用してみてはいかがでしょうか。手紙でやりとりができる親しい方がいる場合にも、それとはまた違った楽しみ方が見つけられるかもしれません。

新聞や雑誌への投稿をする

新聞や雑誌を見てみると、読者からの投稿を募集しているコーナーがあります。
テーマに沿って投稿するものや、自分の体験談を話すものなど、募集内容は実にさまざまです。

不特定多数に読まれるものなので、読み物としての意味が強くなります。雑誌では、匿名やペンネームでの投稿ができるので、自分のことを知られないという気安さもあります。

通信教育を利用する

新聞の折込チラシや、雑誌に綴じ込まれているハガキなどに、通信教育の知らせが入っているのを見たことがあるでしょう。絵手紙やペン習字など、手紙や筆記に関した講座も多く開講されています。

それらの課題を通じて、手紙を書くことに慣れてみるのも良いでしょう。

文通できる相手を探す

パソコンやスマートフォンなどの通信機器が発達したことにより、文通をされる方は少なくなりました。が、気をつけてみてみると、地域情報紙や雑誌などにはペンフレンド募集のコーナーがある場合があります。

前述の、絵手紙やペン習字などの通信講座を受ける場合は、講座内でのコミュニティで文通相手を仲介しているものもあります。

身近な方とは話しにくい話題も、「見知らぬ方と、手紙のなかだけの関わりだからこそできる」という場合もあるかもしれませんね。

「手紙でやりとりができるひとが周囲にいない」という方も、そこで諦めてしまわずに、こういった手段を考えてみてはいかがでしょうか。

社会性を持ち、孤立しない生活をしよう

人と関わることは、人間らしく生活をするうえではとても大切なことです。時にはわずらわしく感じることもあるかもしれませんが、辛いときや苦しいときに、自分の気持ちを吐き出せる場所を作っておくことは、とても重要です。

自分が誰かの為に生きていると感じられること、自分の存在をだれかが求めてくれていると実感できることは、そのひとが生きるための活力になります。

社会的孤立を防止し、社会と関わりを持つための手段として、手紙を用いてみてはいかがでしょうか。それはきっと、あなたの生活に、いままでなかった張り合いを持たせてくれるはずです。

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