健康生活TOP うつ病 どっちなの?仮面うつ病と自律神経失調症の違いと見分けチェック法

どっちなの?仮面うつ病と自律神経失調症の違いと見分けチェック法

仮面うつ病と言う病気があります。20世紀の終わりごろによく話題になったのですが、最近ではあまり話題になりません。病気自体が減ったわけではなく、うつ病の1つの病態として定着したからかもしれません。

自律神経失調症は、身体的症状があるのに身体の機能に異常が見られない場合に使われる、消去法的な症候名です。この2つ、大変見分けにくいものですが、その理由としてあげられるのが症状の共通性です。

実際に、うつ病で自律神経症状が出る場合も、自律神経失調症でうつ状態に陥ることもあります。しかし、治療法は異なってきますから、見極めをつける必要はあります。

もちろんお医者さんでも見極めが難しいこれを、一般人が見分けることはできません。しかし、お医者さんへの相談の仕方次第で、正確な診断が早くなる可能性も存在しているのです。

自律神経失調症は仮面うつ病が否定された時につく症候名

厳密には、内臓などの異常や感染症がないのに症状が出ていて、原因がつかみ切れないものを自律神経失調症と呼んでいるということは、あちこちでご覧になっていると思います。。

このことは器質的な異常がないのに機能的な異常があるという表現をされることが多いですね。機能的な異常とは、例えば「お腹が痛い」と言う異常で、自分自身が感じている異常のことです。

それに対して器質的な異常とは「胃炎がある」とか、「腸が荒れている」と言うように、他人から見て異常が確認できるもののことです。

そして厳密には、器質的な異常が見当たらないのに機能的な異常が存在していて、それが自律神経に起因すると考えられるもののうち、精神的な病気でないものを自律神経失調症としています。

ですので、同じような自律神経の症状であっても、精神的な病気であるものは、仮面うつ病であって自律神経失調症とはならないのです。

しかし、私たちにとっては「どっちなの?」と言う気持ちが強いですよね。ですので、便宜的にこれらを2つの病気として見比べながらお話しして行きます。

早い段階で自分の不調はどちらが原因なのか見極めたい

仮面うつ病であっても、自律神経失調症であっても、最初は身体的な不調と感じて受診します。多くの場合内科でしょう。

お医者さんの方も、訴えにある症状に応じた検査や投薬を行いますので、実際の病気と治療が一致しにくいという現象も、この2つの病気に共通します。

2つの病気に共通する症状は多い

仮面うつ病では非回転性めまいや、頭が重い感じの頭痛、不眠と言う症状が非常に多く現れます。その他、動悸・息切れ・耳鳴り・頻尿・息苦しさ・気温に関係のない発汗などが出る場合もあります。

さらに手足のしびれ・肩こり・身体の節々の痛みが出ることもありますし、胃の痛みや便秘・下痢と言った胃腸症状が現れ、食欲不振に見舞われることもあります。

一方、自律神経失調症ではめまい、頭痛、不眠、動悸・息切れの他、全身のだるさ、胃の痛みや便秘・下痢と言った胃腸症状、冷え、のぼせ、立ちくらみなどが現れます。

場合によってはイライラしたり、情緒不安定になったりと言う精神的な症状が出ることもあります。

治療に使う薬も共通する部分があるが使われ方が異なる

このように症状だけを見た場合、内臓に異常があるとか感染症であるとかのトラブルがなくて発生している症状も、ほとんど同じと言って差し支えないくらいよく似た病気です。

さらに自律神経失調症に特効薬はありません。ですので、抗うつ薬や抗不安薬などが使われます。そして、もちろんこれらのお薬は仮面うつ病にも使われるお薬なのです。

しかし、自律神経失調症では、これらのお薬は補助的なもので、ストレスの軽減や生活習慣の見直しと言った根本的な治療を行わないと症状は改善しません。

一方、仮面うつ病ではこれらのお薬がカウンセリングや休息と並んでメインの治療になっているのです。ですから、お薬以外の部分での治療を誤ると改善しないということですね。

これらの見分けは心療内科や精神科の専門医の先生でないと難しく、いかに早くそうした専門病院を受診するかが治療のポイントになります。

最初の治療で効果がなければ心療内科を紹介してもらう

しびれ・痛みや肩こりの場合、整形外科や接骨院に出掛ける人もおられるかもしれませんが、この2つの病気で見られる症状が現れたら、内科を受診される人が圧倒的でしょう。

その時の症状の重さにもよりますが、内科では問診、聴診、血圧測定などの一般的な診察と同時に、尿検査・血液検査が行われるでしょう。

さらにめまいや頭痛、耳鳴りを訴えている場合には、万が一の脳血管疾患を警戒してCTやMRIによる画像診断も行われるでしょうし、動悸や息切れの場合、呼吸器や循環器系のX線撮影、MRIなども考えられます。

画像診断には時間がかかることが多いので、結果が出るまでの間、症状に応じた胃薬や頭痛薬が処方されるかもしれません。こうした一連の診察・検査を経て、器質的な異常がないと判った場合には、お医者さんに相談して心療内科を紹介してもらいましょう。

お医者さんによっては、自律神経失調症と診断されて抗うつ薬や抗不安薬を処方して下さるかも知れませんが、できれば専門医の診察を受けて、仮面うつ病と自律神経失調症の見極めをつけてもらった方が安心です。

複数系統の症状は心療内科・精神科を受診する

例えば、夏風邪をひいたときには呼吸器症状と消化器症状が同時に現れることもあります。しかし、下痢と耳鳴りと頻尿が同時に現れる病気と言うものはあまりありません。

この例ですと消化器科と耳鼻科と泌尿器科の症状ですね。このように複数の診療科のどれにかかればいいのかと悩むような場合は、内科から心療内科や精神科を紹介してもらいましょう。

そこで仮面うつ病や自律神経失調症についての診断が得られる可能性が出てきますので、一つの参考にして下さい。

実際、精神科の専門医でないと仮面うつ病と自律神経失調症の見極めは難しいことが少なくありません。精神科と心療内科は異なる診療科ですが、比較的近い関係ですので、両科を併設している病院は多く専門医もそろっています。

仮面うつ病は正体が隠れているのでうつ病と判断されることが重要

仮面うつ病はうつ病ですので精神疾患の一つです。しかし、症状としては身体的な異常が前面に出て、精神的なトラブルがあまり目立たないうつ病なのです。

つまり、身体的トラブルと言う仮面を被ったうつ病なので、仮面うつ病と呼ばれていて、うつ病であると言う診断を難しくしていることが特徴でもあるのです。

仮面うつ病では抑うつ状態と言う精神状態は少ない

うつ病と言うと精神病の1つで、気分が晴れないという精神状態や活動性の低下、物事への関心や興味がなくなる、あせりや不安などの精神的症状が中心の病気です。

ところが、仮面うつ病ではこうした精神症状が表に出てくることは少ないのです。表に出てくるのは、先に紹介した身体的症状が中心になっていて、これが「身体的症状による仮面」と呼ばれるゆえんです。

同時に、精神的な病気が原因の身体的不調ですから、検査しても異常は出てきません。そうなってくると、自律神経失調症ではないかと診断されてしまうことに繋がりやすいのです。

残念ながら最初にお話しした通り、一般人にこれを見極めることは不可能です。ですので、できるだけ早く専門の先生に見てもらうことが大事なのです。

仮面うつ病の三大徴候

この症状は自律神経失調症にも共通するものですが、仮面うつ病ではほとんどと言って良いぐらい現れる症状です。

  • 不眠
  • 頭重感
  • めまい

この頭重感と言うのは頭痛として感じられる時もありますが、頭に重いものを乗せていたり、締め付けられていたりするかのような、圧迫感を伴う頭痛のことです。

また、めまいはグルグル回ったり、上下感覚がおかしくなるような回転性のめまいではなく、ふらふらした感じが続く非回転性のめまいであることが特徴です。

これらの症状が全部そろっていて、自律神経失調症と言う診断を内科の先生から受けた時には、特に心療内科の紹介をお願いしてみるというのが効果的でしょう。

めまいと不眠については、国立循環器病研究センターも注意を呼びかけています。

中年以上の人の4人か5人に1人はうつ状態という報告もあるほど、うつ状態はよくみられます。注意してほしいのは、精神的な抑うつ症状はほとんどなく、身体症状が前面に現れる「仮面うつ病」のときです。

めまいは、不眠、頭重感と並び、仮面うつ病の三大症状です。そのめまいは大抵フラフラ感で、不眠と密接な関係があることが少なくありません。うつ状態によるめまいには、抗不安薬や軽い抗うつ薬が有効で不眠もめまいも改善されます。

だから「フラフラ感は睡眠不足のせいだ」と思われがちですが、うつ状態のときどんな仕組みでフラフラ感が生じるかはまだ詳しくはわかっていません。

うつ病の日内変動を伴う場合もある

うつ病には日内変動と言って、症状の重さが時間帯によって変化する場合がよくあります。だいたい、午前中に症状が重く、午後から夜にかけて症状が軽くなってゆくと言う物です。

どうしても一般的な社会生活を営んでいると、午前中の不調と夕方以降の改善と言う現象は、体調不良ではなく気分の問題だとか、なまけ癖だとかいう自己評価を下しがちです。

しかし、これはうつ病の特徴の一つである日内変動ですから、この状態を受診しない言い訳に使ったり、自分を責めたりすることに使ったりしないで下さい。

この日内変動は仮面うつ病において必ず現れるとは言いきれませんが、こうした現象があるということは知っておいて頂きたいです。

昔「5時から男」なんてコマーシャルがありましたが、それがうつ病の日内変動によるものだったら、笑ってばかりはいられないですよね。

自律神経失調症は非常に範囲の広い概念

よく自律神経のバランスが崩れると言った表現をしますが、実は自律神経失調症と言うのは日本で考えられた便宜的な症候名です。先にお話しした通り、他の原因が否定されたときに付けられる物だと言っても良いでしょう。

何らかの原因によって自律神経系が上手く働かなくなったことによって発生するもので、その何らかの原因と言うのがうつ病であった場合、自律神経症状を伴った仮面うつ病と言うことになるのです。

自律神経は名前の通り勝手に働いてくれる神経

自律神経と言うのは、末梢神経系を働きによって分類するときの呼び方です。末梢神経系に対応するのは中枢神経系で、脳と脊髄を指します。末梢神経はそれ以外の神経全部ですね。

末梢神経系は、人間の意思によって神経伝達の内容を変化させられない自律神経系と、変化させることができる体性神経系に分かれています。

体性神経は中枢から末梢に命令を送る運動神経と、末梢から中枢に感覚を送る感覚神経でできています。一方自律神経はお互いに逆の働きを持つ交感神経と副交感神経でできていることはもう有名になったと言っても良いでしょう。

一言でまとめると、交感神経は興奮系の、副交感神経は鎮静系の神経です。普段はこの2つの神経のどちらかが支配的になることで人間の身体をうまく動かしているのですが、その役目と置かれた条件が一致しなくなるとトラブルが起こります。

例えば食事を摂っている時には副交感神経が優勢になることで、食欲が増し、消化液の分泌が良くなり、消化管の蠕動運動が活発になります。さらには肝臓でのグリコーゲン合成や膵臓からのインスリン分泌も活性化されます。

もし、食事中に交感神経の方が優勢になってしまうと、消化液は減り、消化管の蠕動運動は抑えられてしまいます。肝臓ではグリコーゲンが分解され膵臓ではインスリン分泌が抑え込まれてしまいます。

そんなことになったら、消化に悪いだけでなく血糖値が跳ね上がって高血糖から糖尿病を招いてしまうかもしれません。

これは単純化した例ですが、原因がわからないまま、シチュエーションに合わない自律神経活動によって体調に異常をきたすのが自律神経失調症なのです。

自律神経失調症にはホルモンバランスの崩れによるものもある

いわゆる更年期障害によるホルモンバランスの崩れが自律神経失調症の症状を引き起こすことはよく知られています。更年期障害では男女ともに、いわゆる自律神経失調症と同じ症状が現れます。

それだけに原因がつかみにくいのですが、女性では年齢に加えて生理不順、男性でもEDなど生殖機能の低下と同時に自律神経失調症の症状が現れた場合は、更年期障害との関連の可能性をお医者さんに相談しましょう。

ホルモン補充療法の方向になるか、自律神経症状の治療の方向になるかはわかりません。それはお医者さんとの相談になります。

自律神経失調症から仮面うつ病に変化するのも珍しくない

これは自律神経失調症を放置しておいたら仮面うつ病に変わると言う意味ではなく、自律神経失調症の治療を続けてゆくうちに、原因がうつ病にあったと判ったということなのです。

ですので、治療を受けていて診断名がこの様に変わった時に、お医者さんに対して不信感を持たないで下さい。むしろ、漫然と投薬を続けていたのではなく、症状の変化をしっかり見極めてくれていたのだと喜んでも良いぐらいです。

自律神経失調症の時には生活指導が中心であったカウンセリングも、仮面うつ病であると診断されたらそれに応じたものに代わるでしょう。また、休養についてもより積極的なものを勧められるかも知れません。

いずれにせよ、より適した治療に変わりますから、完治する方向により近くなったといえるでしょう。

自律神経は全身の自動調整機構です。例えば心臓は、自律神経がなくてもそれ自身の力で拍動しますが、状況に応じて鼓動を早くしたり遅くしたりするのは自律神経のおかげなのです。

抗うつ薬・抗不安薬はどちらの治療にも使われる

先に少し触れたとおり、自律神経失調症には専用のお薬と言うものはなく、対症療法的に抗うつ薬や抗不安薬がよく用いられます。治療の他の部分は違うといっても、共通する部分もあるので少しお話ししましょう。

上の例でお話しした通り、自律神経失調症と言う診断が仮面うつ病と言う診断に変わることもよくあります。その際には同じお薬が継続されることもあり得ますが、より適したお薬に変更されることも少なくありません。

自律神経失調症では抗不安薬がよく使われる

自律神経失調症には、最初効き目が非常に穏やかな抗不安薬のエチゾラム(商品名:デパス・ジェネリックあり)などが処方されることがあります。

また、そのものずばりの「自律神経調整薬」と言う物もよく使われます。トフィソパム(商品名:グランダキシン・ジェネリックあり)は、デパスと同じベンゾジアゼピン系の抗不安薬の仲間ですが、特に自律神経に働きかける効果が強いようです。

このお薬は心身症やパニック障害によく処方されますが、自律神経失調症にも有効です。ただ、漫然と使うと依存性が現れたり、効き目が弱くなったりしますので、お医者さんの指示にはしっかり従って下さい。

その他にもリラックス系の処方が良く行われるようですね。これは言い換えると、自分自身でもリラックスできるよう、例えばぬるめの長時間入浴やアロマなどを習慣づけることも有効である可能性を示唆しているということです。

そんなことをしている時間があれば…と考える生活スタイルが自律神経失調症を引き起こしているのです。

仮面うつ病には副作用の少ない抗うつ薬がよく使われる

仮面うつ病と言う診断がついた場合には、抗不安薬もさることながら、やはり抗うつ薬が用いられることが多くなります。その中でも、特定の症状に絞った効果を持つものではなく、できるだけ様々な症状に対応できるお薬が使われます。

さらに、副作用の少ないお薬が選ばれますので、安心して服薬指導に従って下さい。具体的には選択的セロトニン再取込阻害薬(SSRI)のフルボキサミンマレイン酸塩(商品名:デプロメールなど・ジェネリックあり)などですね。

その他、セロトニン・ノルアドレナリン再取込阻害薬(SNRI)のミルナシプラン塩酸塩(商品名:トレドミン・ジェネリックあり)や、効き目は弱いものの副作用も特に少ない四環系抗うつ薬のマプロチリン塩酸塩(商品名:ルオジミール・ジェネリックあり)などが処方されます。

こうしたお薬の服用と同時に、カウンセリングや休養によって改善してゆくでしょう。ただし、よほど軽症でない限りお仕事は休むことになります。お勤めの方は、診断書をもらった上で、会社と長期休暇または休職について相談して下さい。

もちろん、自律神経失調症でも休職を余儀なくされることがあります。いずれの病気でも、少しでも早く治療を開始することが治療にかかる時間が短くなりますので、早く受診するよう心掛けて下さい。

仮面うつ病と自律神経失調症の切り分けは困難なので専門医を受診

最初に「便宜的に2つの病気として見比べる」とお話ししましたが、もうお分かりのように、仮面うつ病は自律神経失調症の症状を持つ物のうち、うつ病と診断されたものと言う、一種の包含関係がありますから完全に切り分けることはできません。

ですので、内科などで器質的な異常がないのに機能的な異常があるという結論が出た場合は、その場で自律神経失調症と診断されても、できれば心療内科や精神科を紹介してもらって、詳しい診断を受けるようにして下さい。

そうすることで、早く正しい治療を受けることができ、万が一休職を余儀なくされるような事態に陥っても、早く復帰できることは間違いないのです。

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