健康生活TOP 認知症 オカリナ教室に歌声喫茶!身近な音楽サークルで認知症を予防する

オカリナ教室に歌声喫茶!身近な音楽サークルで認知症を予防する

shutterstock_1066841962

自治体が発行する「市政だより」などの地域情報紙には、必ずといっていいほど音楽を通じて高齢者が交流する音楽サークルの情報が載せらています。

その中には、高齢者が認知症を予防することを目的とした催しもあり、認知症の予防や改善を目指す参加者が増えています。そこで音楽を通じて認知症を予防する方法をご紹介したいと思います。

そもそも認知症とはどういう状態のことか?軽度のうちに気づいて対策すれば悪化を防げる

認知症の予防法を考える前に、認知症とはどのような状態のことをいうのか、確認しておきましょう。

認知症は高齢や脳の障害などによって、脳の機能がうまく働くなった状態のことを言います。認知症かどうかを見極めるためには、次のような「記憶」・「見当識」・「計算」の3つの脳の働きに異常がないかで判断します。

  1. 今朝、何を食べたか?など記憶力に異常がないか?
  2. 今日は何日か?ここはどこか?など「見当識」に異常がないか?
  3. 簡単な足し算や引き算などの計算ができるかどうか?

この3つの点から脳の働きに異常があるかないかを調べ、生活を送る上で支障となる場合には認知症の状態だと判断します。

また、認知症はある日突然発病するというよりも、始めのうちは物忘れ程度の軽度の症状が起こり、年月が経つことで少しずつ悪化していくという病気の特徴があります。

そのため、認知症は軽度の症状のうちに異常に気づき予防することで、症状が改善したり悪化を防いだりすることができます。ですから、本人や家族、周りにいる人が日頃の生活の様子をしっかり観察していることが大切です。

国や地方自治体が期待する認知症を予防する3つの音楽の力!

shutterstock_93227590

認知症は高齢になれば誰にでも発症する可能性がある病気です。そのため、国や地方自治体は認知症の予防や治療に積極的に対策を講じているのです。

その1つが音楽サークルや歌声喫茶など音楽を利用して認知症の予防や治療につなげようという試みです。

まずは一般的に考えられる「音楽」が脳や体にもたらす効果から、認知症の予防や改善にどのようにつながるのか考えてみたいと思います。音楽で得られる効果は次の3つにまとめることができます。

1.音楽は脳の血流を改善する

認知症にもいくつかのタイプがありますが、どのような認知症であっても共通して言えることは、認知症が起こる原因には「脳内の血液の流れが悪くなること」が大きく関わっているということです。

逆の言い方をすれば、脳の血流を改善すれば認知症の予防や治療につながるということができます。そして、脳の血流を良くする効果的な方法が音楽を利用することなのです。

2.音楽は脳のストレスを緩和する

脳はストレスを感じると萎縮したり、神経の回路が正常に働かなくなります。これも認知症を引き起こす大きな原因です。

音楽を聴いたり歌を歌うことは、脳のストレスを緩和する効果があります。脳のストレスが解消されるとコルチゾールという脳にストレスを与える物質が減少します。

この作用によって、脳の機能を正常に働かせ認知症を予防したり改善することができるのです。

3.音楽は記憶を呼び覚ます

認知症を判断する要素の中にもあるように、認知症と記憶力は大きな関係があります。ここはどこか?あなたはだれか?というようなことを「見当識」といいますが、こうした物事を認識する能力も、正常な記憶によって判断できることです。

音楽は記憶力を呼び覚まし、正常に働かせる効果もあります。記憶力を失わないことが認知症の予防にも大きく関わっていくのです。

このように音楽は認知症に関わる脳の機能を改善し、認知症の予防につながる様々な効果をもたらします。

”みんなと一緒”が大切!音楽サークルで行なわれている具体的な活動とは?

では、音楽を通じて行なわれる活動とは、どのようなものなのか、見ていくことにしましょう。

音楽サークルと称する団体にも色々ありますが、大きく分けると、皆で歌を歌うグループと、簡単な楽器を演奏するグループの2つに分けられます。「歌」と「楽器」に分けられるということです。それぞれの活動内容を見ていきましょう。

皆で歌を歌うグループの活動

公民館の一室や地域の喫茶店などを借りて、皆で集まって歌を歌うというのが、歌のサークルの活動です。地域の喫茶店を借りて、お茶を飲みながら行なこともあるので、「歌声喫茶」などともいいます。

基本的には参加は自由で、申し込めば誰でも参加できます。昼間集まってお茶を飲んだりお菓子を食べながら皆で歌を歌うという活動をしています。会費は自治体の助成金がある場合もあり、1回につき100円~500円程度のところが多いようです。

歌を歌う時は、一人ずつカラオケで歌う場合と簡単な伴奏で合唱のように全員で同じ歌を歌うというスタイルがあります。どちらかというと、皆で同じ歌を歌う合唱のスタイルが多いようです。

ところで、どんな歌を歌っているのか興味はありませんか?参加者は60歳以上の高齢者が多いので、比較的、昔の曲で皆がよく知っている誰でも歌える曲を選んでいるところが多いようです。

たとえば、ある自治体のサークルでは次のような曲を合唱しています。

  • 「赤とんぼ」
  • 「七つの子」
  • 「ずいずいずっころばし」
  • 「かあさんの歌」
  • 「四季の歌」
  • 「365歩のマーチ」
  • 「この広い野原いっぱい」 など

子供の頃に歌った懐かしい童謡から青春時代を過ごした思い出の曲、故郷を懐かしんだり、四季の情緒を感じたり、元気や勇気が自然に沸いてくるような曲などを選ぶようにしているそうです。

よく知られている曲やメロディーを選び、みんなで歌ったり口ずさんだりできるように配慮されています。確かに、年齢に関わらず、誰でも一度は口ずさんだことがあるような曲ばかりですね。

そして人間の記憶というものは、高齢になるほど、最近のことは忘れてしまうけれど、昔のことほど良く覚えているものです。

こうした歌を皆で歌うことで、子供の頃や当時の思い出がよみがえってきたり、故郷のことを思ったり、昔を懐かしむことができます。同時に、昔の記憶を呼び覚ますことで脳の血流が改善し、記憶を思い出すことで脳の機能が活性化されるのです。

この、歌から想像させれる記憶やイメージを呼び覚ますということが脳にとってはとても重要なことです。これを回想療法といって、今まであまり使われていなかった脳細胞が刺激され、記憶やイメージのネットワークが再起動するきっかけになるのです。

そして、昔の懐かしい記憶や思い出を呼び覚ますことで、脳細胞が活発に働き、認知症の予防につながったり、症状が改善されたりするのです。

ここで1つの疑問が生じるかもしれません。音楽や歌を歌うことが脳を刺激し認知症の予防につながるのであれば、一人で音楽を聴いたり歌ったりすることと、皆で行なうことには何か違いがあるのか?ということです。

カラオケボックスなどで一人で歌を歌うことも「音楽の効果」を引き出すことができますが、人前で歌うことや人と一緒に歌う場合は、一人で歌うよりも、良い意味での軽いストレスがかかります。

誰でも、人前で歌うときは緊張もしますし、少しでもよく歌おうと気合が入るものです。また、皆で歌うときも、音程やリズムを皆と合わせて歌わなければならない、という人に対する「気づかい」のようなことも必要になります。

つまり、一人で歌うよりも、皆で歌うほうが、脳の様々な部分を働かせる必要があることになり「脳の活動レベル」が高くなるということです。

また、皆で一緒に歌うとことで、自分一人という壁を乗り越え、自分が人との関わりの中にいるという安心感や一体化を持つことができます。これは生きる勇気や人とのつながりの中での自分の存在感や存在意識を呼び覚ますことにもつながります。

こうしたことから、一人で歌うよりも、大勢の仲間と一緒に歌うほうが、脳や心に良い刺激を与え、認知症の予防に大きな効果をもたらすといえるのです。

楽器を演奏するグループの活動

次に、楽器を演奏することを目的としたサークルについてもご紹介しておきたいと思います。

楽器を使うグループでは、参加者全員が簡単な楽器に挑戦します。例えば、オカリナ、ハーモニカ、カスタネットなど、誰でも少し練習すればできる楽器を使います。 

楽器を演奏することは、歌を歌うことより少し難易度が高くなります。ハーモニカやオカリナのような楽器では、呼吸や指使いのテクニックが必要になるので、口や手、指の感覚器官が刺激されます。

呼吸に強弱をつけたり、音階やリズムが合っているか確認することが必要になるため、脳の作業も増えることになります。

また、脳の働きだけでなく、唇や指を動かす動作をするために、呼吸器機能や運動感覚などをフル活用させるので、認知症の予防にはさらに大きな効果があるのです。

周りからうける効果もすばらしい!音楽は心を前向きにさせ認知症を予防する

shutterstock_2063222502

これまで、歌にしろ楽器にしろ、音楽がもたらす直接的な効果について紹介してきましたが、音楽グループに参加することで得られる、間接的ながらも、とても大切な効果についてご紹介したいと思います。

拍手をすること、されることによる大きな効果

音楽で集うグループでは、当然のことながら、人の歌を聞いたら拍手を送り、自分の番がくれば拍手をもらうことになります。

実はこの「拍手」の交換は、人の心に大きな効果を与えてくれます。皆さんにも経験があるかもしれませんが、拍手をされるという機会は、何か良いことをした時や、賞賛に値する行動に対して行なわれるものです。

拍手をされるということは、それだけでとても気持ちが良いもので、人に自信を与え、拍手を贈られた人は誇らしくもなるものです。

軽度の認知症の患者や、高齢で様々なハンデを抱えている人は、他人や時には家族からも蔑んでみられたり、批判されたり、否定的に思われることも多く、自分に自信が持てなくなったり、人間としての価値を見出せなくなったりすることも多いのです。

認知症の症状の1つであり、認知症をさらに悪化させるものが、「意欲の消失」や「消極的な思考」でもあるのです。

そんな時に、おぼろげながらでも歌の一曲を合唱できた、歌いきれた自分に拍手が贈られると、自分の存在が評価された気持ちになり、それが自分の自信にもつながります。

そして、歌や音楽サークルが好きになり、自分の居場所の一つとなることで、生きる励みになったり、自分や仲間を大事にする気持ちが自然に沸きあがってくるものです。

こうした意欲や積極性が湧き上がることも、認知症の人の心を開かせ、能動的に生きようとする思考につながり、それが認知症を根本から改善する大きなエネルギーになるのです。

歌や楽器、音楽の力を少しでもご理解いただければ幸いですが、一つだけ注意してほしいことがあります。それは「決して無理強いしないこと」です。

人には当然、得て不得手もありますし、人と人との関係は、相性というものもあります。音楽の力を活かそうをしても、無理に行なうことに苦痛を感じれば、逆効果につながることもあります。

もし興味を持たれたならば、続ければ良し。自分には合わないと思ったら、辞めるのもまた良し。高いハードルに挑戦することも良いのですが、逃げ道を作っておくことも大事です。

これまで脳細胞は一度死んだら二度と生き返ることはないと考えられてきましたが、最近発表された研究によると、脳細胞は刺激を加えることで細胞が賦活する、という驚きの発表が話題になりました。

樹齢数百年の老木とおぼしき樹木も、春になれば毎年新芽をつけるものです。音楽の力が新しい芽を出すきっかけとなれば、素晴らしいことですね。

さっそく、今月の市政だよりにもう一度、目を通してみませんか?

キャラクター紹介
ページ上部に戻る