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アルツハイマー患者への接し方と認知症予備軍MCIを知ろう

今現在、ご家族や友人がアルツハイマー病で困っているという方、ご家族の物忘れなどに周囲がイライラすることが増えた、あるいはご自身の忘れっぽさに不安を持っている方もいらっしゃるでしょう。

認知症は、日常生活に支障をきたす記憶障害が起こり、その他の知的活動、すなわち見たり聞いたり、判断したりすることなどができなくなっていく病気です。

記憶障害を中心に、抑うつ症状、焦り(焦燥感)、イライラなどの精神症状の他に、暴力や徘徊など行動面にも変化が現れます。

今回は、認知症と診断される前の段階のMCI (軽度認知機能障害)という状態について簡単なテストとともにご紹介し、ご本人に対して周囲はどう接していいかをお話しします。

ご本人はもちろん介護者の方にもこれからの時間を有意義に過ごすためにも是非参考にしていただきたいと思います。

周囲とトラブルが生れる認知症か、あるいは単なる物忘れか…

「物忘れ」が加齢による生理的もの忘れか、アルツハイマー病などの認知症によるものなのか誰でも恐れと共に関心のあるところです。

例えば、時計をどこに置いたか忘れてしまう、ものの名前が思い出せないという程度でしたら、認知症ではなく単なる物忘れと言えるでしょう。

日時や今いる場所が分からなくなる、約束を忘れる、さっきご飯を食べたことを忘れるようでしたら認知症を疑う事になります。

進行すると同じことを何度も繰り返し言ったり、聞いたりすることが増え、周囲とのトラブルも起こしかねません。

また、「財布が盗まれた」、「お前が○○を奪ったんだろう」などと実際には起きていないはずの「物盗られ妄想」ともいうべき言葉が聞かれるようなら認知症のおそれは強くなります。

周囲の人がご本人の状態を受け入れることができない場合は、お互いに常に神経を尖がらせイライラしがちになってしまいます。

このような事から、物忘れや認知症は、非常にデリケートな問題と言えます。

認知症の予備軍!MCIとは

MCIは軽度認知症という意味の(Mild Cognitive Impairment)の頭文字をとったもので、正常とも、認知症とも言えないグレーゾーンを指します。

認知機能と生活機能の自立性という2つの側面からみて、両者ともに問題がなければ正常、認知機能に軽い問題はあっても生活機能の自立性が保たれていればMCI、認知機能と生活機能の両者が障害されていれば認知症とされています。

MCIの人は5年以内に認知症に移行すると言われています。

MCIの背景にある病気としては、

  • アルツハイマーなどのまだ決定的なお薬がない疾患
  • 血管障害
  • 薬物による代謝性の疾患
  • 外傷によるもの

など様々です。

MCIに早く気付き、認知症を発症する前にできることをしておくことは将来のために必要であり、必須です。

改訂長谷川式簡易認知機能スケール(HDS-R)

これからご紹介する改訂長谷川式簡易認知機能スケールは、聖マリアンナ医科大学名誉教授の長谷川和夫氏が考案した知能評価テストです。

数年前ヒットした、若年性アルツハイマー患者さんを描いた映画「明日の記憶」の中で、医師が実施していたペーパーテストです。

※クリックで拡大したものが見られます

HDS-R

この30点満点の長谷川式簡易認知症検査は、20点以下のときに認知症の可能性が高いと判断されます。

あくまでも目安とされていますが、平均で15.4点になると症状はMCIより進んだ中等度認知症、10.7点になるとやや高度の認知症と判断されます。

MCIは、現段階ではまだ発症していない、漢方で言えば「未病」の段階と言えます。あえて言うならギリギリの20点か、その前後ということになります。

もともと、一般の高齢者から、認知症の高齢者を対象として開発されたもので、実際の医療現場で広く使われています。外国で開発されたものも多くありますが、やはり文化的背景が反映されたものが実用的ということもあるのでしょう。

質問の内容が記憶を中心としていること、設問数が少ないこと、大した道具を使わないことなどから、簡単で誰にでも実施できるというメリットがある反面、他の精密な認知機能検査、MRIなどの脳画像検査には及ばないということに注意する必要があります。

しかし、あくまで目安としては簡単で有用なテストです。是非参考にしてみてください。

気分の落ち込みだけで記憶は曖昧になることがありますので、できたら一度だけではなく、一ヶ月ごとなど、何回かやって結果を比べてみることをお勧めします。

ご紹介したテストの結果がMCI程度か進行し始めている結果であったなら、ご本人が以前と違う言動をしたり、物忘れの多くなった理由にも納得がいく筈です。

ありのままを観察しよう!認知症はケースバイケース

今回は長谷川式簡易認知機能スケールをご紹介しましたが、実際にはケースバイケースです。

と言いますのは、ご本人さんにテストに応じていただけないこともあります。怒らせてしまうことも時折あり、声をかけるタイミングなどに注意が必要です。

しかし、だからと言って何か問題があるわけではないので悲観しないでください。「試される」のを嫌がったり、質問内容があまりにも当たり前のことだったり、簡単だったりするために不安や怒りを煽ってしまったりということはよくあることなのです。

多くの病院や施設で使われているテストですが、あえて使わないお医者さんもいます。

そもそも、認知症の診察にはご本人、家族などの援助者が同席するところで、心理士や医師による問診が欠かせません。普段の生活、趣味は何かというような具体的な質問や、テストなどを通して総合的に判断されることになります。

普段身近にいるために見えない、気づかないことを、専門家という他人の目でみてもらうことで客観的にいまのご本人の状態に知ることができるいい機会です。

積極的に観察し支えましょう。ご本人への接し方

MCI(軽度認知障害)の患者さんは特に

  • 抑うつ症状
  • 不安感
  • 焦り(焦燥感)

を持ちやすいことを知っておいたほうがいいでしょう。

なぜならば、認知症は進行するといわゆる「病識」(病気であるという認識)を持てなくなりますが、MCIの患者さんには、病識があります。病気を発症していないMCIの場合は「意識」と表現した方が適切でしょうか。

物忘れはご本人にとってショックなことなのです。自分のためにトラブルが起きてしまったらなおさらです。

かつて高齢者の抑うつは認知症の前段階かもしれないという研究もされていたほどです。

ご本人に以前と比べ元気がない、好きだった趣味をやめてしまったなど、価値観や生活習慣に変化があった場合、ふさぎこんでいるからそっとしておこうと放置することは賢明ではありません。

また、コップなどを落としてしまったり、トイレなどでの失敗、衣服の乱れなどに対しても、怒らず「積極的に」見守ることが大切です。

高齢者の抑うつは、他の世代のものと比べ自殺の危険性が高く、また確実性があることを常に念頭に置く必要もありますので注意してください。

確かに、介護する側の方の負担は外からはうかがい知ることのできない程重いものがあると思います。

しかし、せっかくそのお歳まで頑張ってこられたのです。病気の進行を最低限に抑えるためにも、介護する家族のためにもできることは応援してあげましょう。

認知症の人の行動は援助者の鏡

引用…厚生労働省

という言葉があります。

この言葉があらわしているとおり、周囲の不安やイライラはそのままご本人に伝わり、不安やイライラ、ひいては徘徊などの行動に現われてしまうのです。

分からないことは直接ご本人に聞いてみる、相談してみる、目線を合わせてじっくり話を聞くなど工夫をしてみましょう。

そして何より困ったら専門家にヘルプを出すことが大切です。

将来ではなく「今」を大切にしましょう

高齢者、特にMCI(軽度認知障害)の方を理解する際に大まかに次の3つに注目して
サポートしましょう。

  1. 身体について
  2. 精神的なこと
  3. 生活状況

当たり前のことかもしれませんが、上記の1~3は認知障害、MCIの患者さんと実際に接するにあたって工夫する際のヒントになります。

介護する側の精神的負担を軽減するには、述べてきたように、ご本人の立場に立ちながら「冷静に」目の前の状況を見極めていかなければなりません。

沢山の研究がされていますが、今現在アルツハイマー病を治すお薬は残念ながら出来ていません。しかし、今まで述べてきたように進行をある程度遅らせることはできます。

介護が始まると1日の休みもありません。常に冷静に受け止め、優しく対応し続けることは至難のことと思われます。

それでも周囲の接し方や症状の理解でご本人の症状を少しでも和らげられられることをご承知ください。

しかし全てを介護者が引き受け、共倒れになってしまったのでは元も子もありません。

どうなるか分からない将来についてあれこれ考えて不安になるより、目の前の方と共有している、貴重な「今」を大切にしましょう。

介護保険などの社会資源は積極的にかつ有効に活用し、お互いが少しでも穏やかに日々を過ごせることを願ってやみません。

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