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家族が認知症になった時の対応は?状態ごとの正しい接し方や支援とは

微笑む高齢の夫婦

認知症は誰でもかかる可能性がある病気です。

食生活や睡眠などの生活習慣の変化にも原因があると言われ、効果が見込まれる服薬の開発もされていますが、確固たる治療方法はいまだにみつかってはいません。

両親や配偶者など、大切な家族が認知症になってしまったとき、あなたはうろたえることなく対応できるでしょうか。

家族が認知症になってから勉強したのでは、遅いのです。今のうちから、認知症について正しい知識を得ておきましょう。必要なときには落ち着いた対応ができるよう、心構えをしておくことが大切です。

初期の段階のほうが進行を予防する手段を講じやすい!認知症は早期発見が重要

認知症は、進行性の疾患です。認知症にはさまざまな種類があり、その種類によって、現れやすい症状や進行の仕方が異なります。

ですが、どのタイプの認知症でも、早い段階でその兆候に気づくのが重要です。

認知症が進行していくと、伝えたことを理解できなくなったり、伝えたとおりに動いてくれないことが増えます。自分勝手な行動が目立ったり、こちらには理解できない理由で拒否をされたり、時には暴力を振るわれることもあります。

ですが、「もしかしたら認知症かもしれない」と思う程度の段階であれば、日常生活に多少の違和感やちょっとした失敗が見られる程度で、ひどい困難を感じることはまだありません。

それはすなわち、進行を防止させるための働きかけも、いろいろな手段でおこなえるということです。

認知症も初期であれば、本人に理解力や判断力が残されています。そのため、本人が自身の状態を理解し、取り組みに積極的になれるという利点もあります。

認知症の症状経過

認知症の進行によって、さまざまな機能が失われていきます。認知症が進行しても、その度合いに応じてできることはあります。ですが、本人に残された機能が多い方が、より広い選択肢で進行防止の手段をとることができるのです。

認知症ではなかったとき、その疾患の治療ができる

「認知症が疑われたけれど、実は認知症ではなかった」という場合もあります。

認知症の初期症状と、よく似た症状があらわれる疾患があるからです。認知症によく見られる物忘れや理由のわからない拒否は、うつなどの精神疾患にも見られます。脳梗塞の前兆にも、物忘れや記憶などの障害が見られることがあります。

認知症と似た症状が見られる疾患のなかには、早期に発見することで、重篤な状態になるまえに治療ができるものがあります。ちいさな違和感を気のせいだと思って見過ごしてしまうと、取り返しのつかない事態を招くことにもなりかねません。

うつ病
老年期のうつ病は、喪失や、身体の不調をきっかけとして起こしやすい精神疾患です。物忘れや被害妄想、不安感で落ち着かずうろうろ歩き回るなどの症状が見られ
ます。
脳梗塞
血管が詰まって脳への血流が止まったり、狭くなって血流が悪くなったりする疾患です。体の動きにくさや言語障害のほか、記憶・判断・思考などの分野に障害を起こします。
パーキンソン病
手足の震えや体のこわばり、抑うつ、言葉の出にくさなどの症状があらわれる疾患です。ほかの疾患でこの症状があらわれることを、パーキンソン症候群といいます。レビー小体型認知症は、パーキンソン症状があらわれます。

これらは比較的認知度の高い疾患ですが、なかには知られていないものや、検査をしてみて始めてわかることもあるでしょう。

認知症であれば、早期に発見することで、進行防止のためのさまざまな対策を考えることができます。認知症でなく他の疾患だった場合は、重篤な状態になるまえに治療ができるかもしれません。

これらのことからも、早期に異常を発見することの大切さがわかるでしょう。

認知症の初期症状とは?現れる具体的な言動

では、認知症の発症に気づくためには、どのようなことに気をつけておけば良いのでしょうか。

他人から指摘を受けると、普段は気にしないような些細な物忘れまで、「認知症なんじゃないか」と気になってしまうものです。

ですが、考えすぎて気に病んでしまうのも、あまり良いことではありません。認知症の初期症状について知識を持っておき、何が気を付けなくてはいけないポイントなのかわかるようにしておきましょう。

認知症にはさまざまな症状がありますが、よく知られていることは、物忘れや記憶障害でしょう。ささいな物忘れは、誰にでもあることです。ですが、認知症による症状は、ただの物忘れとは根本的に異なります。

いくつかの例を見てみましょう。

買い物で、すでに買ってあるものを、うっかりまた買ってしまったとき

ただ間違えて買ってしまっただけなら「ああ、家にあったんだったわ」と思うでしょう。一度そう思えば次回は気を付け、すぐに何度も同じように購入してしまうことはないはずです。

ですが、認知症の場合は、買ってあったことを忘れてしまい、また今回買ったことさえ忘れてしまいます。何度も繰り返し購入して在庫を増やしていき、なぜ在庫が増えていくのかよく分かっていないことも多いです。

人が誰だかわからない

久しぶりに会った人の名前が思い出せないことは、よくあります。どこで会った誰なのかは思い出せても、名前だけが出てこないなんてとき、きっかけがあったり名乗られたりすれば「ああ、この人はこういう名前だった」と思い出せるでしょう。

認知症の場合は、きっかけがあっても思い出せません。忘れてしまって思い出せないのは、名前だけとはかぎりません。その人がどこで会った誰なのか、自分とどういう関係なのか、その人の存在そのものを忘れてしまう場合もあります。

やるはずの動作がわからなくなる

なにかをしていた途中で別のことを始めてしまい、途中までやったまま放置してしまうことはありますね。多くの場合は、やりかけだったものを見れば、「あ、これはまだ途中だった」と思い出すはずです。

認知症の場合は、何をしていたか、途中のままになっていても思い出すことができません。それどころか、どうしてその場所にやりかけのものが放置してあるのかわからない場合もあります。

動作の途中で、続きをどうしたら良いかわからなくなってしまう場合もあります。

認知症の症状はさまざまで、必ずしもこのとおりとは限りません。間違えて覚えてしまうこともありますし、誤解したまま覚えた状態が長く続く場合もあります。ここに挙げた症状はただの一例で、当てはまらない症状があらわれることも多くあります。

大切なのは、日常で見られる違和感に気づくことです。

事態の観察だけでは認知症と断定することはできませんが、変化に気づき、気になった変化を専門家にきちんと報告して相談できることが、認知症の診断に結びつけたり、対応方法を考えたりするために大切なことなのです。

家族が認知症かも…?初期症状に気づいたらするべきこと

「家族が認知症かも知れない」と思ったとき、まず必要なのは、心構えです。

本人にもっとも近しい家族が、本人の状態を把握し、何ができて何ができないのかを理解してあげましょう。そして、その現状を、ありのまま受け止めてあげることが重要です。

まずは狼狽えずに、必要なことをひとつずつ確認していきましょう。

家族の認知症を疑ったら:本人の現状を、客観的に把握する

日常生活で明らかに問題が生じているのに、本人がそれに気づいていない場合があります。なんとなく暮らしにくかったり、不可解なことが増えたりして違和感を感じはしていても、その原因がなんなのかを理解できていないのです。

その場合には、まず、周囲の人間が、客観的な事実として本人の状態を把握することが大切です。何ができて何ができないのかを理解し、本人が今どういう状態なのかを把握しておくことが重要になります。

家族の認知症を疑ったら:本人を責めることはしない

本人の行動や動作を把握した結果、いろいろな心配が湧いてきて、あれこれと注意したくなってしまうかもしれません。時には、「どうしてできないんだ」と責める気持ちを持ってしまうかもしれません。

ですが、前述のように、自分では自分の状態が理解できていない状態だとしたら、本人を責めることは逆効果です。混乱や恐怖に陥れてしまったり、追い詰めてしまったりするリスクが高く、良い効果は得られないでしょう。

認知症の進行防止や状態の改善には、本人の協力が必要です。そのためには、本人が自分の認知症状について自覚することも必要な場合があるでしょう。ですが、本人に認知症の自覚を持ってもらうためには、相応の配慮と工夫が必要です。

家族の認知症を疑ったら:専門機関への相談をする

今や、認知症は珍しい疾患ではありません。精神科のほか、認知症を専門として扱う医療機関も増えてきています。診断や加療を望む場合には、医師への相談は不可欠です。また、介護保険を利用する場合にも、医師の所見が必要となります。

医療機関のほか、市役所の福祉関係の窓口にも、認知症についての相談を受ける場所があります。

自治体によっては、介護者向けに講習会を開いていたり、認知症患者の家族を支える会などもあるので、気になった場合は問い合わせをしてみましょう。

忘れてはいけないのは、目的はあくまで、認知症による困りごとを改善することにあるということです。本人が安全に穏やかに暮らせるようになることが目的であって、そのために本人を追い詰めてしまってはいけません。

そのためにも、本人を理解し、現状のありのままを受け入れてあげることが大切なのです。

診断を受けたら終わりではない!認知症だと判明したあとにすべきこと

認知症であることに気づいて、診断を受けたとしても、それで終わりではありません。むしろ、そこからが始まりです。

認知症の診断を受け加療を始めたとしても、かならずしもその効果が望めるわけではありません。認知症はいまだ未知の部分が多い疾患です。

医療機関へ受診し、認知症の進行防止のために服薬を始めたのならば、服用の管理や、変化を観察することが大切です。

介護保険などの公的サービスを利用するならば手続きが必要ですし、民生委員や住まいの地域の協力を得たりしているのならば、それらとの連携をとることが重要となります。

それらの要素を、ひとつひとつ見ていきましょう。

状態を把握し、適切な支援をする:医師にかかり、適切な加療を受ける

処方されている服薬が、医師の指示通りに服用できているかどうかは、とても重要です。正しく服用できていない場合も、そのことを隠さずに伝えましょう。今後の治療方針に大きく関わることです。

服用を始めてから変化したことはあるか、気になる副作用が現れていないかも重要です。そのほかにも、医師や薬剤師から服用に際して注意を受けたことがあれば、受診の際に特にしっかり報告できるようにしておきましょう。

状態を把握し、適切な支援をする:公的なサービスの利用申請をする

介護保険の利用について、これから利用を始めたいと思っている場合は、市役所の窓口や地域包括支援センターに問い合わせをしてみましょう。近隣に居宅介護支援事業所があれば、そちらでも相談業務をおこなっています。

介護保険では、薬剤師による指導や訪問看護師による体調管理、訪問介護員による生活の支援や、排泄・入浴の支援など、さまざまなサービスがあります。どれも「使いたければ使える」ものではなく、「必要性があると認められた場合に利用できる」ものです。

状態を把握し、適切な支援をする:情報をとりまとめ、連携しておく

家族以外に協力者がいる場合には、対応の方法についてよく話を聞いておきましょう。また、対応してもらったときにあった出来事などを、できるだけ聞いておきましょう。

それぞれで全く異なった対応をすると、本人に混乱を招くおそれがあります。出来事などを知っておけば、認知症状の変化にも気づきやすくなります。また、日頃から連携をとっておくと、もしも認知症の問題行動が見られた時にも、対応がしやすくなります。

いずれの場合でも重要となるのは、もっとも身近で本人を見ている家族による観察の目です。気づいたことがあれば相談ができるような関係を築いておくことが大切です。

施設やプロではなく、家族だからこそできることがある

認知症になってしまった方の対応をしていると、時に困難な問題に直面することもあるでしょう。対応ができるのか不安になってしまう場合もあるかもしれません。

確かに、医療や介護の専門職でなくてはできないことがあります。専門職はいろいろな認知症の方を見ていますから、状況や症状に応じた対応方法を心得ているでしょう。デイサービスなどの施設ならば、それなりの道具や設備も整っています。

ですが、家族でなくてはできないこともあるのです。

家族との関わりで、生きがいをもつことができる

認知症があっても、「大きな問題は起こさずにすむ間は、自宅での生活を続けたい」と思われる方は多くいます。同居できる家族がいる場合もあれば、同居できる家族がおらず独居での生活となる場合もあるでしょう。

同居にせよ、独居にせよ、どのような状況でも繋がりを持てる家族がいるということは、とても大きな心の支えとなるものです。

家族との関係のなかで自分の役割を持ち、その役割をこなすことが、誰かのために自分が存在しているという意義になります。その気持ちは、しっかり生きなくてはいけないという意欲に繋がります。

日々を生き生きと過ごすことや、楽しみを持つことは、認知症の進行を防止する大切な要素です。ひとりぽっちでは生きがいややりがいは感じにくいですが、関わりをもてる家族がいるのならば、きっとそれらを得られるその助けとなるはずです。

最期まで支えとなってあげられる

家族というものは、それだけで大きな存在となります。同居でも、離れて暮らしていても、いてくれるというだけで大きな意味を持ちます。

認知症が進行していくと、さまざまなことに意欲を失ってきます。だんだんとできることが減っていき、忘れることが増え、食べることや水を飲むこともしなくなっていきます。

いずれは、大切に思っていた家族の名前や存在さえも忘れてしまうかもしれません。そのショックは、おそらくとても大きなものでしょう。認知症に伴って起こるさまざまな問題よりも、ずっとショックを受けることかもしれません。

けれど、本人がなにもできなくなっても、最期までそばにいられるのが家族です。何の役割や業務上の役目がなくても、いなくてはいけない理由がなくても、そばにいてあげられるのが家族というものです。

認知症の発症初期から関わりを持ち続けて進行防止に努め、経過を見守ってきた家族だからこそ、こめることができる想いがあるはずです。

認知症の方の生活は、周囲の対応次第で変わる

認知症はさまざまな面で困難となりがちな疾患ですが、誰でもなりうる疾患です。「自分だけは大丈夫」ということはないのです。

本人の変化や、今、本人が穏やかに過ごせるために何が必要なのかを考えましょう。

目先の治療ばかりにとらわれず、それが本人にとってどういう影響をもたらしているのかをしっかりと見ることが大切です。そして、改善に向けての行動を、専門機関と連携しておこなっていきましょう。

そして、医療機関にかかるばかりが認知症の治療ではありません。認知症の進行予防のためには、日々を生き生きと過ごすことや、やりがい・生きがいを持つことが大切です。

そのためには、本人にとって特別な存在である、家族の支援が大きな意味を持ちます。家族だからこそできることや、家族でなければできないことがあるということを、しっかりと意識して関わりをもちましょう。

それができたならばきっと、大切な家族の人生をより良いものにしてあげられるでしょう。

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