健康生活TOP 認知症 【認知症の介護】負担を軽くする工夫と社会福祉制度の利用について

【認知症の介護】負担を軽くする工夫と社会福祉制度の利用について

介護

高齢化が進むにつれて、認知症という病名は、何かと耳にすることが多くなりました。新しいことが覚えられなくなり、いろいろなことができなくなって、子供の顔さえ忘れてしまう人もいます。

「自分がそうなったらどうしよう」「親がそうなったら、自分に介護ができるかな」 と、不安を抱えている方も多いでしょう。何というほどのことでもない物忘れにも、過敏になってしまっている方もいるのではないでしょうか。

そこで、漠然とした不安を抱えて過ごすのではなく、認知症という病気を学んでみませんか?

よくわからないものだからこそ、不安も恐怖も増すのです。いつか訪れるかもしれないその時のために、不安に思うだけで終わるのではなく、この病気のことを理解して対応のコツを知っておきましょう。

みられる特徴はどのタイプ?認知症にはいくつかの種類がある

認知症は、脳の異変が原因で起こる症状です。覚えていたことを忘れて思い出せなくなる、場にそぐわないおかしな行動をとる、言葉がスムーズに出ずうまく喋れなくなるなど、これらはよく知られた症状でしょう。

ですがその他にも、認知症の原因となる疾患によって、現れやすくなる特徴的な症状があります。もちろん個人差はありますが、どの疾患にどういった特徴が現れるのかを知ることで、先の見通しが立てやすくなるはずです。

比較的発症例の多い認知症の原因疾患を例にとってみましょう。

アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症は、物忘れの進行・思考力の低下・判断力の欠如が特徴です。症状が進行すると、会話や意思疎通も難しくなり、生活全般に介助が必要になっていきます。身体機能も低下し、最終的には寝たきりになる場合もあります
レビー小体型認知症
レビー小体型認知症では、物忘れの他に、実際にはないものが見える「幻視」がおきたり、幻視がある故に異常な行動をとったりすることがあります。手足の筋肉のこわばりや、小刻み歩行や動きの鈍さなど、「パーキンソン症状」が現れます。
脳血管性認知症
脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血など、脳の血管が詰まったり破けたりしておこります。意欲の低下やめまいなどのほかに、ささいなことでも泣き出したり怒り出したり、感情がうまくコントロールできなくなる「感情失禁」が特徴です。
前頭側頭型認知症
前頭側頭型認知症では、物忘れはあまり進みませんが、突飛な行動や発言をしたり、同じ動作を意味なく反復したり、明らかに異常な行動が見られるのが特徴です。ピック病や前頭葉変性症もこの前頭側頭型認知症の一種です。

実際には、ほかにも数多くの種類の認知症があります。

認知症かもしれないと思ったら、物忘れや記憶障害の他に、これらの特徴について観察してみてください。医師へ相談する際にも、必ず役に立つ情報となります。

認知症の進行を防ぐには、生活に適度な刺激が必要

認知症にはつきものの、物忘れや記憶の欠如。これらが進んでいくのを防ぐには、適度な刺激のある日常を過ごすことが重要です。

刺激といっても、過激なものではありません。人と会って、なるべく言葉を発し、ものを作らせたり運動させたりして、活動的に過ごすようにしましょう。特別な行動でなくて良いのです。料理や掃除、洗濯物たたみなど、普通に暮らしていればおこなうことも、生活の上での大切な刺激です。

認知症が進んでくると、これらの当たり前の行動も、徐々にできなくなっていきます。「できなくなったから、やらない・やらせない」では、物忘れを進ませる悪循環となります。一人ではできなくなっても、会話を楽しみながら一緒に取り組んでもらいましょう。

かといって、できなくなったことを無理にでもやらせるのが良いわけではありません。本人ができること・やりたいこと、助けがあればできることなど、過剰なストレスにならず取り組めることをやり、本人が達成感を得られることが一番 です。

この時に、認知症の種類ごとの特徴について思い出してみてください。認知症のタイプによって起こりやすい症状や特徴を知っていれば、どのような手助けがあれば何ができるかを、より考えやすくなるはずです。

「認知症という病気のせい」と周囲が受け入れることが重要

認知症が進行すると、患者は周囲が驚くような行動や発言をすることがあります。

思いやりがなくなって攻撃的になったり、自己中心的になったり、性格面での変化が見られる場合もあります。また、物を盗まれたと思い込んで言いがかりをつけたり、他人の物を持ってきてしまったりと、周囲の人に迷惑をかける行動もあるかもしれません。

他人に迷惑をかけても、自分が悪いと自覚できない場合も多く、他人を悪者にすることも珍しくありません。認知症になってしまったのが大切な人であればあるほど、そういったトラブルに直面した時のショックは大きいでしょう。

ですが、それは病気がさせること だと理解しましょう。治療が可能な認知症もありますが、多くの場合、もとに戻す・完全に治すということは困難です。本人が自分の間違いを理解して反省することも、難しいことが多いです。

「どうしてこんなことをしたの」と責めることは、本人に大きなストレスと嫌な気持ちを残します。本人が自分がしてしまったことを忘れても、嫌な気持ちをしたことはずっと残ります。出来事そのものは忘れてしまっても、その時の感情だけは心に残っているのです。

嫌な気持ちが本人の心に残ると、介護者との関係が悪くなり、声かけなどを聞き入れてもらいにくくなります。そうなると、一緒に何かをしたり動作を手伝ったりすることを受け入れてもらうことが難しくなり、今後の介護が一層大変なものになってしまいます。

まずは、主に介護をする方が、「この迷惑な行動は、認知症という病気がさせるものなんだ」と理解しましょう。そして周囲にも、これは仕方のないことなのだと理解と協力を求めましょう。

社会福祉制度をうまく活用しましょう

いくら「病気だから仕方ない」と思っても、周囲に迷惑をかけるのは嫌なものですよね。そこで、社会福祉制度を活用することを考えましょう。

65歳以上ならば、認定を受ければ介護保険が利用できます。介護保険では、自宅に来てお風呂やトイレなどを手伝ってくれる訪問介護、健康管理や医療処置のための看護師さんが訪問してくれる訪問看護、午前中から夕方まで預かってくれるデイサービスなどがあります。

「家族がどうしても出かけなくてはいけない、けれど一人にはしておけない」という時には、数日間のお泊りができるショートステイを利用することもできます。また、デイサービスとショートステイと訪問介護の機能をあわせ持つ小規模多機能型居宅介護というものもあります。

どのサービスを利用する場合にも、専門の知識を持ったスタッフと、介護の悩みを相談することができます。生活スタイルに合わせてうまく活用すれば、認知症の家族とともに家で暮らすための、大きな助けになるでしょう。

もしも自宅での暮らしが難しくなった場合も、施設への入所には介護保険制度を利用することになります。生活に助けが要るようになったと思い始めたら、要介護認定の申請を考えてみてもいいかもしれません。

また、ケースによっては障害者認定を受けられる場合もあります。認知症には、被害妄想などの精神症状が現れるものや、時間や場所が分からなくなる高次脳機能障害と呼ばれる症状、レビー小体型認知症のように体の動きにくさが現れるものがあるからです。

障害者認定を受けるには条件があり、適用も介護保険が優先となりますが、障害者認定を受けているからこそ利用できる扶助もあります。ただし、障害認定を受けるには、指定を受けた医師の所見が必要だったり、申請をしたり、審査を受けたりするなどの手間がかかります。

介護保険も障害者認定も、自治体によって受けられる支援に異なりがあります。制度を利用したいと思ったら、まずは専門の窓口に相談しましょう。

どこに、なにを相談すればいいか

認知症や要介護認定、障害者認定に関する相談窓口は、いくつかあります。

  • 地域包括支援センター
  • 市役所の相談窓口
  • 居宅介護支援事務所
  • 医師(かかりつけの医師、精神科医など)
  • 認知症患者の家族会・協会など

認知症の人を介護するときの相談窓口としてまず知っておきたいのが、地域包括支援センターです。主任介護支援専門員、保健師、社会福祉士などの資格を持った職員が、認知症を含めた高齢者介護についての様々な相談に応じてくれます。

地域包括支援センターは、地区ごとに担当のセンターが異なります。担当の地域包括支援センターがどこなのかは、市役所に聞くか、電話帳で調べましょう。インターネットでも、検索ワードに「住まいの町名」と「地域包括支援センター」を入力すれば、簡単に調べることができます。

市役所にも、高齢者介護や障害福祉についての相談窓口があります。窓口の名称は役所によって多少異なりますので、受付等で「高齢者介護について相談がしたい」「障害者認定について知りたい」と伝え、対応の窓口を教えてもらいましょう。

お近くに居宅介護支援事務所があるなら、そこに問い合わせをしてみるのも一つの手段です。居宅介護支援事務所は、高齢者介護の専門職であるケアマネジャーがいる事務所です。ここでは主に、在宅生活のための支援をします。

普段かかっているかかりつけの医師がいるなら、気になる症状を医師に伝え、相談してみましょう。認知症の中には、治療をして改善できるものもあります。検査や加療のために他の病院にかかる必要がある場合にも、必要な連携を取ってもらう相談ができるはずです。

他に、認知症患者の家族で構成されている会や、認知症についての相談に応じてくれる集まりもあります。家族向けに開かれている勉強会や講習などもあります。多くの場合は市役所に情報があるので、足を運んだ際には掲示物を気にして見ると良いかもしれません。

相談する前に考えて!自分がどうしたいか、何ができるのか

どこに相談する場合も、なにを相談したいのか、自分の中で要点を整理しておきましょう。せっかく相談に行っても、愚痴や不安を訴えるだけでは、ムダな時間を沢山使ってしまいます。

下記の項目については、相談の前にまとめておくときっと役に立つでしょう。

  • 本人はどういう状態なのか
  • どういう事柄について、どのように困っているのか
  • 家族はなにをしてあげられるか
  • どのようにしたいのか

少なくとも、本人に現れている症状と、困っている内容については、説明できるようにしておきましょう。また、施設入所や介護保険を利用するには費用がかかるため、相談内容によっては、本人の収入額や家族からの資金援助ができるかなど、金銭的な情報も必要です。

相談の例:1)

物忘れが進んで、一人にしておくとご飯も食べずにボーっとしている。同居している家族はいるが、昼間は仕事に行ってしまうので、家に一人になる。誰も相手をしてやれずに物忘れが進んでいくのも心配なので、何か利用できる制度はないか。

相談の例:2)

本人は一人暮らしで、家族は同居できないが、最近物忘れが進んで、もう家に一人にはしておけない。本人の収入はいくらくらいで、家族はいくらくらい出せる。施設入所をさせたいが、どのような施設があるか。入所の手続きはどのようにしたらいいか。

家族が認知症となった時、自分がなにをしてあげられるか。それを自分で把握しておくことは、無理のない介護のための重要な要素です。誰かに相談するときにも具体的な話ができるようになるので、介護についての助けも求めやすくなります。

家族がイライラして余裕なく過ごしていると、それが相手にも伝わり、さらに問題行動をおこす…なんてことにもなりかねません。介護者が気持ちの余裕を持つことは、認知症患者に対しても、良い効果をもたらすのです。

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