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認知症は突然やってくる!アルツハイマー病・物忘れの違いと接し方

「最近、物忘れが多いな」と思うことはありませんか?

認知症についての情報が多く出回っている昨今、ちょっとした物忘れでも「認知症なのではないか」と思ってしまうことがあるでしょう。

不安に対して備えることは大切ですが、いたずらに不安や恐怖を抱いていては、ストレスばかりが大きくなってしまいます。

認知症による記憶障害と、ただの物忘れには、決定的な違いがあります。正しい情報を得て、適切な対応ができるようにしましょう。

ここでは、認知症のなかでも知名度の高い、アルツハイマー型認知症についてご説明します。

ただの物忘れと、アルツハイマー型認知症の違い

まず、アルツハイマー型認知症の特徴について知りましょう。

アルツハイマー型認知症は、加齢による変化ではなく、脳の異変による疾患です。「記憶を忘れてしまう」という点では同じように見えたとしても、ただの物忘れと、アルツハイマー型認知症では、決定的な違いがあります。

アルツハイマー型認知症がおこるしくみ

アルツハイマー型認知症は、脳そのものにおきる変化が原因となる疾患です。アルツハイマー型認知症にかかってしまった脳と、正常な脳を見比べると、決定的な違いに気づくでしょう。

アルツハイマー型認知症脳と正常脳の比較
(出典…認知症とは – 認知症予防財団)

アルツハイマー型認知症にかかってしまった脳は、長い時間をかけて、すこしずつ萎縮していきます。

脳のなかで情報の伝達がうまくできなくなり、脳の記憶や学習をつかさどる分野がうまく働かなくなっていくのです。

脳の変化が拡大され、アルツハイマー型認知症が進行すると、阻害される領域も広い分野になっていきます。性格の変化や、感情のコントロールがうまくいかなくなり、被害的な妄想が現れたり、親しい家族すら識別が難しくなることもあります。

病状の進行速度や、阻害される領域、問題とされる行動は、個人差によるところも多くあります。「アルツハイマー型認知症にかかると、絶対にこうなる」とは言えませんが、疾患としては比較的わかりやすい特徴があります。

  • 脳そのものが変質しておこる、進行性の脳の病気である
  • 忘れたこと自体を忘れてしまうので、自分で気づきにくい
  • 徘徊や昼夜逆転、被害妄想などの症状があらわれることがある

必ずしもこの範囲ではないかもしれませんが、基本的な事項として、覚えておくと良いでしょう。

ただの物忘れは、どういう状態か

ただの物忘れは、アルツハイマー型認知症とは違います。

年をとれば、体の機能が衰えるのは当然のことであり、それは記憶や学習の分野でもあたりまえに起こることです。記憶力や判断力、新しい環境に慣れる適応力などが低下したり、物忘れが多くなったりするのも、ごく自然なことです。

ただの物忘れの場合は、アルツハイマー型認知症とは違う特徴があります。

  • 忘れてしまっても、指摘やきっかけがあれば思い出せる
  • 自分が「忘れた」こと自体は覚えている
  • 自我は保たれており、徘徊や妄想はない

この違いを覚えておくと、判断材料として役に立つでしょう。ですが、もしもただの物忘れだった場合にも、安心してそのままにしておくのはよくない場合もあります。

活動せずに過ごしていると、脳は、働くことを忘れてしまいます。閉じこもった生活をして鬱々とした毎日を過ごしていると、うつ病の原因にもなります。認知症発症の原因にもなったり、ほかの精神疾患をまねくことにもなりかねません。

物忘れが増えてきたことに気づいたなら、それは生活スタイルを見直すチャンスです。

「ただの物忘れ」と放置するのではなく、日常生活の過ごし方について、改善を考えてみましょう。

アルツハイマー型認知症が疑われたとき、まずどうするべきか

アルツハイマー型認知症は、認知症の中でも知名度の高いものです。日常生活に影響するような物忘れや問題行動が見られたとき、まず「アルツハイマー型認知症ではないか」と思う方も多いでしょう。

アルツハイマー型認知症の初期症状を知り、初期の段階での対応方法についてポイントを押さえておきましょう。

アルツハイマー型認知症の初期症状

アルツハイマー型認知症に気づくきっかけは、「ふとしたときに、おかしい行動をとっていることに気づいた」というものが多いのではないでしょうか。

  • 久しぶりに会ったら、顔も名前も関係も思い出せなかった
  • 食器棚に靴がしまってあるなど、あきらかにおかしい行動が見られた
  • 指示した行動が理解できず、言われた通りに動けなかった
  • 同じ物が大量に買い込まれ、物品の在庫管理ができていなかった

別居の両親など、久しぶりに会う人に対しては特に、これらのように「いままでできていたこと・できて当たり前のことが、できなくなっていた」ことに気づくケースが多いでしょう。

アルツハイマー型認知症の症状概要図

アルツハイマー型認知症の症状は、上記の図のように、中核症状と周辺症状に大きく分けられます。病状が進行していくにつれ、生活に支障をきたす行動が増えていきます。

アルツハイマー型認知症の進行を防止するためには、早期の段階での発見が重要です。

初期の段階でアルツハイマー型認知症の発症に気づくことができれば、残されている機能も多くあるので、進行防止のためのいろいろな手段を試すことができます。症状が進行してからでは、指示や誘導に応じてもらえず、手段が限られる場合があるのです。

ただの物忘れとの区別をつけて、早い時期での対応をこころがけましょう。

判断がつかない場合は、不安を抱いたまま悩むのではなく、「物忘れ外来」など専門機関へのへの受診を検討しましょう。

アルツハイマー型認知症の治療方法

アルツハイマー型認知症と診断がおりた場合、まず、何をするべきでしょうか。

本人のもともとの性格や暮らし方、一人暮らしか家族同居か、友人などの協力者が近くにいるかどうかなど、状況によって、必要な対応は異なります。また、どの段階で発見できたかも重要な要素です。

まずは、対応のために心がけておきたい基本的なことと、アルツハイマー型認知症治療として現在一般的におこなわれている方法について見てみましょう。

対応のために押さえておきたいポイント

進行性の疾患であることや、治療方法が見つかっていないことに、悲観的になることもあるでしょう。徘徊や被害妄想など、対応に苦慮する症状がいつあらわれるかと、不安を抱くこともあるでしょう。

ですが、まず心がけておきたいのは、その段階で過剰な不安を抱きすぎないことです。将来あらわれるかもしれない症状に対して不安を抱くのではなく、現在の本人の状態をしっかりと把握し、まずは今の状態に対して必要なことを考えましょう。

今後の予測は、確かに、とても大切なことです。ですが、まだあらわれてもいない症状に対して、「いつかこうなるかも」と怯えすぎることは、誰にとってもプラスにはなりません。

また、本人を責めないことも重要です。本人が、自分の症状について理解できていない場合も多いです。その様子に、「自分のことなのに」と苛立ちを覚えてしまうこともあるでしょう。何度も同じ話を繰り返されて、イライラしてしまうこともあるでしょう。

ですが、本人は、決してなにも分かっていないわけではありません。自分が忘れてしまうことで周囲が苛立っていれば、不安を強く感じます。その感情は強く残る場合もあり、ときには何が不安なのかわからないまま不安になっている場合もあります。

嫌な気持ちがのちのちに残ってしまうと、ふとしたきっかけで、その気持ちだけがあらわれてしまうことがあります。思い出し笑いや思い出し泣きのように、思い出したように不安があらわれ、過剰な怯えや拒否を招いてしまう可能性があるのです。

認知症の方を相手に、感情を穏やかに保って接することは、なかなかに難しいことです。ですが、できるかぎり、穏やかに接するように努めましょう。それはきっと、認知症が進行した際にもプラスに働くはずです。

実際に用いられている、認知症の治療薬

認知症は、現在でも、その解明と治療について研究が進められています。確実に効果が得られる決定的な治療方法は見つかってはいませんが、加療のために用いられている服薬はいくつかあります。

アリセプト(ドネペジル)
アセチルコリンという神経伝達物質を増加させて、神経活動を高める働きをします。アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症に適用します。

消化器系の副作用が多く見られることに注意しましょう。また、攻撃性が強くなったり、徘徊が多くなったり、レビー小体型認知症では体の動きにくさが強く見られるようになったりといった症状があらわれる可能性があります。

メマリー(メマンチン)
アルツハイマー型認知症に適用とされています。めまいや眠気などの副作用があらわれることがあります。ほかの薬と併用されることも多くあります。
リバスタッチ・イクセロンパッチ(リバスチグミン)
アルツハイマー病に有効とされる薬です。アリセプトと同じように、アセチルコリンという神経伝達物質を増加させて、神経活動を高める働きをします。皮膚をとおして薬剤成分が体内に吸収される、貼り薬なのが特徴です。
抑肝酸
神経のたかぶりを鎮める薬です。これは漢方薬で、赤ん坊からさまざまな精神症状まで、広い範囲で適用されます。漢方とは言え副作用がまったくないとは限らないので、気になる症状があらわれたときには、きちんと医師や薬剤師に相談しましょう。

これらの服薬は、効果を約束されているものではありません。得られる効果も、副作用にも、個人差があります。人によっては副作用のほうが強くあらわれてしまい、望む効果が全く得られず、問題行動ばかりが増えてしまうケースもあります。

「服薬を始めれば認知症は治るから、これで安心」というものではありません。むしろ服薬を始めてからの方が、気をつけなくてはいけないことがたくさんあります。

  • 処方された指示通りに、正しい時間に正しい量を飲めているか
  • 服用を始めてから、変わった様子はないか
  • 落ち着きがなくなったり、徘徊や暴力がひどくなったりはしていないか
  • 傾眠や便秘、嘔吐やめまいなど、気になる症状はあらわれていないか

薬による副作用と思われる症状があらわれた際には、医師や薬剤師に相談をしましょう。医師は、服用中の様子を見ながら、服薬の量や種類を検討します。気になる症状があれば、きちんと医師に相談しましょう。

ときには、ほかの医師に相談する、セカンドオピニオンを検討する必要もあるかもしれません。医師にはそれぞれ専門とする分野があり、病状についてアプローチする方法も異なる手段を持っている場合があります。

いずれにしても、本人の状態をよく観察し、適切な場所に相談をすることが重要です。

また、服薬だけに頼らず、日常生活の過ごし方を見直しましょう。誰かとたくさん会話をすることや、笑って楽しく過ごすこと、夜しっかり眠って朝きちんと起きることも大切です。何気ないことですが、重要なことです。

より良い介護をするために、大切なこと

認知症患者の介護は、介護者に大きな負担となるものです。拒否や暴言、暴力による精神的な負担も大きいですが、徘徊や異食などの問題行動があっても事故なく過ごせるようにするには、介護者が見守り適切に介護する必要があります。

そのストレスは、ひとりで抱え込むにはひどく大きなものです。負担が大きくなったときは、周囲の助けを適切に借りましょう。

周囲に理解を求める

周辺住民に理解をしていてもらうことは、とても重要です。

徘徊をしたり、つじつまの合わない会話をしてしまったり、道理の通らない言いがかりをしてしまうや奇声を上げてしまうこともあるかもしれません。また、自分が被害者になって家族を悪く言う被害妄想があらわれるかもしれません。

そういったときに、周囲が認知症のことを理解してくれていると、大きな助けになります。近隣との関わりが希薄な昨今では、なかなか難しいことかもしれません。が、認知症患者を有する家族にとっては欠かせないことでもあります。

民生委員に相談する

民生委員は、福祉についての情報にも詳しく、さまざまな家庭のケースを知っています。また、民生委員をとおすことで利用できる社会資源もあります。地域によって利用できるものに違いがありますが、きっと生活の助けになるはずです。

地域ごとに担当が決まっており、担当の民生委員がどなたなのかは、市役所に訊くと教えてくれます。担当は、女性の場合もあれば、男性の場合もあります。地域に貢献してくれている方々ですから、感謝の意をこめて接しましょう。

障害者認定による制度を利用する

認知症による周辺症状を理由として、障害者認定を受けられる可能性があります。介護認定を受けている場合は、原則として介護保険が優先となりますが、障害認定を受けているからこぞ受けられる控除もあります。

とはいえ、実際に障害者認定に該当するかどうかは、申請をしてみないとわかりません。申請に必要な書類には、その書類の作成を認められた医師に依頼するものもあります。

もしも必要と思われたなら、市から認定申請に関わる資料を受け、医師や病院の相談室等に相談をしてみましょう。

介護保険サービスを利用する

年齢や疾患などの条件によっては、介護認定を受け、介護保険サービスを利用することができます。本人が生活動作を自立できず、家族の支援だけでは苦慮している状態であれば、認定申請を考えてみましょう。

自宅での生活だけで乗り切ろうとせず、自宅外に本人を送り出すことを考えても良いでしょう。多くの方は、自宅から離れることを嫌がるかもしれません。ですが、家族の負担を考えるなら、ショートステイやデイサービスの利用を勧めたいところです。

本人にとっても家族にとっても、より良い生活になるよう考えよう

物忘れと、アルツハイマー型認知症の違いについて、お分かりいただけたでしょうか。違いを分かっておくことができれば、漠然とした不安に振り回されることなく、良いタイミングで適した対応をおこなえるでしょう。

アルツハイマー型認知症は、本人に多様な変化をもたらします。それによって、家族の生活も、変化させていかなくてはいけない部分が多くなるでしょう。

大切な家族としての関係を破綻させず、困難があっても解決に向けて協力していけることが大切です。誰にとってもより良い生活ができるように、ときには外部の協力も求めながら、工夫した対応をこころがけていきましょう。

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