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アルツハイマー型認知症を予防するライフスタイルの見直し9ヶ条

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アルツハイマー病は認知症の中心を占める大きな病気であることは皆さんよくご存知だと思います。しかし、ある程度研究が進んできたとはいえ、まだ原因も治療法も完全に確立されたとは言えません。

もちろん世界中の研究者の先生たちは、この病気に対して日夜研究を重ねておられることでしょう。その数々の研究データを俯瞰して解析する手法から、一つの予防に関するヒントが見えてきました。

この研究は観察研究ですから、リスクの増減について因果関係を証明すると言った性質のものではありません。今回は、データを皆さんが読み解かれる際の参考に、筆者なりの解釈も加えてありますから、それを踏まえてお読み下さい。

メタアナリシスによって見えたアルツハイマー病のリスク

メタアナリシスとは複数の研究の成果を一つにまとめて、総合的に分析する解析テクニックのことです。

アメリカの医学系大学院大学であるカリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究グループは、この解析テクニックを使ってアルツハイマー病のリスクファクターについて分析を行いました。

その結果、民族ごとの差異などはあるけれど、9つのリスクファクターが全アルツハイマー病の2/3に関係している事が判りました。

お薬と食事がアルツハイマー病のリスクを下げる

現在のところアルツハイマー病を完治させる方法は見つかっていません。それだけに予防や発症後の症状の進行を食い止めることは非常に重要なことと言えるでしょう。

まず、メタアナリシスで見つかった、アルツハイマー病の発症リスクを軽減してくれる可能性のある因子です。もっとも可能性が高い保護効果を示したのは8種類です。

但し、これらは「発症予防」についてですので、発症してからの進行抑制に役立つかどうかは分かっていません。

まずは医薬品関係の因子4つ。

  • エストロゲン(女性ホルモン)
  • スタチン(脂質異常症治療薬)
  • 降圧薬
  • 非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)

これらを使用して、既存疾患の改善を進めることがアルツハイマー病の予防に役立つようです。別の情報によると、ここで示された降圧薬はアンジオテンシンII受容体拮抗薬であるようですね。

そして食事関係の因子4つ。

  • 葉酸
  • ビタミンC
  • ビタミンE
  • コーヒー

これらを積極的に摂ることもアルツハイマー病の予防に役立つと、研究グループは報告しています。

生理的なリスク・精神的なリスク

メチオニンと言う必須アミノ酸があります。これは代謝されてホモシステインと言う物質になり、再びメチオニンに戻らない場合、L-システインと言う物質に代謝されます。

しかし、何らかの事情でこのホモシステインの代謝が上手く行かず、身体の中にたくさん存在するようになると、血液中から尿に排泄されるようになります。

この状態はアルツハイマー病のリスクを高めます。

また、精神的な疾患の影響ですがうつ病だけがアルツハイマー病のリスクを高める事が判りました。

既存の病気が与えるアルツハイマー病への影響

ちょっと不思議な関係ですが、既存の病気がある方がアルツハイマー病のリスクが下がると言うこともあるのです。

ただ、これはその病気に対する治療方法がアルツハイマー病のリスクを下げているのか、その病気そのものにアルツハイマー病を抑制する働きがあるのかは不明です。

  • 関節炎
  • 心疾患
  • メタボリックシンドローム
  • がん

メタボリックシンドロームがアルツハイマー病のリスク低下に関わると言うのは、これまでの常識とは全く逆なので意外ですね。

しかし、ランダム化比較試験のメタアナリシスと言う、最も信頼性の高いグレード1のエビデンスレベル(検証結果の度合い)を持っていますので信頼に足ると思います。

ただ、アルツハイマー病のリスクが下がるから、心臓病になりましょうとか、がんに罹りましょうなんて誰も思いませんよね。同じで、メタボも避けなくてはいけない要因だと思います。

逆にアルツハイマー病のリスクを上げる既往症と言うのもたくさん存在します。その中ではっきりとリスク上昇に関連していたのは次の通りです。

  • フレイル(脆弱性)
  • 頸動脈狭窄
  • 高血圧
  • 低すぎる最低血圧
  • アジア人の2型糖尿病

私たちは欧米人やアフリカ人たちより、一つ余分にリスクを抱えているようですね。皆さん気を付けましょう。

ライフスタイルはアルツハイマー病のリスクに大きく関係している

もちろんこれまでに説明したこともライフスタイルの一環です。しかし、より踏み込んだライフスタイルと言うものに注目してみましょう。

こんなものが影響するのかと驚くような、かなり意外な関係が見えてくるのです。

アルツハイマー病のリスクを”下げる”ライフスタイル

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ライフスタイル関係でも、もちろんリスクを上げる要因と下げる要因が見つかっています。まずはアルツハイマー病のリスクを下げてくれる要因を見てみましょう。

  • 認知的活動
  • 適度な飲酒
  • ストレス
  • 高齢者のBMIが高いこと
  • アジア人以外の喫煙

いきなり難しい言葉が出てきました。認知的活動とはいったいなんでしょうか。大まかに説明すると、ある特定の物に対して、それが何であるかを認識し判断し解釈する活動のことです。

例えば、野原をぼーっと見ているだけでは、ほとんど認知的活動を行っていません。しかし「あぁ、木の生えていない草原だな」と、その野原の属性を認識した段階で少し認知的な動きがあります。

その中に白い花を見つけたとします。それに注意を向けるか向けないかで認知的活動に差が出ます。「白い花が5本咲いているな」と数まで意識すればさらに認知的活動は進みます。

「何の花だろう」と疑問を持って図鑑などを調べればより認知的活動をしたことになりますね。「タマスダレと言うのか」と興味を覚えればより一歩踏み込めます。

“Zephyranthes candida”と言う学名なんだと知ればもっとですね。さらに「タマスダレと言えば南京玉すだれなんて大道芸があったっけ」と連想を広げるのも認知的活動です。

ちょっとおしゃれに「ゼフィランサス…ゼフィロスと言えばギリシャ神話の風神様だよね」と言う昔の記憶と繋げるのも認知的活動の一つです。

「ゼフィロスはボッティチェリのプリマヴェーラに描かれた、顔色の悪い神様だったっけ?」なんてレベルになると、学生時代の勉強が役に立つかもですね。

簡単にまとめると「頭を使う」と言うことが「認知的活動」と言っていいでしょう。

そして、この例で書いたように「いろんなものに興味を向ける」「自分の記憶を呼び覚ます」と言うのが手軽な認知的活動の増やし方だと言えますね。

適量とは言え飲酒が良い方に働くのはリラックス効果からでしょうか。あるいは血流量のアップかもしれませんね。いずれにせよ適量と言うのが非常に重要になってくると思われます。

一方、ストレスもアルツハイマー病のリスクを下げるんですね。これはストレスを抱えた時、その問題に対処しようと言う行動こそが「認知的活動」にあたるんじゃないでしょうか。

高齢者のBMIが高い、つまり太目の老人はアルツハイマー病のリスクが低いと言うことですね。これはもしかすると栄養状態の不良によってBMIの低い高齢者が多く、それが悪影響を与えているからかも知れません。

喫煙もアルツハイマー病のリスクを下げる要因になり得るようです。ただし、ここに示された通りアジア人には当てはまりません。日本人である私たちは禁煙一択ですね。

アルツハイマー病のリスクを”上げる”ライフスタイル

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アルツハイマー病になりやすくなるライフスタイルは以下の物が挙げられています。

  • 低学歴
  • BMI低値
  • 中年期のBMI高値

低学歴なんていまさら言われても…と言う心配は必要ありません。日本ではどうしても学歴と言うと20代前半までに積み上げるものだと言う考え方になりがちですが、世界的にはそうじゃありません。

社会に出てビジネスの上で必要になったり、自分の能力を高めたくて中高年になってから大学や大学院に入学する人も少なくないのです。

妊娠出産、さらには子育てを終えてから博士号を目指すお母さんと言う存在も、家庭の事情で義務教育もそこそこに社会に出たけれど、社長になったから高校に進むなんて人も世界を見回せばいっぱいおられるんですよ。

ですから、年齢に関係なく学ぶ姿勢を持ち続けることがアルツハイマー病のリスク上昇を防いでくれると考えるのが正しいでしょう。ただ「自分で独学で勉強する」と言うのは、効果としてどうなのかはわかりません。

これは筆者の個人的な意見ですが、学歴を得ると言うことは与えられたタスクをこなすと言う努力に他なりません。ですから、その時の自分の状況に応じて学校にタスクを与えてもらう方が好ましい影響が期待できるでしょう。

そこで利用できるのが放送大学です。さまざまな履修の仕方がありますが、義務教育さえ終えていれば入学できますし履修年限も4年以上と言うだけですから自分のペースで学べますね。

何を持って「低学歴」とするのかも環境によって異なるでしょうが、放送大学には博士後期課程もありますので、充分高学歴になり得る教育を受けられますよ。

学位を取得する場合は入試や事前資格、内部での審査や口頭試問も必要ですが、普通に日本在住であれば誰でも学べると思って差し支えありません。こうした制度を利用して学び続けることでアルツハイマー病のリスクを低減できます。

また注目すべきはBMI低値です。これはいわゆる痩せ状態(BMI18.5kg/m2未満)の人ですね。やはり寿命だけではなく健康寿命の問題においても痩せは大きなリスク要因であるようです。

一方、中年期のBMI高値、つまりいわゆる「中年太り」も危険因子と言うことです。肥満は動脈硬化によって脳血管障害を起こしたり、肝疾患によって脳症に繋がったりすると言う危険性を示しているのでしょう。

さらに詳細に分析が進められた結果、BMIに関しては低値、つまり痩せの状態が全体としてのリスク上昇に関係していました。

ですから、現役世代のうちは常に普通体重を維持するように注意して、太るなら高齢者になってから、と言うことになりそうです。

世界的に見て9個の因子がアルツハイマー病の2/3に影響

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痩せの状態がリスク上昇に関与しているとはいえ、世界的にデータが揃っている状態で見ると、肥満がリスクファクターとして取り上げられています。

体重に関しては生活習慣病と感染症などの関係から、最終的には痩せも肥満もNGと言うことになるのでしょう。少なくとも普通体重(BMIが18.5kg/m2~25.0kg/m2の間)を維持するのがベストってことですね。

アルツハイマー病のリスクファクターは修正することができる

この研究のまとめとして示されているのは、世界的にアルツハイマー病人口の2/3に当たる人々についてリスクとして働いているものは9つあると言うことでした。

  • アジア人について現在の喫煙
  • アジア人について2型糖尿病
  • 肥満
  • 高血圧
  • 頸動脈狭窄
  • うつ病
  • フレイル(脆弱性)
  • ホモシステイン高値
  • 低学歴

良く見てみると、これらはすべて治療や対応によって修正可能な因子ばかりなんですね。「トシだから仕方がない」とあきらめることこそがアルツハイマー病への近道かもしれません。

「病気は治療する」「悪い習慣はやめる」「頭も身体も可能な範囲で鍛える」

この3つにしっかり取り組むだけで、アルツハイマー病は遠い存在になってくれるんじゃないでしょうか。

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