健康生活TOP 肝硬変 肝硬変はなぜ寝る前に夜食を摂るの?食事療法の重要性とそのコツ

肝硬変はなぜ寝る前に夜食を摂るの?食事療法の重要性とそのコツ

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肝臓は「第一の工場」と呼ばれるほど、私たちが生きるために必要なたくさんの役割を担っている臓器です。そのため、肝硬変にかかってしまうと様々な不調、症状がでます。

そんな肝硬変にかかってしまった場合、病状がかなり悪い状態だと食事療法として「寝る前に軽食を摂れ」と医師から進言されます。常識でいうと就寝前の食事は胃に負担をかけるのでNGとされていますよね。

では、なぜ重度の肝硬変になった場合、就寝前に軽食を摂らなければならないのでしょうか?これには肝臓の働きと、肝硬変により肝臓がどのような状態になってしまうのかが関係しています。

「第一の工場」肝臓はどんな働きをしているのか

肝臓は以下のようなことを行っています。

  • 解毒…アルコール、薬、老廃物などの物質を分解、解毒する
  • 代謝…食べ物から摂ったエネルギーを脂肪組織に送ったり、エネルギーが足りないときに脂肪組織からエネルギーを取り出してきてエネルギーへ変換する
  • 胆汁の生成・分泌…胆汁を作ったり分泌したりする

肝機能の数値・肝臓の数値を調べる肝機能ナビ 肝臓の働きのイラスト

夜間は長時間の絶食状態?寝る前に食事をとる理由

通常の1日3食の食事ですと、夕食は夜6~7時くらい、朝食は朝6~7時くらいというパターンが多いのではないでしょうか。(夕食がもっと遅いという人も多いと思いますが。)この場合、夕食から朝食までは12時間もあき、その間は絶食状態ということになります。

この間何も食べられないと、肝臓はタンパク質や糖質などの栄養を補給することができません。健康な人の場合には、このように空腹になった時には肝臓にためておいたグリコーゲンを利用して、そこからエネルギーを作り出します。

しかし肝臓の機能が悪化してしまっている人、特に肝硬変にまでなってしまっている人の場合には、グリコーゲンをほとんどためておけません。そのためエネルギーが十分に作れず、飢餓状態になってしまうのです。

夕食から次の日の朝食まで12時間あいてしまうだけでも、肝硬変の人にとっては、健康な人が2~3日も絶食したことと同じくらいのダメージになってしまうのです。こんな過激な絶食を毎日繰り返していたのでは、肝臓の機能はさらに悪化していってしまいます。

このような絶食状態を防ぐためにも、寝る前に軽く食事を摂ることが肝臓のためによいということが分かってきたのです。これを頻回食(LateEveningSnack、LES)療法と言います。

こういった寝る前の食事療法が必要かどうかはしっかり医師に確認し、栄養士に相談してください。

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夜間は筋肉からエネルギーを作っている

夜間の絶食状態が続いている時にも、ある程度の血糖値を保ち、最小限の生命活動を続けるためにエネルギーは必要です。肝硬変になってしまっていて、肝臓のグリコーゲンをエネルギーとして使えないという場合には、筋肉を分解してエネルギーを作り出すことになります。

そのため肝硬変になると、徐々に筋肉が落ちていってしまいます。またアンモニアが体内にたまりやすくなってしまいます。アンモニアは体にとって有害なもので、血流に乗って脳に送られてしまうと脳にダメージを与え、異常な行動をとるようになってしまいます。

通常のように、1日3食で夜間に長時間の絶食状態があるという生活を毎日送っていては、体には大きな負担となってしまいます。何も食べていないという時間を減らしたほうがよいのです。

寝る前に200kcal程度の軽食を摂ろう!最適な簡単レシピ

肝硬変は寝る前に軽食が必要ですが、目安として200kcal必要です。200kcalはご飯茶碗に軽く1杯程度の量です。

しかしどんなものを食べたらいいか分からない場合が多いと思います。そこでオススメのレシピ2つをご紹介します。

【さつまいものお粥】 エネルギー186kcal、塩分0.5g

<材料>1人分

  • ご飯・・・50g(ご飯茶碗半分)
  • さつまいも・・・50g
  • 水・・・150g
  • ほんだし・・・少々

<作り方>

  1. さつまいもは皮をむき、小さく角切りにする。
  2. 鍋に水とほんだしを入れ、さつまいもを入れて柔らかくなるまで煮る。
  3. さつまいもが柔らかくなったらご飯をいれて、柔らかくなったら出来上がり。
【ミルク粥】 エネルギー220kcal、塩分0.7g

<材料>1人分

  • 食パン・・・45g(8枚切り1枚)
  • 牛乳・・・1/2カップ
  • 砂糖・・・大さじ1

<作り方>

  1. 食パンはちぎっておく。
  2. 鍋に牛乳と砂糖と1の食パンをいれ、弱火でコトコト煮る。(沸騰させない)
  3. 柔らかくなったら器に盛って出来上がり。

簡単で胃にも優しく、肝硬変の食事療法にはぴったりです。

寝る前に200kcal分とるため、朝・昼・夕食の総カロリーは200kcal分減らしてくださいね。

肝硬変の人は、分岐鎖アミノ酸(BCAA)と呼ばれるアミノ酸が不足してしまっています。そのため寝る前の食事として、分岐鎖アミノ酸の入った製品を摂ることも勧められます。

その他にも、肝臓の機能が落ちてしまっている人にとって必要な栄養素の入った製品があるため、主治医と相談の上、それらを使うこともよいでしょう。

この記事でご紹介した食事での工夫や注意点を意識して、つらい肝硬変を改善させましょうね。

肝硬変の原因と代償期・非代償期に起こる症状

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最後に、肝硬変になるとどのような症状が起こるのかと、肝硬変を患った場合食事でどのようなことに気を付けるべきなのかをご紹介しておきます。他人事ではありませんよ!しっかり読んでいただきたいと思います。

肝臓が悪くなると肝細胞の壊死、炎症、変形、繊維化が起こり、肝硬変へと移行します。原因としては

  • 肝炎ウイルスによる慢性肝炎
  • アルコールの影響
  • 喫煙の影響
  • ウィルソン病
  • ヘモクロマトーシス(血色素症)
  • 自己免疫性肝炎
  • 循環障害
  • 胆汁性肝硬変
  • 寄生虫疾患 など

があります。 とくにB型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスによることがもっとも多いとされています。

そして肝硬変にかかると、肝臓の役目である解毒を行ったりエネルギーを作るということができなくなってしまいます。

肝硬変はほとんど肝臓の機能が働いていない状態です。そのため、体にはいろいろな症状がでてきます。肝硬変の中でも、少しだけだが肝臓の機能が働いている「代償期」と肝臓の機能がほとんど働いていない「非代償期」というものがあります。

肝硬変の代償期の自覚症状と体の変化

<自覚症状>

  • 倦怠感
  • 疲労感
  • 食欲不振
  • 腹部膨満感

<体の変化>

  • クモ状血管腫(体にクモの巣のような模様が浮き出てくる)
  • 女性様乳房(女性のように胸が大きくなる)
  • 手掌紅斑(手のひらが赤くなる)

肝硬変の非代償期の自覚症状と体の変化

<自覚症状>

  • 浮腫
  • 出血しやすくなる
  • 意識障害

<体の変化>

  • 黄疸(白目が黄色くなる)
  • 脱水
  • 肝性昏睡(肝機能が停止した際に見られる精神神経症状)

肝性昏睡はその症状の重さを5段階で分類されており、最も危篤な状態では意識が完全に消失して昏睡状態となり大変危険です。

代償期・非代償期に食事で工夫しなければならないこと

肝硬変になると、食欲がなるなるほかに、消化不良も起こしやすくなります。

よって肝硬変の代償期・非代償期は同様に、食事ではお粥などの軟食が重要となってきます。

<代償期・非代償期ともにお勧めの食事>

主食

  • お粥
  • やわらかく煮たうどん
  • パン など

主菜

  • はんぺん
  • チーズ
  • 白身魚
  • 納豆
  • 豆腐
  • 脂身の少ない肉(ささみ、赤身肉、胸肉など)
  • ヨーグルト など

副菜

  • 柔らかく煮た野菜など

デザート

  • 果物の缶詰
  • 裏ごしした果物
  • ムース など

<代償期・非代償期ともに日々の食事で気をつけたいこと>

  • 食欲不振がある場合、食事を3回ではなく5回や6回に分け、必要エネルギーを十分にとる
  • 便秘は高アンモニア血症の原因になり危険なので便秘予防のために野菜や果物でビタミン、ミネラルをたくさんとる
  • 塩分を多く含むものは避ける
  • 硬いものや弾力のあるものは避ける(こんにゃくなど)
  • 揚げ物など脂っこいものは避ける
  • 禁酒する

<非代償期になった場合に気をつけること>

  • たんぱく質を制限する
  • 分岐鎖アミノ酸の多い食品(凍り豆腐、かつお節、まぐろ赤身、チーズなど)をとる
  • 高アンモニア血症に気をつけるため、便秘をしないようにする

悪化してしまってからは改善が難しいとも言われていますので、肝硬変と診断されたらかならず医師の指示に従い、食事療法を守ってください。どんなに食べる事が好きでも、毎日食べたいものがあっても…。

つらいかもしれませんが、あなたの体を守るのはあなたです。食事は毎日するものですから、少しでも自分に合った続け方を見つけて継続させましょう。

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