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子供が朝起きれない…めまいや立ちくらみも起こす起立性調節障害とは

朝に弱く、「いつまでも布団のなかでダラダラとしてしまう」なんてことは、よくあることですね。とくに休み明けの朝などは、とりわけ起きるのが辛く感じてしまいます。

近年では、子供にもそのような症状が増えています。

単純に、前日に夜ふかしをしたり、たまたま寝付けなかったりという理由なら、特に心配はいらないでしょう。ですがいつまでも朝起きられない状態が続くのなら、それは起立性調節障害(OD)という病気かもしれません。

自律神経失調症の一種、起立性調節性障害とは?

起立性調節性障害とは、「OD(Orthostatic Dysregulation)」と略されることもあります。「Orthostatic」は「体位性・起立性」、「Dysregulation」は「調節不全、失調症」という意味です。

起立性調節性障害(OD)には、自律神経の不調が大きく関わっている

自律神経は、全身の調子を整えるために働く器官です。正常であれば、暑さや寒さ、日の出や日没などに合わせて無意識下で働くもので、意識して働かせようと思っても思い通りに動かすことはできません。

自律神経は、目に見えるものではありませんが、ひとが生きるために欠かせない働きをしています。

  • 気温に合わせて汗をかかせ、体温を調節する
  • 夜眠り朝起きるように、体内のリズムを整える
  • 浅い眠りと深い眠りを規則正しく繰り返す、適切な睡眠リズムをつくる
  • 食べ物を食べるときに、唾液や胃液を分泌する

自律神経が乱れ、環境に合わせて体の状態を整えることができなくなると、さまざまな場面に影響があらわれます。起立性調節性障害(OD)も、自律神経の乱れによっておこる不調のひとつです。

起立性調節性障害(OD)の子供の体に、どのようなことがおきているのか

起立性調節性障害(OD)の子供は、朝になっても自力では起きられず、なんとか声をかけて起こしても長い時間ぼんやりしてしまったり、やっと目覚めてもいつまでも活動に移れずにグダグダとして過ごしてしまいます。

「子供が朝起きられないなんて、怠けている」「甘やかさずに、無理にでも起こせ」と言う方もいるかもしれません。ですが、起立性調節性障害(OD)の子供には、ただ厳しく接することでは解決できない、体の変調が起きています。

自律神経が乱れて、朝起きて夜眠ることができない体になっている
自律神経には、体を休ませたりリラックスさせたりする副交感神経と、身体を緊張させ働きを活発にさせる交感神経があります。この副交感神経と交感神経が働くことで、一日のサイクルに合わせて体が活動できるようになっているのです。

夜眠りにつくときは、副交感神経が働くことで体温を下げ、眠りにつけるよう体の準備をします。朝が近づくと交感神経が働いて、目覚められるように血を巡らせ、体を活性化させます。

自律神経が乱れると、これらの機能が適切に働かなくなり、朝に目を覚まして活動したり、夜に身体を休めることができなくなります。起立性調節性障害(OD)では、本来活動すべき時間よりも、5時間から6時間程度ずれ込んでいるようです。

朝起きようとすると、急激に血圧が低下する
人間の体にあるさまざまな器官は、全身に流れている血液によって動いています。起き上がったときには、頭が上に、足が下の方になり、重力によって血液が足の方へと下がっていきます。そうすると、脳から血が足りなくなってしまいますね。

正常な体であれば、自律神経の一部である交感神経や副交感神経が働き、血圧が一定になるように血管を収縮させたり、心拍数を増加させたりしてくれます。この働きのおかげで、脳に血が足りなくなることはありません。

ですが、起立性調節性障害(OD)では、この自律神経による血流の調整機能がうまく働いてくれなくなります。それが原因で脳に血が循環しなくなり、朝に起きようとすると具合が悪くなったり、意識が覚醒せず起きられなかったりするのです。

朝起きようとすると、動悸・頻脈がおこる
血圧を正常に保つために自律神経が働くとき、交感神経は血管の収縮を、副交感神経では心臓の拍動を増やすことで、血流を促そうとします。

起立性調節性障害(OD)では、交感神経と副交感神経の働きがバランスよくおこなえない場合があります。ここで副交感神経だけが頑張って働いてしまうと、動悸・頻脈がおこることがあるのです。

心臓は、全身に血液を巡らせるためのポンプ役であり、とても重要な部分です。動悸や頻脈が起きているときには、心臓に強い負担がかかっているので、体がとても辛い状態になります。

倦怠感・冷感・気分不快・頭痛などがおこる
血圧が正常に保てなかったり、心臓に負担がかかる状態になっていたりすることで、さまざまな不快症状があらわれます。

体が重くだるく感じたり、血液がうまく巡らないことで体温が調節できず、寒気を感じたりします。そのほかにも、なんとなく気分が悪いような気がしたり、吐き気や頭痛を覚えたりすることもあります。

これらは「気のせい」で片付けられる問題ではありません。こういった状態のときには、「頑張ってでも起きよう」と思うこと自体が難しいことです。もしそう思えたとしても、体そのものが、動ける状態にはなっていないのです。

起立性調節性障害(OD)では、午前中は覚醒できずにダラダラと過ごしてしまうのに、午後や深夜になるとぱっちりと目が覚めて活発になり、寝付けない状態になります。そのために、ただの不摂生やわがままのように見えてしまうかもしれません。

ですが、起きられないことを叱りつけるまえに、子供の体に起きていることについて理解してあげてください。起立性調節性障害(OD)の子供の体には、自分の意志ではどうにもできない異変がおこっているのです。

自律神経が乱れてしまう、その原因を知ろう

起立性調節性障害(OD)は、ただの怠けやわがままではありません。精神論だけではどうにもできない、体の不調があります。

ですが、「朝起きられないのは体が辛いせいだから、寝かせておいてあげればいい」というものではありません。きちんと朝起きて、夜眠れるように、規則正しく活動できる体を作っていく必要があります。

起立性調節性障害(OD)を改善するためには、まず、自律神経が乱れる要因について知りましょう。

自律神経が乱れてしまう原因:生活リズムの乱れ

起立性調節性障害(OD)を自覚する前からの生活習慣を振り返ってみてくださいい。「つい夜ふかしをしがちだった」「夜遅くまで、ゲームをしたりスマートフォンをいじっていたりした」ということはありませんでしたか?

現代では、照明やテレビ、ゲームが普及しているので、「夜は暗いので寝るしかなくなる」といったことはありません。周囲の大人たちが夜ふかしの傾向にあると、子供もそれを真似してしまいがちです。

夜ふかしをして遊ぶのは楽しいものですが、ひとの体は夜は眠りをとることが自然のサイクルです。これを無視していると、起立性調節性障害(OD)のほか、うつなどの病気も招く原因となります。

自律神経が乱れてしまう原因:過剰なストレス

子供といえど、ストレスはあります。学校や塾、家庭などのコミュニティを持つなかで、環境に馴染めなかったり、人間関係で悩むことがあったり、さまざまなストレスを受けながら暮らしています。

適度なストレスは、生活をするために必要なものです。ですが、本人が受け止めきれないほどの過剰なストレスは、自律神経の乱れによる不眠や気分不快、下痢や便秘などの身体症状を呼び起こします。

ストレスへの耐性は、体質や性格によって個人差があります。同じ程度のストレスでも、軽く受け流せることもあれば、ひどく辛く感じることもあります。「そのストレスが、本人にとって重いのか軽いのか」を考えてあげましょう

自律神経が乱れてしまう原因:環境の変化

新しい環境に馴染めないことが原因で、自律神経を乱してしまうこともあります。食事や睡眠などの生活習慣が乱れやすく、人とのコミュニケーション不足が指摘されている現代では、適応能力が衰えやすいという実態もあります。

子供にとっては、引越しや転校、クラス替えなども、環境が変わるきっかけとなります。また、大きな変化でなくても、クラス内の班分けで友人関係が変わったりすることもありますね。

これらの変化は、楽しみとして受け取ることもできますが、大きな負担となる場合もあります。起立性調節性障害(OD)のきっかけとして、本人が許容しきれない環境の変化があったのかもしれません。

これらを見てみると、自律神経の乱れの要因をとりのぞくことは、一朝一夕でおこなえることではないことに気づくのではないでしょうか。

生活リズムの乱れは、普段の習慣として身についてしまっているものです。また、ストレスとなっている環境を改善したり、環境の変化に慣れられるようにしたりするのも、大きな時間と手間を要します。

また、起立性調節性障害(OD)の子供は、自分で自分を律することができません。周囲の大人にこそ、根気と努力が必要になります。そのことをしっかりと、肝に銘じておきましょう。

起立性調節性障害(OD)を改善するために行動しよう

子供の時分に「朝に起きて、昼間は活動し、夜になったら眠る」という当たり前のことができないと、さまざまな問題を持つようになります。それは、大人になってからの生活にも影響します。

朝、辛そうな子供を見ると、「仕方ない。寝かせておいてあげよう」と思ってしまうかもしれません。ですが、将来のことも含めて本当に子供のことを思うなら、起立性調節性障害(OD)の改善に向けて取り組みましょう。

起立性調節性障害(OD)の改善方法

まず、起立性調節性障害(OD)の改善方法には、以下のような手段があります。

食事や睡眠・活動などの生活習慣を見直す
乱れてしまった生活を見直すことで、自律神経が正常に働くように促していきます。起立性調節性障害(OD)の改善には、服薬やカウンセリングなど専門的な治療をおこなう場合もありますが、まずは生活の見直しから始めていきます。
心理面でのストレスを取り除いたり和らげたりする
引越しやクラス替えなどの環境の変化や、友人関係や家族関係の不和などがストレスとなって自律神経を乱している場合があります。これらのストレスを取り除いたり、うまく処理できるように誘導していく治療方法です。
服薬を使用する
生活習慣を改善したり、環境を整えたりしても改善が難しい場合や、低血圧が原因で起きていられずに日常生活もできないような場合は、服薬を使用して治療する場合もあります。

検査結果を見ながら、医師と相談の上で治療を進めていくことになります。「医療的な話は難しいから」と子供の理解をおざなりにせずに、子供自身にその必要性を理解させ、本人が主体的に関われるように促しましょう。

上記にあげた、起立性調節性障害(OD)の改善方法のうち、もっとも重要となるのは、生活習慣や生活環境の改善です。もしも服薬治療をおこなうとしても、生活習慣や生活環境の改善については、併行しておこなっていく必要があります。

周囲の大人が気をつけるべきこと

上記のとおり、起立性調節性障害(OD)の改善には、生活全般に関する見直しが必要不可欠です。「専門医にすべてを任せて専門的な治療を受ければ治る」というものではありません。

起立性調節性障害(OD)を改善したいと考えるのならば、長いスパンで辛抱強く働きかけていく必要があります。特に、生活習慣の見直しと、心理面についてのフォローは、周囲の大人の協力が必要不可欠です。

生活を改善するために必要な、具体例をあげてみましょう。

食事内容を見直す
そもそも成長期の子供には、栄養バランスの整った食事が必要です。脂質や糖質を多く摂ってしまう菓子類や、菓子パンばかり食べさせるのはやめましょう。麺類の食事も、炭水化物ばかりに偏ってしまいがちです。

基本的な食事の注意点として、タンパク質・脂質・糖質・ビタミン・ミネラル・食物繊維がバランスよく摂取できるようにしましょう。

その上で注意したいことは、まず、水分をしっかり摂ることです。血液を適切な濃度に保ち、滞りなく循環させるためには、水分の摂取が不可欠です。甘いジュース類ではなく、糖質のすくない水や麦茶などを飲ませるようにしましょう。

ミネラルの摂取も大切です。塩分の摂り過ぎはよくありませんが、摂らなすぎても、体内の電解質が不足してしまいます。10gから12gの塩分摂取をこころがけましょう。

日中、横になりっぱなしにしない
「起きると体が辛くなるから」といって、ごろごろと横になっていることが増えるでしょう。目が覚めていても、横になってテレビやまんがを見ていたり、ゲームをしていたりするかもしれません。

ですが、横になっている時間ばかりでは、いつまでも体が慣れません。頭を上にして、体を起こした状態を保てるように、徐々に体を慣らしていきましょう。

立っていられなくても、まずは体をおこして座った姿勢を保つようにします。気分が悪くなって横になっても、いつまでも寝ているのではなく、治まったのを確認して起こしましょう。

運動をすることは難しくても、「ごろごろと寝ているよりは座る」、「日光浴をする」、「軽い散歩をする」など、日中はなるべく活動をするようにこころがけましょう。

散歩や足踏みなどの軽い運動は、血液の循環にも役立ちます。無理に過度の運動をさせるのは体にもよくありませんが、心拍数が120程度になる軽い運動は、適度な運動としておすすめです。

規則正しい生活リズムに戻していく
朝起きて、夜眠ることができないのが、起立性調節性障害(OD)というものです。無理を強いる対応をしないことは大切ですが、だからといって朝起きられないままにしておいて良いわけではありません。

朝起きられないからといって、寝やすい環境を整えて昼までも薄暗くしているのは、良いことではありませんね。また、夜なら起きていられるからといって、遅くまで賑やかに楽しく過ごしてはいけません。

ゲームやテレビ、スマートフォンの使用にも気をつけたいものです。画面の明るさや光の明滅、音の刺激による自律神経系や視神経への悪影響は、子供だけでなく大人にも指摘されています。

食事についても、食べる時間に気をつけましょう。起きる時間が不規則だからといって、食べたい時に食べるのは、良いことではありません。家族と一緒に食卓を囲めないというのも、情操教育の点でも望ましくありません。

改善のために、大人がもっとも気をつけなくてはいけないのは、「子供の変化やペースをみながら、徐々に働きかけをしなくてはいけない」点です。

どの方法も、いきなり強要しても、良い効果は得られません。「自分はこんなに辛いのに、わかってもらえない」という子供からの反感や不信感を招き、却って悪い結果を招いてしまうことにもつながります。

また、子供にばかり生活の改善を呼びかけても意味がありません。子供に向かって「夜はゲームは控えなさい」と言いながら、大人はいつまでもスマートフォンをいじっているのでは、なんの説得力もありませんからね。

大人が子供のお手本となる生活態度をとりつつ、生活リズムが徐々に改善ができるよう、働きかけを継続していかなくてはいけません。「徐々におこなう」ということと、「働きかけを長いスパンで継続していく」ということがポイントです。

子供の生活をつくるのは、一緒に暮らす大人の役目

子供の生活は、周囲の大人の生活スタイルに大きく左右されます。

掃除や洗濯、食事作りなど、多くの子供たちは家族に世話をしてもらって生活をしています。自分で生活する能力に乏しく、知識や経験もすくない子供たちにとっては、大人たちが自分にしてくれることが、生活の大部分を占めているのです。

子供の生活は、親がつくるものです。

子供と一緒に暮らす大人たちは、生活のさまざまなことを通じて、子供の様子を知るでしょう。子供がすこやかに成長するためには、周囲の大人が子供の変化を知り、それに合わせたフォローをおこなうことが重要になります。

生まれたばかりの赤ん坊は、昼夜の区別はつきません。ですが、だんだんまとまった睡眠時間がとれるようになる生後5ヶ月くらいからは、時間の認識をつけることが大切といわれています。

起立性調節性障害(OD)にならないようにするためには、昼夜を認識し始めたごく幼い頃から、昼と夜の生活サイクルを身につけさせることが重要です。予防に努め、起立性調節性障害(OD)になることなく生活できれば、それが一番良いでしょう。

もし生活サイクルが崩れて自律神経が乱れ、起立性調節性障害(OD)になってしまったときには、本人に寄り添いながら、改善に向けて大人も一緒に取り組むことが大切です。

子供は時に驚く程に、大人たちの言動をよく見ています。口先だけで子供の躾をしようとしても、言うことをきく子供はいません。子供への影響力の強さを自覚し、お手本になる行動をこころがけましょう。

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