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食物繊維で癌予防!効果の秘密は便通でなく水溶性繊維のカロリー

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「大腸がん予防に食物繊維が効果的」と言う書き出しで始めると、「便秘が大腸がんの原因なんだから当然でしょ」と思われるのではないでしょうか…

しかし、食物繊維が大腸がんに効果があるのは、便通を改善すると言う点ではなく、食物繊維が消化されてできる脂肪酸に抗がん作用があると言う点だったのです。

便秘は大腸がんの原因ではない

大腸がん発見のきっかけになるのは「便秘と下痢を交互に繰り返すと言う症状」であることが多く、また、そのことはがん早期発見の啓蒙活動で数多くアナウンスされています。

そのせいか、便秘が大腸がんの原因になると思われていることが多いようですが、便秘は大腸がんによって引き起こされる結果であって原因ではなかったのです。

なぜ大腸がんで便秘になるのか

説明するまでもないのかもしれませんが、がんが大きくなって大腸の中が狭くなると、そこで便が通りにくくなるから便秘になります。もっともな話ですよね。

そして、便が出ないのは具合が悪いので、身体は便からの水分吸収を抑えて便を液状にすることで狭くなった大腸を便が通れるようにするのです。その結果下痢が起こります。

下痢をして大腸の中がクリアされたら、再び正常な水分吸収が行われ、また詰まると言う繰り返しになるわけです。このように、大腸がんになると便秘と下痢を繰り返すのです。

ただ、この現象は痙攣性の便秘でも起こりますので、いずれにせよこの症状が出たら消化器内科を受診して確定診断を付けてもらうことを強くお勧めします。

便秘は大腸がんの原因ではない!

国立がん研究センターの長期間大規模追跡研究によると、約6万人をおよそ7年間追跡したところ、480人ほどが大腸がんを発症したそうです。

その人たちの便通を調べたところ、1日に2回以上出る人も、普通に1日1回の人も、週に2~3回の人も、リスクに差が現れなかったそうです。

一方、普段の便の状態が下痢状態である女性は発症の確率が高くなったそうですが、統計的な誤差が大きそうなので他の方法での検証が待たれているようです。

いずれにせよ、便秘は大腸がんの結果であって原因ではないと言うことですね。

食物繊維のカロリー

食物繊維と言うとカロリーゼロの代名詞のように思われていますが、実はカロリーを持っているものと持っていない物、さらに少ない目に持っているものがあります。

そして、今回お話しするがんに対する効果は「カロリーを持っている食物繊維」によるものなのです。

食物繊維には水に溶ける水溶性と溶けない不溶性のものがあると言うのは有名になってきていますが、カロリーを持っている食物繊維は主に水溶性食物繊維の方です。

食物繊維は炭水化物

三大栄養素の一つ、炭水化物は糖質と食物繊維を合わせたものですから、食物繊維は炭水化物と言う事になります。

そして、カロリー計算を行う時に炭水化物は4kcal/gで計算します。しかし、食物繊維は0~2kcal/gと言う幅を持った数値で計算するのです。

なぜこのようになるのかと言うのは、食物繊維が体に吸収される形が他の栄養素とは異なるからなのです。

腸内細菌が働いてくれる

食物繊維の定義は判り易く言うと「炭水化物のうち、人間の消化酵素では分解できない物」と言っていいでしょう。

人間の消化酵素で分解できない物を消化吸収しようと思うと誰かに手伝ってもらわないといけません。それを助けてくれるのが腸内細菌なんです。

大腸に住んでいる有用菌のうちクロストリジウム属の酪酸菌は、酸素を使わずに食物繊維を発酵させて酪酸と言う短鎖脂肪酸を作り出します。

この酪酸は人間が吸収できる栄養素ですので、これがカロリーの元になっているんですね。

でも、炭水化物から作り出された酪酸ですが、これは糖質ではありませんので血糖値には影響を出しません。ですから炭水化物でカロリーを持っていても、糖尿病の人が安心して食べられるものなのです。

酪酸ががん細胞を殺す

大腸の上皮細胞(大腸の内側を覆っている粘膜)は、他の臓器と違って血流に乗ってやってきた物質にエネルギー供給をあまり依存しません。むしろ、大腸で賄われたエネルギーを他の臓器に提供しているぐらいなのです。

そのエネルギー物質こそが酪酸であり、酪酸はエネルギーになるだけではなく上皮細胞の増殖や代謝にも大きく役立っています。

一方、最初は大腸の上皮に始まる大腸がんですが、実は酪酸によってアポトーシス(細胞死)に誘導されると言う弱点を持っています。

ですので、大腸の中で酪酸菌によって水溶性食物繊維が発酵して生まれる酪酸は、がん細胞を殺してしまう有用な物質でもあるのです。

ところで酪酸ってどんなもの?

酪酸と言う名前、健康や病気、栄養に関わること以外で聞いたことありませんか?

そう、2007年ごろから反捕鯨団体のシーシェパードが日本鯨類研究所の調査船に対して酪酸入りの瓶を投げつける事件がありましたね。まるで火炎瓶のようなやり方ですが強く燃えたりするものではありません。

ただ、皮膚につくと腐食性があるため危険ですし、目に入ると失明の恐れがあります。腸の中では量がわずかなのと粘液による保護で危険性は全くありません。

とってもくさいです

そして一番の特徴はその臭いです。名前の通り、最初はバターから分離されたので酪酸と言う名前になっていますが、私たちにとって最も身近なものとして挙げられるものが二つあります。

まずは「ぎんなん」の臭いです。くさいですよね…。

また皮脂にも含まれていることから、それが凝縮されやすい「足の臭い」です。この二つの主な原因は酪酸なのです。

いくら健康に良いからと言っても、ちょっと遠慮したい臭いですよね。だから原料を食べて腸の中で作ろうってことになるんです。

どんな食物繊維が良いのか

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先に説明した通り、食物繊維のカロリーは3種類に分けられています。

厳密にはそれぞれの成分によってすべて異なるのですが、それは実際的でないので便宜上0,1,2kcal/gの3パターンに分類されています。

食物繊維が腸内細菌によって発酵・分解される割合でカロリーを決めています。その基準は、

  • 2kcal/g:発酵・分解率が75%以上のもの
  • 1kcal/g:発酵・分解率が25%以上75%未満のもの
  • 0kcal/g:発酵・分解率が25%未満のもの

このようになっています。そこで、それぞれにどのようなものがあるのかを見て行きましょう。

2kcal/gの食物繊維

この食物繊維が酪酸の原料になりやすく、大腸がんを防ぐ要素としても最も強いものです。

グァーガム・酵素分解物

インド料理で使われるクラスター豆を原料とする天然の水溶性食物繊維です。

食品添加物として認められているので、アイスクリームやかまぼこ、和菓子などの他、ソースやドレッシングのとろみ付けにも使われています。

インド料理には、クラスター豆を調理して具に使うグァーカレーなんて言うメニューもあるそうです。

アルギン酸ナトリウム

昆布やわかめ、もずくなどの「ぬるぬる成分」です。

食品添加物の増粘多糖類としてアイスクリームや、変わったところでは寒天に耐熱性を与えるものとして使われていたりします。

あと、人工イクラとか人工ふかひれなどの天然模倣商品の原料にもなっていますね。

タマリンドガム

アフリカや東南アジアで食べられているタマリンドと言うフルーツの種の部分から抽出された食物繊維です。

増粘安定剤(昔は糊料と言いました)と言う形の食品添加物として良く使われています。

大豆から採れた水溶性食物繊維

タイトル通りで固有名はありません。大豆の食物繊維はほとんどが不溶性食物繊維で、水溶性食物繊維は15%程度しか含まれていません。

食品から摂るのであれば、茹でた大豆をそのままいただくのがベストでしょう。食物繊維と言うとおからのイメージがありますが、おからには不溶性の方が圧倒的に多くなっています。

小麦胚芽の食物繊維

これも固有名はありません。ただ、小麦胚芽の食物繊維は水溶性・不溶性に関わらず2kcal/gのカロリーがあるようです。

小麦胚芽100gあたり14gあまりの食物繊維が含まれていますので、結構期待できる食材かもしれませんね。

1kcal/gの食物繊維

ある程度は酪酸の原料になる食物繊維です。カロリーは低いので他の効果との組み合わせで考えるのが良いでしょう。

難消化性デキストリン

とうもろこしや小麦のでんぷんから抽出されたもので、糖質の吸収を遅らせることで血糖値の上昇を防ぐトクホ食品に使われていたりします。

アラビアガム

アカシアの仲間の樹皮から採れたもので、アラビノガラクタンと言う食物繊維が主成分です。

食品添加物としてガムシロップのとろみに使われていたり、切手の接着剤になっていたりします。

0kcal/gの食物繊維

ダイエットや便通を整えるのに非常に役立ちますが、酪酸の原料にはならない食物繊維です。有名なものが多いので名前だけ列記しておきます。

  • サイリウムハスク
  • キサンタンガム
  • セルロース
  • ゲランガム
  • ポリデキストロース
  • 低分子化アルギン酸ナトリウム

オリゴ糖と難消化性でんぷん

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食物繊維と糖質の中間に位置すると言っても良いこれらの成分は、大腸で酪酸の原料になると言う意味では水溶性食物繊維の仲間と言っていいでしょう。

オリゴ糖

お腹に良いと言われるオリゴ糖。実はこれも大腸で酪酸菌によって発酵させられる糖質なのです。

糖質ですが普通の糖質とは異なり胃や小腸では消化吸収されず、大腸で乳酸菌や酪酸菌によって発酵させられます。

オリゴ糖がビフィズス菌のエサなどと言われるのはこのためです。

オリゴ糖と言う名前は広い意味では普通の砂糖をも含んでしまいますが、厳密には普通の砂糖にさらにブドウ糖や果糖がくっついた形をしています。

難消化性でんぷん

最近ではレジスタントスターチと言う呼び名が一般化してきたようです。

でんぷんですが、普通には消化されず大腸まで届いて腸内細菌の発酵によって酪酸を生み出し、エネルギーになります。

ですので血糖値を上げず、抗がん作用もあると言うわけですね。

難消化性でんぷんは大きく4つに分類されていますが、ちょっと面白いものがあります。まずはそれぞれを見てみましょう。

  • RS1:固い殻につつまれていて消化しにくいもの。雑穀など。
  • RS2:充分煮えていないご飯など、調理が不十分なもの。
  • RS3:一度加熱調理された米などが冷めてしまったもの。
  • RS4:難消化性でんぷんとして工業的に加工されたもの。

現在私たちがレジスタントスターチとして入手できるのはRS4が多いです。でも、良く見てみるとRS3、これっていわゆる冷ごはんですよね。

そう、実は冷ごはんに含まれる糖質は一部がレジスタントスターチに変化しているのです。もちろん再加熱すれば普通に小腸で吸収され、血糖値を上げるでんぷんに戻ります。

もしかすると・・・

もともと日本人には少なかった大腸がんが増えてきて、近いうちにトップの座に躍り出そうな勢いなのは、食の欧米化に原因があるとか言われています。

でもこうして見ると、もしかするとお弁当を電子レンジで温め直したり、保温できる弁当箱が普及したりしたのも遠因かもしれませんよね。

運の良い事に、現在では冷たくなっても美味しく食べられるように工夫されたコンビニおにぎりなどもあります。あれって、でんぷんの一部はRS3に変化している可能性が大きいです。

お店で買うお弁当も温め直さなければ美味しくないかもしれませんが、効果があるかもです。

おうちで冷ごはんが出た時でも、電子レンジで温めず、お茶を掛けてさらさらっと食べるのが良いかもしれませんね。

大腸がんが少なかった時代、お弁当や冷ごはんをあまり温め直さずに食べていたような気がします。便利になったことが逆に病気の遠因になっているのだとしたら、少し皮肉ですね。

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