健康生活TOP がん オメガ3脂肪酸で抗がん剤の効果が減る!投与中は青魚を我慢

オメガ3脂肪酸で抗がん剤の効果が減る!投与中は青魚を我慢

焼き鯖

すっかり人気が定着した感のあるオメガ3多価不飽和脂肪酸。必須脂肪酸であるαリノレン酸やそれに準ずるDHA、EPAなどは子供でも知っている名前になったような気がします。

このオメガ3(長いのでここからは略してこう呼びます。)ですが、がんの予防や改善に効果があるとも言われていて、それを目的に摂っている人もいらっしゃると聞きます。

しかし、ちょっと困った影響が見いだされました。もちろんオメガ3を摂ってはいけないなんて言うことはありませんが、万が一の際に備えて注意すべきことを覚えておいてほしいのです。

今回は前置きの方が長くなりますが、そこは必要な情報を得られると考えて頂いてご容赦下さい。

オメガ3はαリノレン酸やDHA・EPAだけではない

脂肪酸はメチル基(CH3-)とカルボキシ基(-COOH)に挟まれた炭素の鎖からできています。鎖を構成する炭素の数が0個の場合「CH3COOH」つまり酢酸になります。

ほとんどの場合、この鎖は数個から数十個の炭素を持っていますが、メチル基から出ている最初の結合から数えて3番目に最初の二重結合(不飽和結合)がある脂肪酸をオメガ3と呼んでいます。

脂肪酸の炭素数は様々ですが、私たちにとって最も身近なのが炭素数18の脂肪酸です。それを見本にオメガ(ω)…の意味するところを見てみましょう。

なお、炭素とそれに直接結合している水素は省略されています。線の折れ目には炭素がいて、そこには水素がくっついているとお考えください。

炭素数18の脂肪酸

おなじみの名前がずらっと並んでますね。ステアリン酸が一番なじみが少ないかもしれませんが、手作り石鹸などに興味のある方にはおなじみの脂肪酸です。

日本食品標準成分表に掲載されているオメガ3は全部で9種類

日本食品標準成分表には18種類の飽和脂肪酸、9種類の1価不飽和脂肪酸、9種類のオメガ3多価不飽和脂肪酸、9種類のオメガ6多価不飽和脂肪酸が掲載されています。そしてオメガ3は次の9種類になります。

  • ヘキサデカトリエン酸
  • ヘキサデカテトラエン酸
  • n-3オクタデカトリエン酸(αリノレン酸)
  • n-3オクタデカテトラエン酸
  • n-3エイコサテトラエン酸
  • n-3エイコサペンタエン酸(EPA)
  • n-3ヘンイコサペンタエン酸
  • n-3ドコサペンタエン酸
  • n-3ドコサヘキサエン酸(DHA)

オメガ3と言うと、αリノレン酸とDHA・EPAの3種類だけと思ってませんでしたか?ちょっと意外なほど多いですね。

それほど多くはなくても無視できるほど少ない含有量ではない

有名な3つ以外のオメガ3は、それほど多く含まれていないから知られていないんじゃないかと思われる方もおられるでしょう。

青魚を例にとってみると、確かにそれほど多く含まれていないオメガ3もありますが、しっかり含まれているものもあります。

これはやはり、テレビ番組などで紹介しやすいとか、健康効果が判りやすいとかの商業的バイアスが掛かったせいなのかも知れませんね。

一部を見てみましょう。名前が長いので、今回話題のものと、比較的含有量の多いものを有名な3つと比べます。脂肪酸の名前がとても長いので、以下の通り省略して表示しますので、対比しながら見て下さい。

  • HTA:ヘキサデカテトラエン酸
  • STD:n-3オクタデカテトラエン酸(ステアリドン酸)
  • DPA:n-3ドコサペンタエン酸
  • ALA:n-3オクタデカトリエン酸(αリノレン酸)
  • EPA:n-3エイコサペンタエン酸
  • DHA:n-3ドコサヘキサエン酸

下の2つは略号の方が有名かもしれませんね。記載の量は魚の食べられる部分100gあたりのmg数です。

魚名 HTA STD DPA ALA EPA DHA
真アジ 8 21 80 14 230 440
真イワシ 90 180 260 90 1200 1300
大西洋サバ 98 1000 290 320 1600 2300
秋刀魚 41 750 220 210 890 1700
ハマチ 55 280 330 140 980 1700
コノシロ 180 160 110 49 730 410
太刀魚 69 130 350 89 970 1400

このように、有名なαリノレン酸やDHA・EPAばかりでなく、自然の食べ物にはさまざまなオメガ3が含まれているのです。そして、今回注目するのは例として先頭に挙げたヘキサデカテトラエン酸です。

なお、大西洋サバと言うのは、私たちが食べる機会の多いノルウェーから輸入されているサバの品種です。しめ鯖や鯖寿司になってることが多いですね。寒い海で獲れるからでしょうか、脂がのっておいしいですよ。

それと、太刀魚は白身魚ですが、意外なほどオメガ3が豊富ですよね。真アジの3.5倍くらいオメガ3を含んでいます。
真アジも太刀魚も年中獲れる魚ですが、真アジは晩春~初夏、太刀魚は秋が旬です。

美味しい時期を考えて食べるといいですねぇ。

貴金属を使った抗がん剤!?プラチナ製剤のお話

さて、ここで話題は全く変わります。ここからは今回の話題のもう一つの中心、抗がん剤についてです。

プラチナと言うと、貴金属の中でも高級品と言うイメージがありますね。このプラチナを使った抗がん剤と言う物が存在します。

お薬の一般名として「○○プラチン」と付いているものが、このプラチナ製剤です。商品名としても名前の中に「プラ」の文字が入るものが多く見受けられます。

このプラチナ製剤はDNAの中で遺伝情報を形作っている4種類の塩基のうち、いわゆるプリン塩基2種類に結合してDNAの構造を壊してしまいます。

ですので、正常細胞にもがん細胞にも毒なのですが、この細胞毒性は細胞分裂を邪魔することで成り立っていますので、より活発に細胞分裂を起こすがん細胞の方に対して強く働くのです。

プリン塩基とはこの2種類を含め、ひっくるめてプリン体と呼ばれるものです。痛風の原因とも言われてますね。

一方、効き目も強力ながら副作用も強いお薬なので、より副作用の少ないお薬を目指して開発は続いています。細胞分裂を妨害して起こる副作用は本来の作用の一部なのでやむを得ないとしても、それ以外の部分での改善は進んでいるようですね。

プラチナ製剤の基本骨格は1個のプラチナ原子に2個のアンモニア分子がくっつき、その基本骨格に塩素や炭化水素がくっついた形をしています。この基本骨格以外の部分を工夫することで、例えば腎臓に対する害が少なくなったりするようですね。

貴金属を使っているんだからさぞ高価なお薬だろうと思えるんですが、正直高いのか安いのかよく判りません。ジェネリックもありますし、その場合先行医薬品の半額程度にはなりますしね。

また、医療費全体が高額になることが予想されるときは、高額療養費の限度額適用認定証を先に取っておけば、一定以上の窓口支払いはなくなりますので、薬価を意識することもなくなります。

(抜粋)

医療機関や薬局の窓口で支払った額が、月の初めから終わりまでで一定額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。

最終的な自己負担額となる毎月の「負担の上限額」は、加入者が70歳以上かどうかや、加入者の所得水準によって分けられます。

70歳以上の方には、外来だけの上限額も設けられています。

高額療養費制度では、「世帯合算」や「多数回該当」といった仕組みにより、さらに最終的な自己負担額が軽減されます。

入院される方については、加入する医療保険から事前に「所得区分」の認定証を発行してもらうことにより、医療機関の窓口での支払を負担の上限額までにとどめることもできます。

オメガ3の1つがプラチナ製剤の働きを妨害してしまう

魚の脂肪酸と抗がん剤、そしてついでに高額な医療費、一見何の関係もなさそうな話題を前置きとしてお話ししました。何のことだろうとお思いになったかもしれませんね。

実はこのオメガ3のうち、ヘキサデカテトラエン酸がせっかくの貴金属を使ったプラチナ製剤である抗がん剤の働きを弱めてしまうと言うことがあるのです。

免疫細胞のマクロファージが化学療法を妨害する

詳しい理由は判っていませんが、免疫細胞の一つであるマクロファージが、抗がん剤の働きを邪魔すると言う現象は知られているようです。

今回のこれも、そうした働きの一つです。ヘキサデカテトラエン酸の血中濃度が上がると、脾臓でマクロファージが活性化し、抗がん剤に対する抵抗性が上がることが知られています。

一方、抵抗性が発現する際の血中濃度の上昇は、どの程度の魚の油を摂った時に発生するかと言うことが調べられました。その結果、マウスによる動物実験では1000分の1ミリリットルで充分だったと言うことです。

魚油はどの程度食べても大丈夫なのか?私たちが気を配るべき事

そこでボランティアを募って、魚油を食べてもらい血液検査を行うと言う研究が行われました。その結果、最も高くなったものでは10mLの魚油の摂取で、摂取前の20倍にまでヘキサデカテトラエン酸の血中濃度が上がりました。

この時4種類の魚油が用いられましたが、イワシとサバでは大きく上昇したのに対し、マグロやサケではあまり上昇しなかったそうです。

研究グループは、まだ充分なデータが集まっていないので、それが整うまではプラチナ製剤による抗がん剤治療を受けている人は、投与中については油の多い魚や魚油サプリを摂らない方が良いと言っています。

植物性のオメガ3なら大丈夫か

日本食品標準成分表に載っている分析では、植物性の油脂にヘキサデカテトラエン酸は含まれていません。ですので、抗がん剤治療を受けている時にオメガ3をどうしても摂りたい場合は、植物性にしておいたほうが良いでしょう。

こういう時にエゴマ油や亜麻仁油が役に立ちそうですね。

研究結果でマグロやサケはOKとあるが本当に大丈夫か

調べてみました。やはり注意は必要ですね。サケ類やマグロ類で大丈夫と言えそうなのは数mg/100gの含有量であるマグロ類の赤身だけです。同じマグロ類でも脂の多い腹身の方だと300~400mg/100gも含まれています。

また、サケ類ですが最も少ないベニザケで36mg/100g、それ以外になると50~250mg/100g程度は含まれていますので避けておいた方が得策でしょう。

DHAやEPAのサプリは摂っても大丈夫か

個人的な意見になりますが、オメガ3サプリも避けておいた方が良いと思います。どうしてもと言う場合は、抗がん剤を投与されるお医者様に相談して下さい。

多くの場合、サプリにはDHA・EPAが何mg含まれていることを保証しているものの、それ以外の脂肪酸が「含まれていないこと」については言及されていません。

さらにいわゆる「フィッシュサプリ」の場合は、ほぼ確実に含まれていると考えておいた方が得策ですね。

抗がん剤なんかのお世話にならなくて済めばそれに越したことはありませんが、すでに現在でも日本人の半数がかかる病気ですから、もうすぐ「普通の人はがんになる」時代になるんでしょう。

そんなときのために、いつも情報には気を配っておきましょうね。

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