健康生活TOP がん 癌を告知されたら…心理面に注意!サイコオンコロジーの重要性

癌を告知されたら…心理面に注意!サイコオンコロジーの重要性

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人間は何か悪い知らせや告知をされた場合、精神的なダメージを受けます。これは普段精神的に強いと自負している人でも同様で、誰もが受けてしまう感情と言えるでしょう。

特に自分がある一定の病気…特にガンの告知を受けた場合の衝撃は想像以上に大きく、また精神的な不安要素となってしまいます。

今やガンは国民病と言われている病気であり、日本人の死亡原因の1位になっています。「3人に1人」がガンで亡くなっている時代なのです。

突然の告知に貴方の心は耐えられるでしょうか?

ガン告知による心理反応

毎年受けている健康診断で突然異常が見つかり、精密検査を勧められます。そして精密検査の結果としてガンが告知されるのです。中にはある程度の予感があった人もいると思いますが、多くの人にとっては思いがけない宣告でしょう。

日本ではガンのイメージは未だに「不治の病」であり、最終的には死亡と結びつけられています。医学の進化により早期発見であれば完治は可能であるにも関わらず、未だに「ガンの告知」と「死」はセットになっているのです。

これは一般的な患者が医学に無知であり、また周りの家族も同様なことから起こることであり、結果として患者の心理状態を悪くしてしまうのです。

アメリカの精神科医であるキュブラー・ロスの著書である「死ぬ瞬間」では、治療法のない病気にかかった人の心理状態を本で解説しています。

ここで書かれている心理変化が、ガンの告知を受けた患者にも参考になるのではないでしょうか?

1.状態を受け入れられない感情

自分は健康と疑わなかった状態で、突然ガンの告知を受けます。当然のように頭でそのことを理解しようとしますが、なかなか冷静には考えることはできません。

そのような状況の中、「否認」と言う感情が出てきます。

「これは何かの間違いであり、自分がガンになる訳がない」「あの医者は信用できないから別の医者に診てもらおう」など告知を否定する心理状態になります。

これは告知の衝撃が大きいほど起こりやすい心理状態で、まともにその衝撃を受けてしまい精神的な破綻が起こることを回避しているのかも知れません。

2.感情が怒りへ

告知の直後は自分がガンになったと信じることも出来ずに否認していても、様々な検査結果やドクターとの話し合いでそれを認めなくてはいけない時期がきます。

そうなると、「自分はガンを発症してしまったんだ」「もしかしたら死ぬかも知れない」と、このような感情が頭を一杯にするでしょう。そして次に起こる真理的変化が「怒り」なのです。

「なぜ自分がガンにならなくてはいけないんだ!」「子供も大きくなってこれからのんびり出来るのに、なぜ今なんだ!」などと怒りの感情が湧いてきます。

更に「アイツがガンでなくて、何で俺だけがガンにならなくてはならないんだ!」などと他人に対しての怒りを持つことも多いようです。他人に対しての怒りは家族や友人、看護師に向けられることが多く、この時期に人間関係に亀裂が入ることがあるのです。

3.取引を考え何かにすがりたくなる

少しずつ怒りが収まり冷静に物事を考えられるようになると、色々と過去の生活習慣などを見直すようになります。

そしてヘビースモーカーだった人は「タバコを止めることでガンが治らないか」などの取引を模索するのです。

大酒飲みで肝臓ガンを発症した人は「禁酒するからガンを治してほしい」などの感情が出てきます。また宗教にすがることも多く見られ、お寺や神社、協会に多額の寄付を行う人もいます。

このような行為は何かを犠牲にすることでガンを治したい「取引」を持ちかけることであり、何かにすがらないと精神状態が保てなくなっているのかも知れません。

4.そして抑うつへ

告知から様々な心理状態を経て抑うつ状態に至ります。この状態に至るまでには様々な心理的感情の変化、また実際の治療も行っていることでしょう。

しかし、治療が思っているより効果がない場合や落胆がある場合には「抑うつ」状態に進行することがあります。

「何をやってもだめなんだ」「もうガンは治らないんだ」と言う感情がこの心理状態を生むのです。

また「このような状況なら早く死んでしまいたい」「効果がないのなら治療を止めたい」と投げやりな感情を持つのもこの時期になります。

5.全てを受け入れる受容

最終的に至る心理状態が「受容」になります。これは全てを素直に受け入れることによって起こる心理状態で、「毎日生きていることに感謝」したり、「自分の人生に感謝」したりします。

この時の心理状態は静かであり、周りの人は何かを悟ったようにも感じることがあるようです。

ここで説明した5つの段階を全てのガン患者が通ることはないでしょう。治療によって成果が上がれば「抑うつ」症状にはならないし、「怒り」の感情のまま完治してしまう人もいるでしょう。

しかし、ガンの告知が与える心理的影響はとても大きく、このようなプロセスが起こる可能性を理解することは重要なことだと思います。

ガンの告知を受けて友人との人間関係がギクシャクするのは、その人が「怒り」の心理状態にいるのが原因であり、仕方がないことと理解してあげることが必要なのです。

サイコオンコロジーに注目

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貴方はサイコオンコロジーと言う言葉を聞いたことがありますか?

サイコロジー(心)、オンコロジー(ガンの研究=腫瘍学)を合体させたネーミングは、日本において「精神腫瘍学」と呼ばれている分野です。

サイコオンコロジーはガン患者や患者の家族が持つ心理的負担や悩みを緩和、解決するための研究を行っている分野と思って下さいね。

サイコオンコロジーの必要性

それではなぜサイコオンコロジーが必要なのでしょうか?

まず心理的負担と身体的苦痛がリンクしていることを理解しておく必要があります。つまり、心理的な負担が多い人と少ない人では治療の効果に差が出るということです。

ガンの治療効果を向上させるためには、患者の心理的負担を緩和させることが必要不可欠なのです。

また、ガンを発症した人の3割程度に適応障害の症状が発症することが報告されており、ガン患者やその家族の日常生活を守る意味からもサイコオンコロジーは重要な医療と考えられます。

サイコオンコロジーの必要性は「実質的な治療効果の向上」と「精神面における日常生活を守る」と大きく分けて2つの理由があります。

家族は第2の患者

サイコオンコロジーでは患者以外にその家族に対しても治療を行うことがあります。患者がガン告知で受ける心理的負担はもちろん大きいのですが、実は配偶者など家族が受けるダメージも同等と考えられます。

ある報告では、家族の受けるダメージの方が患者本人よりも大きい場合があるようで、それは家庭環境や家族構成、そして経済状況によっても違いが出てきます。

特にガンの治療過程における介護によっての負担が一番大きく、長期にわたる治療で配偶者が抑うつ状態になることも珍しくはないのです。

サイコオンコロジーでは家族を「第2の患者」と捕らえて、状態に鑑みて医学的なアプローチを行うこととされています。

コミュニケーションが重要

サイコオンコロジーではガン告知からの患者の心理状態を考えて様々なアプローチで治療を行います。その意味で患者とのコミュニケーションや信頼関係は最も重要とされているのです。

つまり、

  • 正確な病状の説明
  • 治療方針
  • 励まし
  • 相談に乗る
  • 要望をよく聞く
  • 患者会の紹介

など具体的な方策が有効とされています。

また、心理的負担が大きい場合には「睡眠導入薬」や「精神薬」など物理的なアプローチも併用することになります。

家族における対策としては、家族の不安や悩みを納得がいくまで聞いてあげることが重要とされています。その上で的確なアドバイスを行うことが、家族の不安要素を軽減して心理的な負担を減少させるのです。

サイコオンコロジーではこのように患者や家族とのコミュニケーションが重要となっています。

これらは簡単なように感じる人もいるかも知れませんが、正確に細かい話を聞く作業でも重労働であり、豊富な知識と経験が必要な分野だと言えるでしょう。

新しい分野に期待を

一昔前までは「緩和医療」「緩和ケア」と言う言葉を聞くこともなく、「病気になったのだから苦しいのは仕方がない」「ガンの痛みはどうしようもない」「痛み止めは身体に悪い」など、患者の苦痛については問題にしていませんでした。

身体の痛みでもこのような状況ですから、心理的な問題についてはもっと酷く「ガン患者が抑うつ症になるのは当たり前」程度の扱いだったのでしょう。

それが、実際の統計や研究データから痛みや心理面を改善することで、実際の治療効果に差があることが解ったのです。サイコオンコロジーは奥が深い医療であり、簡単には説明できるものではありません。

しかし、この分野が発展することで私達が受ける医療が豊かになることは間違いないのです。サイコオンコロジー、これから期待の医療ではないでしょうか?

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