健康生活TOP がん 今さら聞けないがん検診!方法によってはデメリットもある

今さら聞けないがん検診!方法によってはデメリットもある

レントゲン検査

日本では相変わらず癌(がん)が増加しています。もはやがんは風邪などの感染症と同じくらい身近な病気になってしまったのかも知れません。

厚生労働省の報告では、生涯でがんが発症する確率は「男性で55.7%」、女性で「41.3%」となっており、国民の2人に1人ががんを発症すると言われているのです。

このように増加が止まらないがんに対して、早期にがんを発見する「がん検診」も注目を増しています。

健康診断とがん検診の違いとは

日本が世界で一番の長寿国であることはご存知だと思いますが、その理由の一つとして上げられるのが「医療環境の充実」だと思います。

日本には優れた医療が存在しており、またそれらを手軽に利用できる環境があります。世界中の国の中には「医者が少ない国」「医療設備が乏しい国」「手軽に病院にかかれない国」などがあります。

このような国では病気になったからと言って、簡単に医療を受けることはできません。しかし、日本では「国民皆保険制度」を採用されていることから、少しの病気でも手軽に医療を受けることができます。

しかし、日本が世界一の長寿国になっている理由はそれだけではありません。それは予防に優れていることも要因の一つと言えるのです。

病気の予防は定期的な健康診断から

日本人は清潔好きで健康意識が高い国民と言われています。家庭では幼少時代から「手洗い」「うがい」を習慣付けており、毎日の入浴も当たり前の行為となっています。

実はこの当たり前の行為が世界でもなかなか珍しい光景であり、日本人の健康意識の高さを伺い知ることができます。

そして病気の予防にとって重要な役割を行っているのが「健康診断」ではないでしょうか?

健康診断とは「自覚症状の無い人に対して様々な検査や診察によって健康状態を評価すること」であり、症状の現れる前の早期発見を目的としています。

健康診断は会社や所属団体、地方自治体が行う検診のほか、任意で病院で受診する「人間ドッグ」などがあります。

日本では健康診断を年に1回受けることが推奨されており、多くの国民がこのスケジュールにそって受診しています。健康診断はその時点の身体の状態を知るだけでなく、定期的に受診することで検査値の比較を行うことも重要視されているのです。

まさしく「病気の予防は定期的な健康診断から」なのですね。

健康診断の必須5項目を知っていますか?

一般的な健康診断は厚生労働省が定めたガイドラインにそって行われることが多く、日本医療機能評価機構の医療情報サービスであるMindsでは以下の5項目が必須項目となっています。

  1. 喫煙に関する問診(対象疾患:喫煙行為)
  2. 身長・体重(対象疾患:肥満、その結果と生じる疾患)
  3. 血中脂質(対象疾患:脂質異常症)
  4. 血圧(対象疾患:高血圧症、高血圧症に続発する疾患)
  5. 空腹時血糖・HbA1c 「グリコヘモグロビン」(対象疾患:糖尿病)

これらの検査は普段の生活習慣や身体の状況から病気の発症リスクを想定したり、治療したりすることで発症や悪化を食い止めることに有効です。特に糖尿病などの生活習慣病に対しては有効な検診となっています。

最低でもこれら5項目の検査を年に1回行うことで、ある程度の健康管理はできるとされていますが本当にそうでしょうか?

特定の病気に注視した健康診断が人気

上記した5項目の検査は生活習慣病の発見や体調管理では大いに有効ですが、それ以外の病気の早期発見は難しいかも知れません。特にがんには様々な種類があり、一般的な検査では見つからないことも多いのです。

そこで最近人気なのが「がん検診」などの特定の病気に絞った健康診断なのです。

がん検診は様々な種類のがんの特性に合わせた検査を行うことでがんの早期発見を目的としており、早期治療を行うことで治癒率を向上させるのが目的です。

不治の病と呼ばれていたがんも現在では早期に発見することで完治も可能であり、いかにがんを発見するかが鍵になっています。

その意味でも定期的に受診するがん検診は注目を集めているのです。

がん検診の主な種類を知っておこう

このように健康診断の中でも「命の危険」を予防するがん検診には様々な種類の検査があります。主な検診を紹介しましょう。

健康診断や人間ドッグに組み込まれている胃がん検診

胃がん検診の流れ

昔から「胃がん」は日本人が最も注意するべきがんの一つでした。胃に発生したポリープや潰瘍が腫瘍化することで発症する胃がんは、死亡率も高く早期発見が重要とされていたのです。

そのような歴史から胃がんの検診は一般的な健康診断や人間ドッグに組み込まれていることも多く、大勢の人が毎年一回の検診を行っています。

「胃バリウム検査」がこれであり、胃にX線を通さない造影剤(バリウム)を流し込んでレントゲン撮影を行う検査です。この検査では胃の形や影をみることで、腫瘍やポリープの有無を判断します。

胃バリウム検査で異常が確認された場合には、直接胃の中を検査するために「上部内視鏡検査(胃カメラ検査)」を行います。この検査は細いチューブ状のカメラを口や鼻から入れて、胃の内部を直接撮影する検査です。

専門の医師が直接胃の内部を見ることができるので、的確な診断を下すことが可能です。

胃バリウム検査で異常を指摘されても上部内視鏡検査で問題なしと判定されることはよくあることで、確実性を求めて健康診断では始めから上部内視鏡検査のみを行う病院も増加しているようです。

大腸がんのサインを知る便潜血検査

大腸がん検診の流れ

日本で一番発症数が多いがんが「大腸がん」です。大腸がんは大腸(結腸・直腸・肛門)にできる悪性腫瘍であり、「直腸」や「S状結腸」にできやすいとされています。

大腸がんの検査も一般的な健康診断や人間ドッグに組み込まれていることが多く、「便潜血検査」がこれに該当します。

便潜血検査は検便に含まれている血液反応を調べる検査で、「大腸内に腫瘍による出血がないか?」を調べる検査です。

便潜血検査で陽性と判定された場合は、胃と同じく内視鏡の検査を受けることになります。「大腸内視鏡検査」は内視鏡を肛門から大腸内に挿入して、直接大腸の内部を観察します。

大腸内視鏡検査も専門の医師が直接大腸の様子を見ることができるので精度の高い検査と言えるかも知れません。

レントゲン撮影によるがん検査

胃バリウム検査はX線を使用したレントゲン検査ですが、このようにX線を使用したがん検診は一般的な検査として普及しています。

「肺がん」の検査では肺をX線で撮影することで、肺の状況を観察して場合によっては「喀痰細胞診」を行います。

肺がん検診の流れ

「乳がん」の検査においては専門の「乳房X線検査(マンモグラフィ)装置」を使用したレントゲン検査が一般的です。また視触診も重要とされていることから、専門の医師による触診が併用されることが多いようです。

乳がん検診の流れ

レントゲン検査では異常を発見することは可能ですが、詳細を知ることは不可能であるため、あくまでも精密検査のきっかけとして行われているのが現状です。

血液検査でがんを見つける腫瘍マーカー

体内に腫瘍ができると血液中にあるタンパク質やホルモンなどが急激に増加する特質があります。これを利用したのが「腫瘍マーカー検査」で、血液を調べることで腫瘍の有無を判定します。

しかし、腫瘍マーカーが高くても必ずがんが発生している訳ではなく、炎症などの症状によって数値が高まることもあります。また、早期のがんでは腫瘍マーカーが反応しないこともあり、早期のがん予防に直接繋がるかは疑問が残ります。

腫瘍マーカーの検査の中で代表的なものを以下に紹介します。

  • CEA検査:大腸がん、胃がんなど消化器系のがんや肺がんなど
  • CA125検査:卵巣がんなど婦人科系のがん
  • PSA検査:前立腺がんなど

がん細胞に印を付けるPET検査

pet検査

PETは「陽電子放射断層撮影」を意味しており、近年最も注目されているがん検査の一つです。

PET検査はがん細胞のある特徴を利用しています。その特徴とは「がん化した細胞はブドウ糖を正常細胞よりも多く吸収する」ことで、その量は3倍~8倍にもなると言われています。

そこで特殊なブドウ糖状物質(FDG)を体内に投与して、その動きを観察します。このFDGがある一定の箇所に集まることで、がん細胞の有無を見極めることが可能であり、さらにリンパ節など解りにくいがんの発見も可能になります。

検査前には5時間の絶食が必要で、検査時間は薬投与後の安静時間を含めると約2時間半~3時間ほどかかります。

PET検査は比較的新しい技術ですが、健康保険も適用されていることから多くの病院で導入が進んでいます。現状、一般的な人間ドッグの検査項目には含まれておらず、別途「PETがん検診」を受ける必要があり、費用も高額な場合が多いようです。

PET検査は保険適用(3割負担)で約3万円、適用外だと10万円近くかかってしまうこともあり、普及が進むことで安価な検診が行われることが望まれますね。

様々な検査の内容を知っておくことで少し不安感がぬぐえたのではないでしょうか?

がん検診は本当に有意義か?がん検診が持つ問題

がんは早期発見が完治への近道には間違いないでしょう。しかし、近年がん検診に疑問を持つ医師が増加しているようです。その理由を探ってみましょう。

X線によるがん発症の危険性が大きい

英国のある大学の調査で興味深い研究データが報告されています。その報告では「一年間に発症する日本の発がん患者の中の3.2%程度が放射線診断によるものである。」とされています。

つまり、健康診断や検査のために過剰にX線を浴びることで、被爆によるがん患者が相当数存在していることを意味しています。

これは医療が進んでいる先進国ではトップクラスの数であり、検査ががんを誘発している悲しい現実とも言えます。

一般的な人間ドッグにおいても、「胸部レントゲン」「胃バリウム検査」「乳がんマンモグラフィ検査(女性のみ)」などX線を浴びる検査が複数あります。

このように毎年X線を浴びることで、DNAが傷ついてしまい細胞が腫瘍化してしまうのです。

がん検査x線

最近では胃バリウム検査を上部内視鏡検査へ変更したり、乳がんのマンモグラフィ検査を2年に1回へと制限したりとX線の浴びすぎに注意する取り組みも行われているようです。

検査と言ってもX線を浴びることは放射線被爆なのですから、安易に考えることは避けるようにしましょう。

偽陰性と偽陽性があることをしっかり理解しましょう

がん検診は100%の精度ではありません。その結果には「偽陰性」「偽陽性」があることを理解する必要があります。

偽陰性とはがん細胞があるにも関わらず見逃してしまうことです。これは検査の精度にもよりますが、医師の技術力によっても左右されてしまうこともあります。

特に内視鏡を使用した検査では医師の熟練度によって大きな違いが出ることがあります。定期的な検査によって複数の医師に判断を仰ぐのも方法かも知れません。

反対に偽陽性とはがん細胞があると診断されたにも関わらず、精密検査の結果では異常なしと診断されることを言います。

実はがん検診で「異常あり」と診断されても、その大部分が精密検査では「異常なし」と診断されています。ほんの数%だけが本物のがんと言う訳ですね。

その意味でがん検診の結果は、あくまで精密検査の必要性を示したに過ぎないと考えた方が良さそうです。

問題になりつつある過剰診断

最近問題になっているのが「過剰診断」です。医療の進歩によりがん検診の精度は向上しています。数年前なら見逃していたがん細胞であっても、当たり前のように見つけることができるようになっています。

しかし、これが過剰診断のきっかけを作っていると指摘されています。

がん細胞の中には細胞分裂が極度に遅かったり、命の危険性がなかったりするものが存在しています。これらのがん細胞は進行がんにならずにそのまま留まり、最終的には消えてしまうものもあります。

つまり、放置していても問題ない種類のがん細胞も検診で見つかることで、必要のない治療を行ってしまう危険性があるのです。

がんの治療には手術による「外科療法」、抗がん剤による「化学療法」、放射線を浴びせる「放射線療法」などがありますが、その全てで身体に大きな負担がかかってしまいます。

本来問題のない腫瘍を見つけてしまったために、長年治療の後遺症に悩む人も増加傾向にあるそうです。がん全てが悪性ではないことを十分に理解しましょう。

精神的な不安が精神疾患を生む可能性が

もともとがん検診はがんの早期発見を目的にした検査です。しかし、実際には普通の健康診断に組み込まれていることが多く、望まない状態で実施されることが多く見られます。

「がんだったらどうしよう」「陰性ならいいな」などは誰でも思うことですが、これらは不安の表れといっても過言ではありません。

そして検査の結果「要精密検査」となったら、その不安は精神的負担となって襲いかかってくるでしょう。先ほども説明した通り、がん検診によって見つかる悪性腫瘍は数%と言われています。

大抵は精密検査で異常なしと出るのです。しかし、このことを知らない人は「あーがんだっ」「もう駄目だ」などと考えてしまうかも知れません。精密検査を受けて結果が出る数週間後まで、悩み続ける人も少なくないでしょう。

がん検診がきっかけで精神的不安に陥り、精神疾患を発症する場合があります。そうならないためには受けている検査の内容と精度を理解することが重要ではないでしょうか?

一部のがん検診に疑問が出てきている

乳がん検診で使用されている「マンモグラフィ検査」について、これを推奨しない動きが見られるようになっています。これはマンモグラフィ装置から出される放射線量が、大きいことが理由になっています。

スイスでは医療委員会が「マンモグラフィ検査を行っていても、進行がんの減少には繋がらない」との勧告を出して廃止を求めています。アメリカにおいても使用を制限したり、年齢を限定したりの議論があるようです。

放射線のリスクを甘受していくら小さながんを見つけても結局は偽陽性であって、進行がんの発症数はくい止められないことが根本にありそうです。

このように放射線を使用した検査を安易に受けることは、最終的にがんの発症リスクを高めてしまう「諸刃の剣」だったのですね。

日本人は毎年健康診断を受けることが健康の秘訣と信じ込んでいますが、中には検査によって病気リスクを高めることもあります。

特にがん検診は自分が受ける検査を十分に理解して後悔のないように受診するようにしましょう。

そのために正しい知識は非常に重要です。

事前に検査する場所でしっかり話を聞いたり資料をもらったりして、「なんとなく受けている」という状態でないようにしましょうね。

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