健康生活TOP がん 膀胱癌治療に結核予防のBCGワクチンが効く!その治療法とは?

膀胱癌治療に結核予防のBCGワクチンが効く!その治療法とは?

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BCGワクチンと聞くと、結核の予防接種を思い出すでしょう。ハンコ注射とも言われ、大人になってもはっきりと痕が残っている人もいるかもしれません。

実はこのBCGワクチンが膀胱癌の治療にも使われていることをご存知ですか。結核と膀胱癌、全く関係のない病気のようですが、なぜBCGワクチンが膀胱癌にも効くのでしょうか。

また、まだ研究段階ですが糖尿病の治療にも効果があるのではないかと考えられているのです。BCGワクチンの可能性についてみてみましょう。

BCGワクチンは結核菌の毒性を弱めたもの

BCGワクチンとは、ウシに感染する結核菌の毒性を弱めたものです。ウシの結核菌を実験室で繰り返し培養していくと、人に対する毒性がなくなります。これを接種することで、結核にかかることなく結核菌に対する免疫を獲得することができるのです。

昭和の頃までは、小学生や中学生になってからツベルクリン反応をして陰性だった場合には再接種を行っていたため、BCGを受けた記憶がある方もいるでしょう。現在は生後1年未満の間に、ツベルクリン反応はしないまま受けることになっています。

結核菌に感染してしまう患者数は、以前と比べると少なくなっています。それでも子供が感染してしまうと全身に重い症状が出てしまうこともあるため、BCGを受けて予防しておくことが大切です。

喫煙は膀胱癌の最大のリスク、痛みがなくても血尿あれば要注意

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膀胱癌は年齢を重ねるごとにかかりやすくなります。そして男女比では男性は女性の5倍も多くなっています。

原因として最も可能性が高いのは喫煙です。その他、化学染料工場に勤務し特定の化学物質にさらされた経験のある人は膀胱癌になりやすいとされます。現在この化学物質は輸入はもちろん、作る事も使う事も禁止されています。

膀胱癌の症状として最も多くみられるのは、痛みなどを伴わない血尿です。他に頻尿、尿意切迫感、排尿の際の痛み、腰から背中にかけての痛みといった症状が出ることもあります。

初期段階の膀胱癌なら、手術で腫瘍を取り除く

癌がまだ初期段階で膀胱筋層(膀胱の壁)にまで入り込んでおらず、他の臓器などへの転移もない場合には、内視鏡を使って腫瘍を取り除く手術をします。そしてその後癌が再発してしまわないように、膀胱内に抗ガン剤やBCGを注入する治療が行われます。

膀胱癌は、手術で腫瘍を取った後にも再発してしまう可能性が高いとされます。そのうえ再発した腫瘍は、初めの腫瘍よりも悪性になってしまうことが多くなります。

このようなことを防ぐために、腫瘍を取り除いた後に抗ガン剤やBCGを注入するという治療が行われるのです。

抗ガン剤を注入するか、BCGを注入するかは癌の状態によって違います。再発などのリスクが低い場合には抗ガン剤を注入します。そして再発のリスクが高いと判断された場合にはBCGを注入することになります。

また、まだ初期段階の膀胱癌で腫瘍が深くまで入り込んでいない場合でも、腫瘍の状態によってはそれを取り除くための手術が行えないこともあります。これは膀胱上皮内癌と呼ばれ、特に進行してしまうリスクが高いものです。

この膀胱上皮内癌にもBCGを注入するという治療が行われます。

膀胱内にBCGを注入し再発を防止する「BCG膀胱内注入療法」

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膀胱内にBCGを注入するという治療法は、約30年前に開発されました。現在、癌に対して有効な免疫療法であると評価されています。

BCGワクチンがなぜ膀胱癌に効果あるのか?

では結核の予防に効くワクチンに、なぜ膀胱癌の再発を防止する効果があるのでしょうか。

BCG膀胱内注入療法は、免疫細胞を活性化させることで腫瘍細胞を攻撃させて膀胱癌の再発を防止します。

膀胱内にBCG(毒性が弱められた結核菌)が注入されると、腫瘍細胞にはBCG菌が取り込まれます。するとこれがきっかけとなって、免疫細胞が活性化されるのです。

そして免疫細胞が腫瘍細胞を攻撃していくようになり、腫瘍細胞は次第に壊されていきます。それによって膀胱癌の再発や、以前よりも悪化してしまうといったようなことが抑えられるのです。

BCG膀胱内注入療法の治療の流れ

BCG膀胱内注入療法は内視鏡で腫瘍を取り除く手術をした後、1−2週間あけてから行われます。BCGの注入は以下のような流れで行われます。

  1. 治療の前に、まず排尿を済ませておきます
  2. 生理食塩水で薄めたBCGを、カテーテルという細い管を使って膀胱内に注入します
  3. 注入後は2時間くらい排尿を我慢し、膀胱内に薬液を入れておきます
  4. 2時間くらい経てば、治療は終了です
  5. 治療後の最初の尿は、消毒してから流します

BCG注入後はなるべく2時間くらい排尿を我慢したほうがよいですが、無理に我慢することはありません。また2時間以上我慢する必要もありません。一度排尿した後は、もう普段通りで大丈夫です。

BCG膀胱内注入療法後の最初の尿には、BCG菌がたくさん含まれています。この菌は人に対する毒性がなくなるくらいにまで弱毒化されていますが、念のために消毒することになっています。

最初の排尿を病院内で行うのであれば、消毒処置は病院の方でやってくれるでしょう。もしも家に帰ってから最初の排尿をすることになる場合には、消毒の仕方を教えてもらえると思います。それに従って、消毒してから流すようにしてください。

このような治療を週1回、6~8週間続けるというやり方が一般的になります。

BCGを使う治療のほうが、抗ガン剤よりも効果が高い

膀胱内に抗ガン剤を注入するか、それともBCGを注入するかは腫瘍の状態によって違います。

実は抗ガン剤よりもBCGを注入したほうが、腫瘍に対しては効果が高くなります。膀胱癌の再発を抑える効果や、再発した癌が以前よりも悪化してしまうのを予防する効果などがBCGのほうが高いのです。

進行しやすい膀胱上皮内癌に対しても、BCGを注入したほうが治る確率が高いこともわかっています。

このようにBCGを使った治療のほうが、抗ガン剤を使った治療よりも効果が高いのです。

しかし問題もあります。BCGを使った治療のほうが副作用が出やすくなるのです。場合によっては、かなりひどい副作用が起きてしまうこともあります。

BCGを使った治療には副作用もいろいろある

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「BCG膀胱内注入療法」では副作用もいろいろ起きています。軽い副作用まで含めれば、この治療を受けた患者全体の90%以上で何らかの副作用が起きているのです。

具体的には以下のような副作用があります。

  • 排尿時に痛みがある
  • 頻尿になる
  • 残尿感がある
  • 排尿がうまくできない
  • 尿意が我慢できない
  • 血尿がある
  • 膀胱に違和感がある
  • 熱が出る
  • 感冒(風邪)のような症状が出る
  • 倦怠感がある
  • 関節炎になる
  • 吐き気がある
  • 食欲不振になる
  • 下痢をする  など

排尿時の痛みは75%に、頻尿は63%に起きてしまうとされます。

このような副作用が出てしまった場合には、その症状によって消炎鎮痛剤や頻尿の治療薬を飲んだりして様子をみます。治療後に何か気になることがあれば、必ず主治医に話すようにしましょう。

もしも治療を行う当日に血尿があるようならば、その日の治療は延期になります。

注意していただきたいのは、これらの副作用の中には非常に危険なものもあるということです。まれに全身がBCGに感染しまうこともあるのです。これはとても危険な状態です。

以下のような症状があった場合には、必ずすぐに主治医に連絡してください。すぐに何らかの処置を行ったほうがよいこともあります。

  • 39度以上の高熱が出てしまっている
  • 治療後に38度以上の熱が2日以上続いている

BCGの感染が、全身でなく局所に起きてしまうこともあります。膀胱に感染して膀胱炎になってしまったりということもあるのです。このような時には抗生剤を飲んだりすることもあります。

また5%ほどに関節炎が起きてしまうこともあるのですが、この中にはライター症候群というまれにしか起きないものの危険な副作用もあります。これは関節の痛みの他にも、結膜炎や尿道炎といったような症状も現れます。

どんな症状でも、BCG膀胱内注入療法後に何らか症状が出た場合には必ず主治医に連絡をしましょう。たいした症状でないと思っていても、実は重大な副作用が隠れていることがあるかもしれません。

BCGワクチンには、他にも様々な可能性がある

実はBCGワクチンには、他にも様々な病気に効果があるかもしれないとして研究されてきた歴史があります。

まだ動物実験の段階のものまで含めると、以下のような病気に有効かもしれないとされています。

  • 肺癌
  • 大腸癌
  • 悪性黒色腫
  • 多発性硬化症
  • ハンセン病
  • パーキンソン病
  • 糖尿病  など

現在、BCGワクチンが1型糖尿病の治療に効果あるのではないかとして注目されています。実際に1型糖尿病の患者さんに対して有効なのかどうかを調べるための臨床試験も始まっています。

1型糖尿病とは、インスリンをほとんど、もしくは全く分泌できないというタイプの糖尿病です。インスリンが分泌できないと血糖値を下げることができないため、インスリン注射を続けることが必要になります。

生活習慣が影響して発症してしまう糖尿病は2型糖尿病と呼ばれるもので、この1型糖尿病とは異なります。

1型糖尿病は自己免疫疾患が原因とされています。自分の免疫細胞が間違って、インスリンを分泌する大切な細胞(すい臓のβ細胞)を攻撃してしまうことで発症してしまいます。

BCGワクチンを使って治療をすることで正常な免疫細胞が増えて、間違って大切な細胞を攻撃してしまうような異常な免疫細胞は減るのではないかと考えられるのです。

すでにごく小規模な試験では、BCGワクチンが1型糖尿病に対して効果があることが確認されています。

BCGワクチンが1型糖尿病に本当に有効なのかどうかは、まだはっきりと証明されたわけではありません。世界中で一般的な治療法として確立されるようになるのは、もっと先の話でしょう。

それでも、BCGワクチンにはまだまだいろいろな可能性が期待できそうです。

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