健康生活TOP 乳がん 深夜勤務はホルモンの関係で乳癌を招く!男性では前立腺癌の危険

深夜勤務はホルモンの関係で乳癌を招く!男性では前立腺癌の危険

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深夜に起きているのはメラトニン不足がどうのこうので身体に良くないらしい…と言う程度の共通認識は、社会の中で出来上がりつつあるようです。

タレントさんやお医者様がいっぱい並んで、いろんな情報を伝えてくれるテレビの健康番組なんかでも、メラトニンと言うホルモンの名前は良く出てきますよね。

でも、そのことと乳がんや前立腺がんがどのように関わってくるのか、そのあたりからお話を始めましょう。

現代では深夜勤務も普通…研究でわかった女性は乳がんのリスクが高まってしまうという事実

統計によってばらつきがあるものの、深夜勤務(22:00~翌5:00)時間帯に仕事をした人の割合は20%を超えているそうです。

これは残業が長引いて深夜残業になったと言うものは少数で、多くは交代制勤務に起因するもののようですね。ですから週40時間の勤務時間であっても、交代制や常時夜勤で夜に仕事している人が多くなっていると言うことです。

交代制勤務と言えば看護師さん

もちろん社会インフラ関係や消防・警察などセキュリティ関係のお仕事も交代制になることが多いですね。でも、私たちにとって一番身近な交代制勤務のお仕事についておられるのが看護師さんではないでしょうか。

このことはアメリカでも同じなのでしょうね、今からもうずいぶん前、1976年にこの追跡研究は開始されました。30歳から55歳の、12万人を超える女性看護師さんたちがこの追跡調査に参加したのです。

開始から12年後、1988年まで2年ごとにアンケートが行われ、およそ8割の看護師さんたちが交代制勤務に従事したと答えています。もちろんこの段階で乳がんを発症した人が2000人以上もおられました。

そして、さらに10年間のフォローアップが行われ、調査研究は1998年まで続いたのです。細かいところは省きますが、主なデータを紹介しましょう。

結果として閉経前の女性看護師さんの場合、1年以上15年未満の交代制勤務に就いた経験を持つ人は、乳がんを発症した人が、交代制勤務の経験がない人に比べて23%多かったと言う結果が得られています。

さらに15年以上の経験を持つ人では発症数が34%増と、やはり年数が伸びるほど発症数も増えるようですね。

一方、閉経後の人の間で採られた統計によると、30年未満の交代制勤務の経験者は、交代制に就かなかった人に比べて5~6%程度乳がんが増えています。

しかし、30年以上の経験者では36%と大幅な増加が見られました。もちろん、乳がんも高齢になるほど、そして閉経後の方がリスクが高くなるので、単なる比率の比較だけでは語れない部分があります。

ですから、この研究においてもただ単に比較するだけではなく、初潮の時期から配偶者や出産の有無、本人や配偶者の学歴に至るまで、実にさまざまなファクターを計算に入れて乳がん発症のリスクを求めたそうです。

その結果、閉経前におけるリスクは交代制勤務経験者で勤務期間が比較的短くても高くなっていますが、閉経後では交代制勤務の経験年数がかなり長くなって初めて差が大きくなったと言うことが読み取れます。

しかし、これは交代制勤務の経験がない人のリスクが高くなったことによって、両者の間の差が少なくなったと言うだけで、交代制勤務経験者のリスクの絶対値が減ったと言うわけではありません。

他のケースでも

この研究ほど大規模ではない物の、一般企業での交代制勤務経験を持つ女性や、旅客機の客室乗務員さんなどの間でも同じような傾向が見られたそうです。

さらに、交代制勤務になると眠るために飲酒の量が増えると言う傾向があることから、アルコールによる影響も勘案したとあります。

その結果、どの職業においても交代制勤務の経験がある女性は乳がんリスクが高まったようですね。

交代制勤務と乳がんの関係とは?考えられるそのメカニズム

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なぜ交代制勤務を経験した人の乳がんリスクが高まるのでしょう。

この研究では飽くまで統計としての結果をも報告するにとどまり、結論までは導き出していません。しかし、仮説はいくつか立てておられますので紹介しましょう。

メラトニンは生体時計の針

メラトニンと言う睡眠に大きな影響を持つホルモンがあります。例えば、人を窓のない部屋に閉じ込めて、明るさを一定にした上で外部との接触を絶ち、時計を奪ってもだいたい24時間周期で寝起きするそうです。

これは脳の中心部にある松果体と言うところから分泌されるホルモンです。約24時間周期で繰り返されるこのメラトニンの増減によってサーカディアンリズムと言う生体時計の基本になるリズムを刻んでいるのです。

一方、メラトニンの分泌は暗い状態が続いたあと光を浴びることで減少し「朝である」と言う位置にリセットされます。そこから一定時間が経って夜と認識するとメラトニンの分泌量が増えて眠りの準備に入るわけです。

しかし、交代制勤務で24時間よりずっと短い時間の経過後に再び光を浴びてリセットされたりすると、だんだんメラトニンが上手く分泌されなくなってきます。

メラトニン自体は血液脳関門も通り抜けられる抗酸化物質として全身で働いています。また、メラトニンは性ホルモンとも密接な関係を持っています。

このようなことから、メラトニンの分泌が上手く行かなくなると性ホルモンに影響が出て乳がんに繋がるのではないかと言う仮説が立てられています。

また、メラトニン自体はDNAの保護作用も持っていますので、これが減ってしまうとDNAが損傷して、細胞ががん化する恐れが高まる可能性もありますね。

その他、細かい分子レベルでの仮説もいろいろ立てておられますが、ここでは乳がんリスクが高まることを裏付ける仮説がいくつか出ていると言うだけにとどめておきましょう。

乳がん以外への影響は

この研究はたくさんの人の情報を集める関係から、医療従事者で女性と言う条件を付けると、どうしても女性看護師さんが対象になります。

また専門教育を受けている人たちですから、医学的なアンケートにも正確に答えてもらいやすいでしょうね。そして、アメリカではもっとも一般的な乳がんを対象に調べたと言うわけです。

ですので、研究対象になっていないだけで、卵巣がんや子宮がんなど女性特有のがんについても、研究すれば何らかのデータが採れる可能性は少なくないでしょう。

実は男性にも影響が!男性特有の前立腺がんの発症率が上がってしまう

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この研究をきっかけに、より交代制勤務が多いであろう男性についても調査が行われました。こちらは日本国内です。アメリカでの乳がん研究はスタートからずっと対象の人を観察する「前向き」と言う方法でした。

一方、日本ではそれまでに集められた様々なデータを遡って調べることで結論を導き出す「後ろ向き」と言う手法が採られています。

それまでに他の統計などで信頼に足るデータが充分集まっている場合、こちらの方が結論が早いので便利なのですが、なかなかそうしたデータがそろう事は少ないんですね。

男性特有のがんと言えば

言うまでもなく前立腺がんですね。あと数年程度で日本人男性のがんの中でトップの座に躍り出そうな勢いです。

そこで、2006年に日本人研究者の先生が過去のデータから1万4千人以上のサンプルを調べたところ、日勤者に比べて交代制勤務者の前立腺がんの発生は3倍にも上ったと言うことです。

発がん性環境に指定

世界保健機関WHOの下部組織に国際がん研究機関と言うものがあります。ここは様々な物質や環境などについて発がん性の評価を行っています。

その評価は大まかに、

  • グループ1:発癌性がある
  • グループ2a:おそらく発癌性がある
  • グループ2b:発癌性があるかもしれない
  • グループ3:発癌性は不明である
  • グループ4:発癌性はない

の5段階です。

そして、国際がん研究機関は交代制勤務を上から2番目に当たる、グループ2aの「おそらく発癌性がある」と評価分類しました。

先に紹介したような、女性にも男性にも発がんリスクが増加することが示されたからでしょう。

規則正しい夜勤はどうなる?リズムが乱れた生活ががんを引き起こす

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ここまで読んでもらったら気になった方もおいででしょう。この発がんのメカニズムは体内時計のリズムが崩れることが発端になって起こっています。

ならば、交代制勤務ではなく、ずっと夜勤専門でお昼は寝ていると言う人の場合どうなるのでしょう。

研究データはありません

残念ながら詳細なデータは見つかりませんでした。労働組合関係のサイトなどでは「夜勤は国際がん研究機関の情報で発がん性が指摘されている」などと書いてあるのを見かけますが、これは誤っています。

国際がん研究機関が指摘しているのは”Shift Work”、つまり「交代制勤務」であって、恒常的な夜勤を指しているのではありません。まぁ、普通は夜勤と言えば交代制勤務と同義に使われることも多いので仕方ないですが。

しかし、例えばサービス業や運輸業、旅客運輸業などの場合、夜にしか働かない人と言うのも珍しくありません。こうした人の場合、照明のコントロールで昼夜が逆転しているわけですから24時間リズムは守られています。

おそらく決して健康的とは言えないでしょうが、数日から数週間と言う短い間隔で24時間のリズムが崩れる交代制勤務よりはましではないかと思います。

夜更かしはどうなる

これも想像の域を出ません。メラトニンの分泌は光を浴びることでリセットされて24時間リズムを刻むわけですから、深夜まで遊び歩いて、正午に起きてきたとしたら、そこをリセット地点にするかもしれませんよね。

でも、規則正しく夜更かしをする人ってあまりいないように思います。ですので、「不規則な生活はがんになる」と思っておいていただいても良いんじゃないでしょうか。

それに、仮に規則正しく夜更かしと朝寝坊をしたとしても、多くの人の生活時間帯である朝が始まると騒音レベルも上がります。気温の変化もありますよね。睡眠の質が落ちやすいと言えるでしょう。

ですから、やはり夜勤ともどもあまり健康的とは言えない環境になるんじゃないでしょうか。

交代制勤務のリスクを食品で軽減!果物・貝・ナッツを積極的に食べよう

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こうしたデータが揃ったからと言って、すぐに交代制勤務から離れることができる人と言うのは非常に限られるでしょう。仕事の責任もそうですが、深夜勤務は給料が良いと言うインセンティブの面も見逃せません。

本来なら社会全体の方向性が個人の健康を犠牲にしないよう変わるべきなのですが、それには時間がかかります。ならば、他のリスクを減らして対応するのが唯一の道なのかもしれませんね。

リスクを減らすことから始めよう

メラトニンが抗酸化作用を持っていてDNAを保護していると言うことは先にお話ししましたね。これが不足することで活性酸素がDNAを傷つけている可能性は充分にあります。

ならば抗酸化物質を準備しようと言うことになりますよね。強力な抗酸化作用を持つビタミンEとビタミンCのセットは積極的に摂りましょう。

端的にはお野菜やフルーツとナッツやゴマでかなりの量が期待できます。おやつにはスイーツじゃなくてミックスナッツをつまむなんてのもお勧めですよ。さらにフルーツなんかも積極的に食べたいですね。

コンスタントな抗酸化物質

しかし、もうちょっと重きを置きたい食べ物があります。それはたんぱく質が豊富なものです。もちろんお肉でも魚でも乳製品でも大豆製品でもOKです。でも特におすすめは貝類なんですよ。

私たちの体内では様々な栄養素の化学変化が起こっていますが、ひとつ面白いものがあって、炭水化物・脂肪・たんぱく質のどれからでも作れる物があります。それは補酵素Aと言うグループの一つでアセチルCoAと言うものです。

また、貝類って良い出汁が出ますよね。あの旨味はコハク酸と言うものです。このコハク酸と補酵素Aからできている化合物にスクニシルCoAと言うものがあります。

一方、貝類のたんぱく質にも多く含まれている最もシンプルなアミノ酸、グリシンとスクニシルCoAが結びつくとアミノレブリン酸になります。

このアミノレブリン酸は化学変化でポルフィリンと言う有機化合物になり、これが鉄を取り込むことでヘムになります。

ヘムたんぱく質の一つにカタラーゼと言う酵素があるのですが、これは体内でエネルギーを作り出す時の副産物として出てくる活性酸素種、過酸化水素を分解する働きがあるのです。

なんだか「風が吹くと桶屋が儲かる」式の説明になってしまいましたが、これでも大半の面倒な過程はすっ飛ばして説明しているんですよ。

でも、一言でいえば「貝を食べると体内で抗酸化物質の原料になる」と言うことなんです。あさりでもしじみでも贅沢にハマグリでもOK、できれば毎日少量でも食べるといいですね。

喫煙は論外!お酒も避けよう

たばこを吸っている段階でがんになるとかならないとかの議論は無意味になります。先に紹介した国際がん研究機関のリスク評価でも堂々のグループ1「発がん性がある」に分類されています。

それだけではなく「受動喫煙環境」もグループ1なんです。ですから、もしたばこを吸っているのでしたら、この記事のここまで読んだ段階で残りのたばことライターはゴミ箱へ直行させて下さい。

お酒について個人的には、正直あまりとやかく言いたくない気持ちはあるんです。私はほとんど飲みませんけどね、飲んでも年に1~2回でしょうか。

でも、交代制勤務などで睡眠の質が落ちやすい人にとって、お酒は害にしかなりません。ベッドに入る時間が不安定で、入眠のためにお酒を利用される人は少なくないと聞きます。

しかし、お酒の力で眠りに入った人は、1~2時間後に睡眠が浅くなって、結局「寝た気がしない朝」を迎える羽目になると言うことです。

個人個人でさまざまな事情はあるでしょうから一概に決めてかかるのは無理があるでしょう。しかし、できれば終業後帰宅してから3時間以上、できれば4時間ぐらい後にベッドに入るような段取りをお勧めします。

入浴と食事、個人のスタイルは様々ですが、できれば食事が先で少し間をおいてから入浴。必ず湯船を利用して温まり、あがってから1時間半~2時間ぐらいでベッドにもぐりこむのが最適です。

これによって消化吸収・代謝・体温の変化を上手くコントロールできるので、自然に深い眠りに入れますし、お酒を使った時のように睡眠中に疲労がたまることもありません。

お酒を飲んで寝ちゃうと、頭は寝ていても、肝臓をはじめとする身体の各器官は残業ってことになります。これじゃ朝起きた時に疲れていても当然ですね。

他でリスクを下げればOK!できることから始めましょう

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このように、交代制勤務によって仮に発がんリスクが上がったとしても、生活を見直すこと他の発がんリスクを下げれば良いと言うことです。

いえ、むしろ交代制勤務によるリスクを意識することで、より健康になれるかもしれませんね。

ポリフェノールとかカロテン類とか、他にも体に良いものはたくさんあります。しかし、まずは悪いものを排除すること、つまり禁酒禁煙から入ってみましょう。

そして、食べ物で意識するのは

  • フルーツ
  • ナッツ

の三つです。これが習慣として定着したら、さらに好ましいアイテムを調べて生活に組み込んでゆきましょうね。

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