健康生活TOP 出産 帝王切開の回数はリスクに関係するの?年子や二人目が心配なら

帝王切開の回数はリスクに関係するの?年子や二人目が心配なら

「帝王切開」は、産道から赤ちゃんを分娩するのではなく子宮を切開して赤ちゃんを取り出す分娩法です。

赤ちゃんとお母さんの健康を優先して行われる安全なお産で、経腟分娩が難しい方でも子どもを持つ選択が可能になります。

もちろん帝王切開にはメリットとデメリットがあります。特に2人目以降の出産はリスクを伴いやすいので、医師や家族とよく話し合って出産の準備をしたいですね。気になる2人目以降の帝王切開について注意点を説明いたします。

妊娠中に知っておきたい!帝王切開のメリット・デメリット

厚生労働省により、日本の平成23年度の医療機関における帝王切開娩出術の割合は19.2%と発表されています。赤ちゃんの5人に1人が帝王切開で生まれているほど普及している分娩法なのです。
(平成23年(2011)医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況 – 厚生労働より)

帝王切開は麻酔をかけて行なうれっきとした外科手術ですが、

  • 開腹してから赤ちゃんが誕生するまで5分以内
  • 縫合を含めても約30分
  • 麻酔を含めると手術の時間は1時間以内

と短時間です。

また、1人目の赤ちゃんを帝王切開で分娩しても、切開・縫合した子宮は回復するので、その後に自然分娩をしたり帝王切開を繰り返して分娩したりすることが可能と言われています。

医療の進歩により、日本の医療機関で受けられる帝王切開そのものは非常に安全な分娩法となっています。もちろん外科手術である以上はリスクがゼロになることはなく、帝王切開はメリットとデメリットを持ち合わせています。

帝王切開のメリット

帝王切開の最も大きなメリットは、経腟で自然分娩することが難しい状況でも安全に出産できるようになる点です。

帝王切開には「予定切開」と「緊急帝王切開」があります。

予定帝王切開
妊娠中にトラブルが分かった場合、安全に分娩するため計画的に行う
緊急帝王切開
自然分娩を予定していたが帝王切開のほうが安全だと判断した場合に行う

分娩全体に対しては、およそ9%が予定帝王切開、およそ8%が緊急帝王切開の割合で選択されているというデータもあります。

帝王切開の種類 選択の理由
予定帝王切開
  • 帝王切開の経験者
  • 逆子
  • 双子・多胎(三つ子以上)
  • お母さんの骨盤に対し赤ちゃんの頭が大きい
  • 前置胎盤
  • 過去に子宮の手術を受けた
  • 子宮筋腫があり経腟分娩が困難
  • 産道からウイルスの母子感染の恐れがある
  • 高齢出産

など

緊急帝王切開
  • 分娩停止・遷延分娩
  • 常位胎盤早期剥離
  • 子宮破裂
  • 臍帯脱出
  • 前期破水
  • 重症妊娠中毒症

など

このようなトラブルからお母さんと赤ちゃんの安全を守るメリットが何より大きいほか、

  • 出産日時が選べる
  • 分娩が短時間で済む
  • 陣痛に苦しまなくて済む
  • 膣のゆるみを防ぎ女性機能を維持する(海外で重視される価値観)

といったメリットも喜ばれています。

高齢出産や不妊治療により分娩時のトラブルのリスクが高くなっている妊婦さんが増えたこともあり、予定帝王切開が増えてきています。

帝王切開のデメリット

帝王切開は、麻酔や開腹手術の負担がかかるため、自然分娩にはないデメリットも発生します。

開腹するので、自然分娩に比べると傷口、出血量、出産後の痛みは大きくなってしまいます。自然分娩なら5日程度で退院できますが、帝旺切開だと10日前後と少し遅くなります。また産後は、深部静脈血栓症やイレウスなどの術後合併症にも注意が必要です。

産後には、お腹に傷跡が残ります。皮膚の切り方は「縦切開」と「横切開」があり、傷跡が目立たない横切開が主流となっています。2回目以降の帝王切開では、傷跡と同じところから切開するので、分娩のたびお腹に傷跡が増える心配はありません。

傷跡の残り方には個人差があり、ケロイド体質の人は傷跡が赤茶色に目立ちやすくなります。また緊急の場合には術野(患部の見える範囲)が広く赤ちゃんが生まれやすい「縦切開」が選択されます。縦切開は分娩後の痛みが少ないのですが、傷が目立ちやすいデメリットもあります。

また、帝王切開後には子宮と周辺臓器が「癒着」してしまう心配もあります。癒着とは、傷ついた組織が持つ修復作用によって傷ではない組織までくっついてしまう現象のことです。

子宮を縫合した後は、その傷が周辺にある膀胱や腸管と癒着しやすくなり、下腹部痛、不妊症などの障害が起こりやすくなります。

癒着があると次の帝王切開で癒着部分をはがして操作しなければならなくなるため、出血量が増えたり手術に時間がかかったりして母体にかかる負担が大きくなってしまい危険です。

「帝王切開は怖い」と思われがちですが、メリットもいっぱいです。デメリットについてもよく把握し、トラブルが回避できるよう担当医とよく相談して納得のいくお産をしてください。

気になる2人目以降…自然分娩or帝王切開?年子はOK?

帝王切開で出産したお母さんが気になるのは、次の妊娠のタイミングとその際の分娩方法の問題だと思います。

次の妊娠はいつ頃からOK?

次の妊娠は帝王切開より1年経ってからにし、分娩法は次も帝王切開がのぞましいです。医療機関によっても方針は異なりますが、子宮の傷が回復するには帝王切開から1年くらいかかると考えられているのです。

産後1年以内は子宮の傷が完全に回復しておらず、妊娠・出産に耐えられない可能性があります。もし妊娠すると、早産や「子宮破裂」などのトラブルが起こりやすくなるので、早く次の子どもが欲しくても絶対に無理はしないでください。

特に注意したいのは子宮破裂です。子宮破裂とは、分娩時などに子宮の傷口、または子宮全体が裂けてしまうトラブルのこと。帝王切開によって子宮の縫合跡の周辺が薄くなっており、帝王切開をした人は次の分娩時に子宮破裂を起こすリスクが高くなっているのです。

子宮破裂が起こると、お母さんや赤ちゃんは次のような重篤な状態に陥る可能性があります。

  • お母さん…大量出血によるショック、術後の細菌感染
  • 赤ちゃん…重篤な障害の発生、仮死または死産

子宮破裂の発生頻度は0.1%以下とまれですが、急に発生し、予測することができません。お母さんの死亡率は1~2%、胎児の死亡率は約80%と、発生した場合には非常に深刻な事態に陥ります。

こういったトラブルを防ぐには、避妊するなど計画的に妊娠をのぞみ、次の妊娠を帝王切開から1年以上後にすることです。

年子を授かっても大丈夫?

もちろん帝王切開をした人が年子を授かる場合もあります。帝王切開をした後は自然分娩と同じように数か月後に生理が開始するので、早ければ半年後くらいに次の赤ちゃんを妊娠することができます。

もちろん無事に出産する人も多いのですが、子宮の傷の回復が十分でないため、どうしてもトラブルが起こりやすくなります。

帝王切開後に年子を妊娠した場合は、妊婦定期検診や体調管理をきちんと行い、少しでも異変を感じた場合はすぐ受診してトラブルを防ぐように心がける必要があります。

自然分娩は可能?

「できれば次はVBAC(帝王切開後の経腟分娩)で産んでみたい!」と希望する妊婦さんも多いです。もちろん自然分娩も不可能ではありません。

しかし帝王切開をした人が自然分娩をすると、陣痛によって子宮の傷跡が開いてしまう可能性があるため、次の分娩も帝王切開のほうが安全です。VBACによる子宮破裂の発生頻度は約1%と、通常の子宮破裂よりも確率が高くなっているのです。

VBACを敬遠する病院も少なくありません。子宮破裂が起こった時に備えて救急処置に必要な設備を万全に揃えておく必要があるためです。

また、誰でもVBACに挑戦できるわけではありません。病院によって異なりますが、少なくとも母子健康で、双子や多胎ではないことが条件となります。また、子宮を縦に切開した場合も、子宮破裂が起こりやすいので自然分娩は敬遠されます。

自然分娩を希望する妊婦さんは、VBACを実施している病院のインフォームド・コンセントを受け、リスクを十分に理解した上で出産準備をしましょう。自然分娩を予定していても緊急帝王切開に切り替わる可能性があることも頭に置いておきたいですね。

3人目以降の帝王切開は可能?4人目を生むリスクとは

帝王切開の回数に制限は定められていませんが、一般に「帝王切開は3人まで」と推奨されています。帝王切開は3回目からトラブルが起こるリスクが高くなるためです。

お腹の皮膚は縦または横に切って同じ傷跡から回復しますが、子宮は皮膚と同じ切り方をしません。子宮は前回と同じ所を切ってはいけないので、「縦切り」「横切り」「逆T字切り」「J字切り」などの中から前回と違う切り方をします。

そのため、帝王切開を繰り返すたびに子宮の傷や癒着が増えて子宮の壁が薄くなり、妊娠・出産のトラブルのリスクが高まっていきます。癒着の具合によっては、3人目以降の帝王切開が不可能になる場合もあります。

しかし中には帝王切開を4回以上受けて子どもを授かっているお母さんもいます。帝王切開を繰り返しても子宮に厚みがあり癒着がみられなければ、帝王切開を4回以上受けても対したトラブルなく出産できることもあるのです。

帝王切開の可能な回数は、妊婦さんによって異なります。帝王切開は1回でも子宮に大きな負担をかける可能性があるので、家族で話し合って計画的に妊娠・出産を調整することをおすすめします。

また、帝王切開を受けたことのある人は中絶手術が受けられなくなる場合もあるので注意してください。これは、子宮が薄くなっていて中絶手術で大きな傷がつきやすいためです。

帝王切開を3回以上繰り返している女性には、医師のほうから排卵を止める「卵管結紮」という避妊処置を勧められる場合もあります。

近年増えている帝王切開…家族や医師とよく相談して決めましょう

帝王切開という高貴な名称は、ローマ皇帝シーザーが生まれた時に由来していると言われますが、実際にはそうでなく、ラテン語の「子宮切開」がつづりの似ていた「シーザー」「皇帝」に誤訳され、そのまま帝王切開という名前で定着してしまったと言われます。

100年以上前にはすでに実施されていた歴史のある分娩法で、近年は帝王切開を選択する女性も増えてきています。しかし「陣痛が嫌だから」「膣がゆるむのが嫌だから」といった「医学的な適応のない帝王切開」の希望者が増えていることも問題になっています。

これから第1子を出産予定の方、または第2子以降の出産を計画している女性は、分娩方法をどうするか、帝王切開のメリットとデメリットについて担当医や家族とよく話し合ってみることをおすすめします。

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