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原因はアルコール?日本人に多く生存率の低い胆管癌を予防するには

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偶然でしょうか、女優や元スポーツ選手など「胆管癌」という同じ病気で亡くなる有名人が多くなっているようです。

しかし胆管癌はあまり馴染みがない部位の癌なので、「胆管ってどこにあるの?」「治りにくい癌なのだろうか?」と、改めて関心を持たれた方もいると思います。

胆管癌は、世界的に見ても日本人に多く、しかも生存率が低い病気です。私達は自分の命を守るためにも、どのような病気なのか知っておくべきでしょう。今回は、胆管癌の原因や治療法などについて説明していきます。

胆管癌は肝臓を通る胆管に起こる、悪性度の高い癌

胆管癌国立がん研究センター
(出典:国立がん研究センターがん情報サービス – 胆道がんとは)

胆管(胆道)とは、肝臓の中を通る太さ7mmほどの管です。

肝臓は、食べ物に含まれる脂肪を消化・吸収しやすくするために「胆汁」を作っています。そして、その胆汁を十二指腸へ流して食べ物に混ぜ、腸で便が作られるのを手伝っているのです。

その胆汁を肝臓から十二指腸へ流しているのが胆管で、この部分にできる癌を胆管癌(胆道癌)といいます。そして胆管癌には、主に次のような種類があります。

  • 肝内胆管癌…肝臓内を通る部分の胆管にできる癌
  • 肝外胆管癌…肝臓外の胆管にできる癌
  • 乳頭部がん…胆汁や膵液の流入口となる「十二指腸乳頭部」にできる癌

また、肝臓の外には胆汁を溜めておく胆嚢(たんのう)という袋があり、ここにできた癌は胆嚢癌といいます。

これらの癌は、ほかの癌と同様に加齢で発症リスクが高まり、50~70代に多く見られます。また、胆管癌はどちらかというと男性、胆嚢癌は女性に多いのが特徴です。

胆管癌・胆嚢癌を併せた罹患数は、日本人がかかる癌の中では男女とも10位前後の多さとなっており、それほど珍しくはない癌といえます。

また、日本人は欧米人やほかのアジア人種よりも胆管癌が多く、日本人は人種的に胆管癌にかかりやすい体質であるとも考えられています。

胆管癌の罹患数は年々、緩やかに減少してきています。しかしほかの癌と比べ死亡率が高いのが特徴で、癌の中では6番目に死亡者数の多い癌となっています。

また、さまざまな癌の生存率は医療の進歩と共に、徐々に上昇しているにかかわらず、胆管癌の生存率は上昇していません。胆管癌は悪性度の高い癌なのです。

アルコールを飲み過ぎると胆管癌になる?胆管癌の本当の原因

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ワインを愛好していることで有名な女優さんが、肝内胆管癌で亡くなった直後には「ワインをたくさん飲む人は胆管癌になりやすいのではないか」と心配する声が多かったようです。

病名の中に「肝(肝臓)」という文字が入っているので、そのようなイメージが湧きやすいのでしょうか?しかし、実際に飲酒は胆管癌とあまり関係ないようです。

国立がん研究センターの予防研究グループ「多目的コホート研究」によると飲酒経験と胆管癌のリスクの関連は見られなかったとのことです。胆管癌の原因については、次のような情報もあります。

残念ながら原因は十分わかっていません。

胆石症、胆管炎、先天性膵胆管合流異常症などの胆道疾患や、潰かいよう瘍性大腸炎、クローン病などの炎症性腸疾患は、胆道がんのリスクになるといわれています。

女性であること、肥満、高カロリー摂取、野菜・果物の低摂取、出産回数が多いこと、などがリスクの候補と考えられています。

2012 年、大阪市にあるオフセット校正印刷会社の元従業員が、高頻度で胆管がんを発症していた事実が明らかになりました。その後の調査で、インクの洗浄剤の一つが胆道がんの原因になったのではないかと疑われています。

また、同じくコホート研究の調査結果によって胆石を繰り返している人や肥満の人は、特に胆管癌のリスクが高くなりやすいことも分かっています。

つまり飲酒が直接関係しているというよりは、

  • 肥満
  • 胆石を繰り返している
  • 胆管や腸の疾患
  • 女性
  • 高カロリーな食生活
  • 野菜・果物をあまり食べない
  • 出産回数が多い
  • インクの洗浄剤…?

といった要因が胆管癌のリスクを高めていると考えられているのです。

胆石は、脂肪分の高い食事が原因で起こりやすい病気です。お酒が好きな人が胆管癌になったとしたなら、それはアルコールが原因ではなく、一緒に食べていた料理の高脂肪が原因になっていたのかもしれません。

ちなみに都道府県ごとのアルコール消費量と肝・胆管癌の死亡率をチェックしてみたところ、アルコール消費量の多い地域と肝・胆管癌の死亡率が高い地域の大きな関連性はみられませんでした。

ワインはポリフェノールが豊富ですし、おつまみに気をつけて適量を飲むならば安心して楽しめる飲み物です。

しかし飲酒が過ぎると、肝臓や膵臓を傷めたりあらゆる癌のリスクを高めたりすることは、言うまでもありません。くれぐれも飲み過ぎ・食べ過ぎには注意してください。

初期には気づきにくい?胆管癌の症状

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では、胆管癌にかかると、どのような症状が起こるのでしょう。

黄疸

胆管癌の主症状が黄疸です。黄疸とは、胆汁に含まれる黄色いビリルビンという物質によって、皮膚や白目が黄色くなる症状のこと。

胆管に癌ができると、胆汁が十二指腸へ流れなくなってしまい、逆流したビリルビンが血液中に増えて黄疸が起こります。

癌の部位によって、初期から黄疸が出て病気に気づくことのできる場合と、進行するまで黄疸が出ず病気に気づきにくい場合とがあります。

皮膚のかゆみ

皮膚に黄疸が出ると、ビリルビンの影響で皮膚にかゆみを伴うことがあります。

倦怠感・食欲不振・体重減少

肝機能障害により、倦怠感や食欲不振、体重減少が起こるようになります。

ビリルビン尿

ビリルビンが尿中に増えるため、尿の色が茶色っぽく濃い色に変わります。

白色便

健康な便の色が黄色~褐色なのは、ビリルビンの色素が混ざっているからなのです。そのため胆管癌で十二指腸に胆汁が流れてこなくなると、便の色は白くなってしまいます。

発熱

うっ滞した胆汁に細菌が感染して発熱することがあります。

右腹部の痛み・腫れ

癌が進行すると胆嚢が腫れたり炎症を起こしたりして、右腹部を触ると腫れが確認できたり、痛みが起こるようになります。背中や腰が痛むことも。

胆管癌は初期に自覚症状のないことが多いので、症状がみられる頃にはすでに癌の進行している可能性も高いです。

胆管癌の死亡率が高い理由…発見されにくく進行も早い

先に挙げたように胆管癌の生存率は、ほかの癌に比べてかなり低いです。

癌の予後が良好かどうかを示す指標に「5年生存率」があり、乳癌で約90%、胃癌で約70%、全ての癌の平均で60%台となっているのに対し、胆管癌は30%程度しかありません。

このように胆管癌の生存率が低いのは、次のような理由が揃っているためなのです。

  • 初期の自覚症状が乏しく、気づきにくい
  • 胆道が細く、検査で発見されにくい
  • 進行が早い
  • 治療が難しい

胆管癌の根本的な治療法は、癌の切除手術となります。

胆管癌のステージ(病気)癌はⅠ期~Ⅳ期までありますが、癌が胆管にとどまるⅠ期と隣の臓器や近いリンパに癌がみられるⅡ期は、切除手術で完治の可能性が高くなります。

しかし、胆管は肝臓、胃、十二指腸などの重要な臓器や太い血管に囲まれていることから、病巣が胆管を超えて周辺に広がってしまうと、手術をすることが難しくなってしまいます。

そのため、Ⅲ期、末期のⅣ期では、癌を取り除かずに内科療法(化学療法や放射線療法)を行なうことが多くなります。

癌を残すと転移が広がりやすいので、胆管癌の生存率を高めるためには、早く発見して癌を取り除いてしまうに越したことはありません。

胆管癌の治療は難しいことからも、胆管癌が見つかったら胆管癌の治療を専門的に行なっている医療機関を選ぶのがのぞましいです。

では胆管癌から身を守るためには、どうすれば良い?

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このように命に関わりやすい胆管癌から身を守るためには、どうすれば良いのでしょうか?

残念ながら胆管癌に、これぞという有効な予防法はありません。

血液検査では肝機能の数値で異常を確認することもできますが、胆管は周辺の臓器に隠れて見えにくいため、人間ドッグや定期検診で早期発見するという予防法も期待しにくいようです。

肥満や胆石は胆管癌のリスクを高めることが分かっているので、少なくとも胆石や肥満を予防することは有意義です。

胆石や肥満を予防するためには、まず規則正しい食生活を心がけ、脂肪や糖分の摂り過ぎに注意します。野菜、果物、魚は癌のリスクを下げるので意識してたくさん食べたいですね。

またすでに胆石を経験している人は普段から体調の変化に注意し、異変に気付いたらすぐ受診するようにします。

新しい治療法に期待…胆管癌の治療法は研究が進んでいる

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胆管癌は膵臓癌と並ぶ悪性度の高い癌で、有効な治療法も少ないことから、過去には「見捨てられた病気」とまで言われていたのです。

しかし先日は、国際的なプロジェクトによって胆管癌のゲノム解読が行なわれ、胆管癌の発症に関わる遺伝子のメカニズムが解析されるという、明るいニュースも見られました。

この解析により、胆管癌に有効な治療法や治療薬が新たに確立されることになりそうです。医療は少しずつ進歩しています。「胆管癌は治せる病気」と言われる日が早く来ると良いですね。

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