健康生活TOP アトピー性皮膚炎 ステロイド塗り薬は怖くない!アトピー治療は医師の指示を守って

ステロイド塗り薬は怖くない!アトピー治療は医師の指示を守って

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「ステロイドは怖い薬で、使うとかえってアトピー性皮膚炎が治りにくくなってしまう!」こんな噂が流れたことがありました。これを聞いて、アトピー性皮膚炎だけれどもステロイドはあまり使いたくないと思われた人もいたのではないでしょうか。

でもこれは全て誤解です。アトピー性皮膚炎の治療のためにはステロイド外用剤は必要な薬であり、適切に使うことによって症状は改善していくのです。

なぜこのようなステロイドに対する不安が生まれてしまったのでしょうか。そしてアトピーを治していくためには、ステロイド外用剤とどのように向き合っていけばよいのでしょうか。

なぜ間違った情報が広まってしまったのか?1990年代のステロイド事情

ステロイドの歴史は第二次世界大戦中にまで遡ります。戦いによって傷ついた兵士の治療に使われて、画期的な成果をあげることができました。

このころはまだ飲み薬しかありませんでしたが、1952年にはステロイド外用剤(塗り薬)も開発されました。そしてアトピー性皮膚炎に効果があるとして使われるようになっていったのです。

ステロイド外用剤がアトピー性皮膚炎の治療に使われるようになって、60年以上もの年月が経っています。その間に効果や副作用などについて、いろいろ研究がされてきました。軟膏やクリーム、スプレーといった剤形の違う製品も生まれています。

ステロイド外用剤に全く副作用がないわけではありません。以前から使い方によっては副作用の危険もあるため、不必要に使うことのないように注意されてはいました。

1990年ごろから、ステロイド外用剤の副作用などについてメディアでも取り上げられるようになりました。始めのころは、「ステロイド外用剤には副作用もあるため安易に使い過ぎてはいけない。」というものだったようです。

しかし次第にステロイドの塗り薬と飲み薬の副作用が混同されるようになったりして、間違った情報が広がり始めました。そしてその間違った情報がそのままテレビ番組の特集として流されてしまい、世間一般に大きな誤解を生んでしまったのです。

またこのころ一部の皮膚科医の間で、ステロイドを止めることでアトピー性皮膚炎が治るといった考え方(脱ステロイド療法)も出てきました。このような考え方の皮膚科医はごく一部だけでしたが、社会全体には大きな衝撃でした。

ステロイド外用剤は恐ろしい薬で、そんな薬を処方する医者は悪い医者だと言われることもあったようです。またステロイドを使わずにアトピーを治そうと、高額商品を売りつけるアトピービジネスも出現しました。

このように1990年代は、ステロイドに対して様々な不信感の広まった時代だったのです。ほとんどは誤解であり、最近ではこの時代の情報が間違っていたことが理解されつつあります。

それでもステロイド外用剤に対する不安感を持つ患者さんは少なくないようです。ちなみに海外ではステロイドへの不信感はあまりなく、このような誤解が広がっているのは日本だけとされます。

副作用がないわけではない?ステロイド剤は種類や使用期間で考えて

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ステロイド外用剤に対する不信感は誤解から生まれたものです。・・・と言っても、全く副作用がないわけではありません。

ステロイドとは腎臓の上にある副腎という小さな器官の、副腎皮質という場所から分泌されるホルモンです。このステロイドホルモンを人工的に合成した薬が、ステロイド剤になります。

ステロイド剤には炎症を抑えたり、免疫系の働きを抑えたりする作用があります。

  • 飲み薬
  • 注射剤
  • 外用剤(塗り薬)

があり、アトピー性皮膚炎の治療には主に外用剤が使われます。

ステロイド外用剤による副作用として誤解されているものの多くは、飲み薬や注射剤として使った場合のものです。飲み薬や注射剤として使用する場合には全身に作用するため、副作用も出やすくなってしまいます。

外用剤は塗った部分の皮膚だけに作用します。そして飲み薬などに比べると、体内に吸収される薬の量も少なくなります。そのため飲み薬や注射剤のような全身への副作用はほとんど心配しなくても大丈夫でしょう。

長期間続ける場合には要注意!

ステロイド外用剤による全身性の副作用はほとんどありませんが、薬を塗った部分の皮膚に副作用が出てしまうことはあります。

アトピー性皮膚炎の治療にはステロイド外用剤を長期間に渡って使うことも多いため、副作用が起きてしまう可能性も多少あるのです。

ステロイド外用剤を長期使った場合に起きる主な副作用には、以下のようなものがあります。

  • 皮膚が薄くなってしまう
  • 皮膚が薄くなって裂け、妊娠線のような線ができる(皮膚線条)
  • 毛細血管が拡張して、編み目のように浮き出て見えてしまう
  • 血管が弱くなるために内出血を起こしやすくなる(ステロイド紫斑)
  • 顔が赤くなってブツブツができる(酒さ様皮膚炎)
  • 体毛が少し濃くなる
  • ニキビができる
  • 細菌やカビに感染する

これらの副作用のほとんどは、ステロイド外用剤を止めて半年くらいすれば治ります。ただし皮膚線条だけは、一度できてしまうと消えなくなってしまいます。脇の下、足の付け根などにできやすいため、注意が必要です。

ステロイド紫斑は老人に多く、若い人にはほとんどみられません。

酒さ様皮膚炎は長期に渡って不適切な使い方をしていた場合に起きやすくなっています。顔にステロイドを塗ると化粧のノリがよくなって肌の調子がよいからと、不必要に長期間に渡って使ってしまって起きた例があります。

ステロイド外用剤は医師の指示に従って使うことが重要です。そして定期的に診察を受けて、皮膚の状態をきちんと確認してもらうことも大切です。医師はアトピーがどのくらい改善しているか、副作用は出ていないかなどを診てくれているのです。

もしも問題が起きていれば、医師はその状態に応じた対策をとってくれます。副作用が出たからといって自分で薬を中止してしまうのは止めて下さい。症状によっては、急に薬を中止することでアトピーが悪化してしまうこともあります。

症状改善で副作用リスクも減ります

アトピー症状がひどいときには皮膚のバリアがないような状態で、ステロイド外用剤は吸収されやすくなっています。

しかし症状が改善してくると皮膚のバリアができて、ステロイド外用剤は症状がひどいときよりも吸収されにくくなっています。また症状が良ければ、薬の量も減らすことができます。

このように症状が良くなってくるにつれて副作用のリスクも減ってくるのです。

そのためにも症状が良くないときには、必要な量のステロイド外用剤をきちんと使うことも大切です。一定期間、必要な量と強さのステロイド外用剤をしっかり使うことで、まず症状を改善させることが一番なのです。

全身への副作用はほぼない

通常の使用量であれば、全身性の副作用が起きることはほとんどありません。通常ではありえないくらいたくさんの量のステロイド外用剤を使った場合には、全身性の副作用が起きてしまうこともあります。

ステロイド外用剤はその効きめによって5段階に分かれているのですが、一番強いクラスのステロイドを1日10g以上、上から二番目のクラスのものなら1日20g以上を毎日使った場合には副作用の危険があるとされます。

またチューブ1本以上のステロイドを毎日、3ヶ月以上続けていると全身性の副作用のリスクが出てしまうともされます。ただしこれらの量を続けて使うことは、あまり考えられないでしょう。

全身に現れてしまう副作用としては、

  • 顔が丸くなる(ムーンフェイス)
  • 糖尿病
  • 骨粗鬆症

などが考えられます。

こんな症状は副作用!?ステロイド外用剤に対する誤解

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ステロイド外用剤には 誤解も多くあります。その多くはステロイドの飲み薬や注射剤で起きる副作用と混同されているものや、アトピー性皮膚炎自体の症状が副作用と勘違いされているもののようです。それらの誤解についてみてみましょう。

皮膚が黒ずむ?

ステロイド外用剤を使っていると副作用で皮膚が黒ずんでしまうという誤解があるようです。しかしこれは副作用のせいではなく、アトピー性皮膚炎自体が原因です。

皮膚は炎症を起こすとメラニン色素が沈着して黒ずんでしまうことがあります。アトピー性皮膚炎では何度も炎症を繰り返してしまうため、次第に黒ずみが目立ってきてしまうのです。

逆に皮膚の薄い部分では炎症によって色素が抜けて白くなってしまうこともあります。どちらも炎症が治まり皮膚の状態が良くなってくると、元の色に戻ってきます。

強い炎症を繰り返してしまわないためにも、指示されたステロイド外用剤をきちんと使っていくことが大切でしょう。

リバウンドを起こす?

ステロイドの飲み薬では、急に薬を止めると症状がぶり返して悪化してしまうといったリバウンドを起こすことがあります。これは本当なら体内で作られるはずのステロイドホルモンを長期間外から補っていたために、体内で作る機能が落ちてしまったことが原因です。

自分の体でステロイドホルモンを作ることができなくなり、必要な分が足りなくなって問題が起きてしまったのです。

しかしステロイド外用剤では、医師の指示通りの使い方をしていればこのような心配はありません。外用剤の場合には体に入るステロイドの量はわずかで、ステロイドホルモンを作る機能にまで影響を及ぼす心配はないのです。

リバウンドを起こすことはありませんが、ステロイド外用剤を自分の判断で突然止めてしまうと、症状がぶり返してしまうことはあります。これがリバウンドと勘違いされていることがあるようです。

アトピーの症状が良くなっていないのにいきなり薬を止めてしまっては、症状はぶり返して悪化してしまいます。皮膚の表面はきれいになっていても、実は皮膚の下にはまだ炎症が残っていることもあるのです。

皮膚の下の炎症が残っている状態のまま、医師に指示を無視して勝手に治療を止めてしまったためにこのようなことが起きてしまうのです。

ステロイド外用剤で炎症が治まった後も、すぐに薬を止めてしまわないでください。しばらくはステロイド外用剤や保湿剤などを続けていくことが必要なのです。医師の指示は最後までしっかり守るようにしましょう。

白内障になる?

顔面にステロイド外用剤を使うと白内障になりやすいと言われることがあるようです。しかしこれも全くの誤解です。ステロイド外用剤で白内障になりやすいのではなく、アトピー性皮膚炎が白内障を引き起こすことがあるのです。

思春期や成人期のアトピー性皮膚炎患者の10%に、白内障を合併しやすいことがわかっています。このことがわかったのは、実はステロイド外用剤が使われ始めるよりももっと前のことなのです。

そのため通常のステロイド外用剤の使用ならば、白内障になってしまう可能性はないと思われます。逆にアトピーの状態が悪いと白内障を起こしやすいと考えられるのです。

なぜアトピー性皮膚炎があると白内障を起こしてしまうのかについて、はっきりしたことはわかっていません。ただ眼の周りのかゆみがひどいために、こすったり叩いたりしてしまうことが関係していると思われます。

アトピー性皮膚炎があると、他にも網膜剥離などを起こしてしまう危険性があります。目の周りの炎症をなるべく早く治すようにしましょう。また白内障や網膜剥離を起こしていても自分では気付きにくいため、眼科の診察も定期的に受けるとよいでしょう。

ただしステロイド外用剤をまぶたに使うことによって緑内障になる可能性や、飲み薬のステロイド剤で白内障になってしまう可能性はまれにあります。

効かなくなる?蓄積される?

ステロイド外用剤が効かなくなることはありません。症状がひどいのに弱いタイプのステロイド剤で治療を続けていて、効果が出ないために薬が効かなくなったと思ってしまう人も多いようです。

ステロイド外用剤は使い方によっても効果の出方が違います。薬を塗った上にラップをはって密封することで、もっと効果を上げることもできます。ただどのような使い方が今の症状に適しているのかについては、医師の指示に従ってください。

またステロイド外用剤が体に蓄積されていくこともありません。

骨がもろくなる?

これはステロイドの飲み薬での副作用と混同されているものと思われます。飲み薬や注射剤では、長期使っていることでステロイドホルモンを作り出す副腎の機能が弱ってしまい、骨がもろくなってしまうことがあります。

しかしステロイド外用剤では皮膚だけにしっかり効果が出るように作られており、体内に吸収される量はごくわずかです。そのためこのような副作用が起きてしまうことはありません。

医師を信じて指示にしっかり従うことが重要!間違った情報に踊らされないために

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アトピー性皮膚炎の治療には、症状の状態や場所によって適切な強さの外用剤を適切な期間続けていくことが大切です。そして見た目の症状が良くなったからといって、そのまま治療を止めてしまわないことも重要です。

強いタイプの外用剤を処方されると、副作用のことなどが不安になってしまうかもしれません。そのために勝手に弱いタイプのものを使い続けたり、強いタイプのものを指示された量より少なく使ったりする患者さんもいます。

でもそれではなかなか症状は改善せず、逆に悪化してしまうこともあります。医師を信じて、指示通りに薬を使っていくようにしましょう。

また見た目の症状が良くなっていても、皮膚の奥には炎症が残っていることもあります。自分の判断で止めてしまうと、しばらくするとまたアトピー症状が出てきてしまいます。

症状が出たらまた薬を使い、見た目が良くなれば止めてということ繰り返していると、アトピー症状に苦しむ期間も増えてしまいます。

症状が良くなったと思っても、医師の指示に従って薬を続けるようにしてください。その際には、薬の強さのランクを少しずつ下げていく場合と、同じ強さの薬を何日かおきに使うようにしていく場合とがあります。

もし不安であまり使わなかった薬があったのなら、医師にはっきり伝えて下さい。正確なことを知らなくては医師はその薬を使っても症状が改善しなかったと思い、もっと強いタイプの薬を処方してしまいます。

また巷にはアトピー性皮膚炎の治療に関する情報も多くありますが、中には悪徳なアトピービジネスもあります。冷静に判断し騙されないようにしてください。

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