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皮膚だけじゃない!アトピーが白内障や網膜剥離までも引き起こす

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アトピー性皮膚炎は、皮膚に湿疹ができてひどいかゆみを伴ってしまう病気です。症状が良くなったり悪くなったりを繰り返して、慢性化してしまうことも多くなります。

実はアトピー性皮膚炎になると、皮膚だけでなく眼の症状にも注意しなくてはいけません。眼にもアトピー性皮膚炎によって引き起こされた合併症が現れることがあるのです。

アトピー性皮膚炎による眼への合併症にはどのようなものがあるのでしょうか。

まさかアトピーが目の病気に!?アトピー性皮膚炎が引き起こす合併症

アトピー性皮膚炎の多くは乳幼児期に発症します。そして症状が改善したり、また悪化してしまったりということを繰り返しながら成長とともに自然に治っていきます。ただ中には思春期、成人になるまで症状が長引いてしまう人もいます。

そして成長しても治りきらず症状を長引かせてしまった人は、眼にも合併症を引き起こしてしまいやすくなるのです。

10~30歳代のアトピー性皮膚炎の患者さんで、特に顔や眼の周りの皮膚炎がひどい人では以下のような眼の病気にもかかりやすくなります。

  • アトピー性角結膜炎
  • 円錐角膜
  • 白内障
  • 網膜剥離 など

この中でも白内障、網膜剥離は特に重大な眼の病気です。気づかずに悪化させてしまったりすると重い視力障害を起こしてしまうこともあります。この2つの病気については、後で詳しく説明します。

まずアトピー性角結膜炎、円錐角膜について説明しましょう。

アトピー性角結膜炎

アトピー性皮膚炎をともなって、角膜(黒目)と結膜(白目)に起きるアレルギー性の結膜炎です。アレルギーの原因となってしまうのは花粉、ハウスダスト、ダニなど様々なものがあります。

子供のころの春季カタルから移行してしまう場合もあります。春季カタルは子供に多い、重症のアレルギー性結膜炎です。ひどい眼のかゆみや目やにが出たりする病気で、アトピー性皮膚炎があると発症してしまうことが多くなります。

春季カタルは成長するにつれて治ることも多いのですが、一部の患者でアトピー性角結膜炎となってしまうこともあるのです。アトピー性角結膜炎では春季カタル以上にひどい症状が出てしまいます。

眼のかゆみがひどい、涙や目やにもたくさん出る、異物感がある、眼が充血してしまう、眼の周りが赤くなってしまう、場合によっては細菌などに感染してしまうといったこともあります。

通常、角膜は涙などによって保護されているのですがその働きが弱くなってしまうことで角膜が傷つき、点状表層角膜症や角膜びらんといったような角膜の障害が起きてしまうこともあります。

治療には抗アレルギー薬やステロイド薬の点眼が行われます。アトピー性皮膚炎の症状が悪化すると眼の症状も悪化してしまうため、皮膚炎の症状を安定させておくことも大切です。

円錐角膜

角膜の真ん中より少し下が薄くなって、中央部が円錐状に突出してきてしまう病気です。不正乱視などになって視力が低下していってしまいます。思春期に発症して徐々に進行していきますが、30歳前後で進行が止まることが多くなります。

原因はよくわかっていないのですが、アトピー性皮膚炎の患者に多く見られます。とは言ってもアトピー性皮膚炎患者の約0.5%に発症する程度ですが、一般の人と比較すると10倍以上も発症しやすいのです。

円錐角膜の患者はよく眼をこすっています。また症状を発症してしまうのは、ついこすってしまいやすい利き手側の眼からということが多いようです。

このようなことから、眼をこすったことによる刺激によって角膜が薄くなってしまうことが原因のひとつではないかと考えられています。

ではアトピー性皮膚炎によって引き起こされ、重大な視力障害になってしまうこともある白内障と網膜剥離について説明します。

かすんだりぼやけとように見えるようになってしまう:白内障

白内障は眼の「水晶体」という部分が白く濁ってきてしまう病気です。水晶体はカメラでいうレンズのような役割をしています。眼に入ってきた風景は水晶体によってピント調節され、後ろの網膜に画像を結ぶのです。

水晶体が白く濁ってきてしまうと、ものがかすんだりぼやけたりして見えるようになってしまいます。また太陽や照明などの光が異常にまぶしく感じられてしまいます。

もともと歳をとるにつれて誰でもがなってしまう老化現象とも言える病気です。通常、早い人で40代くらいから始まり、80代になるとほぼ全ての人がなってしまっています。しかしアトピー性皮膚炎があると20歳前後の若いときに発症してしまうこともあるのです。

なぜアトピー性皮膚炎があると白内障を合併してしまうのかについては、よくわかっていません。ただアトピー性皮膚炎になって長いほど、そして顔への皮膚炎の症状がひどいほど合併しやすいとされています。

眼のかゆみがあるために、こすったり叩いたりしてしまっていることが関係していると思われています。

加齢による白内障の進行はとてもゆっくりなのですが、アトピー性皮膚炎による白内障の進行はそれに比べて早い傾向があります。しかし片眼で発症していても逆側の眼が見え方を補ってしまうため、気づきにくくなります。

眼の周りの皮膚炎が重症である人や何となく見え方に違和感を感じるという人は、たまに片眼を隠して見え方のチェックを行うようにするとよいでしょう。かすんで見える、ぼやける、まぶしい、視力が落ちたなどあれば眼科を受診してください。

治療には加齢による白内障と同じように眼内レンズを入れます。ただアトピー性皮膚炎患者は網膜剥離を合併していることもあり、そのような場合には眼内レンズを入れないこともあります。

また白内障の手術をすることで網膜剥離を発症させてしまったり進行させてしまうこともあるため、手術後、特に問題はないと思っても定期的に眼科を受診するようにしてください。

眼内レンズを入れた後も眼の周りをかき続けていたりすると、眼内レンズがずれてしまったりすることもあります。アトピー性皮膚炎の治療もきちんと行っていってください。

網膜剥離:視野の中心が見えにくくなり視力は大きく低下してしまう

網膜はカメラでいうフィルムのような役割をしています。眼の奥にあって、水晶体でピント調節された画像が映される場所になります。網膜に映された画像は視神経を通って脳に伝わり、初めてものを見たことを認識できるようになります。

この網膜にアナがあいてしまうことを網膜裂孔と言い、そのアナが引き金となって網膜が剥がれていってしまうことを網膜剥離と言います。

網膜に問題があると、ものを正確に見ることができなくなります。網膜の上部が剥がれると視野の下部が見えにくくなり、網膜の耳側が剥がれると視野の鼻側が見えにくくなります。

ものを見るためにとても重要な役割をしている網膜の「黄斑部」という部分にまで網膜剥離が及んでしまうと、視野の中心が見えにくくなり視力は大きく低下してしまいます。

通常、網膜剥離は20代と50代以降の人に起こりやすくなっていますが、アトピー性皮膚炎があると10030代で起こりやすくなってしまいます。白内障を合併した人が網膜剥離も起こしやすいという傾向もあります。

眼の周りに皮膚炎があり、そのかゆみのために眼をこすったり叩いたりしてしまうことが原因となって網膜裂孔や網膜剥離を起こしてしまっていると思われますが、はっきりしたことはわかっていません。

思春期を過ぎても眼の周りの皮膚炎がひどく、ついかいてしまっているという人は、眼科の検査も定期的にしておいたほうがよいでしょう。

網膜剥離を起こしていても自覚症状は現れにくく、気づかないままになってしまうことも多くあります。また白内障を合併していると網膜剥離をチェックするために必要な眼底検査がしにくくなります。

網膜剥離になっても若い患者の場合には進行は遅くなります。ただ網膜剥離が発見されないまま、気づいたら重症化してしまっているということもあるため、気をつけなくてはいけません。

視野が欠けたり、目の前を小さな虫が飛んでいるように見える「飛蚊症」という症状が出てしまったときには、すぐ眼科を受診するようにしてください。

眼の合併症を予防するためには皮膚科と眼科の受診が大切

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アトピー性皮膚炎の眼への合併症は思春期や成人になるまでアトピーの症状が長引いてしまった人、この時期に症状が悪化してしまった人に多くなります。10~30歳代で発症しやすくなっています。

思春期を過ぎても顔、特に眼の周りのアトピー性皮膚炎の症状がひどいという人は、皮膚科を受診するだけでなく眼科も受診し定期的に検査を受けておいたほうがよいでしょう。気づかないままに悪化させてしまうと視力に大きく関係してしまいます。

「ステロイド剤は怖い」というイメージがあるために、皮膚科でステロイドの塗り薬を処方されても使うのを勝手に止めてしまったりという人もいます。しかしそれでは、アトピー症状がいつまでも長引くことになってしまいます。

医師は患者の症状を診て、今その症状に必要な薬を処方してくれています。症状によってはきちんとステロイドの塗り薬を使って、なるべく早く改善させたほうが良い場合もあります。

自己判断で薬を使ったりせず、信頼できる皮膚科の医師にじっくり相談しながら、納得して治療を進めていってください。眼の合併症を予防するには、皮膚の症状を安定させておくことが大切なのです。

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