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アトピー性皮膚炎のかゆみを抑える正しい対策!効果的なかゆみ止めは

腕がかゆい女性

アトピー性皮膚炎は20歳以下の約1割の人がかかっていると言われるほど、一般的な病気になってきています。

アトピー性皮膚炎は強烈なかゆみによって、ストレスを伴ったり生活の質が低下してしまったりすしやすい病気です。しかし正しい方法で対処すれば、かゆみをきちんと抑えることができます。

あなたのアトピー対策は間違っていませんか?今回はアトピー性皮膚炎の正しいかゆみ対策について説明していきます。

アトピー性皮膚炎が強烈にかゆい理由

「アトピー性皮膚炎」は、敏感肌かつアトピー素因を持つ人の皮膚にアレルギー反応が起こり、湿疹やかゆみなどの症状が起こる慢性の皮膚炎です。

アトピー素因とは、アレルゲン(アレルギーの原因物質)に対し過敏に反応しやすい素質のこと。

  • 家族にアレルギー体質の人が多い
  • すでに何かのアレルギーが出ている

といったタイプの人は、アトピー素因を持っていることになります。病院でアレルギー検査を受けると、アレルゲンに反応する「IgE抗体」の血中濃度が高いことが分かります。また、そのほとんどは遺伝によるものとされています。

アトピー性皮膚炎の症状には次のような特徴があり、患者さんは特に強いかゆみに悩まされます。

  • 強烈なかゆみ
  • 再発を繰り返す
  • 慢性化し何年も続いてしまう
  • 悪化すると患部が湿潤し、重症化すると鱗屑、結節が起こる

湿疹やかゆみは、皮膚が刺激を受けた時に真皮のマスト細胞からヒスタミンが放出されて起こっており、アトピー性皮膚炎は同じ皮膚のかゆみでもかぶれ(アレルギー性接触性皮膚炎)や蕁麻疹よりかゆみや炎症が激しくなりやすいのが特徴です。

アトピー性皮膚炎がほかの皮膚炎に比べかゆみが強くなりやすい理由は主に3つあります。

アトピー性皮膚炎のかゆみが強い理由1.掻くほどヒスタミンが放出される

アトピー性皮膚炎は、掻けば掻くほどかゆみが増強します。これは、掻いた刺激がヒスタミンの放出を促進するためです。

アトピー性皮膚炎のかゆみが強い理由2.バリア機能が低下している

アトピー性皮膚炎の肌は、水分と油分が欠乏して表面の角質層がガサガサに荒れた「敏感肌」になっています。

角質層が持つバリア機能が低下して外部からの刺激を受けやすくなっているので、かゆみを感じやすく、掻いてしまうとますます角質層が剥がれ、バリア機能がさらに低下してしまいます。

バリア機能が低下すると肌はますます過敏になるため、ちょっとした刺激でヒスタミンが放出されやすくなって、かゆみがさらに増してしまいます。

  1. 掻いた刺激でヒスタミンが放出し、かゆみが増す
  2. 掻いて皮膚のバリア機能が破壊され、ちょっとした刺激でかゆくなる

この①と②が繰り返されてアレルギー反応が強く出てしまう悪循環に陥るためです。

アトピー性皮膚炎は掻き壊して肌がゴワゴワになるほど重症化してしまうことも多いのですが、これは掻いた傷から細菌が感染して炎症が起こっているにもかかわらず、患部の痛みを感じにくいため、かゆさにまかせて傷口を掻きむしって皮膚組織を破壊してしまうことが原因です。

アトピー性皮膚炎のかゆみが強い理由3.2種類のかゆみが混合している

しかもアトピー性皮膚炎のかゆみは複雑なので、かゆみが強くしずまりにくいのです。

かゆみには「抹消性のかゆみ」と「中枢性のかゆみ」の2種類があります。アトピー性皮膚炎は、主に末梢性のかゆみから来ていますが、中枢性のかゆみも入り混じるためにかゆみの性質が複雑になっています。

かゆみのメカニズムは非常に複雑なのですが、簡単に説明すると、

抹消性のかゆみ
皮膚が刺激を受けてヒスタミンが作用して起こる。かぶれ・蕁麻疹など。
中枢性のかゆみ
ストレスや内臓の病気が原因でオピオイドが作用して起こる。

といった違いがあります。

オピオイドは脳内から分泌される神経伝達物質で、ヒスタミンに関係なく別のかゆみを感じさせる性質も持っています。異なる2つのかゆみがアトピー性皮膚炎のかゆみを増強させているのです。

…このようにアトピー性皮膚炎のかゆみが起こるメカニズムは厄介なので、かゆみを抑えるためには次の3つの対策を並行して行います。

  • アレルゲンとの接触・刺激を避け、かゆみが起こるのを防ぐ
  • かゆくなったら素早くかゆみを抑え、かき壊しを防ぐ
  • バリア機能を高め肌の修復を促す

治療の基本!かゆみを起こすアレルゲンを避けましょう

まず、かゆみの原因となるアレルゲンを排除しなければなりません。

アレルゲンは人それぞれで異なりますが、2歳までに発症した人はダニや食品がアレルゲンになりやすく、3歳以降ではハウスダストが原因で発症することが多くなります。

アレルゲンの分類 代表的なアレルゲン
食物アレルゲン
  • 牛乳
  • 小麦粉
  • 大豆
環境アレルゲン
  • ハウスダスト(ホコリ・ダニ・カビ・砂)
  • 花粉
  • 動物

アレルゲンを知って接触を避ける

すでにアレルギー検査によって自分のアレルゲンが何か知っている人は、日常生活でアレルゲンに接触しないように注意して過ごします。

清掃はこまめに行ってハウスダストや花粉を除去しましょう。これはアレルギーに関係なく大切なことですね。

アトピー性皮膚炎を発症していない人でも、すでにほかのアレルギー(ぜん息・花粉症・食物アレルギーなど)が出ている人は注意が必要です。敏感肌に傾いた時にアレルゲンに接触するとアトピー性皮膚炎を発症する可能性があります。

またアレルギー体質ではない人でも、アレルギーの家系の人はアトピー性皮膚炎にかかる可能性が高いので、アレルギーが疑わしい症状が始まったら、アレルギー検査を受けてアレルゲンの有無を特定することをおすすめします。

子供の遺伝を防ぐには

アトピー性皮膚炎は、家族にアレルギー体質の人が多いほど発症しやすくなります。

    アレルギー発症のリスク

  • 両親がアレルギー体質…60~80%
  • 親のどちらかがアレルギー体質…38~58%
  • 両親はアレルギー体質ではないが第一子(兄または姉)がアレルギー体質…25%
  • 家族にアレルギー体質の人がいない…15%

アトピー素因を持つ人がこれから子供を持つ場合、子供の体質遺伝が心配になるかもしれません。

アトピー素因を持つ女性は、妊娠8カ月以降~授乳期にバランスの良い食事を心がけながらアレルゲンを除去すると、子供の食物アレルギー・アトピー性皮膚炎の発症リスクが低くなることが分かっています。

ただし、妊娠8ヶ月以前に食事からアレルゲンを除去する時は医師に相談する必要があります。胎児の成長に十分な栄養が必要な時期で、自己判断で偏った食事制限をすると妊婦さんや赤ちゃんにほかの健康被害を引き起こす可能性が出てくるためです。

乳児期にアトピー性皮膚炎を発症する子供も多いので、アレルギー家系のお母さんは妊娠中から子供のアレルギーについて気になることを担当医に相談するのがおすすめです。

赤ちゃんのアレルギーらしき症状に気付いたら、すぐ検査をしてアレルゲンを特定し、アレルギー対策を始めましょう。

掻き壊さないために…かゆみを誘引する刺激を避けましょう

身の周りには、アレルゲン以外にもアトピー性皮膚炎のかゆみを誘引する刺激がたくさんあるので注意しましょう。

刺激の分類 主な刺激
物理的な刺激
  • 掻く
  • 汗・汚れ
  • 乾燥
  • 衣服のこすれ
  • 髪の毛
  • 石鹸や化粧品に含まれる成分
  • ほこり・砂(アレルギーに関係ない物理的な刺激)
血管拡張作用
  • 入浴などで体が温まった時
  • 飲酒
内因性の刺激
  • ストレス
  • 食べ物
温まると血管が拡張してヒスタミンのはたらきが活性化するのです。

またストレスが強くなると「中枢性のかゆみ」が出やすくなってしまいます。

掻きむしりを防ぐ

掻くのが良くないことは言うまでもありませんが、我慢できずに掻いてしまったり寝ている間に掻いてしまったりすることが多いので、工夫してかゆみの原因になりやすい刺激はなるべく排除していきます。

  • アトピー用手袋を使ったり、患部に包帯を巻いたりして掻きむしりを防ぐ
  • 体が温まってかゆい時は、すぐ冷たいおしぼりや冷却材などで患部を冷やす
  • 暑い時、汗をかいた時は水でシャワーを浴び、体を冷やす
  • シャワーは1日2回が理想
  • 入浴はぬるま湯で短時間に 刺激の少ない石鹸で体を洗い、体を清潔に保つ
  • 血流が促進されて体が温まるので、飲酒は避ける
  • ウールなどチクチクする素材は避け、木綿など吸湿性の良い衣類を身につける
  • 寝る時に氷枕や冷却材で頭や体を冷やす
  • 髪の毛が顔や首に触れないようにする
  • 皮膚を傷つけないよう、爪は短く切っておく
  • ストレス解消法を見つける

ヒスタミンの多い食品を避ける

食品の中にはヒスタミン・またはヒスタミン類似物質を多く含んでいる物があります。アトピー性皮膚炎の人が食品からヒスタミンを摂取するとかゆみが増強しやすいので、次に挙げる食品は食べ過ぎに注意してください。

分類 ヒスタミンを多く含む食品
野菜・果物・きのこ類 トマト・なす・ほうれん草・たけのこ・まつたけ・えのきだけ・さといも・いちご
魚介類 サバ・サンマ・イワシ・マグロ・カレイ・サケ・イカ・タコ・カニ・エビ・アサリ・魚の缶詰
牛肉・豚肉・サラミ
穀類 ソバ・餅
嗜好品など チョコレート・チーズ・コーヒー・ココア・ワイン・ビール

参照…シオノギ製薬 「 病気の知識 > アトピー性皮膚炎「かゆみ」飛んでいけ)

特に、パルメザンチーズ・トマト・なす・ほうれん草はヒスタミンが多いので注意してください。

適切に薬を使おう!素早くかゆみをしずめるには

かゆみをしずめるため、病院で処方された薬を医師や薬剤師の指示に従って正しく使います。

日本皮膚科学会が発行している「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」で基本的な治療薬として推奨しているのは次の薬です。

  • ステロイド剤(副腎皮質ホルモン)
  • 免疫抑制外用薬(カルシニューリン阻害外用薬)
  • 非ステロイド系消炎外用薬

ステロイド剤をきちんと使う

中心となる薬は、過剰な免疫反応を抑え、優れた効果でかゆみをしずめるステロイド剤です。ステロイド剤は体の部位や重症度に合わせて5段階の中から適した強さの薬が選択されます。

アトピー性皮膚炎の治療に用いられるステロイドの強さ

重症度 主な症状 ステロイド剤の強さ
重症
  • 紅斑の苔癬化
  • 高度の鱗屑
  • 痒疹結節(硬いしこり)
ストロンゲスト
ベリーストロング
ストロング
中等症
  • 中等度の鱗屑・紅斑
  • 少数の丘疹
ストロング
ミディアム
軽症
  • 乾燥
  • 軽度の鱗屑・紅斑
ミディアム
ウィーク
軽微
  • 乾燥

(症状は乏しい)

ステロイド剤は使わない

(ストロンゲスト←ベリーストロング←ストロング←ミディアム←ウィークの順に強くなる)
参照…日本皮膚科学会編「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」

ステロイド剤は強い副作用を持つ薬なので「使うのは怖い」と敬遠する患者さんも多いのですが、副腎皮質機能に重い副作用が出やすいのは内臓の病気を治療するためにステロイドを長期内服した時の話で、外用薬は適切に使えば重い副作用の出る心配はありません。

1日2回(朝、夕:入浴後)薄く塗ることが原則です。

人指し指の先端から第1関節部までチューブから押し出した量(約0.5g)が、成人の手で2枚分すなわち成人の体表面積のおよそ2%に対する適量です(finger tip unit) 。

塗る量については、例えばベリーストロングクラスの場合、大人で十分な量である1日5-10g程度の塗り方でスタートして、症状にあわせて次第に量を減らして行けば、3ヵ月使っても副腎皮質機能に大きな影響は与えません。

副作用を恐れて、処方されたステロイド剤を自己判断で使わないようにしてしまうと、かゆくて掻き壊したりして重症化を招いてしまいます。

すると、結局もっと強いステロイド剤が必要になったり、とびひ・網膜剥離などの合併症が起こりやすくなったりするので、早めにステロイド剤を使って一気に治してしまったほうがかえって安全ともいえるのです。

ステロイド剤は、すり込むのではなく皮膚に乗せるように塗るのがポイント。

使用中に気になる症状があらわれたら担当医に相談してくださいね。

免疫抑制外用薬

近年は、ステロイド剤による皮膚の副作用を避けたい場合に、ステロイド剤の代用で「免疫抑制外用薬」が使われるようになってきました。

免疫抑制外用薬のタクロリムス軟膏(カルシニューリン阻害外用薬)は、ステロイド外用薬のストロング~ミディアムクラスと同等の強さを持っており、ステロイド剤のように皮膚が薄くなる副作用がありません。

皮膚の薄い顔や肘・膝の内側に使う場合、やほかの外用薬で効果が得られなかった場合に使われます。

ただし重症の場合にはあまり効果が期待できません。また妊娠中・授乳中は使えません。

非ステロイド系消炎外用薬

ステロイドが配合されず抗ヒスタミン剤や消炎作用を持つ成分が主成分となっている「非ステロイド消炎外用薬」は、軽微なアトピー性皮膚炎の治療に適しています。

副作用の心配がないので安心して使えますが効果が弱いので、ステロイド剤の代用として使う物ではありません。

抗ヒスタミン内服薬

かゆみが強い場合は、補助的に抗ヒスタミン内服薬が処方されることもあります。抗ヒスタミン剤は副作用で眠気が起こりやすい欠点がありましたが、近年は「第二世代抗ヒスタミン薬」と呼ばれる眠気の少ない薬が使われるようになってきています。

しっかり保湿ケアを!バリア機能を回復させましょう

アトピー性皮膚炎の薬には症状をしずめる効果がありますが、肌のバリア機能を治す作用はほとんど持ち合わせていません。

アトピー性皮膚炎の発症を防いだり、症状を和らげたりするためには、肌を保湿することでバリア機能を回復させる必要があります。

保湿力の高いクリームやオイルで肌の表面にふたをすると、肌内部の水分が蒸発するのを防いで肌のバリア機能を保つことができます。白色ワセリン、ホホバオイルなど自分の肌に合った保湿剤を選びましょう。

またアトピー性皮膚炎の人の肌は、角質層を潤す「セラミド」という脂質が欠乏しているため、セラミドが配合された化粧品で保湿するのがより効果的です。

肌を保湿するためのポイント

  • 部屋の湿度を適度に保つ
  • 入浴後・洗顔後は5分以内に化粧品で保湿する
  • クリームやオイルはまんべんなく皮膚に伸ばし、少しべたつくくらいの量を付ける
  • 肌が乾燥している時は化粧水かスプレーで水分を与えてからクリームやオイルを塗る

併せて肌の乾燥対策も行ないましょう。肌の皮脂は洗い過ぎや熱いお湯で奪われやすいので注意してください。

乾燥を防ぐためのポイント

  • 熱いお風呂に入ったり、熱い湯で洗顔しない
  • ナイロンタオルやブラシで体をごしごし洗わない
  • 洗浄力の穏やかな石けんで体を洗う
  • 湯船に長時間浸からない

しばらく保湿ケアを続けていると肌のバリア機能が改善されて刺激に強くなるので、肌のかゆみも起こりにくくなっていきます。

基本的な治療ができていれば改善されやすい病気です!

アトピー性皮膚炎は、強いかゆみに長年苦しめられる病気というイメージを持つ人が多いかもしれませんが、適切な治療ができていれば治りやすく、重症化してしまった人のほとんどは不適切な治療が原因となっていると言われています。

まずはかゆみをしずめて掻き壊さないようにすることが大事です。3つの対策「かゆみの原因を避ける」「掻き壊しを防ぐ」「バリア機能を高める」を同時に行ってかゆみをしっかり抑えていきましょう。

キャラクター紹介
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