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玉ねぎは動脈硬化の予防だけでなく改善までしてくれる優秀食品

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心臓・脳血管障害の世界的権威であるアメリカ心臓協会が発行する学術雑誌「動脈硬化症、血栓症、および血管生物学」に発表された論文に、玉ネギの健康成分として知られるケルセチンに、動脈硬化を改善する作用が認められた、とあります。

ケルセチンは抗酸化作用や血流改善作用で知られ、動脈硬化の予防についてはこれまで知られていましたが、既に発生している動脈硬化を改善する作用も持つと言うのは大きな情報ですね。

動脈硬化の予防に役立っている!注目のケルセチンの効果

ケルセチンはさまざまな植物に含まれるポリフェノールのうち、フラボノイドに属するビタミン様物質(ビタミンのような働きをするビタミン以外の物質)で、みかんの皮のヘスペリジンや、蕎麦のルチンとともに、ビタミンPと呼ばれることもあります。

抗酸化物質として働くほか、抗炎症作用や、良い意味でも悪い意味でも、体内にある多くの酵素の働きに様々な影響をもたらすことが知られています。

注目を集めたのは体脂肪改善

もともと、玉ねぎの皮をお茶にして飲むことで健康に寄与すると言う健康法は知られていました。しかし、ケルセチンの名前を一気に有名にしたのは、大手飲料メーカーが出した特定保健用食品を取得したペットボトル茶でしょう。

これにはケルセチン配糖体(ケルセチンと糖が結び付いたもの)が強化されて含まれており、体脂肪を減らす助けになると言う効果効能をうたって人気を博しました。

ケルセチンやケルセチン配糖体には、脂肪分解酵素の働きを活性化する効果があることが判ったため、トクホとして申請されたようです。

ケルセチンの抗酸化効果

フィトケミカルであるポリフェノール類にはフラボノイドと呼ばれる一群の有機化合物が含まれています。

フラボノイドは、大豆で有名なイソフラボン類やカテキンで有名なフラバノール類など、いくつかのグループがありますが、いずれも優れた抗酸化効果を持っていて、健康に寄与するとされていることは皆さんよくご存知でしょう。

アントシアニジン類のグループの配糖体は、これもまたとても有名なアントシアニンという物質群です。それらと並んでフラボノール類と言うグループがあり、ケルセチンはそれに属しています。

ケルセチンは他のポリフェノール類と同じように、優れた抗酸化作用を持っています。

ビタミンPとしての働き

ビタミンPに分類されるのは、先にお話しした通りヘスペリジンとルチンがあります。この蕎麦の健康成分として知られるルチンは、それ自体が糖と結びついたケルセチン、つまりケルセチン配糖体なんです。

また、ヘスペリジンは違うグループのフラボノイド、フラバノンの配糖体です。これらのフラボノイドをまとめてビタミンPと呼んでいます。

いずれも優れた抗酸化作用を持っていて、LDLコレステロールが酸化されることを防ぐことで、動脈硬化の予防に役立っています。

ビタミンPは、一般的にはビタミンCの働きを助けるという紹介をされることが多いのですが、これは優れた抗酸化作用を発揮してできたビタミンEラジカルを、元のビタミンEに還元するということではないかと思われます。

研究グループの実験で動脈硬化の改善作用が見つかった!

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こうした中、アメリカ心臓協会の発行する学術雑誌に、西オーストラリア大学の研究グループが、ケルセチンの動脈硬化改善効果に関する動物実験の論文を発表しました。

それによると、動脈硬化を起こさせた実験用マウスに、ケルセチンとその他のフィトケミカルを体重1kgあたり64mgという均一な量を26週間投与して、動脈硬化に対してどのような効果があるかを検証したそうです。

効果が見られたのは2つの成分

対照試験に用いられたのは、

  • 紅茶の成分で同じフラボノイドのテアフラビン
  • ゴマリグナンのひとつで、血圧や肝機能への効果が期待されているセサミン
  • 抗酸化作用と血糖上昇防止作用のコーヒー成分、クロロゲン酸

の3つでした。

その結果、動脈硬化の改善に効果が見られたのはケルセチンとテアフラビンの2つで、セサミンとクロロゲン酸にはその効果がなかったと報告されています。

また、テアフラビンについてはある程度の効果が見られたものの、ケルセチンほどの効果はなかったということです。

特にケルセチンを投与されたマウスは、血液中のスーパーオキシド(超酸化物:活性酸素種のひとつ)の濃度が有意に下ったとあります。抗酸化物質としての面目躍如というところですね。

効果がなかった…という例もある

国立健康・栄養研究所の調査によると、ケルセチンを含む食べ物に効果がなかったという報告もあります。これによると、まったく効果がなかったという例と、血圧低下には効果があったが他はだめだったという例があります。

これは循環器系だけで、実は非感染性の前立腺炎の痛みを抑える効果はあると報告されています。いずれもアメリカとイギリスで行われた健康な、あるいは軽度の高血圧を持つ人を対象にしたものでした。

量と期間と研究対象のばらつき

国立健康・栄養研究所によって調査された項目は以下の通りで、最後につけた記号は、○多くに効果あり、△一部に効果あり、×効果なしです。

  • 血圧低下:○
  • 血糖値低下:×
  • 血中脂質低下:△
  • 血小板凝集能:×
  • 心拍数:×
  • LDLの酸化:×
  • DNAの酸化損傷防止:×
  • 炎症マーカー:×

思ったほど効果が出ていないように見えますね。それに、この調査で調べられた項目を見ると、動脈硬化と関係あるものの、動脈硬化の改善について直接調べた研究は含まれていませんでした。

そういう意味からも、今回の西オーストラリア大学の研究では、少なくとも動物実験では明らかに動脈硬化が改善されていたわけですから、画期的と言えるのでなないでしょうか。

また、国立健康・栄養研究所の調査データでは、全体として投与量が少なく、期間も短かかったイメージがありますね。ケルセチンの投与量は64~1085mg/日で、回数は1回~12週間(84回)でした。

これに比べると動物実験では64mg/kgの投与量です。もしこれを人間に投与したとすると、70kgの人で、4480mgは投与している勘定になりますね。また、期間も動物実験では26週間(182回)と長くなっています。

長期間続けるには食べ物で摂るのが一番!玉ねぎいかがですか?

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このように、効果は期待できるものの、長期間連続して摂り続ける必要があるというものは、普段の食べ物として摂るのが一番簡単で確実ですよね。

実はケルセチンは思ったよりいろんなものに含まれているのです。

ケルセチンを含む食べ物

玉ねぎの皮が有名ですが、なぜ玉ねぎの皮にケルセチンが多いかというと、それは乾燥しているからなのです。玉ねぎの茶色い皮を剥いて白い部分を出し、陰干ししておくと外側が茶色い皮になります。

つまり、玉ねぎの皮と玉ねぎ本体は同じものなのです。ですから、普通に玉ねぎの可食部にも100gあたり30~40mg程度のケルセチンは含まれています。

玉ねぎの90%は水分ですから、実が乾燥してできた皮なら、ケルセチン濃度は10倍近くになっているというだけですね。でも、玉ねぎの皮をそんなに食べることはできません。

一方、カレーなどに溶け込んだ玉ねぎなら、結構食べられそうですよね。

そのほか、お茶やケッパーは100gあたり200mg前後のケルセチンを含みますが、そもそもそんなに食べられるものではありません。ぶどう、りんごやベリー類などのフルーツにも含まれますが100gあたり一ケタ台です。

含有量はわかりませんが、ブロッコリーやモロヘイヤなどの野菜類、かんきつ類にも含まれますし、変わったところでは宮崎名物のウチワサボテンにも含まれています。サボテンアイスクリーム、美味しいですよね。

とは言え、こうして並べてみると、もっとも効率的にケルセチンを摂れるのは、やはり玉ねぎということになります。毎日の食卓に加えたいものですね。

農業ビジネスにも影響が

このケルセチンの健康効果を求めて、新品種の玉ねぎが、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構によって開発されました。早ければ平成28年度から北海道で種子の発売が開始されます。

品種名はクエルゴールド、単位重量あたりでケルセチンの含有量が2倍くらいに多くなったものです。従来品種に比べるとやや小ぶりで収穫量や貯蔵性にやや劣るものの、きっと市場に投入されるでしょうから楽しみに待ちたいですね。

研究不足で判らないことも多い…ケルセチンは正しく摂取しよう

このように、かなりの期待が持てるケルセチンですが、一方でまだまだ効果や副作用に未知数の部分が少なくありません。

効果があった実験であっても、他の要素との相互作用という部分について十分に検証されていませんし、副作用についても、わかっていない部分がまだまだ多く存在します。

ですので、当面は食べ物として摂ることにして、サプリなどで過剰な量をとることには注意が必要だと思います。

現段階でわかっている副作用

多くの場合、酵素の活性を上げたり下げたりすることから、なんらかのお薬を飲んでいる人には危険である可能性があります。

特にフルオロキノロン系の抗菌薬との相互作用があることはわかっているものの、どちらに働くか、つまり薬の効き目がなくなるのか、逆に強まりすぎるのかは確定されていません。

また、抗がん剤のタキソールの効き目が強くなりすぎたり、有害な副作用が出てくる可能性が知られています。

さらに、色々な薬物を代謝する酵素の働きを悪くする可能性もありますので、お薬を処方されているお医者様に、あらかじめ「ケルセチンを摂るために玉ねぎを多く食べても大丈夫ですか」と確認しておきましょう。

他には、血液が固まるのを防ぐワルファリンの効き目を強めてしまうことも知られているようですね。普通の食事の範囲であっても、お薬と組み合わせてはいけない物も結構あります。

例えば同じワルファリンは玉ねぎとは逆に、納豆と一緒に摂ると効き目が悪くなってしまいます。

民間療法でも注意が必要

たとえば、製薬会社などは、ケルセチンについて相互作用の危険性がわかっていても、玉ねぎを1回に1kgも食べる人はいないだろうということから、玉ねぎが副作用をもたらすという情報を出していないかもしれません。

しかし、仮に来年発売予定の高ケルセチン玉ねぎの皮ばかり50gを粉にして食べると、製薬会社が予想しない副作用の可能性は、それほど多くはなくても出てくるわけですね。

ですので、食べ物は、おおむね一般的に予想される範囲の食べ方をするのが得策だと思います。

玉ねぎを美味しく賢く食べるには…じっくり飴色に炒めよう!

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もちろん新玉ねぎがあれば、生でスライスしていただくのがとても美味しいです。しかしそれ以外の場合で、ある程度玉ねぎをたくさん食べようと思うと加熱した方が良いですね。

加熱は、フライパンで炒めるのがベストです。もちろん油を使ってもOKですよ。弱火から中火でじっくり炒めます。

玉ねぎは、野菜の中ではイモ類を除くとかなり糖質の多い野菜です。でも、糖尿に良いなんてこともよく言われます。原因はよく判りませんが、この際美味しいのでOKにしておきましょう。

玉ねぎをじっくり炒めると茶色くなりますよね。この茶色、二つの化学反応でできています。一つはカラメル化、もう一つはメイラード反応です。

メイラード反応が体内で起こると動脈硬化の原因になりますが、身体の外で起こって出来上がったメラノイジンを食べると、身体の中で抗酸化物質として働きます。

カラメル化でできたカラメルも、弱いながら抗酸化力を持っています。メイラード反応もカラメル化も、玉ねぎの中の糖を消費して行われる反応ですので、少しは糖質が減っているでしょう。

じっくり炒めた玉ねぎは、そのまま塩で食べても美味しいですし、面白い食べ方としては、ご飯の代わりにしてカレーをかけて食べてもいけますよ。もちろんスープの土台にしてもOKです。

このように、たまねぎをじっくり飴色に炒めて食べることで、美味しいだけでなく抗酸化物質とケルセチンの両方の効果が期待できるので、とってもお勧めです。

美味しく食べて、健康にもなっちゃいましょう!

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