健康生活TOP 動脈硬化 動脈硬化を予防する食事は「魚の種類」やその「食べ方」が重要!

動脈硬化を予防する食事は「魚の種類」やその「食べ方」が重要!

魚フライ写真

動脈硬化の予防のためにお魚を食べましょう!と言うのはもはや常識ですね。さらには青魚パワーなどともてはやされる、脂の多いお魚は本当に効果的なのでしょうか。

あっさりした白身魚はどの程度健康に寄与してくれるのか…?アメリカでの調査研究によって得られたデータからそのあたりを探ってみましょう。

魚と心不全の関係を大規模研究

今回参考にしたデータは、アメリカ国立衛生研究所による「女性の健康イニシアティブ」の中の、魚の摂取量と心不全との関係を調べた大規模研究です。

対象となったのは、50歳から79歳の閉経後の女性およそ85000人を10年間と言う大規模なものでした。人種もさまざまであったと言うことです。対象となった人々から、病気の人や心不全の既往症のある人は省かれています。

この研究の対象になったのは、 “Incident Heart Failure”・・・適切な訳語が見つからないんですが、分析内容を見ると「入院が必要になった心不全」と解釈するのが良いようです。

様々な病態の可能性はありますが、それでも一番多いのは生活習慣病である動脈硬化による虚血性心疾患、つまり心筋梗塞ですから、この研究は魚と動脈硬化の関係を見るのに、ちょうどいいデータと言えるでしょう。

心筋梗塞の高リスク群

心筋梗塞は男性に多い病気なのですが、女性でも閉経後には一気に発症リスクが高まります。そうした背景があるため、閉経後の女性を対象に調査が行われたようですね。

性別以外では、加齢に加え

  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 痛風
  • 歯周病
  • 脂質異常症などの病気の他、
  • 受動を含む喫煙
  • 肥満
  • ストレス
  • 家族に発症者がいること(体質の遺伝や生活習慣)

などが挙げられます。

調査の正確性

最初から脂肪酸の効果についてある程度の予測がついていたことから、脂肪酸摂取量の分析を行っていたようです。対象となった脂肪酸は以下です。

  • DHA+EPA
  • αリノレン酸
  • トランス型脂肪酸

個人によって全体の食べ物の量が変わりますので、食物1000kcalあたりに調査対象の脂肪酸がどれだけ含まれていたかに標準化して調査されています。

食べた魚の種類については次のように分類されています。

  • 魚のフライ、貝のフライ、そのサンドイッチ
  • 揚げずに加熱調理した海老(シュリンプ・ロブスター)、カニ、カキ
  • ツナ缶、ツナサラダ、ツナのキャセロール
  • 白身の焼魚、煮魚(ヒラメ・タイ・タラ)
  • 青魚の焼魚、煮魚(サケ、サバ、オキスズキ)

これらの個別分析もありますが、一番上の揚げたものと、他の4つの揚げてない物のふたつに分けた分析の方が中心になっています。

これらを「一定期間のうちどの程度食べていたか」と「心不全による入院のリスク」とで統計を取ったとされており、動脈硬化が原因の心筋梗塞で倒れたなんてのが代表例でしょう。

ですので、判りやすいようここからは “Incident Heart Failure” を「(入院の必要な症状の出た)動脈硬化」としてご紹介します。

つまり、心筋梗塞のリスクが高い閉経後の女性を対象に、揚げた魚か揚げてない魚を食べていた量、心不全で入院した率を調べたわけです。アジフライ定食が大好きなあなた、注目ですね!私も気になります!

やはり青魚は強い!そして魚フライは動脈硬化の危険が…

さて、どのような結果が出たのでしょうか。結論から言うと予測された結果を裏付けるデータがきれいに出揃いました。

この研究では、魚フライは身体に悪く、焼いたり煮付けたりした魚は身体に良いであろうと言うことが分かった上での裏付け観察でした。

それだけに、予想通りの結果に誤誘導されないよう、つまり思い込みによって実験データがゆがめられないように、かなり慎重にバイアスを排除したにもかかわらず、やはり予想通りの結果となりました。

魚フライを食べる回数について、1週間あたり、

  • 1回未満
  • およそ1回
  • 1回を超える

と言う3つのグループに分けて観察した結果、週に1回を超える回数魚フライを食べたグループでは平均より48%動脈硬化が増えていました。

一方、焼魚や煮魚を週に5回以下食べていたグループでは、動脈硬化の危険性が30%低くなっていると言うデータが取れたようです。

さらに、焼魚や煮魚を食べる回数が週に1回程度であったグループでも、平均より20%リスクが低減していたようですね。週に1回と5回以下の間で10%しかリスクが変わらないと言うことにも注目です。

青魚以外の魚の種類は効果ナシ

ここで、調理法ではなく魚の種類に注目した統計もあるので見てみましょう。

はっきりと動脈硬化のリスクを下げたのは「青魚の焼魚と煮魚」だけでした。白身魚や貝類、甲殻類などには動脈硬化の抑止効果はあまり見られなかったそうです。

青魚以外が悪いと言うのではなく、焼いたり煮たり蒸したりの調理をした青魚以外のシーフードは、こと動脈硬化に関しては毒にも薬にもならないと言うことだったのです。

重要なのは脂肪酸

そこで今度は脂肪酸に注目した分析が行われます。ここで注目したいのは動脈硬化リスクを高めた魚フライですね。分析の結果、平均で3%程度のトランス型脂肪酸が含まれていたそうです。

この事以外にも、魚フライの場合は衣の糖質や、揚げ油の酸化による過酸化脂質の摂取など、リスクの多い食べ物であると言うことは予想されていましたし、得られた結果もそれを裏付けています。

一方、魚の脂肪分と言えばω3不飽和脂肪酸であるαリノレン酸・ドコサヘキサエン酸(DHA)・エイコサペンタエン酸(EPA)ですね。これらが有効に働いていることも示唆されるデータでしたが、ちょっと意外なこともありました。

それは必須脂肪酸であるαリノレン酸は、身体にとって良い効果を及ぼすには効率的ではないと言うデータが取れたことです。DHAもEPAもαリノレン酸から体内で合成できますが、もともとそれが非効率なことは判っていました。

しかし、実際に体の中で動脈硬化を予防することに関してはDHAとEPAの組み合わせが特に優れていて、αリノレン酸はそれの補助的な地位に甘んじているようだと結論付けられています。

魚フライを健康的に食べるには?

魚フライイラスト

しかし、たまには魚フライだって食べたいですよね。白身魚は、脂肪酸構成では青魚に一歩譲るものの、良質なたんぱく質が摂れるのですから、その部分のメリットもあります。

そこで、ご家庭で作られることをお勧めしましょう。白身魚を買ってきて衣を付けて新しい油で揚げる、これだけでトランス型脂肪酸のリスクはうんと減ります。

揚げ油には、

  • ラード
  • オリーブオイル
  • 食用椿油

などをお勧めします。いずれも酸化耐性が高くトランス型脂肪酸も発生しにくいでしょう。ただし油は一度きりしか使ってはいけません。

使い終わった油は使用済みてんぷら油の回収に出してくださいね。

大切なのは魚の種類、つまりDHAとEPAの組み合わせが優れている青魚がもっとも優れているのです!魚フライを食べるなら油に注意して食べましょうね。1回で捨てちゃうのはもったいないけど…

魚の種類で異なる脂肪酸の構成は?

さて、実際どの程度脂肪酸の構成に差があるのかを見てみましょう。

  • 青魚代表 サバ
  • 白身魚代表 ヒラメ
  • フライ用白身魚代表 タラ

で見てみることにします。いずれも生の状態ではトランス型脂肪酸は含まれていません。

まずは脂肪分が含まれる量を見てみましょう。いずれも100gあたりの、食べられる部分に含まれる脂肪です。

魚の種類 100gに含まれる脂肪量(可食部)
サバ 12.1g
ヒラメ 2.0g
タラ 0.2g
カロリーから見ても、ヒラメはサバの約半分、タラは4割弱です。それだけサバには脂肪分が多いと言うことになりますね。しかし、そのことがサバの動脈硬化予防に効いているのです。

次に脂肪酸構成を見てみましょう。ω3不飽和脂肪酸のうち、効果が高いとされたDHAとEPAの合計量です。

魚の種類 100gに含まれるDHAとEPAの合計量(可食部)
サバ 1200mg
ヒラメ 410mg
タラ 66mg

もはや圧倒的ですね。なおαリノレン酸はいずれもそれほど多くなく、サバで55mg、ヒラメで7mg、タラに至っては測定限界以下だったようです。

そして、このことはアメリカの実験結果には載っていなかったデータですが、食品成分表から面白い数値を見つけたので紹介しましょう。

飽和脂肪酸:1価不飽和脂肪酸:ω3多価不飽和脂肪酸:ω6多価不飽和脂肪酸の含有比率です。グラムで表してあります。

魚の種類 飽和脂肪酸:1価不飽和脂肪酸:ω3多価不飽和脂肪酸:ω6多価不飽和脂肪酸(g)
サバ 3.29:3.62:1.53:0.31
ヒラメ 0.43:0.48:0.51:0.08
タラ 0.03:0.03:0.07:0.01

量の多少はあるものの、いずれも良いバランスですよね。魚が健康に良いとされる秘密はこの辺りにあるのかもしれません。そしてそれを絶対量として豊富に持っている青魚が一番優れていると言うわけです。

どの数値を見ても青魚代表のサバが圧倒的!カロリーは気になるけれど動脈硬化の予防には言う事ナシです。しかし!ただ青魚を食べていればいいのではありませんよ!

魚は鮮度が第一!

青魚に優れた動脈硬化の防止効果があるのは判りました。しかし、ここで大変重要なことがあるので注意して下さい。それは「魚の油は酸化しやすい」と言うことです。

酸化した油は動脈硬化の大きな原因になります。ですので、魚はできるだけ新鮮なうちに調理して、調理したらすぐに食べましょう。

酸化と腐敗は違います

例えば、ちょっと古くなって生臭さが出てきた魚でも、焼いたり煮たりすれば食べられますし、お腹を壊すこともありません。

これは、獲れてから時間が経った魚の表面に付着していた細菌などが繁殖して、そのまま食べると食中毒を起こすような状態であっても、加熱すれば細菌が死滅して食中毒にはならないと言うことです。

一方、生臭さと言うのは油の酸化で発生する部分もあるので、加熱調理しても過酸化脂質は減りません。焼いた香りや調味料のせいでごまかされているだけなのです。

ですから、魚は新鮮なうちに食べてしまいましょうと言うことになります。

油の酸化は温度に連動します。大雑把な言い方ですが、温度が10度上がると酸化速度は2倍になるとも言われていますね。逆に10度下がると半分になると言うことでもあります。

ただ腐敗とは違って、冷凍したところで酸化自体は止まりません。20℃なら1日で酸化して食べられなくなるのが、-20℃なら2週間くらいなら何とかいけると言う程度です。

ですから、冷凍技術も過信せず、出来るだけ早く食べるに越したことはありませんね。

船イラスト

そうした場合心配になるのが遠洋漁業のマグロですが、マグロ漁船の冷凍機は-45℃~-60℃と言う設定が可能ですので、家庭用の冷凍庫よりさらに5~16倍くらい長くもたせられます。

ですので最大出力で冷やした場合、4ヶ月間船の中にあっても家庭用の冷凍庫で1週間保存した程度しか酸化しません。

マグロもω3脂肪酸が豊富ですし加熱せずに食べられるので、健康のためにどんどん食べて下さい。

マグロ漁船すごいですね!ご家庭ではできるだけ早くいただくようにしましょう。私はお刺身、ヘレンさんと心美ちゃんはマグロアボカド丼が好きです。

普段使いは青魚で!他のお魚もいただきましょう

さて、やはり青魚は動脈硬化やそれによって引き起こされる心筋梗塞の予防に有効であることが判りました。このデータは心臓に絞った研究ですが、おそらく血管に起因するすべての病気に良い影響があるでしょう。

幸いなことに青魚は身体に良いだけではなくお財布にもやさしい食材ですので、これを食べない手はありませんよね。寒い季節にはサンマも良いです。一匹100円以下と言うレベルの食材はなかなかないですよ。

今回は動脈硬化に焦点を合わせた話題でしたので青魚バンザイになりましたが、先にもお話しした通り、ご家庭で新鮮な油を使って作られる白身魚のフライも美味しいし、月に2~3回程度ならむしろ心の栄養としてお勧めしたいです。

ヒラメやタイはお財布に厳しい食材ですが、低カロリーで高タンパクと言う優れものでもあります。タラだとお値段も安いし、フライじゃなくてもお鍋なんかも美味しいですよね。

魚料理の豊富な文化を持つ日本人に生まれた幸運を、ここで上手に利用して健康をキープしましょうね。

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