健康生活TOP 動脈硬化 動脈硬化が治る治らないは症状の進み方次第!維持すべき数値

動脈硬化が治る治らないは症状の進み方次第!維持すべき数値

arteriosclerosis illustrations

動脈硬化と言う病気の名前を知らない方はいないでしょう。高血圧や高血糖、脂質異常、生活習慣では喫煙や飲酒などがリスクファクターになるので、そうしたものを避けましょうと言う指導ももはや常識です。

さらに、動脈硬化は心筋梗塞や脳卒中の原因になるから、そうした予防は大事だよと言う指導も当たり前になりました。

そんな動脈硬化は本当に生活習慣の改善や薬で治るのか?とくに生活習慣をかえたくらいで…と思われる方は多いのではないでしょうか。

動脈硬化は生活習慣の改善や薬で治るものなのか

動脈硬化がなぜ起こるかと言うメカニズムも、多くの機会に紹介されていますから、大まかなところは皆さんご存知だろうと思います。

特に、コレステロールが血管の内側に溜まるから起こると言うイメージから、それが溶けて流れればいいんじゃないかと思っている方も少なくないでしょう。

動脈硬化は血管の一番内側の膜の下にコレステロールがたまる

少し詳しくご存知であれば、コレステロールは血管の内側に溜まるのではなく、血管の壁の中に溜まって行くと言うことを知ご存知だと思います。

そしてそれが溜まり過ぎると、血管の内膜が破れてそこに血栓ができ、それが血管を詰まらせるから怖いのだと言うこともご存知でしょう。

では、血管の膜の外側に溜まったコレステロールと言うのは、治療で溶けて流れてくれるのでしょうか。生活習慣を改善すれば「悪化を防止できる」と言う表現は良く目にしますが、治ることはないのでしょうか。

実に気になるとことではありますが、動脈硬化には段階があって、一定のレベルまでの物は生活習慣の改善やお薬で健康に影響がないところまで改善もできますし、悪化が進んでしまってからも「軽くする」ことはできるのです。

動脈硬化は完治しないし完治させる必要もない

動脈硬化と言うと中年男性専用の病気のようなイメージがありますが、実は男女を問わず若い時から発生している物なのです。どのくらい若い時から発生しているかと言うと、ゼロ歳児の時にはすでに初期病変が始まっているのです。

そして、思春期前の10歳くらいから急速に病気は進み、30歳くらいからは病気としての姿になって行きます。もともと動脈硬化には成長・加齢に伴って自然に起こる部分があるので、その部分は治せませんし治す必要もありません。

ですので、そもそも「完治」と言うのが不可能なものですし、20代の時の動脈の状態にまで「改善」できれば完治以上の素晴らしい成績とも言えるのです。

一方、30歳を過ぎてから病院や健康診断で受ける様々な検査で、心臓や脳に重大な病気をもたらす恐れのある動脈硬化を指摘された場合は、急いで進行を食い止める必要があります。

そして出来るなら少しでも改善したいところですよね。

動脈硬化の進み方と改善できる可能性

動脈硬化には段階があります。ある程度まで進めば全く症状が出ていなくても検査で調べることもできます。ですので、健康診断や人間ドックは非常に有効な手段と言えるでしょう。

特に高血圧や糖尿病、脂質異常症をお持ちの方は、面倒がらずに検査を積極的に受けるようにして下さい。

動脈硬化は酸化ストレスと高LDLコレステロール血症が入口

血管の一番内側にある内皮細胞は様々な物質を分泌することによって生理機能のバランスを保っています。例えば血管を拡張させる一酸化窒素を産生すると同時に血管を収縮させるアンジオテンシンIIを分泌しています。

この二つがバランスすることで血圧を一定に保つ働きがあるんですね。しかし、LDLコレステロールが増えすぎると、血管内皮細胞が障害され、一酸化窒素の産生が減り血圧上昇の方向に向かいます。

また、何らかの刺激で活性酸素が増えると、一酸化窒素は酸化されて二酸化窒素になり血管拡張作用が失われてしまうのです。

免疫細胞がコレステロールを異物として処理する

血中LDLコレステロールが増えると、これが血管内膜を通っていわゆる超悪玉コレステロールの酸化LDLになり、中膜との間に溜まり始めます。

一方酸化LDLは身体にとって異物ですので、血液の中にいる白血球のうち最も大きな単球が血管内膜に貼り付いて、転がりながら外側へと異物を追いかけるのです。血管から外に出た単球はマクロファージと言う細胞に姿を変えます。

マクロファージの表面には酸化LDLを取り込むための受容体がありますので、どんどん捕まえてくれるのは良いのですが、限界が来ると死んで泡沫細胞となり、血管内膜と中膜の間に蓄積されてゆくのです。

arteriosclerosis

動脈硬化が病気として完成するまでの進み方

先にお話しした通り、動脈硬化はゼロ歳児から始まっています。一方、症状が出始めるのは中年真っ盛りの40歳くらいからが多いでしょう。

もちろん、個人差はありますから40歳と言うのはあくまで目安です。でも、それを基準にどのように進んでゆくのかを見てみましょう。

動脈硬化の第一ステージは顕微鏡レベル

いわゆる初期病変ですが、これは組織学的には全く正常なもので、顕微鏡で詳細に検査すると見つかると言う物です。ですので全く心配のないものです。

この時期には、マクロファージから泡沫細胞が出来上がってしまったとしても、それはまだ一個一個が独立した状態で存在する程度です。ですから、何らかの事情で10歳に満たない子供の血管を組織検査した時に見つかると言う程度です。

10歳くらいまでにこうした病変が発生し、次の10年で一人前の動脈硬化に育ってゆくわけです。ですので、肥満傾向にある子供の場合は将来のリスクが高くなる可能性はあるかもしれません。

また、もう少し動脈硬化が進んで血管にすじ状の脂肪が見えるようになっている場合でも、まだ何かの症状を起こすような状況にはなっていません。

子供の肥満がいけないと言っても痩せた子供はもっといけない

最近では子供たちに見た目重視のダイエットをさせる人もいると聞きます。これはとんでもないことで、子供時代には身体を作る必要がありますから「肥満ではない」と言うレベルをキープするぐらいの方が好ましいのです。

特にたんぱく質の摂取不足は身体が作れなくなりますので、子供に対してはきちんとした栄養と運動の管理を行ってあげましょうね。

乳幼児については、世界的にはカウプ指数と言うのを使いますが、日本の場合乳幼児健診で成長曲線内にいるかどうかを判別してくれますので、それに従っておくのが最も正確を期せます。

6歳から17歳までの児童生徒はローレル指数で判断します。BMIで判断するのは、原則として18歳以上です。ローレル指数は次のように計算します。

ローレル指数=(体重(kg)×10) / (身長(m)×身長(m)×身長(m))

例えば、身長150センチ体重43kgの人の場合、(40×10)/(1.5×1.5×1.5)=127.4 になります。ローレル指数は130が標準体型で、115~145が正常範囲とされています。

100以下は痩せ、160以上は肥満で、正常範囲との間の101~114、146~159は要注意と言うことですね。

これは身長と体重だけから割り出したものですので、この数値を維持できることはもちろんですが、体脂肪が増えすぎたり筋肉が少なすぎたりしないよう特に運動と栄養について注意してあげましょう。

動脈硬化が病気になるのは30歳以降が目安

動脈硬化の中期と呼ばれる場所からは、一気に病気らしくなってきます。よく言われる動脈硬化の進み方と言うのは、まさにこの中期に入ってからなんですね。

arteriosclerosis proceed how illustrations
最初から存在していた酸化LDLを取り込むマクロファージがここに来て急速に数を増やします。また、中期に入るくらいの年齢になると体脂肪が増えやすくなりますが、この体脂肪の増加も動脈硬化の悪化に影響するものなのです。

30歳になったら脂質について特に注意しよう

動脈硬化の中期はおおむね30歳くらいから注意が必要です。中期前半では、溜まった泡沫細胞などによる血管内膜の盛り上がり(プラーク)の中に、わずかながら小さな脂質のプールができ始めます。

これが中期後半になると脂質コアと呼ばれるものに成長します。この脂質コアを伴ったプラークをアテロームと呼んでいて、これが動脈硬化の本体とでもいうべきものなのです。

このアテロームが形成されると、初めて臨床的な症状が現れる場合があります。多いのは狭心症ですね。心臓に酸素と栄養を送る冠状動脈が完全に詰まったのではなく、血流が悪くなることで起こる症状です。

中期の段階で血中脂質を適正化すれば動脈硬化は改善する

動脈硬化の中期では、まだ物理的に取り除かないと絶対にとれない動脈硬化物質はありません。ですので、この段階までに血液の中の状態を改善しておくことで、本格的な病気に進むことを予防できます。

この先もう一歩進んでしまうと、充分な改善が望めなくなるかもしれません。

血中脂質のLDLとHDLの比率が重要である事が判った

病院の検査や健康診断などで血液検査を受けると、血中脂質についていくつかの数値が示されます。大抵の場合、

  • 中性脂肪(トリグリセライド)
  • LDLコレステロール
  • HDLコレステロール

の3本柱でしょう。

もちろん、それぞれの数値を見るのも大事ですが、ここに来てLDLとHDLの比率が重要であることが判ってきました。

最近はLDLコレステロールとHDLコレステロールの比(L/H)が低値であるほど冠動脈のプラークは退縮するといわれている。

ロスバスタチンを用いた大規模臨床試験のメタ解析にてL/Hが1.5以下であればプラークは退縮するというデータが出された。

したがって冠動脈イベントの一次予防の患者で糖尿病を合併しているようなリスクの高い患者や二次予防の患者では動脈硬化性疾患診療ガイドラインの目標値を達成したうえで、L/Hを1.5以下にすることが推奨されている。

京都府立医大でも生化学検査結果にこのL/Hが算出されるようになり正常値は2.0以下となっている。

ここにあるように「L/Hが1.5以下であればプラークは退縮する」と言うのは、「血中脂質のコントロールが良ければ動脈硬化は改善する」と言う意味に他なりません。

L/Hが1.5以下と言うのは、例えばLDLコレステロールが人間ドック学会の示している基準値上限の119mg/dLであった場合、HDLコレステロールは低くても80mg/dL以上にしましょうねと言うことです。

もちろん、LDLが90であればHDLは60以上と言うことです。

40歳を超えると危険な状態の動脈硬化の可能性がある

動脈硬化がさらに進むと、繊維性アテロームと言う物ができてきます。これは血管の中膜にある平滑筋細胞が本来の場所から離れて増殖し、脂質コアを持ったプラークと血管の内腔との間に繊維性の被膜を作った状態です。

こうなると、これがどんどん血管を押し狭めて行くのですが、一方でこの被膜のおかげでプラークは安定して破綻しにくくもなるのです。

さらに脂質が増大するとアテロームの破綻から死を招くこともある

血中脂質の状態が悪く、どんどんLDLコレステロールが供給されるような状態になると、脂質コアが増大してきます。そして、繊維性の被膜は徐々に消失しプラークは不安定化するのです。

さらにこの状態になると、動脈硬化が起こっている部分にはカルシウムが沈着し始め、血管の石灰化を招きます。石灰化した部分は食事療法や飲み薬で治すことはできません。

血流が確保されているのであれば、石灰化しても特に治療を必要とはしませんが、その状態になった血管は非常にもろくもなっています。

こんな状態でさらにプラークが大きくなると、プラークの中で出血したりプラークが破裂してアテロームが崩れたりすることで、そこに血栓ができ、筋梗塞や脳梗塞を引き起こすのです。

破綻寸前の状態でも血中脂質の改善には意味がある

どこまで病状が進んでいようと、全身の血管が全部同時に詰まることはあり得ません。ですので、少しでも全身の動脈硬化を改善する意味で、常に血中脂質の状態を良く保つよう、生活習慣を改善しましょう。

ある程度年齢を重ねた場合、血中脂質の異常を指摘されたらお酒はあきらめましょう。たばこについては言わずもがなですね。何かの異常を指摘される前にやめておいた方が得策です。

血中脂質については、脂っこいものを控える方向より、食物繊維を積極的に摂る方向で改善するのが好ましいようです。野菜・果物・きのこ類・海藻などですね。全粒穀物やおからなども良いでしょう。

生理的動脈硬化と病的動脈硬化

先にお話しした、アテロームが形成されるまでの動脈硬化は、加齢によって引き起こされる生理的動脈硬化ですので、程度の差こそあれ誰もが避けて通れない部分です。しかし、アテロームが形成されないレベルであれば、健康に悪影響は出てきません。

一方で、アテロームができてから後の部分は、病的動脈硬化で命を縮める原因になる部分です。この部分は子供の時から年齢を重ねてからに至るまでの、すべての段階での生活習慣に大きく影響されています。

ですので、生活習慣を良くすることに早すぎることも遅すぎることもありません。身体の中では常に変化が起きていることを意識して生活しましょうね。

キャラクター紹介
ページ上部に戻る