健康生活TOP 抗生物質 抗生物質を飲み続けて耐性菌が!薬の飲み方で大切な2つの事

抗生物質を飲み続けて耐性菌が!薬の飲み方で大切な2つの事

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「20世紀最大の発明」とも言われる医薬品、それが「ペニシリン」です。ペニシリンから始まる抗生物質の歴史は、それまでの医学を変えたとも言われる出来事でした。

しかし、近年増加している「耐性菌」によって、この偉大な発明が無に帰してしまう恐れがあります。

”薬があだとなる”耐性菌とは、いったいどういったものなのか、抗生物質との関係からご説明します。そして、自分にできるできるだけ耐性菌を出現させないためのたった2つのことを知っておきましょう。

抗生物質とは?現代医療で重宝されるその立ち位置

細菌性の感染症予防などに使用されている抗生物質は、細菌を死滅させて体内で増加させないようにする薬です。

細菌やウイルスに感染して炎症を起こした時、抗生物質を服用すると炎症もおさまり痛みや腫れ、熱なども下がっていきます。

抗生物質にも種類はありますが、何かの病気になったとしても抗生物質さえあれば安心と考えられています。

現代医療において抗生物質は特別な薬ではなく、ちょっと風邪を引いたり怪我をしたりした時に医師に処方されることがあります。

抗生物質は薬の中でもポピュラーな薬であり、患者の中には医師に対して「喉が腫れたから抗生物質出して~」などと注文する人も少なくないようです。

抗生物質の種類と抗菌薬の関係を考える

現在の抗生物質にはどのような種類があるのでしょうか?また近年は抗生物質以外に抗菌薬と言う言葉を耳にします。抗菌薬と抗生物質にはどのような関係があるのか考えてみましょう。

抗生物質の種類を探ってみましょう

基本的に抗生物質は微生物が生存競争に勝ち残るために作られている物質と言われています。つまり、A細菌とB細菌が同じ土壌に生息している場合、細菌の量によってはB細菌に土壌を乗っ取られる可能性があります。

また、その結果としてA細菌が死滅してしまうこともあるでしょう。それを防ぐために防御物質を出して、B細菌を死滅させて近づけなくさせるのです。この物質こそが抗生物質であり、青カビが出す防御物資こそがペニシリンなのです。

フレミングの発見から始まった抗生物質の歴史ですが、現在では新しい抗生物質も色々と発見されており主に4つの分類がなされています。

  1. 細胞壁合成阻害薬
  2. タンパク質合成阻害薬
  3. 核酸合成阻害薬
  4. 葉酸合成阻害薬

細菌の細胞壁を破壊する細胞壁合成阻害薬

細菌の細胞には細胞膜の外周に「細胞壁」と呼ばれる壁があります。要は細菌の形を作る壁なのですが、人間などの動物の細胞にはこれはありません。

抗生物質の多くがこの細胞壁を破壊する作用を持っており、細胞壁が壊されることで細胞は死滅してしまうのです。ここで重要なのは人間の細胞には細胞壁はありませんので、細胞壁合成阻害を使用しても有害にはならないことです。

つまり、人間が細胞壁合成阻害を体内に入れた場合、体内に入り込んだ細菌は死滅しますが人間の細胞には全く影響は与えないのです。

  • β-ラクタム系(ペニシリン系など)
  • グリコペプチド系
  • ホスホマイシン系
  • その他

細菌にタンパク質を作らせないタンパク質合成阻害薬

細菌も生き物なのでタンパク質を作ることで増殖しています。タンパク質合成阻害とは細菌の細胞でタンパク質を生成する「リボゾーム」の働きを阻害することで細菌を死滅させる抗生物質です。

通常細菌は分裂を繰り返すことで増殖を行っています。この時、新しいタンパク質がないと増殖することができなくなるのです。リボゾームを阻害してタンパク質を作れなくなった細菌は、増殖することができずに死滅するしかありません。

人間の細胞にもリボゾームがありますが、細菌のリボゾームとは構造が違うことから、タンパク質合成阻害の影響を受けることはありません。

  • マクロライド系
  • テトラサイクリン系
  • ホスホマイシン系
  • その他

遺伝子を読み取らせない核酸合成阻害薬

リボゾームでタンパク質を作るには細菌の遺伝子とも言える「DNA」「RNA」を読み取る必要性があります。この遺伝子情報は核酸に含まれていますので、核酸の働きを阻害することでタンパク質の生成を阻止できるのです。

簡単に説明しますとタンパク質の設計図が核酸のDNAとRNAに含まれているので、その設計図を破壊すると言うことです。まさしく大元を叩くのですね。

  • ニューキノロン系
  • その他

ビタミンを遮断する葉酸合成阻害薬

ビタミンは生命を維持するためには必要な栄養素ですが、それは細菌も同じことが言えます。ビタミンB9は「葉酸」とも呼ばれており、細菌が細胞分裂を行う際に必要になります。

葉酸合成阻害薬は細胞分裂を行うのに必要な葉酸の生成を阻害することで、細菌の細胞分裂を抑制します。葉酸がなければ細菌も増殖できないので死滅してしまうと言う訳ですね。

  • パラアミノサリチル酸
  • その他

最近よく耳にする抗菌薬ってなに?

最近では抗生物質よりも「抗菌薬」と言う言葉を耳にします。そう言えば抗菌グッズも大人気で、「抗菌○○」「▲▲抗菌」などのネーミングの商品を見かけることも珍しくはありませんよね。

「抗菌」とは文字の通り「細菌に対抗」することを意味していますので、抗菌薬とは「細菌に対抗する薬」と言う意味です。

それでは抗生物質との関係はどうなるのでしょうか?実は現在、抗生物質は抗菌薬の一種とされています。どうも解り辛くて申し訳ないのですが、これには抗生物質のある定義が関係しています。

もともと抗生物質は前述した通り、青カビから発見されたペニシリンが大元です。さらに様々な抗生物質が発見されましたが、その多くがカビなどの微生物が作り出した物質です。

そこで抗生物質とは「カビなどの微生物によって作り出される薬」との定義が生まれたのです。

しかし、現在では医学の進歩により微生物に頼らなくても抗生物質と同等の抗菌物質が製造できるようになったのです。このような薬は抗生物質の定義には当てはまらないことから、抗菌薬」として分類されています。

現在では抗菌薬が大義の意味で使用されており、抗生物質は抗菌薬の一種類とされて含まれています。「抗菌薬の中の抗生物質」と聞けば「微生物が作った抗菌薬」と思うのが正解ですね。

現在では様々な抗生物質と化学物質を組み合わせることで様々な抗菌薬が開発されています。

耐性菌の登場!抗菌薬の神話が早くも崩れかけていた

前述した通り抗生物質の歴史で欠かすことのできないペニシリンですが、この発見により多くの人命が救われたのは事実であり、そのことはいかに抗菌薬としての効力が高かったかがわかります。

そしてペニシリンの登場はまさしく医療を変える出来事であり、それに続く抗生物質の開発も急ピッチで進められたのです。

しかしペニシリンの神話は長くは続きませんでした。つまりペニシリン実用数年でペニシリンの作用に耐性を持った細菌が確認されたのです。

「ペニシリン耐性黄色ブドウ球菌」と呼ばれる細菌は、「ペニシリナーゼ(β- ラクタマーゼ)」と言うペニシリンを無効化する酵素を作リ出します。この作用でペニシリンを投与しても影響を受けることがなく増殖してしまうのです。

また1960年台にはペニシリンだけでなく、複数の抗生物質に耐性を持った「メチシリン(多剤)耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)」も出現しています。

神の薬であったはずの抗生物質ですが、発見されてから僅か30年程度で効果に問題が出てきたのです。

耐性菌との戦いが人類医学の歴史となる

1960年台にMRSAの発症が確認されたことで研究者の中から様々な憶測が飛びましたが、その中である疑問が話題に上がっています。

それは…「細菌は抗生物質によって進化しているのではないか?」と言う疑問です。

そして新しい抗生物質を使用することで、「それに耐性をもつように細菌が更に進化しているのではないか?」との認識も生まれたのです。そこから人類と細菌のイタチゴッコが始まったのです。

耐性菌が発生しないはずの抗菌薬にも耐性菌が…

MRSAの発生はそれまで優位であった抗生物質の効果を毀損するものでしたが、かろうじて1956年に開発されていた抗生物質である「バンコマイシン 」だけは除菌が可能でした。

これによりバンコマイシン は「耐性菌が出現しない抗生物質」として、最強の抗菌薬としての地位を得たのです。

しかし、バンコマイシン にもいよいよ耐性菌が生まれてしまいます。1986年には バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)がヨーロッパで、さらに1996年にはバンコマイシン軽度耐性黄色ブドウ球菌(VISA)が日本で発見されています。

このことからいかに効果の高い最強の抗菌薬であっても、耐性菌は生まれてしまうことを示唆する結果になってしまいました。

細菌も人間同様に進化しているのです。それにしても早すぎでしょう!とツッコミを入れたくもなりますが…

薬が効かない耐性菌ができてしまう原因!この行動や意識が危険

薬の効かない耐性菌の出現は、治療の方法がない病気が生まれることを意味しています。

日本でも耐性菌の検出が増加しているとの指摘もあり、近い将来には治っていたはずの怪我や病気が完治しない日がくるのかもしれません。

耐性菌が生まれる原因は抗菌薬の使用方法にある

耐性菌はどのように生まれるかご存知でしょうか?耐性菌は何となく自然に発生しているのではなく、人間が作り出しているとの指摘が古くからあります。

その最大の理由は「昔、耐性菌はいなかった」と言う事実からも解ると思います。耐性菌は細菌の進化によって生まれた細菌ですが、進化するきっかけを与えたのは人間です。

つまり、人間が抗菌薬を開発したことで、細菌は自己防衛をする必要が生じました。そこで進化することによって抗菌薬からの耐性を得たのです。

その意味ではフレミングがペニシリンを発見していなければ、耐性菌が生まれなかった可能性もあるかもしれませんね。しかし本当の問題は抗菌薬自体ではなくその使用方法にこそ問題が隠されていたのです。

耐性菌を生み出した原因は抗菌薬と言うより、それを使用した人間の方にあります。耐性菌を生み出す可能性の高い使用方法をまとめてみました。

安易な抗菌薬の使用が耐性菌を生み出す

安易に抗菌薬を使用することで細菌が耐性化することがあります。日本でも一時期、風邪などの軽い症状においても抗菌薬を処方されることがありました。

風邪には「細菌性」「ウイルス性」とあり、ウイルス性の風邪には抗菌薬は効果がありません。しかし、その判定もせずに抗菌薬を処方していたのです。

患者の精神的安心を得る方法だった可能性もありますが、このように不必要な状況下で安易に抗菌薬を処方する行為は耐性菌を生み出す原因になります。

抗菌薬の使用方法を守らないのが耐性菌を生み出す

私達は筋トレを行って筋肉をいじめることで、強い筋肉が生まれますよね。細菌もこれと同様に死滅しないぎりぎりまで追い込むことで強い細菌が生まれることがあります。

これが耐性菌なのですが、完全に死滅させることを徹底すると耐性菌は生まれてきません。言葉が悪いのですが「細菌の半殺し」こそが耐性菌を生む原因になります。

感染症の治療で抗菌薬を処方されますが、その際に「1週間分」など一定の期間分の薬を処方されると思います。しかし、中には3日で症状が治まったので、薬の服用も3日で止めてしまう人が相当数いるようです。

症状が改善されることと細菌の完全死滅は全く別の問題であり、その時点ではまだ細菌が残っている可能性があります。そのような細菌は抗菌薬の影響で弱っていますが、服用を止めることで息を吹き返してしまうでしょう。

医師の処方通りに抗菌薬を服用しない行為が耐性菌を生んでいるのです。

同じ抗菌薬を使用し続けると耐性菌が発生する

長期に渡って同じ抗菌薬を使用している場合、耐性菌が生まれるリスクが高まります。特に長期の入院治療において同じ抗菌薬を使用する場合がありますが、このような状況下では細菌が抗菌薬に対して耐性を持ちやすくなります。

長期に抗菌薬を使用する場合には、定期的に種類を変更する必要があります。

家畜の肥料が耐性菌を生み出す

家畜の肥料には様々な化学物質が含まれています。特に食用の家畜の飼料には、様々な抗生物質を含んだ抗菌薬が使用されているのです。

人間には乱発しない抗菌薬を家畜に長期間使用していたのです。このような行為は人間と同様、家畜の体内で耐性菌を生み出すきっかけになっています。

近年、家畜から人間に感染する感染症が話題になっていますが、新しい耐性菌も家畜から生まれるのかもしれません。

自分勝手な判断が耐性菌を生んでいるのです。どんどん広まっていくのも頷けてしまいますね。

インドで大流行!危険なスーパー耐性菌が出現

インドで発見されたスーパー細菌が世界を驚かせました。NDM-1(ニューデリー・メタロベータラクタマーゼ)と呼ばれる酵素は、多くの抗菌剤に対して耐性を持つ酵素です。

NDM-1は「緑膿菌」「体調菌」「肺炎桿菌」などから見つかっており、それらの細菌を耐性化させるきっかけを作っています。これらの細菌は現状で最も有効とされている抗菌薬に対しても耐性があり、まさしく「スーパー耐性菌」と言えるでしょう。

人口が12億人のインドでは毎年5万人以上の新生児が耐性菌で死亡していると報告されており、これからも増加して行くことが想定されています。

また、インドへの旅行者が感染して帰国し、自国で発症した例もあることから、世界中での流行も危惧されています。

インドでの流行は世界最大の抗菌薬国だから

なぜインドで耐性菌が多く発生しているのでしょうか?実は生活環境ではなく、その医療制度にあるみたいです。

インドは世界一抗菌薬を使用する国であり、その量も世界の1/3を製造する規模です。この背景にはインドの医師が抗菌薬を乱用するだけでなく、国民の抗菌薬に対する信頼や安心感があるようです。

インドでは日本と違いつい最近まで、医師の処方がなくても抗菌薬を薬局で簡単に購入できました。町のドラッグストアで処方箋なしで購入できたのですから、安易な使用も無理はありません。

現在は禁止されているそうですが、徹底はされておらず未だに問題は解消されていないようです。

このように国民が簡単に抗菌薬を使用できる環境が、インドで耐性菌が増加している最大の理由のようです。

メディカル・ツーリズムは耐性菌状況も考えてから

インド政府もこの問題に取り組んでおり、薬局での抗菌薬の販売は一応禁止しています。しかし、現状は変わらず未だに多くの薬局で販売が見られるそうです。

インド政府が徹底的な対策を取れない背景には「メディカル・ツーリズム」の推進があるとの指摘があります。

メディカル・ツーリズムとは「医療費の安い外国で自国よりも質の高い医療を受けるツアー」のことでインドもこれに力を入れています。

インドの観光政策の一つと言う訳ですが、過度な耐性菌対策を行うことでメディカル・ツーリズムに影響が出ることを危惧しているのではとの憶測が出ています。

日本でもメディカル・ツーリズムは注目を集めており、タイ、マレーシア、インドネシアなどの病院が人気を集めています。しかし、発展途上国では抗菌薬の使用率が高い国もあり、耐性菌のリスクも当然高くなります。

安く質の良い医療を受けられるメディカル・ツーリズムはこれからも注目されると思いますが、十分に調査してから決めた方が賢明かもしれません。

急激に豊かになっている発展途上国に耐性菌が多く見られます。

薬の乱発は抗菌薬以外でも危険だと思いましょう。

自分の注意で耐性菌は防げるかも!たった2つの守るべきこと

20世紀は「抗生物質&抗菌薬の時代」だったかもしれませんが、21世紀は「耐性菌勝利の時代」になる可能性が否定できません。もしそのような時代になると、ちょっと道で転んだり、風邪を引いたりしただけで感染症が悪化して、重症化してしまうことも考えられます。

そこで耐性菌を増やさないように私達ができることが2つあります。

1つ目「抗菌薬を欲しがらない」

ちょっと体調が優れなかったり、風邪で喉が痛かったりする程度で医師に抗菌薬を欲しがる人がいます。しかし、細菌性の風邪であれば免疫によって数日から1週間程度で自然に治癒します。

過剰な医療を求めることは耐性菌を生み出すきっかけになることを自覚しましょう。

調剤薬局で初めて薬を受け取る時に、お薬手帳というのをもらえます。これは調剤薬局で受け取る薬について服用履歴などを記入する手帳です。

手書きで書き込むこともできますし、領収書と一緒にもらう薬名が印刷されたシールを貼り付けたりと、病院を変わった場合もカルテを見ずに、それまでの薬の服用履歴がわかるように作られた手帳です。

面倒なのでいちいち持ち歩かない人もいますが、家に帰ったら必ず薬と一緒にもらったシールを貼っておけば、後になっても手帳を見れば薬の服用歴がわかるので、抗生物質の乱用を予防する事もできます。

よく病院にかかり薬を処方してもらう人は、一度自分の服用履歴を見直して見て、どのような薬を服用してきたのか振り返り把握しておくのもいいと思います。

2つ目「医師の指示に必ず従う」

WHOも耐性菌を生み出さない方法として、低容量の使用を危険としています。つまり、通常の薬であれば身体に負担をかけたくない理由で、効果が見られる最低量を考えることがあります。

しかし、抗菌薬を低容量で使用すると細菌が完全に死滅しないで、耐性菌を生み出してしまう可能性が出てきます。その理由から抗菌薬を使用する際には、最大限効果のある量を使用して細菌を完全に死滅させることを推奨しているのです。

医師から必要十分な抗菌薬を処方されても途中で服用を止めてしまっては意味がありません。抗菌薬については医師の指示に必ず従うようにしましょう。

耐性菌は自然に発生するのではなく、大部分が人間の手で生み出されています。21世紀が耐性菌の時代にならないように注意したいですね。

最後にちょっと豆知識…抗生物質のさきがけペニシリン誕生の秘密

今では当たり前の薬である抗生物質ですが、前述したとおり実はその歴史はそんなに古くはありません。20世紀最大の発見と呼ばれている通り、一般的に普及したのは第二次世界大戦が終了した後になります。

そしてその発見はある偶然からでした。

抗生物質の発明は青カビの観察から始まった

現代の抗生物質のさきがけとなったペニシリンは、イギリスの微生物学者の「アレクサンダー フレミング」が1928年に発見しました。

フレミングは第一次世界大戦従軍時に怪我による感染症で、壊疽で死んでいく兵隊を目の当たりして、細菌性感染症の恐ろしさを痛感したそうです。

戦後彼は細菌学者として感染症対策に没頭することになります。そして1928年にある偶然から世界で初の抗生物質を発見することになります。

ある日、研究室を片付けていた彼は、黄色ブドウ球菌を培養していたシャーレ(ペトリ皿)をふと見つけました。よく見てみると一面に培養された黄色ブドウ球菌の中に少しの青カビが混在しています。

そして青カビの周りは透明であり、黄色ブドウ球菌が生育されていなかったのです。

これを見たフレミングは青カビの中に、細菌の生育を阻害する成分があることを知ったのです。更に青カビを栽培し抽出した液体にも同様に効果があることも確認しました。

これが世界初の抗生物質であるペニシリンの発見であり、ペニシリンとは青カビの名前「ペニシリウム:Penicillium」から付けられた名前です。

発見当初は相手にされなかった不運のペニシリン

1928年に発見されたペニシリンですが、フレミングはその精製には成功していません。もし成功していたらペニシリンの名前は「フレミング」になっていたかもしれませんね。

フレミングは細菌学者であり医師でした。尚且つペニシリンの発見も偶然だったのですから、天才といった風でもなかったのでしょう。

当時の医学会ではこのペニシリンの発見は、まるで相手にされなかったようです。しかし約10年後の1940年に別の科学者によって精製が行われ、医薬品としての抗生物質第1号が完成したのです。

第二次世界大戦ではペニシリンが大量生産できたことから、多くの兵隊の命を救ったのは言うまでもありません。

しかし、当初は軍隊で使用されることの方が多く、ペニシリンが一般的に普及するのは戦後になってからです。このように抗生物質の歴史は浅く、まだ70年程度しか経っていなことを理解しましょう。

ほんの70年前には道で転んだだけの小さい怪我が悪化して死亡することは珍しくありませんでした。ペニシリンの発見がそれを変えたのです。

まさに相対性理論や蓄音機に匹敵する、医学分野の大発明ですね。

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