健康生活TOP 貧血 氷食症は鉄欠乏性貧血の症状?鉄分が多い食べ物で予防するためには

氷食症は鉄欠乏性貧血の症状?鉄分が多い食べ物で予防するためには

氷食症と言う病気があります。名前の通り氷を食べる病気です。もちろん氷を食べたからと言ってみんな病気というわけではありませんが、その食べる量や食べる状態によっては病気に分類されることもあるのです。

その原因についてはまだ完全に判ったわけではありません。関係するであろう基礎疾患についてはいくつかの候補があるものの、それで全部が説明できるわけでもありません。

氷食症は鉄欠乏性貧血と密接な関係がある

鉄欠乏性貧血は、良く知られている通り女性に多い病気です。これは鉄分喪失の機会が多い女性において、充分な鉄分の補給が行われないことから起こっている病気です。

氷食症は、この鉄欠乏性貧血がある人に割合多く見られることから、それが氷食症の基礎疾患であるのではないかと考えられているのです。

氷食症は重症の鉄欠乏性貧血の一つの症状

鉄分と言うのは出血以外では大量に失われることがないミネラルです。ですので、初潮後閉経前の女性では定期的に失われますから、充分な補給がないと鉄欠乏性貧血になってしまいます。

この鉄欠乏性貧血がどのようなメカニズムで氷食症に繋がるのかはまだ明らかではありませんが、疫学的な研究では密接な関連が見られたと言う報告がありますので、関係性は明らかなようです。

(疫学的な研究:個人ではなく集団を対象とした、疾患とその原因や予防に関する統計的な研究。)

▼関連記事
氷を食べる病気、氷食症!異食症の原因と引き起こされる危険な病気

鉄欠乏性貧血と氷食症のかかわりは上の関連記事に詳しいのでそちらをご覧下さい。

なぜ氷食症が鉄欠乏によって引き起こされるのかはまだ判っていませんが、鉄分の欠乏によって口腔粘膜や味蕾の細胞に異常が起こるからではないかと言う考え方が良く紹介されています。

亜鉛の不足が鉄欠乏症とリンクすることがある

亜鉛不足と言えば味覚異常の原因としてよく取り上げられるミネラルですね。味覚異常が起こって氷食症につながるという考え方はちょっと遠回りしすぎのような気がします。

しかし、鉄欠乏性貧血の患者さんでは亜鉛不足を指摘される人も多いですし、鉄不足によって味覚異常をひき起こしている人も意外に多いのです。ある研究では、味覚異常で鉄欠乏症を指摘された人の2/3は亜鉛不足を併発していました。

一方で、1/3の人は鉄の欠乏だけで味覚異常が起こっていたのです。ですので、味覚異常と氷食症が関連するケースも考えられますね。また、舌が痛む舌痛症と言う病気では鉄と亜鉛の同時欠乏も原因のひとつだと考えられています。

ところが、サプリメントや医薬品として鉄と亜鉛を同時に摂ると、副作用が出やすくなったり、どちらか一方の吸収率が悪くなったりする現象が確認されています。

ですので、できるだけこうしたミネラル類は食物から摂りたいものです。もしどうしても食品からだけでは不十分な場合、鉄剤を処方してもらって、亜鉛を食物から摂るように努力するのが良いでしょう。

亜鉛と言うのは動物の体内に豊富にありますので、食べ物から摂ることはそれほど難しくありません。植物にも多く含んでいるものもあります。亜鉛を多く含む食べ物を見てみましょう。

  • 牡蠣燻製油漬け
  • 小麦胚芽(乾燥)
  • 牡蠣(生・水煮)
  • 酒盗(かつお塩辛)
  • パプリカ粉末(香辛料)
  • からすみ
  • ビーフジャーキー
  • 豚スモークレバー
  • 鯖節
  • 田作り
  • 圧搾パン酵母
  • カボチャの種(炒り・味付け)
  • 牛ミンチ(焼き)
  • 牛茹でもも肉
  • パルメザンチーズ
  • 煮干し
  • 鯉の内臓・生
  • ピュアココア
  • 松の実(生)

そのまま食べられるものから、加工前の食材、乾燥させたものまで全部ひっくるめたランキングの上位です。上ほど含有量が多いです。

とは言え、パプリカの粉末やココアの粉を100gも食べられませんから、そのまま食べられるものに軍配が上がりそうです。それでも、こうした食材を上手に組み合わせることで亜鉛不足を回避できます。

そうすることで間接的に氷食症の原因となる鉄欠乏症を回避できますから、単純に鉄分だけを意識するのではなく亜鉛にも注目したいところですね。

銅が足りないと鉄が利用できない

銅はそれほど体内に多い元素ではありませんし、摂取推奨量も亜鉛の1/10くらいです。さらに、日本人の平均では推奨量を満足していますので、偏った食生活やダイエットなどをしていない限り不足はしにくいと思われます。

それに摂り過ぎによる毒性もありますから、サプリで摂ることはあまりお勧めできません。栄養機能食品として含まれている例もありますが、認可上限値の1.6倍を超えると過剰症の危険が出てきます。

つまり、1日に1本とか1個とかの指定の物を、2本とか2個とか口にすると上限量を超える恐れがあるのです。

一方で魚介類が嫌いで避けているような場合には不足することがあります。銅が不足すると、鉄や亜鉛が不足していなくても鉄欠乏性貧血になることがあります。これは鉄が利用されるときに銅が不可欠だからなのです。

銅を多く含む食べ物は、赤貝以外の貝類、エビ、シャコ、タコ、イカなどです。海産物が多いですが、淡水性のタニシとか陸棲のエスカルゴにも多いですね。

これは、これらの生き物の血液が鉄を中心にしたヘモグロビンではなく、銅を中心にしたヘモシアニンと言う物質によって酸素を運んでいるからです。

シアンと言う言葉が入っているところから判るように、これらの生き物の血液は酸素と結びつくと青く見えます。

ホタルイカとかさくらえび、イイダコのように丸ごと食べられるものがお勧めですね。また、植物ではココアパウダーや紅茶、バジル粉末や乾燥エゴマに含まれています。

亜鉛が多い食べ物って、お酒のつまみにしたいようなものが多いですね。でも、お酒はほどほどにしておきましょう、アルコールの摂取によってミネラルやビタミンの吸収阻害や排泄促進・消費促進が起こります。

氷食症は強迫性障害としての異食症であることもある

氷食症は精神医学方面では「食品ではないものを習慣的に食べる病気」である「異食症」に分類されることがあります。特に「食べずにはいられない」と言う強迫性の行動が見られる場合、強迫性障害ととらえられることが多いようですね。

主に子供や妊婦で見られる一過性の異食症については、それほど深刻な病気とは受け止められていませんが、急性・慢性の毒性を持つようなものを好んで食べるようであれば、急いで治療する必要があります。その点、氷はまだ安全な方と言えるでしょう。

高齢者の氷食症は念のため本人の感覚を確かめる

氷食症は異食症の中でも最も病気を疑いにくい症状と言って良いでしょう。これが、土や砂・金属片・塗料片・糞便など、明らかに口に入れるべきでないものを食べていたら、誰の目から見ても病気を疑います。

一方で、禁煙時の口寂しさを紛らわすために、カロリーのない氷を利用する人もいるようです。たばこに比べれば氷は害がないと言えますから、これは全く問題はありません。

ただ、高齢者が良く氷を食べているというシーンを目撃するようであれば、一度は「なぜ氷をそんなに食べるのか」を尋ねた方がいいのではないかと思われます、

もし、本人が氷をしょっちゅう食べているという意識を持たずに食べていたり、実際に食べている量を過小評価しているようであれば認知症の可能性も出てきます。

無理やり連れてゆくというのは問題が起こりそうですから、他の病気や予防接種などで受診のきっかけがあれば、その時にでもご家族の方からお医者さんに相談してみられるのが良いでしょう。

年齢に関係なく「氷を食べずにいられない」という場合は心療内科へ

子供からお年よりまで、自分でもおかしいと判ってはいるのだが氷を食べずにはいられないといったケースでは、強迫性障害である可能性が否定できません。

また、子供の場合「なぜ食べてはいけないのか」と言う部分で不満を漏らしたり、氷ではなく特定のお菓子に執着したりすることもあるようです。

こうした場合には一度受診して、鉄欠乏性貧血がないかどうかを確認の上、その後の治療についてお医者さんと相談して下さい。単なるしつけのレベルで治ることもあれば、治療を要する場合もあります。

子供の氷食症・異食症は一過性で終わることも珍しくないので、最初は「様子を見る」という対応になるかもしれませんが、親御さんはそれに対して過剰な不安を持たないように注意して下さい。

親の不安は子供に伝わりやすいものですので、注意が必要なのです。

異食症の定義は精神医学で行われている

アメリカ精神医学会が定義した異食症の定義は、日本でも使われているようですので紹介しておきましょう。

A.少なくとも1ヶ月間、非栄養物質を持続的に摂取している。

B.本人の発達レベルにおいて、その非栄養物質を摂取することは不適当である。

C.それを食べる行為は、本人が属する社会で文化的に認可された行為の一部ではない。

D.その摂食行動が他の精神障害(例えば精神遅滞・広汎性発達障害・統合失調症など)の経過中にのみ起こる場合、それは独立した臨床的関与が要求されるほど深刻である。

(参照…307.52異食症の診断基準 – アメリカ精神医学会、精神医学に関するウェブ上のフリー百科事典・behavenetから抜粋翻訳)

Bについては、乳児レベルであれば、それは異食症ではなく単なる誤食であるということですね。Cは、例えば毎日サソリをパリパリ食べていたら日本では思い切り引かれますが、お隣の中国では美容食だと言うような、食文化の違いによって異食も変わるということです。

Dについては精神病に伴う異食症の危険を指しています。ですので、氷食症についてはBもCも微妙ですね。でも、「食べたくないのに止められない」と言うのは心の病かもしれませんから、一度は心療内科を訪ねた方が良いでしょうね。

氷食症がきっかけで、認知症の早期発見・早期対策ができると、それはそれでラッキーと言えるでしょう。だいたい病的と言われる目安は1日標準的な製氷皿1枚分くらいです。

子供の貧血を防いで氷食症の予防を行う

氷食症は子供でも貧血や強迫性障害の目安になります。ですので起こってしまったらすぐに対応するのはもちろんのこと、普段の食生活をしっかりコントロールして貧血を予防することが重要です。

また、勉強や体育、学校行事の負担が過剰になったり、学校でのいじめなどの問題があったりして大きなストレスを受けることが、強迫性障害の原因になることもありますので、普段から子供の様子には充分目を配っておいて下さい。

大人と同じ食事では子供が鉄分不足になる

子供は大人より鉄分を多く必要とします。これは成長に伴って血液の量が増えるからで、それに必要な赤血球を作るためには、毎日たくさんの鉄分が必要になるのです。

例えば、18歳~29歳の成人男性では、厚生労働省が示している鉄分の推奨摂取量は1日当たり7.0mgです。それに対して、8歳~9歳では男女とも8.0mgの摂取が推奨されています。

さらに10歳~11歳では男女とも10.0mgで、生理が始まった女の子は13.5mgとなっています。そして12歳~14歳になると、男の子で11.5mg、生理が始まった女の子で14.0mgと成人男性の2倍量が必要になります。

その後、成長が止まったあとは女性で10.5~11.0mg、男性で7.0~7.5mgに落ち着きます。こうして見ると、小学校高学年から中学生ぐらいの間の女の子では、鉄欠乏性貧血による氷食症が現れても不自然ではありません。

体格で見比べた場合、12歳~14歳の女の子の平均的な体重は44kgくらい、18歳~29歳の男性は65kgくらいです。ほぼ1.5倍の体重がある男性の2倍の鉄分を摂るということになると、同じものを食べていたのでは3倍の食べ物が必要になります。

また、8~9歳を見てみると男女とも28kgくらいです。それで成人男性より多い鉄分を摂るということになると、これもまた2.7倍くらいの食物が必要になります。

つまり、17歳以下の子供の間は、男女ともに効率よく鉄分が摂れる食生活を送る必要があるのです。ダイエットなんてとんでもない話ですね。お子さんたちには「ダイエットすると血が足りなくなる」と言うことをしっかり教えましょう。

鉄分の多い食事とヘム鉄・非ヘム鉄

ピロールと言う有機化合物が4つ集まってできるポルフィリンと言う物質は、角ばった輪のような構造をしていて、内側にピロール由来の窒素原子が出っ張っています。

ポルフィリンは2価の鉄原子を取り込んで、この窒素原子が配位結合することでヘムと言う物質ができます。このヘムがグロビンと言うたんぱく質と結びついたのが、赤血球の赤い色素ヘモグロビンです。

このため、2価の鉄で吸収率が良いものをヘム鉄と呼んでいます。実際に例えば畜肉の赤い色はミオグロビンと言う筋肉の色素で、これにも1分子のヘムが含まれています。

一方、植物に多く含まれる3価の鉄は、そのままでは吸収できませんので、ビタミンCなどの還元剤によって2価に還元される必要があるため、食べても吸収効率が悪いのです。

ヘム鉄を多く含む食べ物は

  • 赤身肉
  • 脂肪の少ない内臓肉(心臓・腎臓・肝臓など)
  • 魚介類

です。特にあさりやしじみは大変効率よく鉄分が摂れますので、味噌汁やボンゴレなどに利用して子供に食べさせましょう。

また、塩分に注意が必要ですが、おやつにビーフジャーキーやチーズも悪くないですね。

  • パセリ
  • スイスチャード
  • つまみ菜
  • ダイコンの葉
  • 小松菜
  • 枝豆

なども非ヘム鉄が多く含まれます。ビタミンCを一緒に摂ることを条件に積極的に摂りましょう。

また、アーモンドやチョコレート、あずきなども非ヘム鉄が多いです。アボカドやラズベリーは非ヘム鉄とビタミンCを同時に持っているのでお勧めしたい食べ物です。

最も効率よく鉄分が摂れるのは牛の第三胃、通称センマイです。100gあたりの鉄分は6.8mgなので、大人なら100g強で1日分が賄えます。12~14歳の女の子でも206gで間に合いますし、カロリーはそれだけ食べても128kcalです。

さらに高たんぱく・低脂肪・ゼロ糖質と、ダイエットが気になる年頃にもお勧めですね。もちろんからし酢味噌は甘いので、そちらの方に注意が必要かも知れません。

問題は、年頃の子供が生センマイと言うホルモンに抵抗感があるかどうかだけですね。

鉄分が多いのはレバー・センマイ・ハツ・マメとホルモンが上位に並びます。でも豚・鶏レバーはビタミンAが過剰になるので勧めにくいため、センマイという結論になります。あと、イナゴも多いですが嫌がる人が多いでしょう。

氷食症は貧血と精神的なものの両面で考える

氷食症はまだ完全に原因が突き止められたものではありませんが、ほぼ鉄欠乏性貧血か強迫性障害のどちらかだと考えて差し支えないと言えるでしょう。

ですので、まずは貧血がないかどうかを、まぶたの裏側が白くなっていないかどうかで見てみることから始めましょう。貧血が疑われる場合は、上で紹介したような鉄分の多い食べ物をしっかり摂って、改善できるかどうかを見てみます。

それで改善できない場合は、受診することが勧められます。受診科は内科で問題ありませんが、経血量の多さが気になる方は婦人科、胃の痛みやタール便が継続している方は消化器内科へ行くのも良い選択です。また、痔出血がある方は、まずそれを治しましょう。

どちらかと言うと貧血よりもストレスやイライラが気になる人は心療内科を訪ねてみて下さい。15歳未満の場合は、いずれの場合でも小児科でOKです。

キャラクター紹介
ページ上部に戻る