健康生活TOP アレルギー 注射のアルコール消毒で赤くなるのはアレルギー反応?代替薬と酒の話

注射のアルコール消毒で赤くなるのはアレルギー反応?代替薬と酒の話

注射する医者とされる患者

注射の前に皮膚を軽く拭うアルコール消毒。あれで過敏症状が出て皮膚が赤くなる人と言うのは意外に多いそうです。

よくアルコールアレルギーと言う表現が用いられますが、これはあまり正確ではありません。むしろ「アルコールにかぶれる」と言った方が適切であると言えるでしょう。

さてこのアルコールかぶれ、この頃では注射の際にトラブルになることは減ってきているようです。

と言うのも、注射の際にお医者さまや看護師さんが「アルコール消毒で皮膚が赤くなったことはありますか?」と確認してくれるようになったからなんですね。

アルコール消毒で用いられるエタノール(エチルアルコール)とアレルギーの関係、かぶれが出てしまう人のエタノール以外の消毒液の使用を考えてみましょう。

アレルギーの原因は?かぶれを起こす人のための代替消毒薬とは

アレルギーを引き起こす原因物質、アレルゲンはほとんどの場合高分子であるたんぱく質です。消毒用アルコールは、エタノール(エチルアルコール)と言う単純な炭化水素の80%水溶液ですから、そのままではアレルゲンにならないのです。

金属アレルギーと言う物もありますが、あれも免疫機能が金属に直接反応しているのではなく、金属と結びついた自分自身の生体成分に対してアレルギーが起こっているのです。

アルコールかぶれはエタノールが酸化してできる刺激性物質が原因

エタノールが接触皮膚炎(かぶれ)を引き起こす原因にもさまざまなものがありますが、日本人においては、大半がALDH2と言う略号で呼ばれる酵素の働きに問題がある人で起こっているのです。

エタノールは肝臓の中とは異なり、皮膚では表面に存在するカタラーゼと言う酵素によって酸化され、アセトアルデヒドと言う物質に変化します。脳の中でも同じ酵素がエタノールの第一段階の代謝を行っています。

このアセトアルデヒドは、ALDH2と言う酵素でさらに酸化されて酢酸に変化します。ところがALDH2の働きが悪いとか、ALDH2そのものを持っていないとかの場合、アセトアルデヒドが皮膚表面に残ります。

アセトアルデヒドは刺激性が強く、皮膚に付くと赤くなったりかぶれたりします。これがアルコール綿でかぶれる原因なのです。

つまりアレルギー反応とは異なり、自分自身の免疫反応とは関係のないところで皮膚症状が起こっていると言うわけなんですね。

アルコールかぶれを起こす人のために別のアルコールを使うことも

このエタノールによるアルコールかぶれを起こす人のためには、いくつかの代替消毒薬が存在しています。

最も有名なのはイソプロパノール(別名:2-プロパノール・イソプロピルアルコール)でしょう。エタノールと並んで医療機関でよく使われている消毒剤です。

イソプロパノールはエタノールかぶれを起こす人の場合でも交差反応(似たような成分の物でかぶれなどを起こすこと)が起きにくいとされていますので、一度は使ってみられるかもしれませんね。それでもだめなら他の消毒薬になります。

様々な情報では「安価である」ことが特徴として紹介されることも多いのですが、これはイソプロパノールが安物だからではなくて、税金がかかっていないからなのです。

無水アルコールにせよ、消毒用アルコールにせよ、エタノールで作られている製品には酒税がかかります。その分高価になっているんですね。美味しく飲むわけでもないのに酒税を払うのはもったいないと言う考え方は当然でしょう。

薬局や薬店に出かけられる機会があれば、「消毒用アルコール」の棚を見て下さい。大抵「消毒用アルコール」と「消毒用アルコールIP」と言う物が置いてあります。後ろのIPはイソプロパノールのことです。

エタノールの消毒用アルコールに一定以上イソプロパノールを混入すると、飲用できないので酒税が課税されなくなるんです。ですから、同じ量の消毒用アルコールでもIPが付いている物は500mLで100円くらい安くなっているはずです。

アルコール以外の代替消毒薬もある

また、クロルヘキシジングルコン酸塩水溶液が用いられることもあります。これは粘膜に使用しない限りトラブルの少ないものですが、乾きにくいと言うことと、有効な病原体の範囲が少し狭いと言う欠点があります。

さらに、逆性石けんとかオスバン液とかの名前で知られる、塩化ベンザルコニウム水溶液も皮膚消毒に使われます。これも有効な病原体の範囲が少し狭いのが欠点ですね。

一方、エタノールと同じか少し広いくらいの有効範囲を持つのがポビドンヨードです。一般にはイソジンと言った方が通りがいいかもしれませんね。ただし、ご存知の通り皮膚や衣服に色がついてしまうのが欠点です。

こうした代替消毒薬でも副作用が出る場合もありますので、エタノールの代わりの消毒薬を使ってもらった場合にも、どんな消毒薬を使ったか製品名だけは確認しておきましょう。

遅延性アレルギーと言う特殊な例も存在はしている

先にエタノールはアレルゲンにならないと言いましたが、金属アレルギーと同じような原理でアレルギー反応が起こることが全くないわけではありません。

つまり、消毒かぶれを起こした場合、あまり一般的ではないIV型やそのバリエーションのアレルギー反応が関わっている可能性もあると言うことです。さらに、それには代替消毒薬が交差反応を示す例もあります。

しかし、研究報告によると東洋人のエタノール接触性皮膚炎は83%以上が非免疫性(アレルギーではない皮膚炎)だったと言うことですから、アレルギー性のものは珍しいと言えるでしょう。

ちょっと注意が必要なのは、即時性アレルギーは報告されていませんが、消毒を行ってから1日~5日くらい経ってから皮膚が赤くなると言う、遅延性アレルギー反応が見られたと言う報告があることです。

ですので、アルコール消毒の他、代替消毒薬を使って消毒後数日たってから皮膚が赤くなった場合でも、必ず記録しておいて、次回からはその消毒薬も避けた方が良いですね。

オスバン液やイソジンが注射用の消毒に使えるのって意外に思う人も多いようですが、基本的に皮膚や粘膜、傷口の消毒ができるものなら何でもOKなんですよ。

アルコール消毒でかぶれる人はお酒に弱く、がんのリスクまで関係する

もちろんお酒を飲む時は皮膚より弱い粘膜である口の中や胃を通るわけですから、皮膚にアルコールがついただけで赤くなる人は飲まない方が良いと考えますよね。

言うまでもなく、消毒用アルコールはウイスキーやブランデーの2倍くらい濃いエタノール濃度ですが、アルコールかぶれを起こす人は、飲用した場合濃度に関係なく身体に悪影響が出てしまいます。

エタノールの無害化は一旦毒性の強い物質へ変化する所に始まる

お酒を飲んだ場合、エタノールは主に胃と小腸から吸収されて血流に乗り、肝臓で代謝されます。肝臓の代謝能力を超えたエタノールは血液中に残り、お酒に酔った状態を作り出すのです。

この時、たくさんのお酒を一気に飲むと、血液中のアルコール濃度が上がって中枢神経を麻痺させてしまい死にます。

いわゆる千鳥足の酔っぱらい状態の3~4倍程度に濃度が上がると、生命に危険が及ぶとされていますので、くれぐれも飲み過ぎや一気飲みにはご注意ください。

肝臓に届いたエタノールは、最初アルコールデヒドロゲナーゼ・略号ADH1Bと言う酵素によって酸化され、アセトアルデヒドに変化します。

エタノールが酸化しアセトアルデヒドになる簡略図

この図の中に示されたADH1Bと言う酵素の働きが弱い人は、エタノールの分解の入り口でつまづきますから、ひどく酔いやすくお酒に弱い体質と言えるでしょう。

日本人10人~14人に1人くらいの割合で、この酵素の働きが悪い人がいます。これは遺伝子の問題なので、基本的には鍛えることができません。しかも、お酒のエタノールには発がん性がありますから、酔いやすい人はお酒を遠ざけておきましょう。

一方、皮膚にはこのADH1Bと言う酵素はありません。その代り、カタラーゼと言う酵素があります。オキシドールで消毒した時、泡が立つのはこの酵素の働きでオキシドールの主成分である過酸化水素が分解されるためです。

このカタラーゼはエタノールをアセトアルデヒドに代謝する働きを持っています。脳の中でもカタラーゼはアルコールの代謝に一役買っているのです。

アセトアルデヒドが酢酸に代謝されると毒性は消える

アセトアルデヒド、別名エタナールは毒性の強い物質です。例えば、新建材などから放出されるアセトアルデヒドの気体は、シックハウス症候群の原因物質のひとつです。

また、飲酒によって体内で作り出されるアセトアルデヒドには発がん性があると認められています。このアセトアルデヒドは肝臓の中にあるアルデヒドデヒドロゲナーゼ・ALDH2と言う酵素によって酢酸に変化し、無害化されます。

酵素活性とアセトアルデヒドの関係、酵素活性有りの場合

ここで作り出された酢酸は、この後別の酵素によってアセチルCoAと言う重要な物質に代謝されてTCAサイクル(クエン酸回路)でエネルギーを取り出され、最終的に二酸化炭素と水に分解されます。

しかし多くのエタノールを代謝すると、それによって作り出される物質のせいでTCAサイクルの活性が強く抑制されます。その結果、アセチルCoAから大量の中性脂肪が合成されると言う流れに乗ります。

お酒を良く飲む人が油ものも食べず太ってもいないのに中性脂肪値の異常が出やすいと言うのは、この代謝の流れに秘密があったのです。

アセトアルデヒドが代謝できないと身体にトラブルが起こる

一方、ここに登場しているALDH2と言う酵素は、遺伝的に働きが弱かったりほとんど働いていなかったりする人がアジア人には非常に多いのです。日本人では4割から半数近くに上るとも言われています。

ALDH2にはいくつかの遺伝子型がありますが、そのうちの1つ、ALDH2*2があると働きが悪くなります。ALDH2はこの酵素が4つ集まった形で構成される四量体と言う構造を持っています。

この4つがすべてがALDH2*2であると、全くアセトアルデヒドを代謝できません。4つのうち1つでもALDH2*2であると、アセトアルデヒドの代謝が非常に悪くなるのです。

注射のアルコール消毒でかぶれる人は悪酔いしやすくがんになりやすい

アセトアルデヒドは先にお話しした通り、シックハウス症候群の原因物質の一つです。注射の時に使ったアルコール消毒のエタノールは、皮膚の上でカタラーゼによってアセトアルデヒドに代謝されます。

これを代謝するALDH2は肝臓だけでなく、全身に広く分布しています。ですので、代謝能力に問題がなければ、そのまま酢酸に代謝されて無害化されてしまいます。

一方、代謝能力が悪い人の場合、アセトアルデヒドがそのまま皮膚の上に残り、血管を拡張させ、炎症を起こすのです。つまり、注射のアルコール消毒で皮膚が赤くなる人は、お酒を飲むと悪酔いしやすく、がんに罹るリスクも高いのです。

酵素活性とアセトアルデヒドの関係、酵素活性無しの場合

この酵素の働きの良し悪しも遺伝子型によって決定されますから、お酒を飲んで鍛えても身体を壊すだけで、お酒に強くなれることは決してありません。

図らずも、病院などでの注射や血液検査が、お酒を飲んでいいかどうかを教えてくれているのです。もちろん、働きが弱いだけの人の場合、これだけでは判らないこともありますので、赤くならないからと言って安心しないで下さいね。

注射の消毒でかぶれるのはいやな物ですが、むしろお酒に関しての警告を与えてくれたと思って、ポジティブに受け止めるのも人生明るくするコツですよ。

お酒に強いからと言って安心してはいけません!活性酸素の害とは

先に紹介した二つの酵素の働きが正常であれば、滅多に悪酔いなどはしませんし、楽しくお酒は飲めるでしょう。

しかし油断してはいけません。意外と飲酒と言うのは身体に負担を掛け続けているのです。

飲酒運転の対策を論じる研究の中にも、なぜお酒が身体を傷めるかの説明があったのでご紹介しましょう。用語は英語で書かれていたので、その部分は翻訳してあります。

(抜粋)

特異的な酵素(ALDH2・ADH1B)による代謝については、肝臓が酸化状態になる。また,二次代謝物であるアセトアルデヒドについては、分子量44と低分子で、非常に揮発性と毒性が高いことが知られている。

大量のアルコール摂取や慢性摂取は体内アセトアルデヒドの濃度を高め、それによる障害をもたらす。さらに蓄積したアセトアルデヒドは付加物を形成することも知られており、その結果、肝障害を悪化させることも報告されている。

慢性摂取で酵素誘導された場合には、大量のアルコール飲料を摂取するたびに活性酸素種が産生され、肝障害を来す。

このように、良くお酒を飲むと身体の中に活性酸素を大量発生させるメカニズムが備わってしまい、その後は多めにお酒を飲むたびに活性酸素が身体を蝕んで行くようになると言うことなのです。活性酸素はがんの原因にもなる厄介者ですよ。

お酒はほどほどに、1日1合・週5日までにしておきましょうね。
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