健康生活TOP アレルギー 大人の牛乳アレルギーは治る?原因除去の解除も可能な定期検査の勧め

大人の牛乳アレルギーは治る?原因除去の解除も可能な定期検査の勧め

牛乳と牛

牛乳アレルギーと言うと、主に乳幼児のアレルギーとして語られることが多く、大人のアレルギーとしてはあまり話題になりません。

とは言え、実際には相当数の患者さんがおられますし、牛乳単体はともかく、牛乳の成分と言うのはあらゆる食品に含まれていますから、アレルゲンを避けるということも簡単ではありません。

さらに、牛乳アレルギーでは危険なアナフィラキシーショックが起こる可能性が高いため、決して軽視してはいけないアレルギーなのです。

一方で、エビ・カニ・魚類、ピーナッツやそば、野菜・果物によるアレルギーなど、一定年齢以上で発症するものに比べると、新生児期・乳児期に発症する牛乳アレルギーは耐性を獲得しやすい(治りやすい)アレルギーと言う側面も持っています。

牛乳アレルギーは新生児・乳児のアレルギーが中心である

実際、世間でよく話題になるのは赤ちゃんや幼児の牛乳アレルギーです。わが国では、乳児のおよそ10%、3歳児のおよそ5%に食物アレルギーが見られたという報告があります。非常に多い割合ですね。

しかし、その数字が示しているのは、食物アレルギーがあった赤ちゃんのほぼ半数が、3歳までに耐性を獲得してアレルギーが治ったということでもあります。

乳児の39人に1人が牛乳アレルギー

乳児の約10%に食物アレルギーが見られ、その原因食物の25.6%を牛乳が占めているという報告があります。つまり、同年齢人口の約2.56%が牛乳アレルギーと言うことで、およそ39人に1人の割合ですね。

それが3歳になると約0.63%、就学年齢の6歳で約0.29%、高校卒業ごろの18歳では約0.03%にまで減少します。つまり、赤ちゃんの時に牛乳アレルギーであった人のおよそ85%が、大人になるころには耐性を獲得して牛乳アレルギーが治ったということです。

さらに、新規にアレルギーを発症した原因食物の分析を見ても、牛乳がワースト5に入ってくるのは2歳までです。アレルギーを発症した人の中で牛乳が原因になっているのは、0歳で25%、1歳で10%ですが、2歳以降はリストから外れています。

それに対して、2~6歳の就学前幼児では果物や魚卵が、学齢期から高校生では甲殻類や果物が、そして大人では小麦や魚類・甲殻類が中心になります。特に大人の新規発症はこれに果物を加えたものだけで70%に届こうかという比率です。

このため、牛乳アレルギーが問題になるのは、乳幼児のころの牛乳アレルギーが治らなかった人が中心になると言えるでしょう。もちろん新規に発症した人もおられないわけではないと思います。

日本人は先進国では食物アレルギーが少ない

アメリカにおける食物アレルギーの有症率は3.5%~4.0%程度、ヨーロッパに目をやるとフランスで3.0~5.0%程度の有症率だという報告があります。

それに対して、わが国では、1.0~2.0%程度の有症率であると考えられていますので、食物アレルギーについて、アメリカやフランスの半分以下の有症率だということになりますね。

また、アメリカのデータしかありませんが、3歳児の有症率は6%くらいだそうです。

日本人の3歳児では5%と言うことですので、日本人は成長に伴って耐性を獲得する人が多いのか、新規にアレルギーを発症する人が少ないのか、いずれにせよ欧米よりは良いようですね。

アレルギーは同じものを食べ続けると起こりやすいと言いますが、欧米での乳製品の摂取量は日本に比べると圧倒的に多いのが原因かもしれませんね。

牛乳アレルギーには種類があり大人に起こるものは危険が伴う

牛乳アレルギーと一口に言っても、実は3パターン存在しています。これにはアレルギーが起こるメカニズムによって症状の現れ方が異なると言う違いが、パターンの違いとなって表れているのです。

その中でも、大人になっても症状が残るアレルギーには、免疫グロブリンEと言う物質が関与していることがわかっています。

食物アレルギーのようでそうではないものもあるので注意

食物アレルギーとは、食べ物によって引き起こされ、原因食物ごとに特異的な免疫反応によって、その人にとって具合の悪い症状が引き起こされるものです。

その中には一般的な食中毒や毒のある食べ物による中毒、ヒスタミン中毒、仮性アレルゲン・酵素異常症などによる食物不耐などを含まないということに注意が必要です。

つまり、サバを食べてぶつぶつが出たとか、牛乳を飲んでおなかがゴロゴロ言うと言うものはアレルギーには含まれないということです。

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細胞性依存性アレルギーとIgE依存性アレルギー

アレルギーは上で紹介したように、アレルギーは免疫反応によって引き起こされますが、その免疫反応に寄与しているものに2つのパターンが見られます。

一つはリンパ球がその免疫反応を担う「細胞依存性アレルギー」です。そして、もう一つは免疫グロブリンE(IgE)と言う物質が免疫反応を担っている「IgE依存性アレルギー」です。

このうち、IgE依存性アレルギーは非常に反応が早いため、即時性アレルギーと呼ばれ、それに対して比較的反応が遅い細胞依存性アレルギーは遅延性アレルギーと呼ばれています。

赤ちゃんが新生児期や乳児期に最初に発症する牛乳アレルギーがこの細胞依存性アレルギーです。血液検査をしてもIgEが陰性であることから、非IgE依存性アレルギーと言う名が使われることもあります。

脱水によるショックや消化管以外の症状に注意

この段階での牛乳アレルギーは「新生児・乳児消化管アレルギー」とも呼ばれる通り、牛乳成分を原料に含む育児用ミルクによって消化管の症状が現れるものです。

嘔吐・下痢・血便が主な症状ですが、嘔吐と下痢を併発している場合は脱水からショック症状に陥るという、重症化の危険性が伴います。

アレルギーが原因のショック症状ですが、アナフィラキシーショックとは起こり方が違うため、ステロイド薬は効きません。点滴などで十分な水分を確保してあげる必要があります。

また、細胞依存性の牛乳アレルギーの中には、全体の15%くらいに消化管ではなく肝臓の症状や全身症状が出ることがあります。特に肝機能障害は、目立った症状が出ないのが特徴で、検査でたまたま見つかると言うケースが多いです。

症状が現れないとは言え、AST・ALTの値が驚くほど高くなるので、普通ミルクをやめて症状を改善させることが重要になります。治療には時間がかかりますので、検査で異常が見つかったらすぐに対応してくださいね。

さらに、新生児・乳児消化管アレルギーの赤ちゃんでは、最初から大豆アレルギーを合併している子も少なくないので、豆乳ベースのミルクも使えないことが多いのです。最初は大丈夫でも、遅れて大豆アレルギーが出ることもあります。

ですから、お医者さんの指導によって、治療用のミルクを使って赤ちゃんの健康を保つようにしてあげて下さい。

リンパ球からIgEへ切り替わる際に起こる乳児アトピー

こうした新生児・乳児消化管アレルギーは1歳までに70%以上が、3歳までには95%近くが耐性を獲得して治って行きますが、途中でアレルギーによる皮膚症状が現れてくる場合があります。

これは「食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎」と呼ばれていて、多くの場合血液検査でIgEが陽性になっています。

IgE依存性ですから、アナフィラキシーショックによって危険な状態になる可能性は、新生児・乳児消化管アレルギーより少し高くなるので注意が必要です。

とは言え、このアレルギー症状自体も学齢期に入る前の幼児期には、ほとんどが消失している症状です。

大人になっても残る可能性がある即時型

即時型食物アレルギーと言うのは、私たちにとって一番なじみの深い食物アレルギーです。原因食物を食べてすぐに蕁麻疹などのアレルギー症状が現れ、ひどい時にはアナフィラキシーショックで生命に危険が及ぶということは皆さんご存知だと思います。

この即時型のアレルギーはIgEが担っている免疫反応です。液性免疫と言う呼び方をされることもありますね。原因食物が牛乳の即時型アレルギーは、やはり乳児期に発症することが多いものです。

そして、この即時型の牛乳アレルギーも年齢とともに耐性を獲得しやすいアレルギーですので、成人では他の原因食物に比べて有症率が低く、あまり目立たなくなっています。それでも大人になって残る牛乳アレルギーの多くはこのタイプです。

「学校に上がれば治るアレルギー」とか「大人になれば治るアレルギー」と言うイメージを持っておられる人も割合多いんじゃないでしょうか。それが大人の牛乳アレルギーに対する認知度の低さにつながっている可能性もあります。

乳児期に主役級であった牛乳アレルギーが、大人では小麦や甲殻類に取って代わられることから、大人の牛乳アレルギーが忘れられた存在になってるということですね。でも、難しいアレルギーなので忘れてはいけません。

牛乳アレルギーの治療は難しいけど…?

牛乳アレルギーが発生した場合、その原因である牛乳や牛乳由来の食品を除去する食事制限で対応します。それで対応しているうちに、だんだん耐性を獲得して行き、牛乳や乳製品を摂っても大丈夫になります。

一例を見れば、牛乳アレルギーと診断された赤ちゃんのうち、生後6か月で約25%、1歳で70%超、2歳で85%超、そして3歳の段階では約95%の子が牛乳アレルギーに対する耐性を獲得しています。

積極的な減感作療法では耐性が獲得しにくい

こうした耐性獲得は、原因食物を除去するという治療を継続しているうちに、成長とともに原因物質に対する体制が獲得できたと言うものです。一方、アレルギーの治療法の一つとして減感作療法と呼ばれるものがあります。

症状が起こった時にすぐ対応できるよう準備しておいて、わざとアレルゲンを摂取し身体をそれに慣らしてゆくと言う治療法です。

実際、スギ花粉症ではアレルゲンを皮下注射するという方法で、約80%の有効率が得られ、最近では注射と言う手間をかけず、舌下にアレルゲンを置いて吸収すると言う治療法も開始されています。

この治療方を食物アレルギーでは経口免疫療法(OIT)と呼ばれ実施されてはいますが、厚生労働科学研究班検討委員会ではあまり積極的ではないようです。

・OITにより多くの患者が脱感作状態※に到達するが、必ず耐性獲得ができるわけではなく、原因食物を一定期間除去した後に再び摂取させると症状が誘発されることも多い。
 ※OITにより原因食物を摂取しても症状が出ない状態

・耐性獲得と判断した症例の一部でも原因食物摂取後の運動や体調不良などにより重篤な症状が出現することがある。

・OITの治療成績は抗原により異なり、特に牛乳では治療に難渋する。

・OITの長期的な安全性・有効性・費用対効果に対して十分なエビデンスがない。

・OITは研究段階の治療法である(保険適応ではない)。

・本検討委員会はOITもしくはOITに類似した管理を一般診療として推奨しない。

このように、特に牛乳では治療が難しいと言っているところからも、この治療法で牛乳アレルギーを治すことは難しいと言わざるを得ないようです。

成長期以降の食物アレルギーは治りにくい

新生児期や乳児期に発症した牛乳アレルギーはかなりの人が学齢期までに耐性を獲得しますし、大人になるまでにはほとんどが治ると見ても良いでしょう。それに対して学童期以降に発症した例では、耐性を獲得する頻度は低いとされています。

学童期と言うことは6歳からと言うことですね。それ以降に発症した場合は、牛乳アレルギーだけではなく、即時型食物アレルギーを起こす原因食物全般に対して耐性を獲得しにくいのです。

特に牛乳に関しては、減感作療法(経口免疫療法)での治療が困難だということですから、ますます耐性の獲得は期待できません。

そうなってくると、原因食物の除去と、症状が出た時の対応に注力して生活を組み立てるということになります。

残念ながら牛乳アレルギーと言うのは、小学校に上がってしまってから発症するととても治りにくいということです。それでも正しい情報と知識で乗り切ることを学んで、良い生活を送って下さい。

原因食物除去は自分の身体の状態をよく知ってから

食物アレルギー全般に共通することなのですが、例えば「牛乳アレルギー」である人皆さんが、全く同じ量でアレルギーを起こすという訳ではありません。また関連物質についても、一人一人反応が違うのです。

さらに、同じ物質であっても、アレルギー反応が出る摂取量と言うのは個人個人で異なります。ですので、自分にとって安全な範囲を知るというのは非常に重要なことなのです。

自分の食生活をできるだけ普通に近づける

牛乳アレルギーであると判ったら、食料品のアレルギー表示に「乳」と書いてあるもの全てを排除しなければいけない場合もあります。場合によっては「同じ製造ラインで牛乳を使用した商品を製造しております。」も排除対称かも知れません。

しかし、それが本当に必要なのかどうかは、医療機関で定期的に検査を受け、本当に除去が必要なものだけを避けるという姿勢を持つことが、栄養の面からも生活の品質を維持向上する面からも大切なのです。

念のため避けておくとか、心配なので食べないとかいう姿勢は、他人に迷惑をかけないという大人の姿勢としては立派かもしれませんが、長期的な健康や精神衛生上の問題としては良くないでしょう。必要以上に除去する食べ物を増やしてはいけません。

また、それが原因食物であったとしても、症状が出ない量を知っておいて、その量までは積極的に食べるということも非常に大切です。

そのためには経口負荷試験と言う方法で「何をどのくらい摂ったらアレルギー症状が出るのか」を医療機関で検査しておいてもらうことが必要です。

アレルギーの治療に通院している先のお医者さんによく相談して、そうして自分の体に関するデータを測定し、把握し、理解し、そして生活に活かしてゆきましょう。

症状が出た際の対応もしっかり準備しておく

牛乳アレルギーで最も怖いのはアナフィラキシーショックです。アナフィラキシーとは、アレルギーによって引き起こされる急性で全身性・多臓器の症状のことです。特に重症のものを指すことが多いですね。

このアナフィラキシーによって脈が速くなる頻脈やぐったりする虚脱状態、さらには血圧の低下・意識障害などが引き起こされるのがアナフィラキシーショックです。これは生命にかかわる危険な症状です。

お医者さんに相談すれば、緊急時に自分で注射して、救急車を呼んで病院に運んでもらう時間を稼ぐためのお薬を処方してもらえるでしょう。

治療薬ではなく15~20分ほど時間を稼げるだけですが、その時間があれば病院で生命を助けてもらえる可能性がうんと高まります。この注射薬については別の記事に情報があるのでそちらをご覧下さい。

牛乳でお腹がゴロゴロする人必見!腹痛に悩まされない対策法

それほど急を要する症状ではなくても、蕁麻疹や腹痛などの症状が出る場合もありますね。基本的に食物アレルギーを治療するお薬はありません。

しかし、アレルギーの様々な症状を引き起こすヒスタミンと言う物質を抑える抗ヒスタミン剤は症状を抑えるのに有効ですから処方しておいてもらいましょう。

飲んで30分~1時間くらいで効いてきます。

定期的に検査を受けて、身体の状態の変化をチェックしてもらう

めったにないことですが、例えばうっかり牛乳を飲んでしまったのに症状がまったく出なかったという場合、耐性を獲得した可能性があります。飲んだ量によりますが、その量をお医者さんに報告して診断を仰ぎましょう。

たくさん飲んだのに平気だった場合は、食物除去が解除されるかもしれません。飲んだ量が少なくて、すぐに解除されなくても、専門の先生による食物負荷試験によって症状が出ないと判断されれば解除されるでしょう。

また、そうした誤食・誤飲がなくても、年に1回くらいはIgEの検査を受け、その数値が下がってきているようでしたら、やはり食物負荷試験で様子を見ることになるでしょう。

残念ながら除去が解除されなくても、量の要件が緩和される可能性もあります。牛乳アレルギーだからと言って諦めてしまうのではなく、自分の健康状態については常に変化を知っておくという姿勢を持ち続けて下さいね。

なんでもかんでも「食べなければ・飲まなければOK」では良くありません。栄養として摂れるものを減らすことは好ましくないのです。お酒は飲まなくてもいいですけどね。

牛乳アレルギーじゃないものと混同してはいけない

先にお話しした通り、牛乳アレルギーと言うのはそれほど有症率の高いアレルギーではありません。ですので、他の症状と勘違いしないように気を付けましょう。

アレルギーとは、免疫機構が外来のたんぱく質に反応して起こる不快症状です。したがって、糖質が原因で起こる乳糖不耐は牛乳アレルギーではありません。

乳糖不耐は病気ではない

乳糖不耐と言うのは、牛乳や母乳に含まれる乳糖と言う二糖類を、ブドウ糖とガラクトースと言う単糖類に消化するためのラクターゼと言う消化酵素の働きが弱っているかなくなっているものです。

そのため、小腸で消化吸収されなかった乳糖が大腸に届いて、便の水分を増やし、ガスを発生させると言うものです。詳しくは上で自己注射薬の参考として紹介したリンク先をご覧下さい。

もともと乳糖の分解酵素は、乳糖の摂取量が減ってくると少なくなる傾向にありますし、乳児期さえ終われば乳糖を摂らなくても特に問題はありませんので、乳糖不耐は病気とは言えないのです。

また、ある程度ラクターゼの活性が残っている人の場合、牛乳を飲む機会が増えると、ラクターゼ活性が向上して牛乳が飲めるようになることもあるのです。

医薬品の中には乳成分を使ったものがあるので注意が必要です。例えば抗生物質と同時に処方されることが多い耐性乳酸菌製剤の基材には牛乳由来のものが使われていますので、アレルギーのある人には禁忌となります。
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