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飲酒のメリット!適量のアルコールで善玉コレステロールを増やす

お酒を飲む男女

お酒は健康に悪いと言われることが多いのですが、一方で昔から「酒は百薬の長」などと言って、お酒は健康に良いと言う主張も見受けられます。たばこに比べれば、必ずしも「百害あって一利なし」と言うほどでないのは確かなようですが、実際のところどうなんでしょうね。

おそらく、この言葉が使われ出した昔には充分な医薬品もなかったでしょうから、アルコールによる麻痺効果が痛みや辛さを紛らわせてくれたために薬として見られ始めたのでしょう。戦による刀傷を消毒するのにも使われたようですから、それも薬扱いだったのかも知れません。

とは言え、お酒を飲むと気分が良くなりますから、ストレスによる病気を予防改善してくれることもあるでしょう。また、血流が盛んになることから、それが良い方に働いた可能性も否定できません。

また、漢方や民間療法では古くから薬酒が作られていましたから、その溶媒としての焼酎もお薬扱いされたのかもしれませんね。

そしてさらに、現代の医学でも適度な飲酒はHDL(善玉)コレステロールを増やしてくれると言うデータも得られています。果たしてそれはどのくらい健康に対してメリットとなるのでしょうか。

アルコールが影響する血中脂質は中性脂肪とHDLコレステロール

アルコールは代謝分解されてゆく過程で中性脂肪を作り出します。ですので、お酒を飲む人は確実に中性脂肪の値が高くなります。血液検査で中性脂肪の値の異常を指摘されたら、基本は禁酒です。

一方、アルコールはHDLコレステロールの値を高くしてくれます。ですので、他に異常がなければ適度の飲酒を楽しむことに問題はないでしょう。かと言って、飲めない人がHDLコレステロールを増やすために飲酒を始めるのは、決してお勧めできません。

本当に飲酒がHDLコレステロール値を上げる?

これは、多くの研究成果が示していますので間違いありません。具体的な値についての大規模統計がありませんでしたので、もっと私たちにとって興味をひかれる、脳血管障害との関係を見てみましょう。

飲酒と出血性脳卒中と脳梗塞の発症との関係

このように、脳梗塞を見ると、1日に1合未満のお酒を飲む人が最も発症リスクが低くなっています。一方で、出血性脳卒中、つまり脳内出血とかクモ膜下出血のリスクは「時々飲む」人が一番少なくなっていますね。

この時々飲むと言うのは、1か月に1~3回程度お酒を飲む人です。飲酒量については触れられていません。

そして、こうしたリスクを重ね合わせて、喫煙など他のリスク要因を排除すると、全く飲まない人・時々飲む人・1日1合未満の人ではほとんど差がなくなり、1合程度以上飲む人では有意にリスクが高くなるのです。

つまり、脳卒中について見た場合、善玉コレステロールを増やすと言う効果によって、中性脂肪など飲酒によるリスクを相殺してくれている可能性はありますね。

飲酒は心筋梗塞を防いでくれる

では、同じく悪玉コレステロールによって動脈硬化が発生することが原因の、虚血性心疾患のリスクも下がるのでしょうか。実は、統計データを見ると「飲めば飲むほど下がる」と言う状態になっています。

ところが、これには「統計の罠」と言うべき現象が含まれているのです。こうした統計を取る場合、「余計な要素を省く」と言う手法で数値を調整します。

例えば、同じレベルでお酒を飲む人のリスクを、喫煙習慣がある人とない人で同じように評価すると、喫煙によるリスクが統計の中に入り込んでしまいます。また、高血圧の人とそうでない人を、同じように評価してはいけませんね。

ところが、お酒をよく飲む人では高血圧になりやすくなっています。ですので、高血圧によるリスクを省いてしまうと、実際よりお酒によるリスクが低く算出されてしまう可能性もあるのです。

ですので「飲めば飲むほど心臓に良い」などと言って、深酒を続けると、決して嬉しくない結果がやってきますから、お酒はほどほどにしておきましょう。

お酒で善玉コレステロールが増えると言うのは不思議な気がしますね。でも、メカニズムについても研究は進んでいますから、本当に身体に良いお酒の飲み方が判る日もそう遠くないでしょう。

なぜお酒を飲むと善玉コレステロールが増えるのか

お酒を飲んでHDL(善玉)コレステロールが増えるなら、左党にとってこれほどありがたい話はないですよね。お酒を飲むと、脳卒中を起こすとか心筋梗塞で倒れるとか言われて、さんざん脅かされてきたわけですから。

しかし、HDLコレステロールが増えれば、血管の中にプラークをためて動脈硬化の原因になるLDL(悪玉)コレステロールが減って、そうしたリスクも少なくなるはずです。これって本当なんでしょうか。

HDLコレステロールの一生を見てみよう

HDLコレステロールは、末梢で過剰になったコレステロールを肝臓に持って帰る働きがあります。そのコレステロールは肝臓内で胆汁酸に作り替えられ、消化液として分泌されるようになっています。胆汁酸は食べ物に含まれる脂肪を水分に分散させて酵素が働きやすくするものです。

胆汁酸は小腸で消化液として働いたのち、再吸収されて肝臓でコレステロールに戻されますが、一部はそのまま便となって捨てられます。

胆汁酸が再吸収されないと、肝臓では血液中のコレステロールから再吸収されなかった分の新しい胆汁酸を作り出して十二指腸へ消化液として分泌します。

この胆汁酸を取り込みやすいのが食物繊維で、食物繊維に取り込まれた胆汁酸は再吸収されにくいため、食物繊維をたくさん食べるとコレステロール値が下がると言うわけなのです。

小腸や肝臓で作られる、アポリポタンパク質A-I/A-IIと言う物質がHDLの基本骨格です。これはたんぱく質ですので、生まれた時には脂肪分を持っていません。

これが末梢の細胞にたどり着くと、そこで細胞膜から遊離した余分のコレステロールを取り込んでHDLコレステロールになります。最初の頃はサイズも小さく、HDL3分画と呼ばれることもあります。

コレステロールを受け取ったHDLは、それを肝臓に持って帰るわけですが、途中でどんどんコレステロールを取り込んでHDL2分画と呼ばれる大きなHDLに育ちます。

この状態になると、もうそれ以上コレステロールを取り込めなくなります。いわば満腹状態と言うわけです。

一方、肝臓は末梢で必要とされるコレステロールをVLDLコレステロールの形で血液中に送り出します。このVLDLは、その成分のうち中性脂肪が分解されていって、サイズが小さくなりIDL、そしてLDLへと変化してゆきます。

このような流れを見てみると、HDLが末梢から回収してきたコレステロールを、一々肝臓まで戻さなくても、直接LDLに渡してやった方が効率的だと思いませんか?実際人間の体の中では、そういう働きもあるのです。

血液検査で測るHDLは玉石混淆で測っている

HDLは出来立てでまだほとんどコレステロールを持っていない物から、HDL2のように、ほとんど満タン状態でこれ以上コレステロールを吸収できないものまで、さまざまな状態のものがあります。

しかし、特殊な検査装置にかけて分析しない限り、一般的な血液検査では、これらのものはひとまとめにしてHDLコレステロールとして測定されるのです。

でも、もしHDL2が非常に多かったとしたら、コレステロールの回収能力は、見かけに反してとても低いと言うことになってしまいますね。

HDLコレステロールのHDL2分画、つまりコレステロール満タン状態のHDLでは2種類の物質が働きます。1つはコレステリルエステル転送蛋白(CETP)と言う物です。

この物質は、HDL2からLDLにコレステロールを引き渡す働きを持っています。先ほど紹介した「肝臓をショートカットした効率的なルート」ですね。この物質によってコレステロールを引き抜かれたHDL2は、交換にLDLから中性脂肪を受け取ります。

中性脂肪リッチになったHDLは、肝臓のLDL受容体から取り込まれて分解されるか、もう1つの物質、肝性トリグリセリドリパーゼ(HTGL)と言う酵素によって中性脂肪を分解されてHDL3の状態に戻り、再びコレステロール回収に出かけるのです。

飲酒でHDLコレステロールが増える理由

まだ完全に解明されたわけではありませんが、主な理由として3つの原因が考えられています。

  • HDLの合成が増える
  • HDLの分泌が増える
  • HDLの分解が減る

これは推測になりますが、少ない量のアルコールを摂取した段階では、HDLを作ったり分泌したりする小腸や肝臓の働きが活発になるのでしょう。そのため、先に紹介したように脳卒中や心筋梗塞を減らす効果が現れて来るものと思われます。

一方、たくさんお酒を飲む人の場合、先に紹介したCETPと言うたんぱく質の活性が非常に低くなると言う研究データが存在しています。CETPはコレステロールで満タンになったHDLからLDLにコレステロールを引き渡し、中性脂肪を受け取るための働きを担っています。

この活性が低くなると言うことは、HDLはコレステロールで満タンのまま、肝臓のHDL受容体の順番待ちをしなくてはならなくなると言うことです。この状態のHDLが血液中にいくら多くても、コレステロールの回収量は増えません。

一方、CETP活性が高いと、中性脂肪と引き換えにコレステロールをLDLに渡せます。そして、肝臓に取り込まれる場合でも、LDL受容体と言ういわば裏口から入れるようになるので順番待ちも短くて済みますね。

さらに、HTGLと言う酵素で中性脂肪を分解してしまえば、肝臓に取り込まれるまでもなく、若返って再びコレステロールの回収に向かうこともできるわけです。

このように、たくさんお酒を飲む人の場合は見かけ上のHDLは増えていますが、プラークが血管に溜まってしまう動脈硬化の原因である悪玉コレステロールの低減にはあまり役に立っていない可能性が高いのです。

アルコールの働きは非常に複雑

では、なぜ少量または低頻度のお酒で脳卒中が減るのでしょう。これはアルコールの複雑な働きが影響しているものと思われます。一つは先にお話しした通り、HDLの合成と分泌が増えることが関係していると考えて差し支えないでしょう。

この段階のHDLはコレステロールをほとんど持っていないので、回収能力は高いはずです。一方、お酒に弱い人では、アルコールの代謝が毒性物質であるアセトアルデヒドの段階で止まったり遅くなったりします。

ところがアセトアルデヒドには血管拡張作用がありますので、お酒に弱い人ほど血圧には好ましい影響が出るという、痛し痒しの現象が起こってしまいます。

血管拡張作用があるから、お酒に弱い人はすぐ真っ赤になるという訳です。しかし、お酒に強い人でも、少量のアルコールならある程度は血圧を下げる可能性もあります。

そして、アルコールには血液の凝固因子を弱める働きもあります。こうしたことが「少量のお酒を飲む人は脳梗塞が少ない」と言う現象をもたらしているのでしょう。

一方、血液の凝固因子が弱まると脳出血のリスクが増大します。そういった意味で、飲酒量にかかわりなく飲酒頻度が低い人の方が脳出血が少ないという結果につながっていると考えられます。

もちろんその効果の中には、末梢からのコレステロール回収に役立つタイプのHDLコレステロールも増えているという現象が含まれている可能性も充分にあるのです。

最近ではこの「見かけ上の高HDL」について、詳細な検査が必要だと言う意識も高まってきているようです。血液検査の結果に不整合が見られたら、こうした検査が行われるかもしれませんね。

日本人に合ったお酒の飲み方って?飲まないよりメリットがある飲酒とは

長寿症候群と言うのも面白いネーミングですが、総コレステロール値が高脂血症の診断基準の一つであった時代に、欧米で長寿者が多い村ではHDLコレステロールが高値であったことから、そう名付けられたようです。

一方、日本人には体質的にHDLが高くなりやすい人が多く見られるのです。しかし、これは長寿症候群とは根本的に違うもので、むしろ血管性の病気の原因になる疾患なのです。

先天性脂質代謝異常と似た飲酒による高HDL血症

たくさんお酒を飲む人でHDLコレステロールが基準値以上になっている人の血液を詳細に分析したところ、コレステロールと中性脂肪をHDLとLDLの間で交換する働きを持つCETPと言うたんぱく質の活性が20%くらいにまで下がっていたと言う研究があります。

先天的にこのCETPと言うたんぱく質が作られないコレステリルエステル転送蛋白(CETP)欠損症と言う病気があります。日本に特有と言ってもいいぐらい、欧米やほかのアジア諸国では、散見される程度と言う頻度だそうです。

この病気ではHDLコレステロールが著しく増加することが知られています。そしてそれだけではなく、LDLコレステロールに質的な異常が起こることで、健康に悪影響を及ぼすものと考えられています。

さらに、このCETPの働きが足りなくてHDLコレステロールが高値になっている時には、HDLが酸化されてしまって、LDLのような悪玉コレステロール的な存在になっていたと言うことも観測されています。

さらに、大量にお酒を飲んで高HDL血症を起こしていた複数の患者さんでは、HDLの基本骨格になるアポリポタンパク質A-I/A-IIの他、C-IIと言う物質も増加していたことが観測されています。

このアポリポタンパク質C-IIは、HDLからLDLの元になるVLDLに引き渡される物質で、LDLが細胞にコレステロールを運び込む際に必要な酵素を活性化するものです。

これがたくさん残っていると言うことは、LDLが細胞に必要なコレステロールを届けられず、細胞の修復などに使われる資材が不足してきている可能性もあると言うわけです。

超悪玉コレステロールを生む善玉コレステロールの上昇

このCETPの不足によってHDL2と言う「満タン状態の善玉コレステロール」からコレステロールをLDLに引き渡せないと、LDLの方も交換でHDLに引き渡したい中性脂肪を持ったままになってしまいます。

そうすると、その中性脂肪リッチなLDLコレステロールに、HDLの所でも紹介した、肝性トリグリセリドリパーゼ(HTGL)と言う酵素が働いて、中性脂肪を分解してしまいます。

するとそのLDLはサイズが小さくなり、しかも密度の高いsdLDLコレステロールと言う物に変化します。これが先にお話しした「LDLの質的異常」です。これは普通のLDLより小さいため血管の内皮細胞を通り抜けて酸化されやすいものです。

つまり、非常に動脈硬化の原因になりやすい、「超悪玉コレステロール」であると言うことなのです。

先天性脳異常であっても大量飲酒によるものであっても、LDLコレステロールの値は概ね正常値の範囲で収まっていることが多いですが、その内容は非常に悪いものになっていると言うことです。

現在のところ、何らかの具体的な合併症が現れていない限り、LDLコレステロールの値が正常であれば積極的な治療は行われないでしょう。

また、HDLコレステロールは少々高くても大丈夫といった感覚があるので、よほど異常な高値でない限り、これも現段階では治療の対象になりにくいです。

しかし、それはお医者さんの間でも議論のあることだからであって、病気じゃないので心配ないとは言い切れない物なのです。

どのような飲み方ならお酒は健康に良いのか

以上のようなことから、お酒をよく飲む人で中性脂肪とHDLコレステロールが高い人は、まずお酒の量または回数を減らすようにしましょう。

お酒の回数や量を減らすことで中性脂肪の値が正常範囲に落ち着いて来たら、下戸の人より長生きできるかもしれませんよ。しかし、お酒で中性脂肪が高い人が、正常化するための頻度や量は、飲む人にとっては信じられないくらい少ないと感じられるかもしれません。

でも、お酒で身体を壊して一生呑めなくなるのと、少ない量や少ない回数であっても、長い間飲み続けられて、しかも飲まない人より長生きできるのと、どちらを取るかは自分次第なのです。

飲むならたくさん飲みたいと言う人は、月に1~2回程度にして下さい。それ以外の日はアルコールゼロです。逆に晩酌は欠かせないと言う人の場合、日本酒なら1日に1合未満、できれば0.5~0.7合程度にしましょう。

ビールなら350mL缶1本程度なら、全く飲まない人より有利になる可能性はありますよ。

コレステロールは食べ物がどうこう言うより、体内での動態の方が重要なのです。そして、それにはアルコールが深くかかわっているので、上手なお酒の飲み方をしたいものですね。
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