健康生活TOP エイズ HIV感染が拡大中!?新薬で完治を目指す最新治療の実態

HIV感染が拡大中!?新薬で完治を目指す最新治療の実態

AIDS and HIV

皆さんはHIVをご存知でしょうか?HIVはある病気を引き起こすウイルスの一種であり「ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus)」のことを言います。しかし、一般的には「エイズ」発症の原因と言ったほうが良いかも知れません。

このHIVが日本で流行の兆しが見えるようです。

知っていますか?HIV感染は減少していなかった

HIVの歴史は古くはありません。発見は1980年代であり、発見されてから35年程度のウイルスです。日本で最初のHIV感染者は1986年であり、この時は出稼ぎ外国人が帰国してから感染が確認できました。

当時の日本国内はパニックで、毎日HIVとエイズの話題ばかりでした。また1987年には関西地方で日本人の感染者が見つかり、大騒ぎになってしまいました。

一時は国内がパニックになるくらいのHIV騒動でしたが、最近ではあまり耳にしないようです。しかし、HIVの感染は少しずつ増加していたようです。

大阪でパンデミックな流行の兆しがあった

2015年に開催された日本エイズ学会が開催している「日本エイズ学界第29回学術集会」で驚くべく報告があったのです。日本エイズ学界とはエイズ研究者が集まる日本最大の団体で、毎年研究成果を学術集会で報告しています。

ここで報告されたのがHIV感染者数の推移状況でした。その報告では2014年末までに報告されているHIV感染者数は20490人。しかし、HIV感染の検査を受けておらず、治療も開始していない人が相当数いると推測できます。

ある大学の研究では8000人以上の診断されていないHIV感染者がいると考えられているのです。そう日本ではHIVの感染者数は増加していたことが判明しています。

そして地域的にみると大阪において感染者数が増加している年(2003年~2006年)があり、その年には年間で300人もの感染者がいると推測できるのです。

問題はこの状況を今まで行政も気が付いていないことで、この年に大阪府が把握していた報告感染者数は70人程度であり、実際の数値との間に大きな開きがありました。

行政的には年間70人程度の発症者数と思っていたが、実際には300人もの感染発症者が潜んでいたと言う訳ですね。

この状況は現在でも続いている可能性があります。HIV感染の恐ろしさは眼に見えないところで広がることで、なかなか人に話せないことにあります。

大阪でのパンデミックな流行は沈静化していると思いますが、またいつ再燃するかも解りません。

最近HIVやエイズの話題を聞かなくなりましたが、実は身近な病気として少しずつ増加しているのです。

昔の話と捕らえるのは危険だと言うことを肝に銘じましょう。

HIVとエイズの関係を理解しましょう

大抵の人は「HIV」と言ってもピンとこないで「エイズ」と言えば、「あ~知ってる」と答えると思います。それではHIVとエイズの関係を紹介しましょう。

HIVには種類があるのを知っていましたか?

HIVはヒト免疫不全ウイルスであり、HIV感染はこのウイルスに感染することを意味しますが、実はHIVに種類があることをご存知でしょうか?一般的には知らない人が多いと思いますが、HIVには「HIV-1」と「HIV-2」があるのです。

日本では主なHIV感染はHIV-1であり、HIV-2の感染は極めて少ないと言われています。

また、世界的に見てもHIV感染はそのほとんどがHIV-1であり、HIV-2の感染が多いのは一部の西アフリカ地域となります。それではHIV-1とHIV-2は何に違いがあるのでしょうか?

由来の違いでウイルスにも違いができた

もともとHIVには由来があります。つまり、HIVを生み出した動物がおり、その種類によってHIVの種類にも違いができたのです。

HIV-1は本来「チンパンジー」に感染していたウイルスであり、チンパンジーの免疫系の病気を発症させる原因ウイルスでした。このウイルスが何らかのきっかけで人間に感染して、生まれたと推測されています。

特にチンパンジーは人間に最も近いDNAを持つ哺乳類と言われており、チンパンジーから人間に感染するのは難しいことではなかったのかも知れません。

HIV-1はチンパンジーが由来ですが、HIV-2は同じ猿類でもオナガサルの一種「スーティーマンガベイ」が由来と言われています。

HIV-2による感染が西アフリカで多いのは、このスーティーマンガベイが西アフリカに多く生息することが原因となります。

このように日本での発症は圧倒的にHIV-1が多いのですが、近年ではHIV-2の流行が危惧されており、厚生労働省も平成21年に「医療機関及び保健所に対するHIV-2感染症例の周知について(依頼)」が各都道府県に通達されています。

これにより今まで少なかったHIV-2に対しての注意喚起を行っていたのですね。

この度、別添のとおり、我が国において初めて遺伝学的に完全な確証が得られたHIV-2感染症例が確認され、「厚生労働省健康危機管理基本指針」に基づく健康危険情報として厚生労働省に報告されたところである。

当該情報は我が国におけるHIV-2感染の可能性を改めて指摘したものであり、貴職におかれても、管内医療機関に対し当該情報の周知とともに、HIV-2に配慮した適切なHIV診療の実施を指導されるよう特段の御配慮をお願いする。

なお、保健所においては、平成5年7月9日付健医感発第76号厚生省保健医療局エイズ結核感染症課長通知「保健所におけるHIV-2の検査体制の整備について」により既にHIV-2抗体検査が実施されているところであるが、

貴管内保健所においても当該情報の周知及びHIV-2抗体検査実施の徹底を図るよう併せてお願いする。

HIVに感染すると免疫機能が壊れてしまう

人間には身体を細菌やウイルスなどの外敵から守る「免疫機能」があります。免疫は身体に入り込んだ外敵を死滅させたり、排除したりすることで病気にならないように戦うのです。

この免疫が活発であれば病気になりにくい身体であり、反対に弱いとすぐに風邪を引くなどの感染症を発症させてしまいます。

この免疫機能の中でも最も重要な働きを行うのが「CD4陽性細胞」であり、免疫機能をコントロールする働きを担っているのです。HIVに感染すると血液中に入り込んだウイルスが、CD4陽性細胞に入り込んでしまいます。

CD4陽性細胞に入り込んだHIVはそこで増殖して、新たなCD4陽性細胞に次々と感染を繰り返してしまうのです。感染されたCD4陽性細胞は破壊されてしまいますので、HIVの数が増加するにつれCD4陽性細胞は減少してしまいます。

そうなると身体の免疫機能は低下してしまい、身体を守ることもできずに多くの感染症を発症してしまいます。

免疫力の低下がエイズの発症を生む

HIVに感染すると免疫機能が低下してしまいますが、実はその状況は人によって個人差があります。つまり、HIVに感染後1年程度で症状が現れることもあれば、10年経過してから症状が現れる人もいるのです。

この原因は解っていませんが、実際には少しずつ免疫機能は低下しておりその人の持つ体力にも関係しているのかも知れません。

実はHIVに感染しても免疫機能が危険レベルに低下しないと、なかなか自覚症状はありません。まさか自分がHIVに感染していると思っていない人もいることでしょう。

そして徐々に免疫機能が低下した結果、ある日突然身体の不調を自覚するのです。これこそが「エイズの発症」です。

HIVに感染しても直ぐに症状が表れないことが一般的です。

エイズが発症したら命の危険もありますから、不安な人は定期的な検査が重要ですよ。

エイズとは23種類の病気の総称だった

エイズ(AIDS:Acquired Immuno-Deficiency Syndrome)は後天性免疫不全症候群の意味であり、HIVによって免疫機能が破壊された状態を言います。

あくまでエイズは免疫機能が破壊された状態の病気であり、それ自体が命を奪うものではありません。免疫が低下することで発症する、他の感染症が危険なのです。

エイズ発症の診断は23種類の指標疾患で行う

HIVの感染により免疫が低下した状態であっても、体調に変化が無く通常通りの生活を送っている人は大勢います。この無症状状態はあくまで「HIV感染症」であって「エイズ発症」ではありません。

エイズの発症は23種類の「エイズ指標疾患」の発症によって診断する必要があります。これは厚生労働省が定めるエイズ発症診断の基準であり、HIV感染者がエイズを発症した診断に使用されています。

HIV感染症の診断 (無症候期)

(ア)HIVの抗体スクリーニング検査法(酵素抗体法(ELISA)、粒子凝集法(PA)、免疫クロマトグラフィー法(IC)等)の結果が陽性であって、以下のいずれかが陽性の場合にHIV感染症と診断する。

[1]抗体確認検査(Western Blot法、蛍光抗体法(IFA)等)
[2]HIV抗原検査、ウイルス分離及び核酸診断法(PCR等)等の病原体に関する検査(以下「HIV病原検査」という。)

(イ)ただし、周産期に母親がHIVに感染していたと考えられる生後18か月未満の児の場合は少なくともHIVの抗体スクリーニング法が陽性であり、以下のいずれかを満たす場合にHIV感染症と診断する。

[1]HIV病原検査が陽性
[2]血清免疫グロブリンの高値に加え、リンパ球数の減少、CD4陽性Tリンパ球数の減少、CD4陽性Tリンパ球数/CD8陽性Tリンパ球数比の減少という免疫学的検査所見のいずれかを有する。

そして、この基準を満たしたうえで以下の指標疾患のうちひとつ以上が明らかに認められた場合はAIDSと診断される、としています。

A.真菌症
1.カンジダ症(食道、気管、気管支、肺)
2.クリプトコッカス症(肺以外)
3.コクシジオイデス症
  (1)全身に播種したもの
  (2)肺、頚部、肺門リンパ節以外の部位に起こったもの

4.ヒストプラズマ症
  (1)全身に播種したもの
  (2)肺、頚部、肺門リンパ節以外の部位に起こったもの

5.ニューモシスティス肺炎

B.原虫症

6.トキソプラズマ脳症(生後1か月以後)
7.クリプトスポリジウム症(1か月以上続く下痢を伴ったもの)
8.イソスポラ症(1か月以上続く下痢を伴ったもの) C.細菌感染症
9.化膿性細菌感染症(13歳未満で、ヘモフィルス、連鎖球菌等の化膿性細菌により以下のいずれかが2年以内に、2つ以上多発あるいは繰り返して起こったもの)

  (1)敗血症
  (2)肺炎
  (3)髄膜炎
  (4)骨関節炎
  (5)中耳・皮膚粘膜以外の部位や深在臓器の膿瘍

10.サルモネラ菌血症(再発を繰り返すもので、チフス菌によるものを除く)
11.活動性結核(肺結核又は肺外結核)(※)
12.非結核性抗酸菌症
 (1)全身に播種したもの
 (2)肺、皮膚、頚部、肺門リンパ節以外の部位に起こったもの D.ウイルス感染症

13.サイトメガロウイルス感染症(生後1か月以後で、肝、脾、リンパ節以外)
14.単純ヘルペスウイルス感染症
 (1)1か月以上持続する粘膜、皮膚の潰瘍を呈するもの
 (2)生後1か月以後で気管支炎、肺炎、食道炎を併発するもの

15.進行性多巣性白質脳症 E.腫瘍
16.カポジ肉腫
17.原発性脳リンパ腫
18.非ホジキンリンパ腫
19.浸潤性子宮頚癌(※)

F.その他

20.反復性肺炎
21.リンパ性間質性肺炎/肺リンパ過形成:LIP/PLH complex(13歳未満)
22.HIV脳症(認知症又は亜急性脳炎)
23.HIV消耗性症候群(全身衰弱又はスリム病)

(※)C11活動性結核のうち肺結核及びE19浸潤性子宮頚癌については、HIVによる免疫不全を示唆する所見がみられる者に限る。

(厚生労働省「指標疾患(Indicator Disease)」より)

中でも腫瘍に分類されている「カポジ肉腫」はエイズの症状の中でも最も知られている病気で、「エイズ=カポジ肉腫」と思っている人も多いと思います。

しかし、実際には23種類の病気のどれかが発症することでエイズの確定診断は行われていたのです。

エイズ治療はHIVを抑えることが重要

エイズとはHIVによって免疫機能が破壊された状態ですが、現状ではこれを完治させる治療法は確立されていません。

しかし、個人差でもHIV感染からエイズ発症までに差があるように、早期に治療を行うことでエイズ発症を遅らせる(抑える)薬は開発されています。

この治療法は「HAART療法」と呼ばれており、複数の抗HIV薬を組み合わせることで、HIVの増殖を抑えることができるのです。しかし、現在の薬ではHIVの増殖を抑制する事はできても死滅させることはできません。

したがってHIVに感染すると一生この薬を飲み続ける必要があり、大きな負担になると言われているのです。しかし、投薬を止めるとHIVは活性化しまうので、最終的にはエイズを発症させてしまうでしょう。

また抗エイズ薬は高額であることも患者の負担を増やす原因になっています。

エイズはHIVによって免疫機能が破壊された状態と考えられます。
そして免疫機能がなくなることで、様々な細菌やウイルスによって感染症を引き起こすのです。

エイズの最新研究の中身を探ってみよう

このように一度感染すると完治することは難しいHIV感染ですが、その治療法に関する研究は世界各国で行われています。いままではHIVを抑えることが目的でしたが、近年では死滅を目的にした研究も大詰めのようです。

HIVを死滅させる治療法が確立すると、まちがいなく「ノーベル賞」と言われていますが、その状況はどうなっているのでしょうか?

免疫細胞のDNAをきりとってHIVを増殖させない

米テンプル大学の研究者チームで研究されているのが、HIVに感染した免疫細胞から一定のDNAを切り取ってHIVの影響を排除させる治療法です。

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先ほども説明しましたがHIVに感染すると、HIVが免疫細胞に入り込んで増殖を繰り返してしまいます。この時、HIVは増殖するために免疫細胞のDNAを一部書き換える性質があります。

米テンプル大学の研究者チームはこの性質に着目。一定の酵素を使用することでこの書き換えられたDNAを切り取ることに成功したのです。

これにより増殖ができなくなったHIVは死滅してしまいます。

この研究は大学の実験環境の話であり、実用化は先の話ですが、実現した暁にはHIV感染初期に完治を目的とした治療法になると期待されています。

このようにDNAを切り取ったり書き換えたりする技術は「ゲノム編集技術」と呼ばれており、これからの医療にとって重要な分野です。しかし、自分のDNAが変わってしまうのですから、ちょっと不安ではありますね。

レーザーで隠れているHIVをやっつける

現在の抗HIV薬が増殖を抑える効果はあるのに、死滅(完治)させる効果がないのには理由があります。それはHIVが潜んでいる場所に薬を集中して投与できないのが理由です。

現在の薬の経口摂取では薬は口から入り胃、腸などを経由することで希釈されてしまいます。また、HIVも一定の臓器奥に潜んでいるため、そこに集中して薬を届けるのが難しいのです。

これにより抗HIV薬が血液中にある時は増殖を抑えていますが、薬を止めると活性化してしまう状況が生まれてしまいます。

そこでHIVが多く潜んでいる部分に効果的に薬を運ぶ方法が考えられています。それが「レーザーによる投薬」です。

この方法はHIVが潜んでいる部分に小さいレーザーで穴を開けます。小さい穴ですから閉じてしまうのですが、その閉じるまでに投薬することで薬をHIVの潜伏部分に届けるのです。

この研究も実験段階ですが、実現すると現在の抗HIV薬で対応が可能であり、普及も早いのではないでしょうか?

キメラ抗原受容体で感染細胞を攻撃させる

HIVに感染すると身体の免疫機能が低下してしまいますが、その原因は免疫細胞がHIVによって破壊されるのが理由です。

そこで骨髄移植に使用される「造血幹細胞」を使用する治療法が、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校ブロード幹細胞研究センターにおいて研究されています。

この治療法はHIVに感染した細胞を破壊するように作られた「キメラ抗原受容体」を造血幹細胞で作り出すもので、新しい免疫細胞によってHIV感染細胞に運ばれます。

実現するには予めキメラ抗原受容体遺伝子を持った造血幹細胞を作る必要がありますが、ラットにおける実験では80%以上もの効果が見られたそうです。

なかなか難しい話ですが、簡単に説明しますと「HIVを攻撃する免疫細胞を作り出す造血幹細胞をHIV感染者に移植する。」と言う方法です。

そとから援軍を迎え入れる方法ですが、これは期待できそうではないですか?

まだまだ実用化には時間がかかるかも知れないが、着実にHIV撲滅へと近づいている予感がします。
今回紹介した以外にも期待ができる研究も世界中で行っています。

エイズ治療はHIV撃退が重要だった

今回の話ではあくまでエイズは結果であり、その原因はHIV感染にあることは理解して頂けたと思います。そしてHIVはしぶといウイルスであり、現状では完全に死滅させることが難しいと言う状況も説明しました。

現状ではHIV感染は予防が一番重要とされており、様々な注意喚起がなされています。公益財団法人エイズ予防財団のホームページには「感染を予防するアドバイス」として3つの経路を示しています。

  1. 性行為(精液・膣分泌液)
  2. 血液を介して
  3. 母親から赤ちゃんへ(母子感染)

これらの内容を熟読して実際に実行することが、HIV感染から身を守る行為なのです。また今回紹介した通り、HIV感染を完治させる治療法も研究が進められています。

近い将来にはHIVを克服する日も来ると思います。大きく期待したいですね。

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