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簡単にテスト診断!ロコモティブシンドロームのチェック方法

高齢化が著しく、社会保障費の圧迫が声高に叫ばれている昨今、高齢者の自立が重要視されるようになっています。高齢になっても人の世話にならずに生活できることが、社会保障費の削減につながるからです。

そうでなくても、「いつまでも、自分のことくらいは自分でやりたい」と思っている方が多いことでしょう。そのためには、ロコモティブシンドロームの予防や改善が重要です。

ロコモティブシンドロームとはなにか、その予防にはどうすればいいかを知り、いつまでも自立した生活が送れるようになりましょう。

ロコモティブシンドロームとはなにか

ロコモティブシンドロームという言葉の意味は、ご存知でしょうか。「聞いたことはあっても、意味はわからない」という方も多いのでは?

意味がわからないままでは、予防といっても、適切な行動ができません。まずは、ロコモティブシンドロームという言葉がなにを意味するのかを知り、なぜ予防をしなくてはいけないのかを考えましょう。

ロコモティブシンドロームという言葉の意味

ロコモティブシンドロームとは、長寿高齢化の一途をたどる時代背景を受けて、日本整形外科学会より提唱された言葉です。

「ロコモティブ」という部分は「運動器」という意味です。「シンドローム」の和訳は「症候群」。直訳すると、「運動器症候群」となります。

運動器というのは、人間の体の中で、運動をするために使われる部分を指します。骨や関節、筋肉や神経など、体を動かすために使われるところです。これらのどこに不調を感じても、ヒトの体はうまく動かなくなってしまいます。

ロコモティブシンドロームは、運動器の障害により、移動機能が低下してしまった状態をいいます。これが進行すると、誰かの介助を得なければ日常生活もままならない、要介護の状態になってしまうリスクが高い状態です。

自分は大丈夫?ロコモティブシンドロームのセルフチェック

便利になった現代社会では、歩く必要性が減り、運動する機会が少なくなっています。

となると、弱りやすいのは足腰です。「自分は大丈夫」と思っていても、自覚のないままに、ロコモティブシンドロームに該当する状態となっているかもしれません。

日本整形外科学会では、ロコモティブシンドロームについて、啓蒙を兼ねたパンフレットを作成しています。自分がロコモティブシンドロームに該当するか、パンフレットに記載の項目に沿ってセルフチェックをしてみましょう。

ロコモティブシンドロームチェック方法1.座った状態から立ち上がるテスト

まず、40センチの台に座った状態から立ち上がれるかのテストです。40センチの台を用意し、そこに両腕を組んで腰掛けた状態から、反動をつけずに立ち上がり、3秒間そのまま保持します。

これができたら、次は、同じことが片足でできるかどうかを見ます。40センチの台でできたら、次は30センチの台で同じことをやってみます。それができたら、20センチ、10センチ…と台を低くしていきましょう。

40センチの台から片足で立つことができなかったら、両足で30センチの台から立てるかどうかを見ます。30センチの台から立てたら20センチ、10センチ…と台を低くしていきましょう。

片足・両足、どちらの場合も、立ち上がれた一番低い台が記録になります

ロコモティブシンドロームチェック方法2.ステップテスト

できるだけ大股で二歩歩いて、歩幅が何センチだったかを測ります。歩幅が狭いほど、ロコモティブシンドロームのリスクが高い状態です。二歩分の歩幅を身長で割った数値が、テストのための計測値になります。

このテストをおこなう際には、転倒しないように注意しましょう。反動をつけたり、自分の能力以上に無理をしていい数値を出そうとすると、体を痛める結果になってしまいます。誰かの見守りのもと、無理をしないようにおこないましょう。

ロコモティブシンドロームのチェックリスト「ロコモ25」でのチェック

体に感じる苦痛の度合いや、日常生活の困難さについての質問です。25項目の質問があり、それぞれの質問に対して5段階評価で答えます。

  1. つらくない(痛くない・困難でない)
  2. すこしつらい(すこし痛い・すこし困難)
  3. 中程度つらい(中程度痛い・中程度困難)
  4. かなりつらい(かなり痛い・かなり困難)
  5. 酷くつらい(ひどく痛い・ひどく困難)

質問の答えが「つらくない(痛くない・困難でない)」ならば、点数は0点。段階的に、1点、2点、3点と上がっていき、「ひどくつらい(ひどく痛い・ひどく困難)」では4点です。

▼この1カ月の体の痛みなどについてお聞きします

1 頸・肩・腕・手のどこかに痛み(しびれも含む)がありますか
2 背中・腰・お尻のどこかに痛みがありますか
3 下肢(脚のつけね、太もも、膝、ふくらはぎ、すね、足首、足)のどこかに痛み(しびれも含む)がありますか
4 ふだんの生活でからだを動かすのはどの程度つらいと感じますか

▼この1カ月の普段の生活についてお聞きします

1 ベッドや寝床から起きたり、横になったりするのはどの程度困難ですか
2 腰掛けから立ち上がるのはどの程度困難ですか
3 家の中を歩くのはどの程度困難ですか
4 シャツを着たり脱いだりするのはどの程度困難ですか
5 ズボンやパンツを着たり脱いだりするのはどの程度困難ですか
6 トイレで用足しをするのはどの程度困難ですか
7 お風呂で体を洗うのはどの程度困難ですか
8 階段の昇り降りはどの程度困難ですか
9 急ぎ足で歩くのはどの程度困難ですか
10 外に出かけるとき、身だしなみを整えるのはどの程度困難ですか
11 休まずにどれくらい歩き続けることができますか (2~3km以上、1km程度、300m程度、100m程度、10m程度から選択)
12 隣近所に外出するのはどの程度困難ですか
13 2kg程度の買い物(1リットルの牛乳パック2個程度)をして持ち帰ることはどの程度困難ですか
14 電車やバスを利用して外出するのはどの程度困難ですか
15 家の軽い仕事(食事の準備や後始末、簡単なかたづけなど)はどの程度困難ですか
16 家のやや重い仕事(掃除機の使用、ふとんの上げ下ろしなど)は、どの程度困難ですか
17 スポーツや踊り(ジョギング、水泳、ゲートボール、ダンスなど)はどの程度困難ですか
18 親しい人や友人とのおつき合いを控えていますか
19 地域での活動やイベント、行事への参加を控えていますか
20 家の中で転ぶのではないかと不安ですか
21 先行き歩けなくなるのではないかと不安ですか

この質問での点数が高いほど、ロコモティブシンドロームになる危険が高い状態となります。

立ち上がりテストと2ステップテスト、25の質問でのチェックの結果、どれかひとつでも該当すれば、ロコモティブシンドロームと判断されます。

【セルフチェックの結果を見てみよう】

テストが終わったのなら、結果発表です。ここでは「テスト結果がどういう状態だったら、ロコモティブシンドロームに該当するのか」を見てみましょう。

ロコモティブシンドロームには、ロコモティブシンドロームが始まっている「ロコモ度1」と、ロコモティブシンドロームが進行している「ロコモ度2」の段階があります。

  • どちらか一方の片足で、40センチの台から立ち上がれない
  • 2ステップ値の結果が、1.3未満
  • 25の質問で、7点以上とってしまう

上記に該当する場合、ロコモティブシンドロームが始まっている「ロコモ度1」の疑いがあります。

  • 立ち上がりテストで、両足で20センチの台から立ち上がれない
  • 2ステップ値の結果が、1.1未満
  • 25の質問で、16点以上とってしまう

こちらに該当する場合は、ロコモティブシンドロームが進行している「ロコモ度2」の疑いがあります。

もしも該当された場合は、ロコモティブシンドロームの進行を防止するために、今からでも取り組みを始めましょう。思い立ったときから行動し、生活の中に運動をとりいれることが重要です。

もしどの項目でもロコモティブシンドロームに該当しなかった場合は、ひとまず安心してもよい状態です。ですが、今後の生活しだいでは、該当する状態になってしまうかもしれません。油断せず、取り組みを始めておくことも重要です。

ロコモティブシンドローム予防のために、運動をしよう

運動器の機能低下を防止するためには、適度な運動に取り組むことです。バランス能力の向上や、筋力をアップさせるほか、筋肉や関節を柔らかくして動きやすい体をつくることも大切です。

日常の中に運動をとりいれる

核家族化の進行に伴って、若い家族と一緒に暮らす高齢者が少なくなってきています。ちいさな子供と接する機会が減り、大人のみや高齢者同士で暮らすようになると、どうしても活動が減っていってしまいます。

日常生活を送るなかで活動量を増やそうと思うのならば、それを意識して体を動かすことが大切です。特別な運動でなくても構わないのですが、意識的に運動量を増やそうと考えなくてはいけません。

  • エレベーターを使わずに、階段やスロープを歩く
  • 日常の買い物に、いつもより遠い店まで歩くようにする
  • 歩きでもなんとか行ける距離なら、車や自転車を使わずに歩く
  • 通勤や趣味で電車を使うなら、ひと駅分を徒歩にする

この程度の運動を取り入れるだけでも、日常的におこなえば、十分な効果を期待できます。ですが「やろう」と意識しなければ、無意識のうちに楽な移動手段を選択してしまうでしょう。取り組もうと思う意欲が、なによりも重要です。

もしも「もう少し、運動らしい運動をしてみたい」と思うのならば、家の中でできる簡単な運動があります。

  • てすりに掴まり、交互に片足立ちを1分間ずつ、一日3回おこなう
  • 両足を肩幅に開き、膝を曲げたり伸ばしたりしてスクワットをする
  • 直立の姿勢でつま先立ちをしたり戻したりして、かかとの上下運動をする
  • 大股で一歩一歩を歩く練習をする

そのほか、国立長寿医療研究センターからは、「コグニサイズ」という運動を推奨しています。

コグニサイズとは、国立長寿医療研究センターが開発した運動と認知課題(計算、しりとりなど)を組み合わせた、認知症予防を目的とした取り組みの総称を表した造語です。

(出典…コグニサイズとは?-国立長寿医療研究センター)

コグニサイズでは、体を動かしながら、並行して頭の体操もおこないます。運動内容に特に決まりはありませんが、「全身を使った運動で、かつ運動強度が中強度程度」という定義があります。認知症予防にも役立ち、一石二鳥です。

専門的な施設や、自治会の運動に参加する

「自分だけでは、運動が続けられない」という方も多いでしょう。そんな方には、目的を同じくするほかの方々と一緒に取り組める場所へ参加されることがお勧めです。

スポーツジムなどの民間施設を利用する
体を鍛えるスポーツマンや、負荷を重くかけた運動ばかりではなく、健康目的の運動について指導をおこなっているところがあります。身近な場所でないと利用が続けられませんから、お近くのスポーツジムに問合せをしてみるとよいでしょう。
福祉会館などの運動施設を利用する
福祉会館などで、運動のための施設を開放している場合もあります。自治会により設備や対応が異なるので、市役所などに問合せをしてみるとよいでしょう。多くの場合は、市内に住む方や、市内に勤務している方に、利用を限定しています。
自治体で開催される運動教室に参加する
各自治体で健康のための運動教室を開催しているところもあります。公民館などに集まり、運動指導の資格を持った方を講師に招き、集団体操をおこなう催しをしているところもあります。

自治体での運動については、市役所や自治会で情報をまとめています。民生委員なども情報を持っている場合があります。気になったものには、積極的に問合せをしてみましょう。

介護保険を利用する
介護保険で利用できる施設にも、リハビリを目的としたものがあります。保険適用となる施設は、利用について法的な決まりがあります。希望するならば、市役所や地域包括支援センターなどで、話を聞きましょう。

いずれの場合も、自分の体への負担を考えたり、安全性に配慮しながらおこないましょう。

特に血圧や心疾患、関節などに疾病をお持ちの方は、無理な負担をかけすぎることで重篤な悪化を招くおそれがあります。転倒などの危険にも注意が必要です。

ロコモティブシンドローム予防には、栄養補給も大切

健康な体をつくるためには、運動だけをしても意味がありません。適度の運動をできる体をつくるために、適切な栄養を補給することも大切です。

かといって、カロリーを多く摂れば良いというわけではありません。カロリーを蓄えようと脂肪分など特定の栄養素ばかりを取ったり、タンパク質やカルシウムなど特定の栄養素ばかりが足りなくなっては、やはり健康を害します。

摂取が足りなくなりがちな栄養素

日本の高齢者には、食習慣から、足りなくなりがちな栄養素と、摂り過ぎになりがちな栄養素があります。なるべく偏りをなくし、必要な栄養素が適切に摂取できるようにこころがけましょう。

足りなくなりがちな栄養素は、普段の食事でおろそかになりがちな食品に含まれるものが多いです。

タンパク質
人体を構成し、体を動かすエネルギーとなる栄養素です。パンや米だけをしっかり食べても、副菜をしっかり食べないと、栄養素が足りなくなってしまいます。ごはんと漬物だけで食事を済ませるような方は、要注意です。
カルシウム
骨をつくる栄養素です。お腹具合を気にしたりして乳製品の摂取が減ったり、葉が悪くなって、小魚や骨ごと食べる煮付けが食べにくくなったりといった理由もあるでしょう。もともと魚が嫌いという方もいるかもしれません。

が、骨密度が低下する高齢者にとっては、とても大切な栄養素です。食べられるものを探し、適切に補給できるようにしましょう。適度に日光浴をすることも大切です。

ミネラル
体の調子を整えるために重要な栄養素です。体内に取り込んだ不必要な量の塩分を排出する役割を持つミネラルもあります。主食とメインのおかずだけで食事を済ませると、ミネラルが不足しがちになります。

どんな栄養素も、大きく欠ければ健康に影響があらわれます。気にしすぎも良くはありませんが、なにも気にせずに食事を摂って、健康を害してから騒いでも遅いのです。日常の積み重ねが体をつくるのですから、ぜひ普段から気をつけておきましょう。

摂取が過剰になりがちな栄養素

塩分
塩分の過剰摂取は、高血圧を招きます。高血圧は、それ自体では命に関わることはありませんが、血管に負担をかけ、脳や心臓に重篤な影響を及ぼし、さまざまな疾患を招く、おそろしい疾患です。
脂質
脂肪分である脂質の摂り過ぎは、脂質異常症など、血液の状態を悪くする疾患を招きます。かといって、普段の食習慣次第では、脂質やタンパク質の摂取量が少なくなりがちな方もいます。偏らないように注意が必要な栄養素です。
炭水化物・糖類
甘い菓子パンばかり食べていたり、米などの主食ばかり食べて副菜をあまり食べない場合などは、炭水化物や糖類の摂取が過剰になりがちです。副菜をバランスよく食べるように、気をつけましょう。

それぞれの栄養素をバランスよく、適切な量を摂ることを心がけましょう。

健康な体をつくるためには、日常生活の過ごし方が重要

ロコモティブシンドロームは、特別な疾患でなくてもおこります。

もしも今ロコモティブシンドロームに該当する状態だったとしても、それは突然この状態になったわけではなく、いままで長い日数を不活発に過ごしていたり、良くない生活習慣が積み重なった結果によるものです。加齢による衰弱の場合もあります。

ですから、瞬間的な努力をしても改善が図れるものではありませんし、劇的な治療方法もありません。

現状を招いたのが、今までの積み重ねの結果であるのなら、同じように年月をかけて体の状態を戻してあげる必要があります。運動や活動、食事などに気をつけ、ロコモティブシンドロームを改善していきましょう。

今は「多少衰えたかな」と思う程度でも、数年後には驚く程に影響が現れ、「こんなに歩けなくなるとは思わなかった」と嘆く事態となってしまうかもしれません。

後々後悔しないためにも、自覚ができた今の段階から、日常生活を見直して活動に取り組んでいきましょう。

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