健康生活TOP 老化 高齢者の寝たきり予防筋トレ!専門家推奨の医学的根拠でみる方法とは

高齢者の寝たきり予防筋トレ!専門家推奨の医学的根拠でみる方法とは

高齢の親をかかえている若い方や、自分がもうすぐ後期高齢者になる年齢の方など、寝たきりになってしまうロコモティブシンドロームや転倒のリスクはなるべく少なくしていきたいところですね。

寝たきりになる理由はいくつかありますが、予防のためにどんな運動をしたらよいのか、高齢者が無理なく毎日行える筋力トレーニングを中心にお伝えします。

特に高齢者で心配される転倒や骨折を予防するための筋力を鍛える方法、具体的には、医学的に研究が進められているタンデム歩行や、股関節のトレーニングをご紹介します。

寝たきりの前兆!何から身体機能が弱くなるのかをチェック

老化によって衰えてくる身体の機能は、どんな順番だと思いますか?医学的にはバランス能力→瞬発力→最大筋力→持久力の順で悪くなると言われています。

バランスは感覚神経や運動神経の衰え、バランスをとるために必要なインナーマッスルの弱さから低下してきます。瞬発力は短距離走やジャンプで使うような強く瞬間的に力を発揮する筋肉で、速筋繊維と呼ばれています。

そのため、高齢化してくると素早い動きは出来ませんがゆっくりとなら動けるという状態になってきます。これは人間の老化のメカニズムで誰でも共通なので、この特徴を理解して対策をすることが大切です。

姿勢維持にも役立つ!持久力のある筋肉を鍛えて体力を保つ

高齢化しても鍛えやすい筋肉はゆっくりの動きで持久力のある筋肉です。そのため、歩行や軽い筋トレなどが適した筋力トレーニングになり、持久力が付くので体力が低下せず疲れにくくなります。

疲れやすいと、少し動いただけで寝るようになってしまって生活習慣が寝たきりになってしまします。歩き方が悪く無ければ、姿勢を正して良い歩き方を意識しながらなるべくたくさん歩くことが持久力をつけることになります。

このような持久力のある筋肉を遅筋繊維といい、とくに身体のバランス能力を保持するインナーマッスルもこの遅筋繊維が主です。

その理由は、インナーマッスルは強い力を発揮するよりも良い姿勢を保持する機能を持っているので、長続きしないと良い姿勢を保持できないからです。

高齢化すると背中が丸くなって腰を曲げて歩くようになってしまいます。姿勢を良くすることも疲れにくい歩き方に繋がりますし、疲れないことが寝たきり予防になるので姿勢を良くするためにも遅筋繊維を鍛える意識は大切です。

寝たきりの大きな原因となる転倒・骨折を防ぐにはどうすればよいか?

転倒して寝たきりになりやすい骨折のひとつに大腿骨の骨折があります。大腿骨とは、太腿の骨の部分で、特に頸部と言われる股関節の部分の骨折が寝たきりのリスクに関係します。

もし大腿骨を骨折した場合、歩行能力は低下すると医学的には報告されています。ちなみに認知症もある場合にさらに歩行能力が低下すると報告されています。

転倒による寝たきりを防ぐ!歩行を利用した股関節トレーニング

こう考えると、転倒を予防することはある程度寝たきりを予防することに繋がりますね。では転倒を防ぐにはどうしたら良いのでしょうか?

大腿骨頸部骨折の転倒の原因としては、横に転んで股関節を直接床などにぶつけて骨折するパターンが挙げられます。

骨折予防のためにお尻の横の部分に分厚いクッションを付けたパンツが売られているくらいですから、いかに横に転ばないかが大事かが分かります。

このような転び方は横方向へのふらつきで起こります。では、人間が横にふらつかないように必要な筋肉はどこの筋肉でしょうか?

答えは股関節の外側にある筋肉で、ここは片脚立ちで特に必要とされる筋肉です。筋肉が弱っていると、例えば綱渡りのようにつま先と踵をつけて歩くことがふらつくようになります。

このような綱渡り歩きを使ったテスト法があります。幅5cm・長さ5mの線の上を、つま先と踵が必ず接触するようにしながら綱渡りのように歩きます。

この歩行を何秒以内で出来るかどうかで、バランス能力と股関節まわりを中心とした筋力があるかをテストできます。

この歩行を医学的には「タンデム歩行」と言って、研究もおこなわれています。実際に行ってみて、以下の年齢別の平均値をもとに比べてみてください。

タンデム歩行の方法

▼年齢別 タンデム歩行の平均値

64歳以下 17秒
65~79歳 19秒
80歳以上 26秒

もしやってみて平均値より悪かった方やタイムは良くてもふらつきがあった方は、このタンデム歩行をくり返し行うだけでも良くなってきますので、リハビリの運動として行ってみてください。

高齢化による身体機能の衰えはバランス能力から始まりますし、筋力低下によってもふらつきやすくなりますので、いずれにしろバランス能力と股関節を鍛えるタンデム歩行は有効な運動と言えます。

また、このタンデム歩行で使う股関節の筋肉は「中殿筋」という股関節のインナーマッスルです。この筋肉は、歩行では上半身をまっすぐにして骨盤が正中位であれば歩く時に使われます。

しかし腰を曲げて骨盤が前傾していると、大腿筋膜張筋という股関節の他の筋肉を使った歩き方になり、中殿筋は使われないことで弱くなってきます。

歩行時の姿勢にも注意していただければ弱くなることを予防できますので、こちらもあわせて気を付けてみてください。

維持よりも強化を目指すなら積極的な筋力トレーニングをしましょう

今までの内容は、高齢化しても残りやすい持久力のある筋肉を使って、歩行など日常的に気を付ければできる運動を紹介しました。ここからは、さらに良い状態を目指す筋力トレーニングを紹介します。

股関節の外側にある中殿筋のトレーニングは、まずかなり筋力が弱い場合はゴムチューブを使った方法で行い、それがある程度出来るようになったら脚の重みを利用して体幹も含めたトレーニング法で行います。

【ゴムを利用した股関節トレーニング】(10~20回を3セットくり返します。)

① 仰向けに寝て両膝の下の部分でゴムチューブを巻きます。つま先をまっすぐ天井に向くようにしてください。

② 片脚又は、両脚を同時で外側に開きます。開く角度は45度が正常ですが、個人差により最大に開く角度が違うので自分の限界に開ける角度まで開きます。脚を広げるときは持ち上げずに踵が床を擦るようにしてください。

③ ゴムの強さを段階的に強くしていきます。セラバンドという医療現場で使われているチューブでは黒色の強さで出来るまで続けてください。セラバンドはスポーツ店でも注文出来るところがあるので探してみてください。

【強化を目指す股関節・体幹トレーニング】(10~20回を3セットくり返します。)

① 鍛えたい側の脚を上にして横向きに寝て腕組みをします。手で身体を支えないようにしてください。

② 腰と脚をまっすぐに伸ばして身体全体が一直線になるようにします。もともと腰を曲げた姿勢が癖になっている場合が多いので、他の人に上から見てチェックしてもらうと良いです。

③ 上側の脚を斜め後ろ方向へ持ち上げます。この時に腰がグラグラしたらそれを止めるように意識します。脚は高く上げなくても良いので、腰がグラグラしないように気を付けてください。

股関節と体幹を鍛えるトレーニング

この運動は腰がグラグラしないようにすることで自然と脇腹の筋肉も使っています。実際に片脚立ちになる瞬間は股関節と脇腹の筋肉が連動して働くので、どちらも鍛える方法が実際の場面には役に立ちます。

全身の筋量を簡単に推測、片脚立ち上がりテストでチェックしましょう

寝たきりになる方は全身の筋力が低下しており、医学的にはサルコペニアと呼ばれています。

しかし今の医療機関での診断には握力と歩行速度の測定とに加え、骨格筋量の測定(二重エネルギーX線吸収法)が必要で、なかなか簡単には出来ません。

全身の筋肉量を推測する方法として、膝を伸ばす筋肉である大腿四頭筋の筋量を調べる方法があります。ある研究では、大腿四頭筋の筋量が多いほど全身の筋量が多いという比例関係が報告されています。

また、体重当たりの大腿四頭筋の筋力を立ち上がりテストで調べた研究があります。

その結果、立ち上がりが出来た台の高さが低いほど、体重当たりの大腿四頭筋の筋力が強かったと報告されています。

これは両脚で行っても片脚で行っても同様の結果が出たのですが、ここではどこにでもある普通の高さの椅子で行える片脚の立ち上がりテストを紹介します。

【片脚立ち上がりテスト】

① 約40cmの高さの椅子に座ります。(普通の椅子の高さはほぼ40cmに作られています。)

② 片脚の膝を伸ばして両腕を胸の前で組みます。

③ そのまま片脚で立ちあがり、立った後に3秒間姿勢を保持します。この時にふらつきが無いかもチェックしてください。

両脚とも出来た場合に、40cmの立ち上がりが合格ということになります。

このテストで40cmからの立ち上がりが出来た方は、膝を伸ばす筋力が体重の約60%というデータがあります。この割合は体重指示指数(以下WBI)と言って全身の筋力の指標と言われています。

WBIは自分の体重(kg)を大腿四頭筋の筋力(kg)で割り100をかけた%で表します。正常歩行を行うには40%以上が必要と言われております。両脚での立ち上がりでは20cmの高さで出来れば45%です。

高齢者であれば、20cmの高さの台からの立ち上がりは膝が曲がらない方の場合痛みや姿勢が取れないという理由で、筋力に関係なく不可能です。

また、寝たきり予防にはバランス能力も大切なので、40cmの高さの椅子からの片脚立ち上がりテストを行ってみて、もし出来なければしっかりと対策を取った方が良いでしょう。

立ち上がりを楽にする大腿部の筋力トレーニング

片脚立ち上がりテストで出来なかった方は、まず踏ん張る力をつける「大腿四頭筋」という大腿部の筋力をつけましょう。自宅で出来る簡単なゴムを使った運動が安全で効果も出るのでお勧めです。

【大腿四頭筋トレーニング】(10~20回を3セットくり返します。1日1~2回行います。)

① 椅子に座って、椅子の脚と自分の足首をゴムで巻いて縛ります。ゴムはゆるみの無いように巻いてください。ゴムはセラバンドというトレーニング用のゴムで黒の強さがお勧めです。

② 膝をまっすぐになるまで伸ばします。伸ばしたらすぐにおろします。おろす時はゆっくりおろしてください。

③ 片側を3セット行ってから反対側の脚を行ってください。セット間の休憩は30秒以内にして休み過ぎないようにしてください。

ある研究では、筋力低下のあった65名にこの大腿四頭筋トレーニングを指導したところ、120日で平均10%のWBIの改善があったという統計データが出ています。

毎日行えば結果が出るトレーニングですので、弱かった方はぜひ行ってみてください。

寝たきり予防には医学的根拠のある筋力トレーニング計画を

寝たきりは高齢化社会の問題点の一つで、医療機関や大学、地域でも様々な寝たきり対策の研究がおこなわれています。そのため、何が寝たきり予防に効果的であるかも医学的に分かってきていることが多いです。

寝たきりを予防するためには高齢者の筋肉の特性に合わせた軽めで長続きする運動がお勧めです。そして転倒予防のためにもインナーマッスルを鍛えてバランス能力も同時に改善できる歩行を利用した運動も行ってください。

さらに強化を目指す方にはゴムチューブを使った抵抗をかけた強めの運動で確実に筋力をアップさせることが出来ます。強化すれば下肢年齢の向上にもつながり、より動きやすく活動的になります。

活動的になることで体力をつけて精神的にも抑うつや閉じこもり傾向を防げるので、ぜひこのような運動を通して生活スタイルを変えて寝たきりを予防しましょう。

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