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高齢者が要介護となる原因「フレイル」のチェックリストと予防法

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日本は世界一の長寿国です。総務統計局のデータによると、2015年9月現在で65歳以上の高齢者は総人口の26%となっており、2040年には総人口の約36%に増えることが推測されています。

元気な高齢者ばかりならば長寿社会も素晴らしいのですが、介護が必要な高齢者も多いのが現状です。

高齢者の介護が問題となっている今、高齢者の衰え「フレイル」の予防が呼びかけられるようになってきています。フレイルとは何か?その特徴と予防法を知っておき、みんなで「元気なご長寿さん」を目指しましょう。

あまりなじみのない言葉だけど、フレイルとはどういう意味?

フレイルとは、日本老年医学会が2014年から提唱している「加齢で起こる心身の機能が低下した状態」という意味の言葉です。そして高齢者の要介護状態を引き起こすとして、フレイルの予防が推奨されています。

高齢者歩くイラスト

フレイルは英語の「虚弱・ぜい弱」を意味するFrailtyから由来しており、

  • 体重の減少
  • 歩行速度の低下
  • 筋力の低下
  • 疲れやすさ
  • 活動量の低下

といった状態が特徴です。日本老年医学会はFrailtyについて次のように説明しています。

Frailty とは、高齢期に生理的予備能が低下することでストレスに対する脆弱性が亢進し、生活機能障害、要介護状態、死亡などの転帰に陥りやすい状態。

筋力の低下により動作の俊敏性が失われて転倒しやすくなるような身体的問題のみならず、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題を含む概念である。

つまりフレイルが、

加齢から筋力や体力が低下し、動くのが億劫になる

部屋でじっとして過ごすことが増えるなど、生活の質が下がる

活動量の不足や栄養状態の悪化から、さらに心身の機能が衰える

うつ病や認知症をはじめ、さまざまな病気にかかりやすくなる

…といった一例のように、加齢がきっかけで病気や寝たきりに陥ってしまう悪循環を作っているのです。
   
欧米では20年前からFrailtyが注目されていました。日本ではまだなじみの少ない言葉ですが、持病のない高齢者の1割程度がフレイルに該当しているのではないかとも推測されています。

フレイルの人は「7年間の死亡率が健康な高齢者よりも約3倍高い」という報告もあります。

長寿国の日本こそ、もっとフレイルに関心を持つことが必要だといえますね。

フレイルの兆候とは?簡単にできるチェックをしてみましょう

高齢者悩むイラスト

ちなみに老化現象は全ての人に訪れる自然な現象ですし、高齢者でも生活に支障なく過ごすことのできる人はフレイルではありません。

いわばフレイルというのは健康と病気の中間のような状態。放置すればとさらに機能が衰え、要介護状態まで弱ってしまう可能性の高い人を示しています。

単なる老化現象とフレイルの見分けが難しい、と感じる方は、フレイルの簡単なチェックリストをご覧ください。

25問の質問に「はい」「いいえ」で答え、その結果から点数を計算するフレイルのチェック法があります。

ここでは、そのチェックリストを簡単に紹介しております。

次の質問に「いいえ」と答えることの多い人はフレイルの可能性がある

  • バスや電車で外出することができる
  • 生活必需品を自分で買いに行くことができる
  • 預金を自分で管理することができる
  • 友人の家を訪問することがある
  • 家族や友人にアドバイスすることがある
  • 手すりを使わずに階段が登ることができる
  • 補助なしで椅子から立ち上がることができる
  • 15分以上続けて歩くことができる
  • 週に1回は外出している
  • 自分で電話番号を調べて電話をかけることができる
次の質問に「はい」と答える人が多い人は、フレイルの可能性がある

  • この1年間に転倒した、または転倒しそうになることがあった
  • 過去6か月で体重が2kg以上減った
  • 6か月前より堅い物が食べにくくなった
  • 飲み物でむせやすくなった
  • 口の乾きが気になる
  • 何度も同じ質問をする
  • もの忘れを指摘されるようになった
  • 以前は簡単にできていたことが、難しく感じられる
  • 最近、無気力や疲労感が増えた
  • 最近、充実感がない

(厚生労働省 基本チェックリストより)

高齢者のフレイルを詳しくチェックしてみたい方は、厚生労働省作成のチェックリストもご覧ください。

フレイルは単なる老化現象として見過ごされがちでしたが、フレイルは体の機能が低下するだけでなく、精神的活動が低下したり日常生活に差し支えが出てきたりするなど、あらゆる面に悪影響を及ぼす点が老化現象と異なっています。

まだ間に合います!フレイルは予防・改善が十分に可能

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しかし、年のせいだからとあきらめる必要もありません。フレイルは、努力することで予防したり健康な状態を取り戻したりことが可能だからです。

フレイルに該当する高齢者の方、65歳を過ぎた健康な方は、意識してフレイルの予防法を実践しましょう。

たんぱく質をしっかり摂取する

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高齢者は筋肉量が減少しやすいので、食事から筋肉の材料となるたんぱく質を十分に補うことが大切です。

高齢者の場合、持病があってたんぱく質の摂取制限のある方を除き、1日に体重1kgあたり1gのたんぱく質を摂取するのが理想です。体重60kgなら1日に60gの蛋白質が必要ということになります。

若い時と嗜好が変わり、たんぱく質の摂取量が減ってしまう方もいますが、高齢者の方こそたんぱく質の多い肉、魚、豆類、卵、乳製品が必要です。柔らかさやのど越しも工夫して、食べやすいメニューを用意しましょう。

料理・食品 含まれるたんぱく質量
豚肉(生姜焼き1枚) 9.9g
卵(1個) 8.2g
マグロ(30g) 7.3g
納豆(1パック) 6.6g
大豆煮(小鉢一皿分) 4.8g<
無糖ヨーグルト(100g) 3.6g
豆腐(冷ややっこ一皿分) 3.3g

もちろん、たんぱく質だけではなくビタミンやミネラルなど栄養をバランス良く摂取することも必要です。

運動して筋力を強化する

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意識して運動し、心肺機能や運動機能を鍛えましょう。高齢者に適しているのは

  • ウォーキング
  • ジョギング
  • ラジオ体操
  • 水中ウォーキング

といった息が軽く弾む程度の軽い運動です。ボウリングやゲートボールなど好きなスポーツがあると、張り合いも出ますね。

1日15~30分程度、できれば毎日続けるのがおすすめですが、体調にあわせて無理のないペースで運動を行なってください。

社会と関わりを持つ

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高齢になると、家に閉じこもりがちになったり、人との接触が減ったりしがちです。しかし社会との関わりが少なくなると、孤独を感じやすくなったり生きる張り合いがなくなったりしてフレイルに陥りやすくなってしまいます。

高齢者は意識して社会との関わりを持ち、活動量を増やすようにしましょう。近所づきあい、サークル、ボランティアなどに積極的に参加すると良いですね。

家族の方は高齢者に声かけをしたり誘ったりして、外出の機会を増やしてあげましょう。

超高齢化社会で問題とされるサルコペニアやロコモも

フレイルの話題に触れ、「サルコペニア」や「ロコモ」やという言葉が頭に浮かんだ方もいるのではないでしょうか。

サルコペニア
加齢によって筋力量が低下すること。1989年にローゼンバーグ氏が提唱。

ロコモティブシンドローム
加齢によって筋肉や関節などの運動機能が低下すること。2007年に日本整形外科学会が提唱。

フレイル同様、サルコペニア・ロコモも進行すれば要介護状態を引き起こす可能性があるとして、早期発見と予防が推奨されています。このような言葉が次々と登場してくるのも超高齢化社会が問題になってきているからなのでしょうね。

誰だって生涯現役で活躍したいし、介護の世話にはなりたくないですよね。今回紹介したフレイルに関心を持ち、達者な高齢者を目指していただきたいと思います。

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