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子供の嘔吐の原因は危険な病気!?症状の見分け方と対処法

parents to hug their children

子どもは体の機能が未発達なためにころころと体調が変わりやすく、さっきまで元気だったのに急に嘔吐し周囲の大人を慌てさせるということも珍しくありません。

子どもの嘔吐の原因はさまざまで、あまり心配のいらない嘔吐もあれば危険な病気が引き金となっている嘔吐もあります。

子どもの嘔吐の原因になりやすい病気とその見分け方をチェックしておきましょう。

1.子どもの間で流行しやすい!受診が必要な「ウイルス性胃腸炎」

子どもに多いのがウイルス性胃腸炎(感染性胃腸炎)による嘔吐です。

ウィルス性胃腸炎は、消化器に炎症を起こすウイルスまたは細菌を口から取り込んでしまうことが原因で発症します。

原因菌にはさまざまな種類がありますが、特に免疫力の弱い乳幼児は感染・発症しやすく、症状が重くなりやすいので注意が必要なのです。

ウイルス性胃腸炎の特効薬はなく、下痢や嘔吐で体内のウイルスが排出されると自然に回復していきます。

ただしウィルス性胃腸炎でゲーゲー嘔吐したり水下痢ばかり出る状態が続くと、脱水症に陥りやすく危険です。尿や涙の量が減る、ぐったりしているといった脱水症状がみられたら、すぐに受診して静脈輸液を受ける必要があります。

ノロウイルス感染症

ノロウイルスは幼稚園や学校で集団感染を起こすことの多いウイルスです。実は昔から「お腹の風邪」と呼ばれていたのが「ノロウイルス感染症」にあたります。

流行時期 潜伏期間 症状 感染経路
11~3月 24~48時間
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 腹痛
  • 発熱
  • 感染者の吐瀉物・便
  • ウイルスに汚染した食品

年間を通して感染するウイルスですが、牡蠣が保菌していることが多いため牡蠣の旬となる11月~3月頃にノロウイルス感染症が流行しやすくなります。

少し前までは「ノロウイルス感染症の犯人=牡蠣」と思われていることが多かったのですが、ほとんどは感染者の排泄物からの二次感染であることが確認されています。

冬は牡蠣を食べなくてもどこからか菌をもらってしまう可能性があるので注意してください。

見分け方のポイント

  • 今まで元気だった子どもの顔色が悪くなり急に嘔吐の始まることが多い
  • 周囲またはお住まいの地域でウイルス性胃腸炎が流行している
対処法

子どものノロウイルス感染症が疑われる場合は小児科で診察を受けてください。

ノロウイルス感染症と診断されたら、周囲への感染拡大を予防するため医師の許可が出るまで幼稚園や学校は欠席しなければなりません。(学校保健安全法第 19 条による出席停止)

こまめに水分補給をしたり消化の良い食事をしたりして、家庭で休養します。

ノロウイルスは感染力の強いウイルスです。周囲でノロウイルス感染症が流行し始めたら、家庭では手洗いや調理器具の消毒を徹底し、ウイルス感染を予防しましょう。

ノロウイルス感染症は数日間で自然に回復していく病気で、大人なら発症しても比較的軽症で済むことも多いのですが、体力の弱い乳幼児と高齢者は重症化しやすいため注意が必要です。

ロタウイルス腸炎

3月まではノロウイルス感染症、引き続いて春からは「ロタウイルス腸炎」が流行します。

ロタウイルス性腸炎は0歳~6歳の乳幼児にとても多い感染症で、「乳児嘔吐下痢症」とも呼ばれています。

国立感染症研究所の情報では、年間を通しての国内における感染性胃腸炎患者の42~58%がロタウイル性腸炎の患者と推計されるといった報告も確認できます。

乳幼児の胃腸炎の中でも患者数の多い病気で重症化しやすいため、発展途上国ではロタウイルス性腸炎で死亡する子どもが多くなっています。

ロタウイルスはほとんどの人が6歳くらいまでに一度は感染するウイルスで、成長と共に免疫力がついてくると発症してもごく軽症で済むようになります。

流行時期 潜伏期間 症状 感染経路
3~5月 48時間
  • 嘔吐
  • 下痢(白色便)
  • 腹痛
  • 発熱
  • 感染者の吐瀉物・便
  • ウイルスに汚染した食品
見分け方のポイント

  • 下痢が1週間くらい続く
  • 白い水状の下痢便が出る(米のとぎ汁に似ている)
  • 39℃以上の高熱が出やすい
  • 特に2歳以下に好発する

ノロウイルス同様にウイルス感染者からの二次感染で発症します。少ない数のウイルスで発症し感染力が非常に強いので、注意が必要です。

ロタウイルス腸炎の危険なところは、乳幼児が初めて発症した時に重症化しやすく、下痢や嘔吐が激しいので脱水症を引き起こしたり、さまざまな合併症を引き起こす可能性が高い点です。

ロタウイルス性腸炎による合併症には

  • 腸重積
  • 腎臓障害
  • 肝臓障害
  • 脳炎・脳症
  • 心筋炎

といった重篤な病気が多く、合併症の後遺症が残る可能性もあります。

対処法

1~2週間で自然に回復することも多いのですが、5歳以下の子供では15~43人に1人の割合で入院治療が必要となるほど重症化しやすい病気です。

乳幼児は脱水が激しくなりやすいので嘔吐や下痢がみられたらこまめに水分を補給し、嘔吐や下痢の量が多い時はすぐ受診してください。

また高熱、けいれん、血便などの症状が見られたら合併症を引き起こしている可能性が考えられるようになるので、緊急受診が必要です。

ロタウイルスはノロウイルス同様にアルコールで死滅させることのできないウイルスなので、次亜塩酸ナトリウムまたは塩素系漂白剤で消毒し、発症している子どものお世話をした人は石けんを使って十分に手もみ洗いをし、ウイルスを洗い流してください。

またロタウイルスはワクチンが開発されているので、ロタウイルス腸炎の重篤化と合併症のリスクを抑えるために予防接種を受けておくこともおすすめします。

ロタウイルスワクチンの特徴と接種スケジュール

ワクチンの種類 接種回数 接種可能期間 最短接種間隔
ロタリックス 2回 生後6週~24週の間 全開の摂取から中27日間
ロタテック 3回 生後6週~32週の間 全開の摂取から中27日間

(国立感染症研究所「ロタウイルス感染性胃腸炎とは」より参照)

接種可能期間を過ぎると接種を受けることができなくなります。任意接種となりますが、なるべく早いうちに受けておくと安心できます。

2.ストレスや疲れで繰り返しやすい「周期性嘔吐症」

元気だった子どもが突然に嘔吐を繰り返すようになったら「周期性嘔吐症」が疑われます。

周期性嘔吐症は正式な病名ではなく、はっきりした原因がないのに起こる子ども特有の嘔吐のことです。

血液中にアセトン(ケトン体)という物質が増えることから「アセトン血性嘔吐症」とも呼ばれます。また覚えやすいよう、昔から「自家中毒」とも呼ばれてきました。

好発年齢は2歳~13歳で、特に幼児に多くみられます。痩せ型の神経質な男の子に起こりやすいのが特徴です。

見分け方のポイント

主な症状は嘔吐で、次のような特徴があります。

  • 顔面蒼白になって嘔吐が始まる
  • リンゴのすえたようなにおいの嘔吐物を吐く
  • 1日に何度も嘔吐を繰り返す
  • 発症すると1日~数日間続く
  • 年に数回発症することがある
  • 夜間または朝に起こりやすい
  • 顔面蒼白になり倦怠感を訴える
  • 重症になるとコーヒーかすような物を吐くようになる
  • 下痢は伴わない
  • 2歳以下ではほとんど起こらない

そのほか、めまい、頭痛、嘔吐せずに吐き気だけを訴える場合もあります。

発症のきっかけとなるのは

  • 精神的なストレス(環境の変化、遠足・試験などに伴う緊張や興奮)
  • 疲労
  • 感染症(風邪、副鼻腔炎など)
  • 食物(チーズ、チョコレートなど)

が挙げられますが、はっきりした原因は分かっていません。これらの刺激が脂質の代謝異常を起こして血液中のケトン体を増やし嘔吐を引き起こすとされています。

周期性嘔吐症は偏頭痛に移行しやすく、周期性嘔吐症を引き起こしていた子どもの約3割が大人になってから偏頭痛持ちになるといわれています。また、周期性嘔吐症を引き起こす子どもは、乗り物酔いもしやすい傾向があります。

対処法

子どもが嘔吐を繰り返したら小児科を受診しましょう。まずは検査で、嘔吐の原因となる病気がないか確認する必要があります。器質的な異常がなく、尿検査でケトン体の陽性反応が出れば周期性嘔吐症と診断されます。

家庭では安静にして休養し、脱水に気をつけて無理のない程度に水分摂取を心がけます。必要に応じて吐き気止めやブドウ糖液を投与する場合もあります。

周期性嘔吐症は思春期を過ぎると自然とおさまっていく病気です。嘔吐発作を繰り返しても成長を阻害することもありません。

しかし原因が精神的なストレスなら、子どもが抱える不安や緊張の元となる問題を解決しなければなりません。家族、担任の先生など周囲が子どもを取り巻く環境を整えてやり、ストレスを取り除いてやることも必要です。

嘔吐を繰り返すと、虫歯になったり嘔吐の不安から摂食障害を引き起こしたりすることもあるので、早めに対処して子どもの負担を減らしましょう。

3.「肥厚性幽門狭窄症」は生後2~3週間後から注意

赤ちゃんが生後2~3週間後から飲んだミルクを嘔吐するようになったら、「肥厚性幽門狭窄症」という病気が疑われます。どの年齢でも起こる病気ですが、特に男の赤ちゃんに多く1000人に2~3人の割合で発症しています。

肥厚性幽門狭窄症は、幽門(胃の出口)の筋肉が肥厚して幽門が狭くなり、胃の中のミルクが十二指腸に流れていかなくなる病気です。胃の中がミルクでいっぱいになると嘔吐してしまいます。

hypertrophic pyloric stenosis

はっきりした原因は分かっていません。

見分け方のポイント

赤ちゃんは胃の機能が未熟なため、ミルクを飲んだ後の溢乳(胃の中のミルクがげっぷと一緒に口からあふれること)はどの赤ちゃんにも起こります。これは問題ありません。

しかし、肥厚性幽門狭窄症だとミルクを嘔吐することで水分や栄養がとれなくなり脱水や発育不良を引き起こしてしまうため、早めに異常に気づいて受診することが必要です。

  • ミルクを飲んだ後、噴水のようにピューッとミルクを吐く
  • だんだん嘔吐の回数が増えてくる
  • 嘔吐した後はお腹が減ってミルクを欲しがる
  • 体重が増加しない、または減少している
  • 胃酸がなくなって体液がアルカリに傾くため、呼吸が浅くなる

対処法

肥厚性幽門狭窄症が疑わしい場合はすぐに小児科を受診してください。超音波検査をすれば容易に幽門の筋肉の肥厚していることが確認できます。

まずは水分や栄養を補給するために点滴治療が必要となります。幽門の筋肉を拡げる「硫酸アトロピン」という薬を内服することで治すこともできますが、薬で治らない場合は手術で肥厚した幽門筋を切開します。手術自体は簡単です。

4.時間が経過した後の異変にも注意!頭を打った場合

子どもが頭を打った後に嘔吐をすることがあります。

交通事故や高い所からの落下といった強い衝撃を受けた時は脳内出血や脳挫傷を起こしているおそれがあるので、すぐ病院へ搬送しなければならないことは言うまでもありません。

それ以外で「遊んでいて転んで頭を打った」「赤ちゃんが椅子から床に落ちた」といった日常で起こりがちな事故の場合はそれほど危険ではないことも多く、大人はどのように対処すれば良いのか迷ってしまうものです。

日常生活で子どもが頭を打って嘔吐してしまった時、まず考えたいのは次の2つです。

  • 軽い脳震とうを起こした
  • 泣き過ぎが原因で嘔吐してしまった

軽い脳震とうは、脳がダメージを受けていないため予後は良好です。泣き過ぎて嘔吐してしまうこともよくあるものです。

頭を打った後の気になる症状は

子ども嘔吐中枢が過敏なので何回か嘔吐をすることもありますが、嘔吐がおさまり、頭を打った後の生活でいつもと様子が変わらなければ、たいていは問題ないことが多いでしょう。

しかし子どもが元気そうに見えても頭を打った日は目を離さずに様子を観察しておく必要があります。

もしも次のような症状があれば、脳にダメージを受けている可能性が考えられるようになるので、迷わず脳外科を受診してください。

  • 激しい頭痛を訴える
  • 意識がない・意識がもうろうとしている
  • 嘔吐が激しい
  • けいれんする
  • 泣いて暴れる
  • ずっと機嫌が悪い

対処法

頭を打って1時間以内にこれらの症状が見られたらすぐ受診してください。1時間以内にこれらの症状が出なければ、脳に大きなダメージを受けている可能性は少なくなります。

ただし脳内出血を起こしている場合は後から症状が出ることが多いので、元気そうに見えても頭を打ってから6時間以内は注意して様子を観察しておいてください。

まれですが脳内出血により次のような症状が出てくる場合もあります。

  • 時間の経過と共に頭痛がひどくなっていく
  • 手や足がしびれる
  • ろれつがまわらない
  • 記憶喪失がある
  • 激しく暴れる
  • 眠り込むことが多い

嘔吐に伴いこのような症状が見られたら家族も明らかにおかしいと気付くはずです。すぐに治療をしないと後遺症が残るおそれがあるケースなので、迷わず病院へ連れていってください。

昔から、子どもが頭を打っても「たんこぶができていたら大丈夫」「激しく泣いたら大丈夫」と言われてきましたが、それは間違いだと指摘されるようになってきています。

たんこぶができていたり泣いたりしていても脳にダメージを受けている可能性はあります。気になる症状があればすぐ受診してくださいね。

5.発症してから24時間経過すると危険な「腸重積」

「腸重積」は腸の一部が折り重なるようにめり込んでしまう病気です。どの年齢でも起こりますが、2歳以下の赤ちゃんに多発し特に生後6ヶ月~9カ月の男の赤ちゃんに多くなっています。

normal bowel and intussusception

腸重積が起こる原因ははっきり分かっていません。ウイルス性胃腸炎で下痢を起こした後に合併症として腸重積が引き起こされることもあります。腸重積は女の子より男の子に多い病気です。

腸重積が起こると折り重なった腸が閉塞し、その先の腸に血液が流れなくなって一部が壊死してしまうおそれが出てきます。危険な病気なので腸重積が疑われる時はすぐ病院へ連れていかなければなりません。

こんな症状があったらすぐ受診を

腸重積は腸が重なる時に起こるお腹の激痛、嘔吐、下痢を伴い、次のような特徴があります。

  • 20分くらいの感覚で腹痛が起き、その度に火がついたように激しく泣く
  • 痛みがおさまると泣き止んでケロッとしている
  • 腹痛の度に嘔吐する
  • イチゴジャムのような真っ赤な粘血便が出る
  • 右上の腹部を押すとしこりがあり、痛がって泣く

粘血便が出たら腸の壊死が始まる可能性があるので、すぐに病院で治療を受けなければなりません。

対処法

腸重積は発症してから24時間以内に治療しないと命に関わることもあります。腸重積が疑われる場合は至急、赤ちゃんを病院へ連れていってください。

X線検査・バリウム注腸造影検査などで腸重積が起こっていることが確認できたら、腸の重なっている部分を元に戻すために肛門から空気や食塩水を入れて腸を押し戻す治療を行ないます。

ただし、すでに腸の壊死が起こっている場合は、開腹して壊死している部分を切除して腸を縫いつなげる手術が必要となります。

6.嘔吐に高熱・頭痛を伴ったら危険な「髄膜炎」を疑って

髄膜炎は、脳や脊髄を保護している「髄膜」に炎症が起こる病気です。

name of the meninges and Part

髄膜炎は大きく2つに分けて「細菌性髄膜炎」と「無菌性髄膜炎(またはウイルス性髄膜炎)」があり、それぞれ特徴が異なります。

病名 主な原因菌 好発年齢 死亡率
細菌性髄膜炎
  • インフルエンザ菌b型
  • 肺炎球菌
  • 髄膜炎菌
  • B群連鎖球菌
乳児 20~30%
無菌性髄膜炎
  • エンテロウィルス
  • ムンプスウイルス
  • ヘルペスウイルス

など

園児~小中学生 死亡はまれ

細菌性髄膜炎は母子感染、副鼻腔炎、中耳炎などがきっかけで血液感染して発症、無菌性髄膜炎はおたふくかぜやエンテロウイルスによる風邪などの感染症からウイルスが髄膜に感染して発症する病気です。

無菌性髄膜炎は時間の経過で回復しやすい病気ですが、細菌性髄膜炎が無菌性髄膜炎より症状が重くなりやすく、死亡したり後遺症が残ったりする確率が高くなっています。

こんな症状があったらすぐ受診を

細菌性髄膜炎と無菌性髄膜炎は共通して次のような症状があります。

  • 嘔吐を繰り返す
  • 激しい頭痛
  • 高熱(38℃以上)
  • 項部強直(首の後ろが硬直する)
  • けいれん
  • 機嫌が悪い、泣き声が弱々しい
  • 意識障害
  • など

まず子どもの嘔吐・頭痛・高熱がそろったら髄膜炎の可能性があると考えましょう。

項部強直は必ずしもみられる症状ではありませんが、家庭で髄膜炎かどうか判断する時の基準になります。首を前に曲げようとしても痛くて曲げることができなければ項部強直を起こしています。

対処法

おたふくかぜやヘルペスなどの感染症にかかっている時は髄膜炎の合併に注意しましょう。様子がおかしいと感じたらすぐ小児科または神経内科を受診してください。

髄膜炎は、早期に適切な治療を行なえば重篤化を防いで回復しやすくなります。腰椎から髄液を採取して検査して原因菌を特定し、原因菌に合わせた抗生剤を投与する治療が行なわれます。

体内から原因菌が減っていくにつれ症状もおさまっていきます。

赤ちゃんが感染する確率の高いインフルエンザ型B菌(ヒブ)と肺炎球菌はワクチンで発症を予防することが可能で、定期接種に指定され赤ちゃんのワクチン摂取率が上昇したことから近年は細菌性髄膜炎の発症数が減少し始めています。

接種スケジュールを調整し、早めにワクチン接種を受けておきましょう。

こんな時に起こりやすい!あまり心配いらない嘔吐

次に挙げるのは、子どもに起こりやすくあまり心配いらない嘔吐です。

泣いたり笑ったりする刺激で起こる嘔吐

赤ちゃんが泣き過ぎた時にミルクを吐き戻したり、子どもが笑い過ぎたりはしゃぎ過ぎて嘔吐してしまうことがあります。

これは胃に腹圧のかかることが原因です。子どもは胃の入り口にある噴門の筋肉が未発達で大人より締まりが弱いため、胃に腹圧がかかると嘔吐中枢が刺激されて嘔吐が起こってしまうのです。

赤ちゃんが指しゃぶりしたりおもちゃを舐めたりしている時に嘔吐するのは、喉の奥に機械的な刺激がかかる時に起こる反射的な嘔吐です。大人なら喉を刺激されても「オエッ」とえずくだけで済みますが,赤ちゃんはすぐ嘔吐してしまうのです。

対処法

嘔吐以外の症状がなく、嘔吐した後にケロッとして元気に過ごしているようなら、あまり心配いりません。

食事中または食事の直後に嘔吐した場合は、食べたり飲んだりする量がちょっと多かったのかもしれません。

子どもが嘔吐した後は白湯を少しずつ飲ませて気持ちを落ち着かせましょう。念のため、子どもが元気に遊んでいてもしばらく周囲の大人は子どもの体調に異変が起こらないか観察しておいてください。

咳に伴う嘔吐

子どもが咳き込んでいるうちに嘔吐してしまうことがあります。気道に絡んだ痰を出そうとして強く咳き込んだため、胃に複圧がかかってしまうのが原因です。

ぜん息の子どもは咳き込んで嘔吐することも多いのですが、嘔吐すると咳も落ち着くことがあります。これは気道を狭くしている痰が嘔吐物と一緒に出ていって楽になったため、とも考えられています。

対処法

咳が落ち着いたら白湯を少しずつ飲ませてあげましょう。

嘔吐自体はあまり問題ありません。咳の原因となっている刺激や病気のほうが問題です。喉が乾燥すると咳き込みやすくなります。子どもが風邪やぜん息で咳きこむ場合は、室内の湿度を上げて喉の乾燥を防ぎましょう。

ただし、子どもが高熱を出したりぐったりして元気のない時は、インフルエンザや肺炎などの病気を引き起こしている可能性も考えられるのですぐ受診してください。咳き込みがひどくて辛そうにしている場合も受診しましょう。

便秘

意外に思われるかもしれませんが、便秘も嘔吐の原因になりやすいのです。

子どもは消化器の機能が未熟なために便秘が起こりやすく、子どもが訴える腹痛のほとんどは便秘が原因になっています。また便秘に伴って吐き気や嘔吐も起こりやすくなります。

見分け方のポイント

下痢がなく腹痛を伴っていれば便秘の可能性が高くなります。

  • 当日はまだ排便していない
  • 排便が数日間ない
  • おなかをさすると硬く張っている

普段から排便回数の少ない子ども、偏食が多く便秘しやすい子どもも注意してください。また感受性の強い子どもは環境の変化などのストレスで便秘になってしまうこともあります。

対処法

排便すれば治ってケロッと元気になります。子どもを仰向けに寝かせ、おなかを「の」の字にマッサージしてみましょう。腸のぜん動が刺激されて便意を催しやすくなります。冷たい水をコップ1杯飲ませるのも腸の刺激になります。

子どもの便秘解消には浣腸が効果的です。市販の浣腸を試みるか、小児科を受診して浣腸をしてもらうとよいでしょう。

受診は?ホームケアは?子どもが嘔吐した時の対処法

子どもが嘔吐した時は、子どもの具合を総合的に見て受診するべきか判断しましょう。診察時間内に受診するのが一般的ですが、重症の場合はすぐ病院へ連れていく必要があります。

迷わずに救急車を呼んだり、夜間や休日の救急外来を利用してください。

様子を見ておく 受診する 急いで受診する
  • 1回吐いただけ
  • その後はケロッとしている
  • 何度も吐く
  • 下痢・腹痛・発熱を伴う
  • 機嫌が悪い
  • 吐瀉物に血液や胆汁が混じる
  • 脱水を起こしている
  • 意識がもうろうとしている
  • 高熱がある
  • 激しい腹痛・頭痛がある
  • けいれんしている
  • 血便が出る

判断しにくい場合は病院へ問い合わせて指示に従うと安心です。

また、子どもは自律神経が未発達なため、日中は元気にしていても夜から朝にかけて体調の悪くなることが少なくありません。

夜中に目が覚めて急に嘔吐してしまうことも珍しくなく、深夜に子どもが嘔吐すると家族も慌ててしまいます。まずは落ち着いて、子どもの様子を観察してください。

嘔吐、腹痛で夜間に救急外来を訪れる子どものほとんどは便秘が原因です。夜間に腸のガスが動いて刺激するため、嘔吐や腹痛が起こりやすくなるのです。

受診する前に子どものお腹をさすってみてください。下痢を伴っていない子どものお腹が硬く張っていたり、お腹の上から硬い便の感触が確認できたら便秘の可能性が高くなります。

このような子どもは救急外来で浣腸をして排便すると、症状がおさまってケロッとして帰っていきます。家庭に浣腸があれば試みても良いでしょう。

排便しても嘔吐の止まらない場合は、ほかの病気が原因になっている可能性もあります。検査を受けて原因を特定させ、治療を受けましょう。

嘔吐をしている時のホームケア

家庭で市販薬を与えて嘔吐や下痢を止めようとしないでください。症状が悪化する可能性があります。

また、子どもの嘔吐を伴う病気は、大半がウイルス性胃腸炎によるものです。薬で嘔吐や下痢を止めてしまうといつまでも体内にウイルスが残るため、かえって治りにくくなってしまいます。

家庭では、脱水を防ぐためにこまめに水分を与えて安静にして過ごしましょう。

子どもの水分補給に適した飲み物は以下のものなどです。

  • 乳幼児用のイオン飲料
  • 経口補水液
  • 白湯
  • 麦茶
  • 母乳・粉ミルク
  • 薄味のスープ
  • 柑橘系以外のジュースを薄めた物

一度にたくさん飲ませると嘔吐や下痢がひどくなるので、1回に50ccくらいの水分を大さじで一口ずつ飲ませてください。ゴクゴク飲んではいけません。

嘔吐を繰り返している時は絶食します。食事をしてよいかどうかは医師の指示に従ってください。

食事はおかゆ、軟らかく煮たうどんが良いです。炭水化物は消化吸収が良く、胃腸に負担をかけないためです。

なぜ嘔吐が起こるの?嘔吐の役割とメカニズムについて

嘔吐は体に備わる生体防御反応のひとつで、胃の中に入った異物や毒物を吐き出すために起こっています。

体が刺激を感じると脳の延髄にある「嘔吐中枢」が反応し、普段は閉じている胃の入り口(幽門)を開いて胃の内容物が吐き出すよう指令を出す、これが嘔吐の起こるメカニズムです。

嘔吐中枢に伝わるのは次のような刺激です。

  • 脳・消化器・前庭(耳の感覚器官)などにかかる機械的な刺激
  • 化学的な刺激(薬物・細菌)
  • 精神的なストレス・不快な感情 など

嘔吐が起こる前には「吐き気」を伴うのが一般的です。「吐きたい」と感じることで医学用語では嘔気(おうき)といいます。言葉の話せる年齢なら「気持ち悪い」「ムカムカする」と症状を訴えることもできるでしょう。

しかし嘔吐中枢のはたらきは自分の意志で制御できないため、刺激された瞬間に反射的に嘔吐してしまうこともあります。

小さな子どもは胃が小さく機能が未熟なために嘔吐することが多く、そのたびにママやパパはハラハラしてしまいますよね。

ご紹介してきたとおり嘔吐の原因はとても多く、あまり心配のいらない嘔吐と受診が必要になるケースがあります。

中には緊急治療が必要な場合もあるので、子どもが嘔吐をしたら子どもの様子をしっかり観察し、どう対処すれば良いのか速やかに判断してくださいね。

嘔吐するのは悪いことではない…子どもへの接し方も重要!

子どもが嘔吐したら、適切な治療が必要になるだけでなく、子どもの心理的な不安を取り除いてやることも忘れてはいけません。

子どもは年齢が小さくても嘔吐してしまったことに罪悪感を持ってしまうことがあります。

しかし嘔吐がトラウマになると、心因性の嘔吐を繰り返したり食事することを嫌うようになってしまうので、子どもへの接し方に注意してください。

嘔吐の役割は「身を守るための防御反応」でしたよね。嘔吐してしまうことは決して悪いことではないんですよ。

大人は「悪い物を出したからこれで元気になるね!」「頑張ったね。」と子どもの心をフォローする言葉をかけてあげてくださいね。

キャラクター紹介
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