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咳が二週間以上続いたら結核を疑おう

今、再び結核が頭をもたげ始めています。かつて結核は、「国民病」「亡国病」と言われるほどで、50年ほど前には結核により年間十数万人が亡くなり、日本人の死亡原因の第1位でした。

その後、抗結核薬の開発、衛生状態の向上、食生活の改善などによって、命が奪われる病気ではなくなっていきました。結核は減少していき、消滅したとも言われていました。

実際には結核は消滅はしておらず、1990年代半ばには増加に転じています。今でも年間約2万5000人が発症しています。現在、日本では1日に66人の結核患者が新たに発生し、毎日6人が命を落としているのです。

新たな問題になっているのは、超多剤耐性結核菌が生まれていることです。再び結核が死の病とならないために、結核は過去の病気という意識を変えることが必要になっています!

また結核は日本だけでなく、世界では多くの患者がいます。今でも毎年約130万人の人が結核によって亡くなっています。グローバルな社会ですから、結核は意外と身近な存在になっているのです。

結核の症状について知っておき、早期発見・早期治療につなげる事が大切です。また、不必要に恐れたり、結核患者に対して偏見を持たないためにも、正しい知識を持っておきましょう。

長引く風邪に注意ー咳や痰が2週間以上続いていたら結核かも!

なかなか風邪が治らない、咳や痰が続く…という方はいませんか?2週間以上そのような症状が続く場合は、「結核かもしれない」と疑いましょう。

結核の初期症状は風邪と似ています。主に、長く続く咳や痰、微熱などの症状が特徴です。人によっては、初期症状が咳だけの場合もあります。

次のような症状がないかチェック

  • 2週間以上続く乾いた咳
  • 痰が出る
  • 痰に血が混ざる
  • 微熱が続く
  • 寒気がする
  • 寝汗をかく
  • 倦怠感
  • 胸の痛み
  • 食欲不振
  • 体重減少

全てに当てはまらなくても、2週間以上咳が続くようなら早めに医療機関を受診しましょう。進行すると高熱が出たり、血痰や喀血(血を吐く)が起きたりします。呼吸困難に陥ることもあります。

もちろん、これらの症状が出たら必ず結核だというわけではなく、他に原因がある場合もありますが、いずれにしても病院で検査してもらった方が良いでしょう。

結核は、症状が軽い場合は本人も気付かないことがあります。健康診断を受ける人は胸部X線検査をしますね。あれは主に結核を発見するためのものです。この検査で異常が発見されることもあります。

風邪かな?と軽く考えず、しっかり見定めることが肝心なのです。
結核と風邪症状が似ているので入院になってしまったお医者さま

結核かもしれないと思ったらどの医療機関にかかれば良いか

結核かもしれない、と思ったら、かかりつけ医を受診しましょう。疑いが強いなら結核予防会の病院等にかかることができます。近くにそのような病院がなければ、最寄りの保健所に問い合わせして、結核診療が可能な地域の病院を教えてもらうことができます。

咳が出ているなら、万が一、結核のような感染症かもしれないことを想定して、マスクをするなどして感染を広げないようにも気をつけましょう。特に赤ちゃんは抵抗力が弱く、感染すると重症化しやすいので、うつさないよう気をつけましょう。

お年寄りについても、急に痩せてきた、と思ったら早めに医療機関で受診するようにしましょう。お年寄りは体力の低下によって、咳をする力がない場合もあります。咳が出ていなくても、結核を発病しているかもしれません。

結核という病気はどんなもの?結核になるとどうなるの?

結核は、結核菌が身体の中に入り、増殖することによって起こります。日本では、約80%は肺に炎症を起こします(肺結核)。

肺の内部で結核菌が増えると、様々な炎症を起こし、肺が破壊されていきます。そうすると呼吸する力が低下していきます。

肺以外にも、脳、脊椎、骨関節、リンパ節、胸膜、髄膜、腎臓、腸など他の臓器や、身体のあらゆる部分に影響が出ることもあります。

昔は結核によって亡くなる人が大勢いましたが、今は治療をすれば治ります。大切なのは、早めに治療すること、そして最も大切なのは最後まで治療を続けることです。

結核はどうやって感染するの?健康ならそんなに怖がらなくて良い

結核は空気感染によってうつります。

結核患者の咳やくしゃみから結核菌を含んだしぶき(飛沫)が出ます。このとき結核菌は水分に覆われていますが、水分が蒸発すると結核菌のみの状態で空気中に浮遊します。これを飛沫核と言い、この飛沫核を吸い込むことで感染します。

でも感染力はそんなに強くありません。感染力に関してはインフルエンザより弱いと言えます。結核患者のそばで結核菌にさらされたとして、感染するのは30%と言われます。接する機会の多い同居家族でも50%以下とされています。

さらに、感染したとしても実際に発病するのは5%から10%です。結核菌を沢山吸い込んだとしても、健康で体力があり、免疫力が正常であれば、発病することはほとんどありません。

結核菌は身体の外では長く生きられません。紫外線に弱く、日光に当たると数時間で死滅します。

通常は結核菌は、身体の抵抗力によって身体の外へ追い出されます。追い出されずしぶとく身体の中に残った菌は、免疫が結核菌を取り囲んで”核”を作り、封じ込みます。そうすると結核菌は眠った状態で身体の中に潜伏していることになります。

この状態は、感染しているけれど、発病はしていない、という状態です。ほとんどの場合はこのまま封じ込まれて一生発病せずに終わります。

日本では実は高齢者のほとんどの人がすでに感染している

現在の日本では、60代の30%、70代の50%はすでに感染していると言われています。つまり70代以上の人の2人に1人が、発病していないだけで結核菌に感染しているということです。

戦中戦後に結核が流行った時に多くの人が感染していて、免疫力が強かったために発病していなかった、というわけです。

ですからお年寄りはある意味、結核患者が身近に出たとしても、自分も感染したのではないか?と焦る必要はあまりありません。とうの昔に感染している可能性が高いからです。

結核が発病してしまったとしても、新たに感染したというよりも、ずっと自分の身体の中で眠っていた結核菌が、免疫力の低下によって眠りから覚めて活動を始めただけかもしれません。結核患者を悪者扱いしないようにしましょう。

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感染リスクが高い人は注意ー結核にかかりやすい人

感染力が弱いといっても、免疫力が低下している、また弱い人は、結核にも感染しやすくなります。うつらない注意、うつさない注意をしましょう。

感染するリスクが高い人

  • 糖尿病の患者
  • 胃潰瘍のある人
  • 痩せていて体力の落ちている人
  • 人工透析患者
  • 抗がん剤を服用している人
  • ステロイド剤を服用している人(喘息など)
  • TNFα阻害薬を服用している人(関節リウマチ患者など)
  • 長期間ストレスにさらされている人
  • エイズ(HIV/AIDS)患者
  • 高齢者
  • 赤ちゃん
  • 結核患者と長期間接触している人
  • 以前に結核にかかったことがある人
  • 過労の状態
  • 栄養不良の状態
  • ヘビースモーカー

こうした状態の人は、咳が続くと思ったら早めに受診するようにしましょう。また、不特定多数の人が集まる所へはなるべく行かないようにしたり、出かけるときにはマスクをするなどして予防を心がけましょう。

周囲の人も、風邪を引いたらマスクをするなど、感染のリスクを増やさないよう気をつけるようにしましょう。

感染しただけでは感染させない?感染・発病・排菌の違い

感染・発病・排菌の違いを知っておくことは、不必要に怖れない、結核患者を不必要に避けないためにも大切です。

まず、結核に感染しただけでは、人に結核をうつすことはありません。先ほど述べたように、感染していても免疫力によって結核菌が眠っている状態で、人生を普通に歩んで来られた高齢者は大勢います。

結核は感染した後、実際に発病して始めて、人にうつす可能性があります。

発病とは、感染した後、結核菌が活動して増殖し、身体の組織を冒していく状態です。症状が進むと、咳や痰によって排菌するようになります。(排菌:咳や痰と一緒に結核菌が空気中に吐き出されていること)

さらに、発病しても排菌していなければうつすことはありません。つまり、結核患者が結核菌を身体から出していなければ、うつらないわけです。

  • 感染・発病・排菌の違いまとめ
名称 状態
感染 結核菌が身体の中に潜んでいるが眠っている
発病 結核菌が身体の中で活動し増殖している
排菌 結核菌が身体の外へ出ている(他の人に感染させる危険がある)

ですから排菌しなくなれば、入院する必要はなく、通院で結核の治療をすることが出来ます。通常は、排菌していても治療を始めて2ヶ月ほどで排菌しなくなりますので、退院できます。

ただここで問題なのは、後でも取り上げますが、結核を発病して薬を飲み始めても、咳や痰などの症状がなくなると治ったと思い、治療途中に自己判断で薬を飲むのを止めてしまう人がいることです。

実際にはまだ治っていないので、結核菌が薬剤耐性を持ってしまうことがあるのです。その状態で再び発病してしまうと、始めの発病よりも治療がしにくく、厄介な病気になります。

結核の治療ー自己判断で止めず最後まで続けることが大切

結核を発病したならとても大切なのは、治療を最後まで続けることです。結核の治療は主に服薬です。抗結核薬を医師の指示通りに飲むことが大切です。

大抵は3種類から4種類の抗結核薬を6ヶ月間飲み続けます(人によって差はあります)。結核はどの薬に対しても耐性を持ってしまうという特徴があり、単剤で治療すると耐性菌を作ってしまう可能性があるからです。

これを症状がなくなったからと、途中で飲むのを止めたり、不規則に飲んだりすると、先ほど述べたように薬が効かない薬剤耐性菌を作る原因となります。

そのため、確実に治療するため、医療従事者が患者を訪問し、服薬するところを目の前で確認し、完治するまで支援するという方式が推進されています。これをDOTS(ドッツ)と言います。

ドッツ:DOTS(Directly Observed Treatment,Shortーcourse)直接服薬確認療法

また、服薬が終わっても、その後もしばらくは定期的に病院を受診する必要があります。

多剤耐性結核(MDRーTB)(MultiーDrug Resistant Tuberculosis)

多剤耐性結核菌は、定義として少なくともINH、RFPの両薬剤に対して耐性を持つ菌、とされています。

主要薬剤(INH、RFP、EB、SMなど)に耐性があると、クロニクス(chronics)と呼ばれ、排菌し続ける持続排菌者となり、長期入院が必要になります。予後不良(回復が極めて困難)で、結核治療における残された問題となっています。

初めての結核治療ではまれですが、再発した時に多剤耐性菌になっていることがあります。このような菌を作らないためにも、服薬をきちんと続けることを徹底させることが重要です!

超多剤耐性結核(XDRーTB)(Extensively DrugーResistant Tuberculosis)

超多剤耐性結核は、多耐性結核菌よりも薬剤耐性が進んだ結核菌です。その概念は2006年に発表され初めて登場しました。

多剤耐性結核の国際的な治療方針として、フルオロキノロンと、注射二次薬(カナマイシン、アミカシン、カプレオマイシン)を用いることになっています。

WHO(世界保健機関)の2006年の発表によると、フルオロキノロンと、注射二次薬の少なくとも1つに対して耐性を持つ結核菌を超多剤耐性結核と定義されています。

結核は初めの発病でしっかりと最後まで治療をすれば怖い病気ではありません。でも多剤耐性結核を作ってしまうと治療が困難になります。

自分や身近な人が結核になったら、不必要に恐れる必要はありませんが、このことを忘れないようにしましょう。

結核になったら治療費は高い?治療費の心配について

結核患者には、感染症法による医療費公費負担制度があります。

(医療費公費負担制度:経済的理由から結核患者が充分な治療が受けられないことがないよう、公費によって治療費の域部を負担する、という制度。)

指定医療機関の担当医が診断書を作成し、それを患者が保健所に提出して申請し、結核審査協議会の審議に基づいて知事によって承認されれば、可能です。

詳しくは、医療機関や保健所、自治体にお問い合わせください。

ただ、公費負担額は、それぞれの世帯の所得税額や、入院か外来かなどの違いによって異なります。

結核を発病した場合の入院期間や治療期間はどのくらいか

結核を発病して、排菌している場合は入院となります。排菌していなければ、人にうつすことはないので通院で治療することが可能です。排菌しているかどうか調べるため、痰の飛沫検査を行ないます。

通常は2ヶ月程度の入院の後、退院して治療を続けることになります。ただ人によって病状や経過は異なるので、期間も異なります。退院した後も、3ヶ月から6ヶ月ほどの間は服薬を続ける必要があります。

服薬が終わっても、約2年は再発しないか観察期間となります。

身近な人に結核を発病した人がいても慌てなくて大丈夫

結核を発病し、排菌している患者がいて、周囲の人に感染させた可能性がある場合、管轄の保健所が患者の病状や、周りの人の年齢や接触状況などを見て、患者に接触した人の健診を行なうことになります。

結核菌の増殖には時間がかかるので、すぐに検査しても感染したかどうか分かりません。そのため、感染源の患者が結核と診断されてから1ヶ月から2ヶ月後に、保健所が必要と判断した人に対して、健診を実施します。

健診をするのは、結核の”発病”と”感染”を見つけることが目的です。発病していたらもちろん早めの治療を、感染していることが分かったなら、抗結核薬によって発病予防を行ないます。

でも先ほど述べたように、結核の感染力はそんなに強くないですし、感染しても発病することはそんなにありません。またきちんと治療をすれば、現代は治る病気です。

また、感染していたとしても、最近感染したわけではなく、ずいぶん前にすでに感染していた可能性もあります。検査で感染した時期を特定することはできません。必要以上に怖れたり、結核患者を白い目で見たりすることは避けましょう。

結核を発病した人は大抵、申し訳ないという気持ちになっていたり、周りの人から(不必要に)避けられたりして辛い思いをしています。

BCGを受けていれば大丈夫?BCGの効果は15年くらい

赤ちゃんの時にBCGの摂取をしますね。これは結核の感染や発病のリスクを下げ、発病しても重症化するのを防ぐためのワクチンです。結核菌が侵入した時に備えて免疫をつけておく、というのがねらいです。

赤ちゃんのときは抵抗力が弱いため、結核に感染すると髄膜炎や粟粒結核(ぞくりゅうけっかく:全身に大量の結核菌が広がり、結核が複数の臓器や組織で起こる)など重症化することがあります。

そのため日本では生後1歳までにBCG接種をすることになっています。(5ヶ月から8ヶ月までの期間にすることが多い)生後1歳までは自治体等の負担でBCG接種を受けられます。自治体の案内にしたがって接種しましょう。

ただ、赤ちゃんのときにBCGを受けていれば、その後は結核には感染しないというわけではありません。BCGの効果は10年から15年くらいと言われています。

BCGは小児のときの結核予防には有効ですが、成人になってからの予防には、あまり効果は期待できません。

先進国の中では結核患者数が多い現在の日本の状況

結核患者が人口10万人あたり10人以下の国を”低まん延国”と呼びます。結核は人口100万人あたり1人以下になって初めて、”制圧”と言われます。

欧米先進国はほとんど”低まん延国”になっていますが、日本は10万人あたり18.2人(2010年)なので”中まん延国”です。先進国の中では結核患者が多い国なのが現状です。

日本では現在、患者の65%は60歳以上の高齢者ですが、若い人も無関係ではありません。35%は20歳から59歳の働き盛りが占めています。都市部では若い世代の発病が目立ちます。

若い人は結核菌に感染した場合、初めての感染で免疫を持っていない場合が多いので、発病に至りやすい傾向があるようです。

また、若い人は結核についての知識があまりないことも多いため、咳が続いても受診せず日常生活を過ごし、その結果、周りの人にうつしてしまうケースもあります。

そのように、結核は「過去の病気」と思われている状況が一般の人にも、医療関係者にもあります。それによって受診が遅れたり、診断が遅れたりすることがあり、集団感染につながることがあります。

特に大都市圏は、人口も多く、外国人も多く集まるため、結核患者数が多くなっています。

現代のグローバル社会において結核を広げないために

結核は、HIV、マラリアと共に世界の3大感染症のうちの1つです。

世界を見ると、実に3人に1人が結核に既に感染している状況です。結核は単一の感染症としては、エイズに次いで2番目に死亡者数が多い疾患なのが現状です。死亡率の高い、エイズと結核の重複感染も問題を深刻化させています。

WHOによれば、2013年には900万人が新たに発病、150万人が亡くなり、多剤耐性結核を発病した人は48万人と推計されています。

現代は世界中の人が、世界中を移動することが出来る社会です。それは可能性を広げ視野を広げる、本当に良いことですが、同時に感染症が広がりやすい状況でもあります。

大都市においては様々な国から不特定多数の人が集まり、接触します。多くの人が海外旅行に行っています。建物の気密性も高くなっています。

ですから一つの国において結核をなくす努力をしても、結核がなくなることはありません。世界の結核をなくす、という視点がこれからは必要になっています。

咳をするときには口を覆ったり、マスクを着用する、早めに病院へ行く、といったことを個々の人が徹底することが大切です。

日頃から感染症に強い身体を作るー結核に感染しないためには

結核はそんなに感染力が強くない、ということでした。日頃から健康管理に気をつけて、免疫力を高めておけば、結核だけでなく様々な感染症をはねつけることができます。

また、2週間以上咳が続くようなら早めに病院へ行きましょう。

免疫力を低下させないためにできること

  • バランス良く栄養を摂る
  • 必要な休息をとる
  • 夜更かししない
  • 適度に運動する
  • タバコは吸わない

なるべくこのようなことを心掛け、自分にできる範囲で、身体を健康な状態に保ちましょう。そうするなら結核に感染していたとしても、出来る限り発病を防ぐことができます。

結核に対して正しい知識を身につけることで、不必要に結核を恐れないだけでなく、世界の結核の根絶に向けて、各自出来ることを行なっていきましょう!

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