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下痢・下腹部痛は子宮筋腫でも大腸炎でも起こる!見極めるには?

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下腹部が痛くなって下痢をする、症状がない時は忘れているくらいだけど、周期的に表れる発症の時期にはひどい下腹部痛と下痢に苦しむ。そんな症状があります。

これが男性ならだれでも胃腸の病気を疑いますが、女性の場合その周期が生理周期と連動してくることがあると厄介です。

女性特有の病気と消化器の病気の関係は?それをきちんと判断するにはどうすればいいのでしょうか?

女性と下痢の関係は生理周期に影響している

女性には、生理周期と合わせて下痢をするという症状をお持ちの方もいます。また、子宮筋腫をお持ちの方は、その症状が酷くなりやすいと言うこともあります。

そのせいで、周期的な下痢があっても生理的なものだと気にしない方も少なくありません。なかには普段便秘だから、たまに下痢するぐらいの方がいいなんて豪傑もいるようですね。

生理の作用で大腸も動き出す!連動する臓器たち

生理の際には、経血を排出するための動きに連動して、近くにある大腸も一緒に収縮運動をします。このため下痢をしたり、下痢にはならないまでも、普段よりおなかが緩くなりやすいと言う傾向があります。

そして、その傾向は子宮筋腫を持っている人には強く表れることも珍しくありません。子宮筋腫自体は、必ずしも治療が必要になるとは限らない病気ですので、下痢があっても、ひどくなければ下痢止め程度の対応になることもあります。

しかし、子宮筋腫のせいで周期的な下痢があると思っていたら、意外な病気が裏に潜んでいたと言うこともあるのです。

潰瘍性大腸炎と言う難病に女性も注意して!

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厚生労働省が指定する特定疾患、通称「難病」。130種類ある難病の一つに数えられているのが潰瘍性大腸炎です。

一度発症すると、何か月もひどい下痢や血便が続くタイプの人がいるかと思うと、下痢止めなどを処方されて3日から1週間くらいで症状が治まり、また1~3か月後に再燃すると言う人もいます。

患者は年々増加…原因がわからない潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎の原因はまだわかっていません。

口から肛門まで全消化管に炎症がおこるクローン病と、肛門から大腸にかけての位置に発生するこの潰瘍性大腸炎は、ともに厚生労働省指定の特定疾患です。

そしてどちらも原因不明で、発症場所以外は共通要素が少なくないところから、2つ合わせて炎症性腸疾患と呼ばれることもあります。

この病気を持病として持っているとされる安倍総理も、17歳の時に初発したと言う情報があるように、もともとは20代を中心とした若者に多い病気でした。

しかし、最近では子供や中高年、50代以降になって初めてこの病気が出たという患者さんが増えています。

2013年には、全国で16万6千人余りの患者さんが、医療受給者証や難病登録者証の交付を受けています。また、近年の増加率を見ると、1年平均で5000人を超え、1万人に届こうかという勢いで患者数が増えているそうです。

症状の出方にも個人差が大きいのがこの病気です。主な症状は、腹痛・下痢・血便・発熱などです。

これらの症状は様々な病気で共通していますので、病院にかかって検査を受けたとしても一回で病名が付かないことも珍しくありません。

また先にお話しした通り、女性の場合ではそれほどひどくない子宮筋腫があると生理に連動した下痢だと思い込んで、内科のお医者様にかからない人もいるようですね。

上半身が痩せてきたら!消化器内科を受診しよう

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女性で、子宮筋腫に連動した下痢があると感じている人でも、よく注意していれば、婦人科系の病気とは違うことが分かると思います。

生理の時期の下痢の場合、粘液便や血便があっても見落とされてしまうことも少なくありませんが、例えば体重の減少、特に上半身がやせてくると言うのは、潰瘍性大腸炎の特徴的な症状の一つです。

そうした体重減少があれば消化器内科を受診しましょう。

そのほか、必ずあると言うわけではありませんが、

  • 口内炎
  • 歯肉炎
  • 肛門の潰瘍
  • むくみ

が表れることもあります。

また、周期的に下痢が治まっていたのが連続し始めたり、生理の周期と関係がなくなってきた時も消化器内科の受診にはいいタイミングです。

腹痛と下痢は診断が難しい…可能性を徹底的に疑え!

世の中には、おなかが痛くなる病気なんて、数えきれないぐらい存在します。そして、その多くが下痢を伴う病気であることは言うまでもないでしょう。また、その病気が腸に原因するものの場合、下腹部が痛くなるのも珍しくありません。

ですから、下腹部痛と下痢を訴えて消化器内科などを受診しても、まずは食中毒や感染症を疑うところから始まります。

蹄の音を聞いたら馬を疑え

これは、「蹄の音を聞いたら、それはシマウマがやってきたのではなく、誰かが馬を連れてきたのだと考えなさい」と言う意味合いで使われることが多い言葉です。

これは「疑問に対しては、最も高確率の物を最優先の回答候補にしなさい。」と言う、面白そうだと言うだけの思い付きに飛びついてはいけないと言ういましめです。

そして、腹痛と下痢と言う症状に対する、最も高確率の回答は感染性胃腸炎と食中毒です。ノロウイルス感染症のように、人から人へ感染すると同時に食べ物に付着して食中毒を起こす、両方の性質を持つものもあります。

検査でこの可能性はないと言う結果が出て、さらに食物アレルギーでもないと言うことになってはじめて、潰瘍性大腸炎の内視鏡検査と言うことになるでしょう。

これらの検査の途中、血液検査で針を刺したところが真っ赤にはれあがって、ベーチェット病だったことが分かったりすることもあります。

ただ、ベーチェット病での腸炎は副次的な症状ですので、口内炎や皮膚や目の炎症などの主な症状があって、最初からその病気を疑うことの方が多いと思われますね。

この病気は、粘血便・血便が続くか繰り返されている、あるいは検査直前まで続いていたことを前提に、大腸の内視鏡検査やバリウムを入れての大腸X線検査、そして組織を採っての検査などを行って確定診断をつけます。

推定される原因で治療は可能!分類を知って心を構えよう

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先にお話しした通り、この病気の原因はまだ分かっていません。しかし、ある程度までは推定できているようですので、それに沿った方法での治療法も確立されつつあります。

治療については、お薬を飲んだり、血液の成分を一部取り除いたりするほか、重症の場合外科手術もあります。また、軽症以外の場合は、難病として治療費の公費補助もありますので、治療を受ける環境は整っていると言えるでしょう。

まだ完全には判っていないものの、主な原因は自己免疫疾患であると考えられています。つまり、本来侵入者をやっつけるための機能が、自分自身の細胞に対して働いてしまうと言う病気だと言うことです。

その原因となる抗体も特定されているところから、大まかな流れはそれで間違いないのでしょう。ただ、引き金となる抗原のほうがまだ特定されていないので「原因不明」と言うことなんです。

その他、硫化水素を出す腸内細菌や、突然変異で病原性が強くなった虫歯菌の関与も考えられているようですが、現段階では副次的な影響だと言わざるを得ないかもしれません。

さらに、ストレスなどの心理的な影響とか、家族内での複数発症例がそこそこあることから、遺伝的な影響も考えられています。

重症度の分類が決められる4段階の診断

この病気は、軽症・中等症・重症・劇症の4段階に分かれて診断されます。その中で、軽症以外の人は、治療費が公費補助の対象になるのです。症状の重さについて見てみましょう。

  • 1日に4回以下の排便
  • 血便はないか、あってもわずか
  • 体温は37.5℃未満
  • 脈拍は90回/分未満
  • Hb10g/dL以下の貧血がないこと
  • 赤血球沈降速度が正常であること

潰瘍性大腸炎と診断された上で、この条件すべてを満たした場合は軽症と診断されます。逆に、1項目でもこの条件を満たさなかったら、少なくとも中等症以上と言うことですね。

そして、排便回数が6回以上になり、血便がとてもはっきり分かる状態になった時、体温と脈拍の両方が上の条件から外れたら重症です。

また、体温と脈拍、どちらか片方だけの異常であっても5番目の貧血があるか、赤血球沈降速度が30mm/h以上になったら重症と診断されます。

もちろん全部揃ったら文句なく重症ですね。

さらに、この重症の中で

  • 1日15回以上の血便の下痢が続いている
  • 38.5℃以上の高熱
  • 10000個/1立方mm以上に白血球が増えている
  • 強い腹痛がある

がすべて揃ったら劇症型と診断されます。劇症型の場合、助からないケースも多いだけに、かなり怖い病気とも思われますが、最初の症状が劇症型になる急性電撃型と呼ばれるものはわずかです。

ですから、症状が悪化して劇症化することのないように、早めに治療を始めるのが良いですね。

手術対応にならず、お薬や血液成分の調整だけの治療の場合、寿命に影響しないとも言われています。

潰瘍性大腸炎を救う内科的治療と外科的治療

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この病気は、基本的にお薬を飲んで治療することが中心になります。お薬だけでは効き目が少ない時は、血液から白血球を取り除くと言う治療がおこなわれることもあります。

それでも重症化してゆく場合には手術と言うように、段階を追って治療法も様々存在しています。

薬を飲む

中等症くらいまでの人にはメラサジンと言う炎症を鎮めるお薬が使われます。飲み薬であったり、座薬であったりしますが、炎症を鎮める働きがあるので、下痢や血便に良く効きます。

また、症状が治まっても、このお薬を使い続けることで、症状が再び現れてくることを予防する効果もあります。

重症の場合は副腎皮質ステロイド剤が使われます。これで症状が治まったら、その状態を維持するために免疫調整薬がつかわれるでしょう。ステロイドが効かない場合にも、いろんなお薬がありますので心配は要りません。

例えば、本来は抗生物質ですが、アトピーや自己免疫疾患に良く効くお薬が使われることもあります。免疫抑制剤とか何種類かのモノクローナル抗体など、対処法がさまざま研究されているようですね。

白血球を減らす

こうしたお薬がどれも効かない場合や、急いで症状を改善しないといけない場合には、血液を抜き取って、フィルターを通して白血球を減らしてから血管に戻すと言う治療法もあります。

お薬を使うことを含めて、こうした方法で効果が出た場合、その後の寿命には影響しないとされています。

外科手術で対応する

これらの治療で、どうしても治らない場合は、外科手術で大腸を全部取り除いてしまいます。昔はこの手術に伴って人工肛門の導入が行われたので、生活品質が大きく損なわれました。

しかし、近年では手術の技術開発のおかげで、肛門機能を残したまま大腸の全摘出ができるようになったので、手術後の生活品質は、かなり温存できるようになりました。

強いて言えば、排便回数が増えることと、温存手術を行った部分から漏れたりしていないかのチェックを、定期的に通院して行う必要があると言うことでしょうか。

難病でも…日本に生まれてよかったーっ!

確かにこうした病気は肉体的だけではなく、精神的・経済的にも負担が大きいものです。

しかし、少なくとも医療費については国民皆保険の制度や公費負担もありますし、日本と言う先進医療の進んだ国に住んでいる幸運のおかげで死は遠くにあります。

ですから、患者の側の恐怖心から受診が遅れて重症化しないように、時には勇気を持って病院に行くことも必要ですよね。

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