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マダニに刺されたら!死亡例もある感染症の症状とマダニ予防・対策法

ハイキングを楽しむ男女

「○○県の男性が、マダニによる重症熱性血小板減少症候群を発症し死亡」といった事故のニュースを目にすることがありますね。

重症熱性血小板減少症候群、この病名を聞くようになったのはほんの数年前で、「ダニに噛まれて死ぬ病気」というイメージはあっても、具体的にどんな病気なのかまだピンと来ない方も多いのではないでしょうか?

重症熱性血小板減少症候群は西日本を中心に発生しており、主に山や草原に生息するある虫が媒体となっていることが確認されています。この感染症を媒体する虫こそが、日本中に広く生息しているマダニなのです。

マダニの発見される地域は徐々に広がっており、いつ誰が噛まれるかも分かりません。新しいものでは40代の男性がマダニによるダニ媒介脳炎を発症し亡くなってしまいました。この症例は国内で2例目で、死亡例はなんと初めてです。

マダニから身を守るため、重症熱性血小板減少症候群について勉強し「万が一」に備えましょう。

マダニの画像ありです!苦手な方はご注意ください。

【画像あり】想像より大きい!?どんなダニ類に病原体があるのか

国立感染症研究所の調査によると、現在で複数のマダニにウイルスの遺伝子が存在していることがわかっています。ダニ類の中で報告があったのは以下の種類です。

  • フタトゲチマダニ
  • ヒゲナガマダニ
  • オオトゲチマダニ
  • キチマダニ
  • タカサゴキララマダニ

フタトゲチマダニ
フタトゲチマダニ
タカサゴキララマダニ
タカサゴキララマダニ

しかしこれらのマダニのすべてにウイルスによる人への感染について関連があるのかどうかはいまだ明らかになっていません。またすべてのマダニの種類でウイルスが確認されているわけではなく、ウイルスの保有率などの研究が日々進められています。

注意したいマダニの大きさはなんと人の爪くらい!

ダニ、と聞くと布団の中やほこりの中にいる目に見えるか見えないか…くらいの大きさを想像される方が多いのではないでしょうか。

家の中にいるダニは肉眼では見えづらい小型のダニであり、布団や畳などに生息しています。これらはイエダニやヒョウダニなどで、アレルギーを引き起こす原因として有名ですが、SFTSとは関係なく媒体にもなりません。

SFTSウイルスを持っているマダニは3~8mmほどの大きさがあり、吸血後にはなんと10~20mm程度にまで大きくなるのです。人の爪くらいの大きさですね。

痛み、かゆみ、腫れは起こる?マダニにかまれると出る症状

痛みやかゆみは軽く、ほとんどはレジャーなどでうごきまわっているときにかまれるのでたいていは気付けません。皮膚に付着している黒いかさぶたのようなものを見て初めて「マダニに噛まれた」と気付くという例が多いようです。

しばらくすると赤くなり腫れが伴います。

ニュースで時折見かける重症熱性血小板減少症候群(SFTS)って?

マダニがウイルスを媒介する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は近年中国で新しく確認された病気で、日本に海外渡航歴のない発症者が初めて確認されたのも2013年とほんの数年前のことです。

SFTSウイルスに感染することで様々な症状が現れ、致死率は6.3〜30%と非常に危険なダニ媒介性感染症です。

感染経路はウイルスを保有するフタトゲチマダニなどのマダニで、これらに噛まれることにより感染します。(一般的に”刺される”と表現されることが多い)

しかし噛まれる以外にも、感染者の血液等の体液接触による二次感染もあり得ることが報告されています。

SFTSには有効な治療薬やワクチンがありません。特に治療法がなく対症療法しか望めず、致死率も高い…これがSFTSの怖いところなのです。

SFTSの症状と潜伏期間

  • 発熱
  • 倦怠感
  • 食欲低下
  • 消化器症状(吐き気、嘔吐、腹痛、下痢)
  • 頭痛
  • 筋肉痛
  • リンパ節の腫れ
  • 出血症状(皮下出血、血尿、血便、下血)

さらに重症化すると、けいれん、意識障害、多臓器不全、昏睡といった重篤な症状も起こるようになります。

SFTSウイルスに噛まれてから発症するまでの潜伏期間は6日間~2週間。マダニに噛まれても痛みはなく、発症しても最初は単なる体調不良と間違えるかもしれません。

マダニは一度皮膚に吸着するとしっかり噛みついて簡単には取れなくなり、中には数日間もそのまま吸血し続ける場合もあります。

国立感染症研究所から報告されている感染者数、患者数と発症時期

2016年6月現在、感染が報告されている日本国内の報告数です。

感染症発生動向調査で報告された重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の感染者数の概要表

(参照…国立感染症研究所)

現在までに200人近くの方が亡くなっているのです。50代以降は死亡率が上がることから、感染には予防が必要なことがお分かりいただけると思います。

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の症例の発症時期グラフ
(参照…国立感染症研究所)

感染、発症の報告は冬期にはあまりみられませんが、5月~8月あたりには多く届け出があったデータから、やはり夏のレジャーなどには注意が必要でしょう。

またSFTS症例の届出地域の図では西日本に多く分布していることがわかります。国内分布調査は以下のようになっています。

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の発症届出地域の図

日本で初めて患者が認められたのは2013年の1月でしたが、さかのぼって詳しく調査すると2005年から2012年の間にも10名の感染者が確認されたのです。つまり、以前よりマダニの脅威は身近にあったのです。

ニュースになったダニ媒介脳炎での死亡例は日本国内では初でした。場所はダニ媒介脳炎が2例確認されている北海道なので、マダニによる恐怖は北から南へ広く及んでいることがわかります。

マダニに噛まれたら助からないの?もし噛まれたらこう対処する

…とここまでの一般的な情報を目にすると「マダニは我々の身近にもいる虫で、最悪噛まれたら30%の割合で死も覚悟しなければならない」と、ちょっと不安になってしまいます。

しかし、マダニに噛まれて必ずしもSFTSを発症するわけではないのでご安心ください。というのもSFTSウイルスを持っているのは一部のマダニで、当然ウイルスを持っていないマダニに噛まれただけならSFTSを発症することもないのです。

仮にSFTSウイルスを持つマダニに噛まれたとしても、早期に発見して適切な対処をすればSFTSの重症化を防ぐ確率も高くなります。

また現段階では、SFTSウイルスに感染しても軽症で済む場合や症状が特にみられないケースもあるのでは、と推測されています。

むやみにSFTSを恐れパニックに陥ってはいけません。まずはマダニに噛まれないよう防虫対策することはさることながら、噛まれた時の適切な対処法を把握しておくことが重要なのです。

体にマダニを見つけたらすぐ医療機関へ!皮膚科なら間違いない

マダニを見つけたらすぐ皮膚科を受診しましょう。これには2つの理由があります。

1つは一度噛みつくと簡単には取れないマダニを素人が取ろうとすると、マダニの吸い口からウイルスが体内に逆流しやすいので、皮膚科で正しい方法でマダニを取り除いてもらうため。

もう1つは、傷口の洗浄や薬の投与といった適切な治療を一刻も早く受けることで、症状の悪化を食い止めることができるためです。

もしマダニを自分で取り除くことができても、そのまま放置してはいけません。折れたマダニの口が皮膚の下に残っている可能性もあり、そのままにしているとそこから化膿してしまいます。また血液検査をしてSFTSに感染していないか確認することも必要だからです。

また、ライターや線香での火であぶったりアルコールや除光液の刺激でマダニを取り除く民間療法があるようですが、失敗しやすく逆効果なのでこれらの方法はおすすめできません。

入浴時に全身をチェックする

またマダニを見つけるには、意識して体をチェックする必要があります。マダニは体長3mm以上の肉眼ではっきり分かる大型のダニですが、噛まれても気づかないことも多いからです。

入浴時には、体を洗う時などに全身をチェックしましょう。日頃から皮膚に異常がないか確認する習慣を持つことをおすすめします。

  • 髪の毛の中
  • 手首
  • わき
  • 胸の下
  • 膝の裏
  • 足の付け根(そけいぶ)

などに確認されることが多いので、特に念入りに見てくださいね。

また草むらや林に入った日は、特に入念にマダニをチェックしてください。帰宅した時には家に入る前に、衣服に粘着ローラーやガムテープを使うと、マダニがいた時に取り除くこともできます。

マダニに噛まれたら2週間は体調に注意する

マダニに噛まれてしまったら、2週間程度は体調の変化をよく観察してください。特に重症化しやすい高齢者は注意が必要です。

もしなんらかの症状に気付いたらすぐ内科を受診するようにしてください。その際はマダニに噛まれたことも伝えます。

SFTSの症状に気づいてすぐ受診し、適切な早期治療によって良好な経過をたどった徳島県の男性(73歳)の症例もあります。(国立感染症研究所「フタトゲチマダニ刺咬後に早期診断され良好な経過をたどった重症熱性血小板減少症候群の1例」)

予防には何より噛まれないようにすること!マダニ予防方法

重症熱性血小板減少症候群にかからないようにするためには、マダニに噛まれないようにすることがもっとも大切で簡単でしょう。

草むら、藪(やぶ)などに入る時は、マダニが多く生息している可能性が高いために注意が必要です。

  • 長袖、長ズボンを着用する
  • 靴は足元をおおうものを選ぶ(サンダルなどは危険です)
  • 帽子、手袋を着用する
  • 胸元があいた服装は避け、首にタオルを巻く

トップスの裾はズボンの中に入れる、ズボンの裾は靴下に入れたり靴に入れたりとしてください。また衣服の色は明るいもののほうがマダニを確認しやすいので良いでしょう。

ナイロン製などの化学繊維は、ダニを滑らせて付着させにくいのでおすすめです。

マダニは木の葉から落下してくる場合もあります。髪の毛の中に入ってしまうと発見しづらくなるので、帽子はかぶっておいた方が賢明です。

定期的に同伴者と身体のチェックを行い、ダニが服についていないか確認し合って下さい。

帰宅後、上着などは家の中で脱ぐのではなく、玄関などで脱いでかるく叩いたり振ったりしましょう。

人気歌手も寝たきりに!日本紅斑熱やつつがむし病、ライム病もマダニが原因

ちなみにマダニが媒介するのは、SFTSウイルスだけではありません。日本には47種類のマダニが生息しており、種類によってさまざまなウイルスを媒介しています。代表的なものとして、

日本紅斑熱
日本紅斑熱リケッチアに感染。発疹、倦怠感などを伴う。
つつがむし病
ツツガムシリケッチアに感染。発疹、高熱などを伴う。
ライム病
ボレリアに感染。特徴的な紅斑、体調不良、発熱などを伴う。

などがあります。これらの感染症は国内での年間報告数もそれほど多くなく、SFTSと異なって抗菌薬で治療することもできます。

ただし重症化したり死亡したりする場合もあるので、注意しなければなりません。例えばライム病は、カナダの人気歌手アヴリル・ラヴィーンさんも2014年に発症し、5か月間寝たきりで重篤な症状に苦しんだ病気です。

日本では、主に東北や北海道でつつがむし病とライム病、関東以西でつつがむし病が発症しています。マダニの生息していそうな場所に行く時は、防虫対策をしっかり行いたいですね。

わんちゃんも危ない!犬のマダニ感染を防ぐために

人間と同様、犬もマダニに噛まれて感染症を起こしてしまいます。重症熱性血小板減少症候群(SFTS)も例外ではありません。

  • 発熱
  • 疲れやすくなる
  • 舌や歯茎が白っぽい

などの症状が見られたら、動物病院へ連れて行ってあげましょう。

散歩から帰ってきたら、身体を触り目視でもマダニを探しましょう。マダニは比較的大きいダニなので、目の細かいブラシで毛をといであげるのも効果的です。

また以下のような毛の薄い、細かい場所に付着しやすいので、特に注意して見ておきましょう。

  • 顔の目、鼻、耳
  • 胸、腹、内股
  • 肛門付近

ダニ対策といえばフロントラインなどのお薬を定期的に使ってあげる方法ですね。マダニが心配で…と獣医さんに相談すると、対策を教えてくれるでしょう。

また、最近ではダニをはじめとする犬が嫌がる虫を寄せ付けなくしてくれるスプレータイプのものもあります。無添加のものが多く安心できますが、注意すべきはきちんと「マダニに効果があるかどうか」です。

病院、ストア、ネットとどういった購入方法にしても、必ず確認をしておきましょう。

犬からヒトへの感染は確認されていませんが、犬がひっつけてきたマダニによって人も感染するということは十分あり得ます。わんちゃんも自身も守るために、マダニ対策は必須ですね。

西日本以外の地域にお住まいの方もSFTSに注意を

ニュースを見ていてもSFTSで死亡者が出ているのは中国、四国、九州地方が多くなっているように、SFTSの症例が確認されている地域は西日本のほとんどの県となっています。

そのため東日本でSFTSに感染する可能性は低いと思われていました。しかし厚生労働省研究班の調査によって東日本でもSFTSウイルスを持つマダニの存在も確認されています。

もう全国のどこにいてもSFTSに感染する可能性があるということです。農作業中にマダニに噛まれやすいことから、農業を営む高齢者が被害にあいやすくなっています。

SFTSの症例が確認されている地域では、マダニ対策の呼びかけが強化されていますが、それ以外の地域で農業に携わる方も、意識してマダニに注意するようにしてくださいね。

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