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生理痛の原因は病気のサイン?生理痛がひどい人が疑うべき病気

生理痛に苦しむ女性

女性は妊娠・出産という重要な生殖機能を授かり、その機能には毎月の生理が伴います。その期間を計算してみると、一生涯でおよそ2,500日が生理日に該当していることが分かります。女性は大変ですよね!

その上、ほとんどの人には生理痛が起こります。「大したことない」という人もいれば「脂汗をかいてうずくまる」という人まで、その痛みのレベルはさまざまです。

生理痛そのものは病気ではありませんが我慢できないほど重い場合は何か病気のサインになっている可能性も。生理痛がひどい場合に考えられる原因にはどのようなものがあるのでしょうか。

女性の約1/3が重い生理痛に悩んでいます!生理痛はなぜ起こるの?

生理痛は、経血(子宮内膜と血液)を外に押し出すために子宮が収縮して起こる、下腹部の痛みです。

生理の仕組

毎月、排卵後には妊娠準備のために子宮内膜が厚くなるのですが、妊娠していない場合は不要になった子宮内膜を排出して子宮内をきれいに掃除するため、血液が剥がれた子宮内膜を子宮の外に洗い流します。それが毎月起こる月経の仕組です。

私達が普段呼んでいる「生理」という用語は、正しくは「生理的出血」といいます。

その名前が表すように、月経は生殖機能のある女性には生理的に(自然に)引き起こされる現象です。その際、経血をきれいに排出してしまうには子宮の収縮が必要になるのです。

生理痛の正体

子宮を収縮させるのは、プロスタグランジンという物質です。

生物の体内にはさまざまなタイプのプロスタグランジンが存在し、中でもプロスタグランジンE・F2αなどは妊娠後期に子宮を収縮させて陣痛を起こし、赤ちゃんを娩出させる役割を持っていて、生理時に陣痛を弱くしたような子宮の痛みを起こします。

生理痛はしぼるような、またはキリキリするような下腹部の疼痛が特徴ですが、痛みの感じ方や起こり方には個人差があり、生理のある女性の約2割は痛みが気にならず、約4割は鎮痛薬を飲めば日常生活を普通にやり過ごすことができています。

しかし残りの約1/3の女性は、会社や学校を休んで横にならなければならないほど生理に伴う痛みや体の不調が起こるといわれています。

生理痛が重い「月経困難症」

鎮痛薬を飲んでも日常生活を送ることが辛いほど生理痛が重い場合は「月経困難症」と呼ばれます。

プロスタグランジンは子宮の痛みを引き起こすだけでなく、血管を収縮させる作用があるため、ほかの部分にも痛みや不快な症状が起こります。

月経困難症の主な症状

  • 強い下腹部痛
  • 腰痛
  • 吐き気・嘔吐
  • 頭痛
  • 冷え

この月経困難症が起こる原因はたくさんあり、まず大きく分けると、「機能性月経困難症」と「器質性月経困難症」の2タイプがあります。

機能性月経困難症 器質性月経困難症
特定の疾患はない 特定の疾患がある

  • 子宮筋腫
  • 子宮内膜症
  • 骨盤内炎症性疾患(PID)

など

生理期間中だけ痛みが起こる 生理期間以外も痛みが起こりやすい

機能性月経困難症は一時的で自然と軽減することも多いのですが、器質性月経困難症は原因となっている病気を根治させない限り、重い生理痛がおさまることはありません。

ですから「生理痛があるのは当たり前」と我慢して重い生理痛を我慢するのではなく、病院を受診して月経困難症の原因を特定し、痛みをしずめたり適切な治療を行なうことが重要なのです。

病気ではないけど痛い?若い人に多い「機能性月経困難症」

機能性月経困難症は、子宮や卵巣に病気はありませんが、子宮の収縮が強くなったり痛みが強く感じられたりする状態のことです。

生理痛で悩む女性のほとんどが機能性月経困難症です。

機能性月経困難症の特徴的な症状

どの年代の女性にも起こりますが、10~30代の女性、特に出産経験がない人に多くみられます。

また、次のような症状が特徴的です。

  • 生理が始まって2~3日目に強い下腹部痛が起こる
  • 吐き気・下痢などの胃腸症状を伴うこともある
  • 生理が終わると痛みはなくなる
  • 体を冷やしたりストレスを感じたりした時に起こりやすい
  • 生理痛が軽い月もある

機能性月経困難症の原因

多くは、一時的なホルモンバランスの乱れによってプロスタグランジンが過剰に分泌されることが原因です。

特に若い女性はまだホルモンバランスが安定していないため、生理痛が重くなりがちです。

若い人の重い生理痛は、子宮が未発達で出産経験がなく子宮口が開きにくいことも原因です。子宮を収縮させるために大量のプロスタグランジンが分泌されるため、痛みが強くなりがちです。これらの現象は年齢的なものなので問題はありません。

また年齢に関係なく、女性が体を冷やしたりストレスを感じたりする時も、血管が収縮してこわばった筋肉が神経を圧迫するので、生理特有の下腹部痛、腰痛、足の引きつり感などの症状が強くなってしまいます。

機能性月経困難症の受診の目安

市販の鎮痛薬で痛みがおさまり、ほかに月経過多(経血量が多くなること)や強い貧血など生理に伴う症状が見合たらなければ、そのまま様子を見て問題はありません。

ただし、指示通りに鎮痛薬を飲んでも生理痛がおさまらず、学校や会社を休まなければならないほど生理痛が強い場合は、婦人科を受診して市販薬よりよく効く鎮痛薬を処方してもらいましょう。

人によっては月経困難症の器質的な原因が見つかり治療が必要になる場合があるので、毎月のように生理痛が強い人は我慢せずに受診することをおすすめします。

機能性月経困難症の治療法

通常通りの日常生活が過ごせるよう、鎮痛薬で生理痛をしずめます。市販薬を上手に使って生理を快適に過ごしましょう。

市販薬で効かない機能性月経困難症には、病院で処方してもらう「ロキソニン」「ボルタレン」などの非ステロイド性鎮痛薬「NSAID」が有効です。これらはプロスタグランジンの生成を阻害する作用を持っています。

症状が強い場合には、必要に応じて「低用量ピル」が処方される場合もあります。低用量ピルは、排卵を抑制して生理を止めたり軽くしたりする作用があり、婦人系の病気に幅広く処方されている薬です。

一般には、若い時に機能性月経困難症だった女性も年齢的に子宮が成熟したり出産を経験したりすることで、生理痛が軽くなっていくものです。

それまでは鎮痛薬の力に助けてもらったり、なるべく症状が軽くなるよう体調を整えたりして生理を乗り切りましょう。

生理痛が辛い時は、ゆったり過ごしてしっかり体を温めるだけでも幾分か楽になります。

機能性月経困難症の人が心がけたいこと

  • 生理中はカイロなどで下腹部を温める
  • 足首回し、屈伸などのストレッチで足腰の血行を促進させる
  • 普段から薄着を控え、お腹や足をひやさないようにする
  • 血行を促進するビタミンEの多い食品(ナッツ・かぼちゃ・ごま)を食べる
  • 体を冷やす冷たい飲み物を避け、積極的に温かいものをとる
  • お風呂で体をしっかり温める

ホルモンのせいで心身に不調が起こる「月経前症候群(PMS)」

生理痛とは別の病気ですが、機能性月経困難症が起こる人のほとんどは、生理前に「月経前症候群(PMS)」を伴い、生理前から生理中にかけて不調の続くことが多くなります。

PMS(Premenstrual Syndrome)とは、排卵後から生理が始まるまでの「黄体期」と呼ばれる約2週間の間に起こりやすい心身の不調の総称です。

テルモ株式会社の調査によると、アンケートの対象となった女性の約90%が黄体期には心身の不快な症状を感じ、そのほとんどは毎月起こっていることが分かっています。

PMSの症状は、ごく軽い人もいれば人格が変わってしまうほど重く出る人までさまざまで、その多様な症状を全部挙げれば約200種類以上もあるといわれているほど、病状はとてもデリケートなのです。

月経前症候群(PMS)の特徴的な症状

PMSの特徴は、生理前に起こり、それ以外の時期には症状がみられないところです。生理が始まると軽くなりますが、PMSが終わったかと思えば引き続き生理痛が始まるので憂うつな気分が続いてしまいます。

PMSの主な症状は生理痛に似た下腹部の鈍痛ですが、次の表で挙げるように精神的な症状を伴いやすいのが特徴で、訳もなく情緒不安定になってしまう人が多くみられます。

身体の症状 こころの症状
  • 下腹部痛
  • 乳房の張り・痛み
  • 吐き気
  • 便秘・下痢
  • 頭痛
  • 肌荒れ
  • 食欲亢進
  • むくみ
  • 眠気
  • イライラする
  • やつ当たりすることが多くなる
  • 憂うつになる
  • 興奮しやすくなる
  • 不安を感じる
  • 泣きたくなる
  • 集中力が低下する
  • 人に会いたくなくなる
  • 無気力になる

月経前症候群(PMS)の原因

PMSが起こる原因ははっきり分かっていませんが、生理周期に伴う女性ホルモンの激しい変動が体にさまざまな作用を引き起こしており、その作用が過剰な人はPMSの症状が強く出やすいと考えられています。

例えば、黄体期に分泌が高まるプロゲステロン(黄体ホルモン)には妊娠に備えて体に水分を蓄える作用があるため、その作用が過剰にはたらくと下腹部痛、乳房の張り、頭痛、むくみなどが起こりやすくなるといわれます。

また排卵期を過ぎるとエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量が減るので、その影響で情緒を安定させる神経伝達物質のセロトニンが減り、イライラや憂うつな気分が起こりやすくなるといわれています。

もともと生理不順があったりして女性ホルモンのバランスの不安定な人ほどPMSが起こりやすいです。例えば、

  • ストレスを感じやすい性格
  • ハードワーク
  • 睡眠不足
  • ビタミン・ミネラル不足
  • 運動不足
  • 飲酒・喫煙

など健康のために良くないと言われる要素も、PMSには大いに関係しているといわれています。

月経前症候群(PMS)の受診の目安

PMS自体は大きな病気ではありません。また毎月のように日にちが過ぎれば、症状は自然と消えてしまいます。

しかしPMSが重度になると感情の抑制がききにくくなるため、衝動買いをしてしまう、誰にも会いたくなくなる、さらには暴力を振るう…など、周囲も巻き込んだ問題に発展してしまう人もいるほどで、PMSはたかが「ホルモンのしわざ」と軽視することもできないのです。

PMSの自覚があり症状に翻弄されて辛い思いをしている人は、気軽に婦人科を受診し医師に相談してみてください。

月経前症候群(PMS)の治療法

特に病院の治療が必要な病気ではないのですが、PMSで悩んでいる人は各症状に対応した治療薬を処方してもらうこともできるので安心してください。

例えば、PMSの治療には次のような薬を使うことがあります。

  • 頭痛・腹痛…鎮痛剤
  • 情緒不安定…精神安定剤
  • 便秘・下痢…整腸剤
  • 吐き気・嘔吐…吐き気止め

症状が比較的軽い人は、市販の鎮痛剤や整腸剤などを使ってセルフケアをするのがおすすめです。

併せて、黄体期のホルモンバランスがなるべく安定するよう、ライフスタイルを次のように改善してみましょう。

  • 生活をペースダウンし、リラックスタイムを増やす
  • むくみの原因となる塩分・アルコール・カフェインの摂取を控える
  • 血行を妨げるので、タバコは避ける
  • 適度な運動をする
  • バランスのとれた食事を心がけ、3食はしっかりと食べる
  • 生理前は特にビタミンB2・B6、マグネシウム・亜鉛を意識して摂取する

PMS対策として献立に取り入れたいのは次の食品です。

栄養素 効能 含まれている食品
ビタミンB6 ホルモンのバランスを整える
  • マグロ
  • レバー
  • バナナ
ビタミンE ホルモンのバランスを整える
  • ナッツ
  • かぼちゃ
  • 赤ピーマン
マグネシウム 神経の興奮を抑え痛みをやわらげる
  • 大豆製品
  • 貝類
  • 海苔
亜鉛 ホルモンの材料になる
  • カキ
  • レバー
  • 牛肉
周りの人にPMSのことを伝えておき、生理前の不調を理解してもらいましょう。特に男性(恋人やご主人など)には予めPMSについて説明しておくと良いですね。

月経過多に注意!4人に1人がかかる「子宮筋腫」

以前よりも経血量が多くなり、生理痛や貧血が辛くなってきた人は「子宮筋腫」の可能性も疑われます。

子宮筋腫は子宮にできる良性のこぶで、成人の4人に1人はなるといわれるほど女性にはありふれた病気です。

子宮筋腫ができると、その部分に潰瘍やうっ血が起こって出血や痛みが起こりやすくなります。何個もできたり数kgまで大きくなったりすることも多く、子宮や周辺の臓器を圧迫すると生理痛が重くなります。また、その症状は子宮筋腫の種類によって異なります。

筋層内筋腫
筋層内筋腫は、子宮筋層(子宮の壁の中)にできる筋腫です。子宮筋腫の約70%と最も多いタイプにあたります。

主な症状は月経過多と不正出血で、筋腫が小さいうちは痛みが起こりにくいのですが、筋腫が大きくなると器質性月経困難症を引き起こす場合があります。

粘膜下筋腫
粘膜下筋腫は、子宮内膜の下(子宮の内側)にできる筋腫です。小さい筋腫があっても強い痛みと月経過多を引き起こしやすく、器質性月経困難症の原因になりやすいタイプにあたります。
漿膜下筋腫
漿(しょう)膜下筋腫は、子宮の壁の外側にできる筋腫です。

筋腫が小さい時は無症状ですが、大きくなると子宮の外側に向かって腸や膀胱を圧迫し、生理痛が重くなるというよりは頻尿、便秘、生理に関係ない下腹部痛、腰痛のほうが目立つようになります。

子宮筋腫

子宮筋腫の特徴的な症状

筋腫が成長するにつれ毎月の経血量が増えていき、貧血症状(顔が青白い、動悸、息切れ、倦怠感、頭痛など)を伴うようになります。

粘膜下筋腫のように筋腫が小さい時から強い痛みを伴う場合もありますが、ほかの筋腫は痛みに気付かず検診などで偶然に発見される場合も少なくありません。

また筋腫がメロン大ぐらいまで大きくなって下腹が膨らみ、ウェストがきつくなって異変に気付く場合もあります。

子宮筋腫の原因

はっきりした原因は分かっていませんが、子宮の壁を構成する細胞がホルモンの影響を受けてこぶに成長してしまうのではないかと考えられています。

そのため、女性ホルモンの分泌が活発になる20~40代に起こりやすく、閉経後には筋腫ができないのが特徴です。

子宮筋腫の受診の目安

以前より明らかに生理が重くなっていて、月経過多を伴う場合はすぐ婦人科を受診してください。

子宮筋腫自体は命に関わる病気ではありませんが、出血量が多くなることで重度の貧血を起こしたり、筋腫が邪魔して不妊症や静脈瘤を引き起こしたりするので、早めに筋腫の状態を確認して適切な治療を受ける必要があります。

子宮筋腫の治療法

子宮筋腫の状態と患者さんの年齢、出産の予定の有無に合わせて治療法が選択されます。

子宮筋腫の根本的な治療法は筋腫の摘出です。月経困難症があり出産を希望しない女性は、手術で子宮ごと摘出します。妊娠の予定がある女性は筋腫だけ摘出することも可能です。

必ずしも手術が必要というわけでなく、筋腫の大きさや症状によっては何もせずに経過を観察したりホルモン療法で筋腫の成長を止めたりすることもあります。

月経困難症と月経過多を軽減する場合は、低用量ピルを用いて生理を止める治療も有効です。

生理のたびに生理痛が重くなる場合は「子宮内膜症」の可能性も

生理痛がとても辛くて鎮痛薬が手放せず、経血の中にレバーのようなかたまりが混じるようなら、子宮内膜症の可能性が考えられます。

子宮内膜症は、子宮の中だけに発生するべき内膜が子宮以外の場所にも発生してしまう病気です。生理のある女性なら年齢に関係なく起こり、生理のある女性の約1割が発症しているといわれます。子宮筋腫に並んで女性に多い病気です。

子宮内膜はさまざまな場所で増殖しやすく、発生場所によって次のように分類されています。

腹膜病変
腹膜病変は小さな子宮内膜が腹膜や臓器の表面に付着している状態。最初に起こる子宮内膜症です。「腹膜子宮内膜症」「ブルーベリースポット」とも呼ばれます。

痛みを伴わない場合と、臓器を癒着させて生理痛や腰痛を引き起こす場合があります。

卵巣チョコレート嚢胞
卵巣チョコレート嚢胞は、卵巣の中に嚢胞と呼ばれる袋ができ、その中に血液が溜まって卵巣が肥大していく病気です。

嚢胞自体は痛みを引き起こすものではありませんが、正常な時で2~3㎝大の卵巣が5cm以上に肥大すると、周辺の臓器に癒着して痛みが起こりやすくなります。また破裂して激痛を起こす危険性も生じます。

子宮腺筋症
子宮腺筋症は、子宮の壁を形成する筋層の中に子宮内膜が増殖する病気です。

部分的に肥大する場合と子宮そのものが肥大する場合があり、経血量が増えて生理痛が重くなりやすいのが特徴です。

深部子宮内膜症
深部子宮内膜症は、骨盤内の「ダグラス窩」という隙間に発生する子宮内膜症です。

ダグラス窩は子宮や直腸の奥にあり、子宮や直腸を刺激して生理痛・性交痛・排便痛がかなり強くなりますが、位置的に発見や治療が難しい病気ともいわれています。

他臓器子宮内膜症
他臓器子宮内膜症は、へそ、直腸、肺など全身の臓器に子宮内膜が飛び火してしまう病気です。

肺に発生すれば喀血、直腸に発生すれば下血を伴うなど、それぞれ症状も異なります。子宮内膜症の中では滅多に起こらないタイプです。

子宮内膜症の病巣部

子宮内膜症の特徴的な症状

ほとんどの患者さんが自覚するのが生理痛です。年月と共に生理痛が強くなっていくのが特徴で、体を動かした時にも癒着した臓器が引きつれて強く痛むことが多くなります。

  • 生理時以外の下腹部痛
  • 腰痛
  • レバー状のかたまりが混じった経血
  • 排便痛
  • 性交痛
  • 下腹部の膨満感
  • 嘔吐
  • 月経前症候群が強くなる

子宮内膜症の原因

はっきりした原因は分かっておらず諸説ありますが、生理時に逆流した経血と一緒に子宮内膜が移植されるという説、臓器の上皮細胞がなんらかのきっかけで子宮内膜に成長してしまうという説がよく知られています。

子宮以外の場所に付着した子宮内膜は自然に排出することができないため、子宮内膜が増殖して症状が進行してしまいます。

また生理のある女性に起こることから、生理や女性ホルモンのはたらきが関係しているとされ、生涯に生理の回数が多い女性ほど子宮内膜症のリスクが高くなるといわれています。

子宮内膜症の受診の目安

機能性月経困難症やPMSとよく似ているのですが自己判断は禁物です。

生理のたびに生理痛が重くなっていき、市販の鎮痛剤を飲んでも痛みがおさまりにくい場合は、子宮内膜症を含め何らかの器質性月経困難症の疑いが出てくるので、婦人科の受診は必須となります。

子宮内膜症自体は危険な病気ではありませんが、時には救急車を呼ぶ必要があるほど重篤な症状が起こる場合もあります。

例えば、チョコレート嚢胞は卵巣が巨大になると重みで卵巣を支える茎がねじれたり、卵巣が破裂したりすると激痛と大出血を伴い、緊急治療をしなければ命に関わる場合もあります。生理の異変に気付いたら早めに受診しましょう。

子宮内膜症の治療法

子宮内膜症は、閉経するまで自然に治ることがなく、また治療しても再発する可能性のある慢性疾患です。

症状や患者さんのライフスタイルに合わせ、薬物療法、手術、対症療法の中から適した治療法を選択して組み合わせながら治療を続けていきます。

薬物療法
  • ホルモン療法
手術療法
  • 保存手術
  • 準根治手術(卵巣を残す)
  • 根治手術(子宮・卵巣の全摘出)
対症療法
  • 鎮痛薬
  • 漢方薬
  • 抗けいれん剤

など

独身女性や出産経験のない女性など、生涯の中で妊娠期間が少ない人ほど子宮内膜症の発症リスクが高くなりやすいといわれています。

若い女性に多い感染症「骨盤内炎症性疾患(PID)」

生理痛だけでなく、発熱や嘔吐など感染症のような症状を伴う場合は「骨盤内炎症性疾患(PID)」を引き起こしている可能性があります。

PIDは、膣から侵入した細菌が子宮・卵管・卵巣、さらに骨盤内に感染して炎症を引き起こす病気の総称です。子宮内膜炎、卵管炎、卵巣炎、骨盤腹膜炎などがあります。

若い女性に多く、不妊症の原因のひとつにもなっています。

骨盤内炎症性疾患(PID)の特徴的な症状

PIDに共通する症状は下腹部痛で、急性症状では発熱や嘔吐、慢性症状では生理痛やおりものの増加などがみられます。

  • 生理期間の後半2~3日で生理痛が強くなる
  • 下腹部を押すと響くような圧痛を感じる
  • 発熱
  • 吐き気・嘔吐
  • 悪臭のするおりものが増える
  • 不正出血

また、腹膜(子宮などの臓器を包み込む膜)に炎症が起こると、下腹部全体が強く痛み、腹膜が破裂すると命に関わる危険性も出てきてしまいます。

骨盤内炎症性疾患(PID)の原因

PIDは、主に性交渉による細菌感染で起こります。性交渉の経験が多い10~20代の女性に多く、中でもクラミジアや淋菌の性感染症が増えています。

そのほか子宮筋腫やチョコレート嚢胞、医療行為、避妊リングが原因で細菌に感染してしまう場合もあります。

骨盤内炎症性疾患(PID)の受診の目安

発熱を伴う下腹部痛があった時点で感染症を疑い、すぐ婦人科を受診しましょう。

細菌を死滅させる治療が必要です。放置して患部の炎症が悪化すると、子宮や卵巣が癒着して不妊症を引き起こす確率が高くなってしまいます。

骨盤内炎症性疾患(PID)の治療法

感染症の原因となっている細菌がいなくなるまで、しばらく抗生物質を服用します。腫瘍や膿瘍が生じている場合は手術が必要になる場合もあります。

生理痛は我慢しない!適切な対処で快適に過ごしましょう

「 生理痛は病気ではないから」「生理で休むのは甘えだ」「鎮痛薬は癖になる」などと言う人がいて、生理痛が重くても休めなかったり薬を使わずに我慢したりする女性もいるようです。

生理痛が重いのは「よくあること」ではありません。辛い場合は、ほかの病気と同じように薬で痛みをやわらげ、病気のサインになっているなら治療を始めなければなりません。

生理痛に悩みながらじっと耐えてきたという人は生理が快適に過ごせるように、鎮痛薬を適切に使ったりすぐ婦人科に相談したりすることをおすすめします。

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