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【写真あり】口腔癌の症状・原因・治療法

※記事中に症例写真あり!閲覧にはご注意ください。

私たちが日々送っている生活の中に何らかの原因があると考えられる病気を一般に、生活習慣病と呼びます。もちろん、原因の特定が難しい病気もたくさんありますから、生活習慣病が厳密に定義されるわけではありません。

ただ、私たち現代人が最もおそれる「癌(がん)」もまた、そんな生活習慣病の代表的な疾患として知られます。癌が原因で命を絶たれてしまった方のご遺族が、「癌が憎い」と口にするシーンもたまに目にします。

もちろん、癌の中にも原因がはっきりしない癌もありますが、私たちの生活習慣(喫煙や過度の飲酒、ストレスなど)が原因となっている癌が多いことも事実です。いくら憎んでも、原因が自分にあった可能性も全否定できないのが癌です。

確かに、風邪やインフルエンザ、あるいは何らかの感染症であれば、他者から細菌なりウイルスなりをもらってきて発症するケースが多いです。しかし癌の場合、すべてとは言い切れないものの、多くは「自分の中にいつの間にかできる疾患」なのです。

癌にもいろいろな種類がありますが、今回はどちらかといえばあまり目立たない癌にスポットを当てます。一般に「口腔癌(口腔がん)」と呼ばれる癌について、今回は考えていきたいと思います。

まずは口腔癌を知ろう!その定義やデータをご紹介

いろいろな種類がある癌の中で、健康な人であればすぐに思い浮かべることはほぼないと思われるのが口腔癌でしょう。そこで、まずは口腔癌を明確に定義するところからお話を始めたいと思います。

口腔癌を定義する

口腔癌は、以下のように定義されます。

口腔癌とは口の中およびその周辺組織にできる癌のことで、できる部位によって舌癌、歯肉癌、口底癌、頬粘膜癌などと呼びます。

「舌癌」だとか「歯肉癌」だとか、そういった癌の種類があることはおそらくみなさんもご存知かと思います。口腔癌は、そういった癌をすべてひっくるめた総称であるということをまずは認識していただきたいと思います。

口腔癌に関するデータをご紹介

口腔癌は、どちらかといえばあまりなじみがない癌であるという印象もあるかと思います。それだけなじみが薄いというか、発症率自体はそこまで高い癌ではありません。以下に詳細なデータ(2002年度)をまとめます。

項目 該当する割合 備考
人体にできる癌全体に占める口腔癌の割合 1~3% 本統計以前よりも増加の傾向
全年齢に占める70代の口腔癌発症率 29.1% 年代別発症率
60代の発症率 26.5%
50代の発症率 18.1%
上記以外の年代の発症率 26.3% 50代以上の発症が全体の約75%を占める

(参考:口腔癌とは-徳島大学病院癌診療連携センターより)

上記からわかるとおり、口腔癌自体の発症率は、100人に5人未満の確率です。また、口腔癌も他の癌の多くと同様、高齢者になればなるほどその発症率が高まるという傾向がはっきりしています。

【写真あり】口腔癌の種類ごとに発症する口腔症状とその特徴

ここまでで口腔癌の概要をお話することができましたが、さて、ここからはいよいよ口腔癌の実際の症状についてお話していくことにします。口腔癌の症状は、基本的には内臓にできる癌と同じです。

ただ、身体の内部の目に見えない部分にできる癌にくらべると、口の中違和感だけに、かなり癌による異常を察知しやすい症状であるといえます。これは、口腔癌の早期発見の大きな手がかりになる重要な情報です。

といっても、口の中を自分で目視することはできません。ただ、何か異常を感じたときに鏡に映してみたり、あるいはご家族などに見てもらうことは可能ですから、「見た目の症状」も知っておいたほうがよいでしょう。

後ほど口腔癌の写真を何点かご覧いただくことにしますが、まずは、「可視の癌」であるということが、口腔癌の非常に重要な特徴です。ということは、指で触ることも十分可能な癌であるとも言えます。

つまり、自覚しやすい癌であるという点で、内臓の癌とは大きな違いがあることが大きなポイントになります。内臓の癌の場合、癌検診などを経て発見されますが、口腔癌はその前に発見したい癌なのです。

それでは、ここからは具体的な種類と症状へとお話を進めていきます。

口腔癌は、上の定義のところで触れた舌癌、歯肉癌、口底癌、頬粘膜などが主だった種類になります。ただ、それぞれがさらに細分化されることもありますので、改めて種類分けしながらみていきましょう。

舌癌(白斑型)

舌癌症例写真

舌癌には2種類あって、上の写真は「白斑(はくはん)型」と呼ばれるタイプの舌癌です。白斑というのは、口の中の粘膜が白っぽくなっている部分を指します。癌によって白っぽくなるのが、白斑型の舌癌です。

舌癌(潰瘍型)

舌癌(潰瘍型)の症例写真

医学用語の潰瘍(かいよう)とは、細胞組織の奥深くまで達する組織破壊と定義されますが、わかりやすく言えば、一種の「傷口」のような意味合いがあります。癌によって潰瘍ができるタイプが潰瘍型舌癌です。

潰瘍は、舌先で触った感じが「頬の裏を噛んでしまってできた傷」の感覚に似ているといわれます。白斑型、潰瘍型を合わせた「舌癌」が、口腔癌の中で最も発症率が高く、約40%が舌癌に当たります。

上顎歯肉癌

上顎歯肉癌の症例写真

歯肉にできる癌のすべてが歯肉癌です。そのうち上側の歯肉にできるのが、上顎歯肉(じょうがくしにく)癌です。

下顎歯肉癌

下顎歯肉癌の症例写真1
下顎歯肉癌の症例写真2

下側の歯肉にできる癌を、下顎歯肉(かがくしにく)癌と呼びます。上顎歯肉癌の2倍近い発症率があるとされるのが、下顎歯肉癌です。

口底癌(口腔底癌)

口底癌の症例写真

口底(こうてい)、もしくは口腔底(こうくうてい)は、文字通り口の底に当たる部位です。わかりやすく言えば、舌が生えはじまっているところが口底(口腔底)です。この部位にできる癌が口底癌です。

頬粘膜癌

頬粘膜癌の症例写真

頬粘膜(きょうねんまく)癌は、頬の裏側にできる癌の総称です。上下の歯と頬の裏側の間の溝周辺にもできますが、歯肉側にできれば上下顎の歯肉癌、頬側にできれば超粘膜癌です。

口唇癌

口唇癌の症例写真

口腔というのは「口の中」なので、厳密には、口唇(こうしん・くちびる)は口腔と別のパーツになります。ただ、唇にできる口唇癌が口腔癌に分類されるケースは少なくありません。

他にも、上顎(うわあご)の上前歯に近い硬質な部位(硬口蓋・こうこうがい)にできる硬口蓋癌や、唾液腺にできる腺癌なども、口腔癌に含まれます。

自覚が重要!口腔癌で現れる症状を知ってセルフチェック

内臓にできる癌の場合、発症の部位によっては、自覚症状が現れたときにはすでにかなり癌が進行しているケースもあります。ただ、口腔癌の場合、発症間もない時期であってもそれなりに自覚できることが多いです。

そういった意味でも、口腔癌で現れる症状の特徴をしっかりと押さえることが、万一の際に早期発見のための重要なヒントになるはずです。それでは、口腔癌の症状をお話していきます。

口腔癌の全般的な特徴として、上皮癌(じょうひ癌)と呼ばれるタイプの癌が圧倒的に多いことが挙げられます。上皮癌というのは、粘膜の上側にできるタイプの癌で、口腔癌は特に「扁平上皮癌」というタイプの癌が多いです。

ちなみに、筋肉や骨、神経系など、他の部位に連絡するパーツにできる悪性腫瘍を「肉腫」と呼びます。口腔癌にも肉腫ができることがないわけではありません。しかし、比率的にはほとんどが扁平上皮癌です。

癌である以上すべて「悪性腫瘍」と定義されますが、ただ、口腔癌の場合、同じ悪性腫瘍であっても比較的タチのよう腫瘍と、性悪の腫瘍とがあります。もちろんそれぞれ特徴が異なります。

タチの悪い口腔癌には、以下のような特徴が挙げられます。

  • 進行が速く、潰瘍、腫瘤(しゅりゅう)が大きくなるスピードが速い
  • 患部が硬質で自覚の際の違和感が大きい
  • 周囲との癒着があり、癌細胞と健常な細胞の境界が不明瞭
  • 転移性の癌

※腫瘤・・・単なる「こぶ」、もしくは癌細胞によってつくられるこぶ

(参考:口腔領域の悪性腫瘍(口腔癌)-公益社団法人日本口腔外科学会より)

また、口腔癌全体にいえることですが、見た目的にも非常に不快感を伴うのが特長です。白斑、潰瘍だけでなく、肉芽(にくげ、にくが・赤いツブツブの組織)、びらん(ただれたようになる)が起こることもあります。

自覚する症状としては、違和感や不快感の中に鋭い痛みを感じることが多いです。また、出血を伴うことも多いです。ステージが進行すると、咀嚼(そしゃく)が困難になり、食べ物を飲み込むことが難しくなることもあります。

さらに進行すると、今度は口を開けること自体が困難になり、転移によってリンパ節の腫れ、肺、骨、臓器などへの転移が起こることもあります。

再三お話しているように、口腔癌の症状にはかなり特徴的な違和感を伴います。ですから、「口腔癌ならこういう症状が出る」というスタンスではなく、「こういう症状があるけど、口腔癌は大丈夫だろうか」?というスタンスも重要になります。

口腔癌を早期発見により速やかな治療に移行するためにも、定期的、不定期的にセルフチェックを実施していただきたいと思います。その方法を以下に示します。

こんな自覚症状には要注意!口腔癌のセルフチェックの方法

それではさっそく口腔癌のセルフチェックの方法を以下に記しておきます。最近口の中がちょっと気になるかな・・・と思う方は、せっかくの機会ですからチェックをしてみてはいかがでしょうか。

①口の中に硬い「しこり」がある。
②口の中に出血しやすい場所がある。
③3週間以上治らない口内炎や潰瘍、または抜歯後の傷の治りが悪い。
④口の中に痛みがある。
⑤口の中や唇にしびれがある。
⑥口の中が腫れて、入れ歯が合わなくなった。
⑦口の中に白い部分または赤い部分がある。
⑧口臭があると言われた。
⑨原因不明の歯のぐらつきがある。
⑩首のリンパ節の腫れが3週間以上続いている。

どれかひとつでも該当するチェック項目があり、不安に感じたのであれば、すぐに病院に行って検査してもらうことをおすすめします。また、思い当たった人は不安だとは思いますが、早期発見のチャンスであるともいえます。前向きにとらえましょう。

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なぜ口腔癌になる?考えられる口腔癌の原因は?

癌の多くは「生活習慣病」の一種に数えられます。冒頭でも生活習慣病が明確に定義されていないというお話をしましたが、その理由は、「生活習慣に原因がある病気」ではなく、「そのように考えられる病気」だからです。

ですから癌ができる原因に関しても、基本的には特定できません。これはほとんどすべての生活習慣病に当てはまることです。ですから、口腔癌の原因に関しても、いくつかの傾向があるだけで、確定事項としてお話するわけにはいきません。

まずはこのことをご理解いただきたいと思います。その事実を踏まえながら、考えられる口腔癌の原因についてお話したいと思います。

それでも基本的には生活習慣に問題がある!

しかしだからといって、癌は風に乗ってやってくるわけでもなければ、電車に乗ったり彼氏や彼女とデートしたりして発症することもありません。つまり、「自分の中で癌はつくられる」という事実は揺るぎません。

もちろんその人の体質(遺伝子)が関係することも事実ですし、運不運のファクターもあるという説があることも事実です。ただ、それでも基本的には生活習慣に問題がある人ほど、癌にかかりやすいことも事実なのです。

では、具体的にはどういった生活習慣が口腔癌の可能性を高めるのか、ということについてお話を進めていきます。明確なメカニズムはわかっていませんが、口腔癌には以下の原因が考えられます。

  • 喫煙習慣
  • 飲酒習慣
  • 虫歯
  • 義歯による噛み合わせの不具合
  • 白板(はくばん)症 など

ちなみに白板症とは、上記に挙げた白板症以外の理由により、口腔細胞組織の一部が白く変色する症状で、4.4%~17.5%程度(参考:口腔白板症-兵庫県歯科医師会より)の確率で、その後癌化する可能性があるとされる症状です。

喫煙と飲酒についてはその人の判断にお任せするとして、私たちにとって身近な口腔癌リスクとなるのが、上記の中ではやはり「虫歯」でしょう。虫歯と口腔癌の関係については少し掘り下げてみたいと思います。

虫歯が原因に!?虫歯と口腔癌の関係

虫歯は「虫歯菌」と呼ばれる口腔内の雑菌が直接的な原因となって起こる代表的な疾患です。虫歯菌が強い酸となって歯を溶かすことで虫歯ができます。とすると、なんとなく虫歯菌も口腔癌の原因になっているような気がしないでもありません。

ところが実際には、虫歯菌には口腔癌・咽頭癌を予防する効果があるとするかなり突飛な学説まで、アメリカの研究者は唱えているほどです。現状では、虫歯菌と口腔癌の関係は認められていません。

それでは、なぜ虫歯が口腔癌の原因のひとつとして考えられるのか・・・ここはちょっと疑問が残りますよね?実は、虫歯と口腔癌の関係性は、意外とシンプルなつながりです。ヒントは、「かみ合わせ」の問題です。

同じく「原因」のところで、「義歯によるかみ合わせの不具合」が口腔癌の原因になるというお話をしました。かみ合わせが悪いと、歯(義歯)が本来接触しない場所(舌や頬の裏)などに接触し続けることになります。

虫歯ができれば当然痛みを覚えます。痛みがなかったとしても、歯に変形が見られるのが虫歯ですから、やはり噛み合わせに問題が生じる可能性が高まります。つまり、「義歯による噛み合わせの不具合」と似たメカニズムで、虫歯が口腔癌の原因となり得るのです。

虫歯の治療で歯医者さんで治療してもらうと、患者としてはまどろっこしくなるくらい、噛み合わせの型取りは慎重に行われますよね?その理由は、単に虫歯や歯周病の再発防止だけでなく、歯の不正な接触を避けるためのケアでもあるのです。

虫歯菌と口腔癌が直接無関係、あるいは癌を予防するかもしれなかったとしても、虫歯菌は感染症を引き起こす可能性がある怖い細菌です。癌予防は別の方法で行い、虫歯はしっかりと治療しましょう。

それでは、さらに口腔癌のリスク因子が高いと考えられる人のタイプについてもピックアップしておきます。

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日常生活が口腔癌を招く!?口腔癌になりやす人とは?

それでは、上記「考えられる口腔癌の原因」を踏まえ、より口腔癌の発症リスクが高いと考えられる人のタイプについてもチェックしてみましょう。不安や興味を感じている人は、チェックしてみてくださいね。

  ①1日にタバコを10本以上吸う
  ②タバコは、葉巻やパイプが好き
  ③50歳以上で、飲酒時にタバコも吸っている
  ④飲酒するとすぐに顔が赤くなる
  ⑤強いお酒が好きだ
  ⑥歯を磨かない、入れ歯の掃除をしない
  ⑦頻繁に舌や頬の粘膜を咬む
  ⑧入れ歯や歯の詰め物が当たって痛い
  ⑨偏食がある(ビタミンや鉄分不足)
  ⑩癌になったことがある

上記はあくまでも「口腔癌のリスク因子が高いと思われる人」なので、上記に当てはまる人が必ず口腔癌になるわけではありません。やはり癌の場合、遺伝子やその他の生活習慣にも影響されます。

ただ、いちおうの目安として、上記に当てはまった人は、普段から口腔癌への予防の意識を持っていただきたいと思います。また、改善できる項目は、できるだけ早く改善していただきたいものです。

口腔癌の治療はどのように行われるのか

ここからは、不幸にも口腔癌になってしまった患者さんが、どんな治療によって口腔癌に立ち向かうのかについてお話していきます。どの部位の癌治療でも同じですが、やはり現在の状態(ステージ)によって、口腔癌も治療法が異なります。

そこで、まずは口腔癌の「ステージ」についての知識を共有しておくことにしましょう。

口腔癌のステージと予後について

ステージがどうであれ、できてしまった癌は治療しなければ消えてくれません。ですから、あまりにもステージステージと言いすぎの感も、正直否めません。ただ、重要な目安であることには違いありません。

口腔癌のステージについて、5年生存率とあわせて以下に簡単にまとめます。参考程度に認知していただき、患者さんには治療に専念していただきたいと思います。

ステージ ステージの説明・進行状態 5年生存率
ステージⅠ 原発腫瘍の最大径が2cm以下で、リンパ節転移のない症例 90%
ステージⅡ 原発腫瘍の最大径が2~4cmで、頸部リンパ節転移のない症例 70%
ステージⅢ 原発腫瘍の最大径が2~4cmで、同側リンパ節に最大径3cm以下の転移が見られる症例。原発腫瘍の最大径が4cm以上の症例では、所属リンパ節転移が見られなくてもステージⅢに該当する。 60%
ステージⅣA T1~3(原発腫瘍の大きさが4cm以上)の場合は、3~6cmのリンパ節転移が見られた場合に該当する。T4a(※)の場合は、リンパ節転移が見られなくても該当する。 40%
ステージⅣB 最大径6cm以上のリンパ節転移が見られる場合、Tの状態に関わらず該当する。T4b(※)の場合は、リンパ節転移の有無に関わらず該当する。 40%
ステージⅣC 原発腫瘍やリンパ節転移の有無や大きさに関わらず、遠隔転移が見られた時点で該当 40%

※Tは原発腫瘍を表し、これに続く英数字は、進行度を表します。T4aは、以下のように定義されます。

  • 口唇原発巣が隣接組織(骨髄質、舌、頸部皮膚)に浸潤したもの
  • 口腔原発巣が隣接組織(骨髄質、外舌筋、上顎洞、皮膚)に浸潤したもの

※T4bは、以下のように定義されます。

  • 咀嚼筋間隙、翼状突起、頭蓋底へ浸潤したもの
  • 内頸動脈を全周性に取り囲むもの

(参考:口腔癌-岩手大学附属病院腫瘍センターより)

口腔癌ではどんな治療方法が採用される?

口腔癌は、他の癌にくらべると比較的生存率が高いといわれることがあります。確かに口腔癌の(5年、10年などの)生存率という意味では、確かに高めの癌ではあるといえるかもしれません。

ただ、率というのはあくまでも「トータル」をベースとした指標にすぎません。口腔癌だからきっと助かるのだろう・・・などという安易な発想は、初期治療の遅れの原因ともなりかねません。どんな癌でも油断すべきではないのです。

とはいえ、特に初期的な段階(たとえばステージⅠ)であれば、ほとんどの口腔癌は完治できることも事実であり、このことからも、早期発見、早期治療がいかに重要であるかがお分かりいただけるかと思います。

そのことを踏まえつつ、治療に励んでいただきたいと思います。

口腔癌の一般的な治療方法は?

生命の危険がゼロではない癌治療の場合、やはり患者さん個々の状況・状態に合わせた治療が必要になります。それはつまり、病期(ステージ)が治療の指針と密接にかかわってくることを意味します。

とはいえ、これはあくまでも医師の側にとって重要な治療の材料となるだけであって、患者さんの側はあまり深く考える必要はないでしょう。というより、むしろあまり深く考えすぎないほうがよいといえます。

もちろん、医師と患者さん、そしてそのご家族・近親者との相談は非常に重要な意味を持つ場合が多いのは、生存率が比較的高いとされる口腔癌でもまったく同じことです。ですから、話し合いは緊密であることが望ましいです。

もし不安があれば、信頼できる医師によるセカンドオピニオンを参考にするといったセルフケアも必要です。癌治療と対峙する患者さんは、身体だけでなくこころも頑健でありたいものです。それでは、具体的な治療法を見てみましょう。

癌のできている部位や病期、組織の特徴などを総合的に診断して、治療方針を決めますが、一般的には手術療法、放射線療法、抗癌剤による化学療法の3つの方法を、単独あるいは組み合わせて治療します。

癌と闘うってどういうこと?癌のセルフマネジメント

「闘病」ということばを目や耳にするたびに、なんとなく違和感を覚えることがあります。まるで癌が侵略者の悪者であって、その侵略者をやっつけようとしているように聞こえるからです。癌はほんとうに侵略者なのでしょうか?

癌は侵略者などではない

もちろん癌を放置すれば勝手に増殖していきますから、まるで自分の身体が癌細胞に侵略されてしまうような感覚にとらわれることもあるとは思います。ただ、癌は侵略者などではありません。

冒頭でもお話しましたが、ほとんどの癌は「他者に関係なく、自分の体内でつくられる自分の細胞」であることを忘れてはいけません。健常か異常かでいえば、癌細胞は確かに異常な細胞ではあるでしょう。

ただ、どれだけ他人が悪意を注いだとしても、直接的に癌細胞を生みだすことはできないのです。そういう意味で、癌は侵略者ではないのです。

排除ではなく受け入れを、闘いではなく正常化を

侵略者でない以上、癌と闘う必要などありません。別に癌細胞の肩を持つわけではありませんが、むしろ闘うという発想自体が、自分を追い込んで行ってしまう患者さんもいる、というところは大いに問題視されるべきです。

もちろん、食品含有性の有害物質や放射性物質の影響で発生する「外因性の癌」がないわけではありません。しかし現在の日本人の癌の多くが、自分に原因があってできてしまう癌(つまり生活習慣病)であると考えられています。

確かにプロセスとしては癌細胞を排除するための手術なり投薬・放射線治療なりを行うわけですが、頭から「排除」とか「闘い」の意識で固定してしまうと、患者さんによっては逆にストレスがかかってくる可能性も否定できません。

闘いという発想は、つまり「勝ち負け」の発想にもつながります。実際癌に勝った!とか負けた・・・などということばが当たり前につかわれています。しかし自分の生命を勝ち負けなどという軽々しい天秤にかけてしまう発想が、ほんとうに建設的な方向性なのでしょうか?

どんなことでもそうですが、重要な局面であればあるほど、冷静さが必要になります。あとで思い返してみて、あのとき冷静だったことが成功を手繰り寄せ、危険を回避できた最大の要因だったという事例はいくらでもあるはずです。

異常があるのであれば、正常化することによって「闘い」は回避することができます。癌細胞に関しても、これはまさに当てはまることのように感じられないでしょうか?癌に対して寛容である必要はありません。

ただ、無理に闘いの意識を燃やす必要だってないではないか・・・という考え方があったとしても悪くはないはずです。闘うのであれば徹底的に闘うのだという意志も重要かもしれませんが、大事な局面だからこそ冷静さは失うべきではありません。

口腔癌に限ったことではありませんが、癌のセルフマネジメント(自己心理コントロール)についても、できれば治療に先立って(たとえば手術日が決定する前に)少し考えてみるとよいのかもしれませんね。

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