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鉄分とるならほうれん草?小松菜?それぞれの栄養とメリット

ほうれん草の栄養素

ほうれんそうと小松菜は、ぱっと見の姿がよく似ていますよね。スーパーでは同じような包装で隣同士に並んでいることが多く値段も同じくらいなので、うっかり間違えて買ってきてしまう人もいるらしいのです。

では、ほうれん草と小松菜では含まれてる栄養素もお互いに似ているのでしょうか?ほうれん草と小松菜の、意外と誤解されやすい栄養素についてその特徴を比較してみました。

ほうれん草と小松菜はエリート野菜!しかし互いに別ものだった

青菜を代表する2大野菜ともいえるほうれん草と小松菜。その外見から互いに仲間同士かのように見えますが、実は“他人“どうし。互いに種(しゅ)もルーツも全く異なる野菜なのです。

左:ほうれん草、右:小松菜

ほうれん草と小松菜の写真

ほうれん草と小松菜の違い

ほうれんそう 小松菜
分類 ナデシコ目ヒユ科 フウチョウソウ目アブラナ科
原産地 西アジア周辺 東京都江戸川区小松川付近
産地 中国 アメリカ・日本 日本
(関東地方・全国の都市近郊地)
ほうれん草は、ペルシア地方(現在のイラン)を中心にアジアで栽培されていた物が中国を経由して江戸時代に日本へ渡来してきた野菜です。ペルシアやネパールを意味する「ホリン」から由来してほうれん草とよばれるようになりました。

小松菜は「ツケナ」と呼ばれるチンゲンサイやタアサイなどの中国野菜の仲間です。江戸時代、小松川地区で栽培されている菜っ葉を食べた8代将軍徳川吉宗がおいしさに感動して「小松菜」と命名したエピソードが知られています。

ほうれん草・小松菜ともにとても身近な野菜です。ビニールハウスで栽培・収穫しやすく全国各地で盛んに栽培されているので自給率も高く、比較的安定した価格で入手することができるのです。

また、どちらも総合的に栄養価が高いという点も人気の理由になっています。

米ニュージャージー州のウィリアム・パターソン大学の研究者が発表した「栄養素の高い野菜と果物トップ41」のリストによると、2位にチンゲンサイやシロナなどアブラナ科の中国野菜、5位にほうれん草が入っていました。

アメリカで小松菜の知名度が低いせいか、リストに小松菜という名前は載っていませんが、2位の中国野菜と小松菜は同じ仲間なので、小松菜も該当すると考えられます。小松菜とほうれん草は数ある野菜の中でもエリートの部類に入っていることが改めて知らされます。

それでは、ほうれん草と小松菜に含まれる栄養素を詳しくチェックしてみましょう。

栄養価は、ほうれん草と小松菜のどちらが上?

まずは、ほうれん草と小松菜に含まれる主な栄養素の含有量を比較してみました。ほうれん草や小松菜の100gは、1袋のおよそ半量です。

ほうれん草と小松菜に含まれる栄養素の含有量(100g中)

栄養素 ほうれん草 小松菜 1日の摂取推奨量
カロリー(kcal) 20 14 2650
カリウム(mg) 690 500 2500
カルシウム(mg) 49 170 650
鉄(mg) 2.0 2.8 7.0
マグネシウム(mg) 69 12 370
βカロテン(μg) 4200 3100 決められていない
ビタミンC(mg) 35 39 100
ビタミンE(mg) 2.3 1.0 6.5
ビタミンK(μg) 270 210 150
葉酸(mg) 210 110 240
食物繊維(g) 2.8 1.9 20以上

参照…文部科学省「日本食品」食品成分表2015

※1日の摂取推奨量は、30~49歳で身体活動レベルⅡ(普通)の男性の場合

ほうれん草と小松菜はビタミンやミネラルの含有量が多い野菜で、その栄養構成は互いによく似ているのですが、ほうれん草のほうが全体的に栄養価の高いことが分かります。

ただし、カルシウム、鉄、ビタミンCの含有量は小松菜のほうが豊富です。この3つの栄養素は体に必要な栄養素の中でも特に重要度が高く日本人に不足しがちなものばかりです。

ほうれん草と小松菜にはそれぞれメリットとデメリットもあります。食事に取り入れる時はそれぞれの特性を生かして使い分けるのがおススメです。

鉄が多いのはウソ?ほうれん草の栄養価の特徴は

ほうれん草のメリットはやはり栄養価が高いこと。体に必要なビタミン・ミネラルが偏りなく、かつ豊富に含まれている点です。一方、アクが強いというデメリットもあります。

ほうれん草の食べ過ぎは尿路結石の原因に

ほうれん草はアクが強いので、生食はできません。必ず茹でてから水にさらしアクを抜いてから調理する必要があります。

ほうれん草のアクの成分をシュウ酸といいます。シュウ酸はえぐみ(渋みや苦味)を感じさせる成分で不快な味がするだけでなく、大量に摂取すると尿の中にシュウ酸が増えてカルシウムと結合しやすくなり、尿路結石を作る原因になってしまいます。

尿路結石は石が細い尿管に詰まった時に激痛を起こすため、七転八倒の苦しみを伴う病気といわれて恐れられています。一度尿路結石を起こした人は再発しやすいので、ほうれん草を頻繁に食べるのは控えてください。

ただし尿路結石が怖いからといって、栄養価が高いほうれん草をすっかり食べなくなってしまうのも、もったいないことです。ほうれん草を食べる時は、尿中でシュウ酸とカルシウムが結合するのを防ぐ食べ方を工夫すると安心です。

尿路結石を予防するほうれん草の食べ方

  • 茹でてから水にさらしてシュウ酸を抜く
  • カルシウムの多い食品と一緒に摂取する
  • 一緒に脂肪を大量摂取しない

茹でて水にさらすとシュウ酸の70~80%が除去できます。茹でる時には湯に塩を入れず、真水か砂糖を入れた湯を使うとシュウ酸が抜けやすくなります。(塩には沸点を上げる作用があり素早く茹でたい時に適していますが、シュウ酸は抜けにくくなります。)

ほうれん草の茹で方

  1. 鍋にお湯を沸かし、砂糖小さじ1を入れる
  2. ほうれん草の根元だけお湯に漬けて10秒茹でる
  3. 葉の部分も湯に入れてさっと茹でる
  4. 鍋から上げて冷水にさらす
  5. 水気を絞って、調理に使う

ほうれん草とカルシウムを一緒に食べると、腸でシュウ酸がカルシウムが結合して便と一緒に排出されるので、尿中で結石ができにくくなる効果があります。

ほうれん草は、カルシウムの多いシラス・かつおぶし・さくらえびと一緒に食べるのがおススメ。お浸しに乗っけてくださいね。

ほうれん草は実は鉄はそれほど多くない

ほうれん草は、昔から「鉄が多く貧血予防に良い」と言われてきました。しかし、実はほうれん草に鉄がずば抜けて多く含まれているわけではありません。次の表を見て分かるように、ほうれん草より鉄の含有量が多い食品もたくさん存在しているのです。

食品名 鉄の含有量(mg/100g中)
豚レバー 13.0
鶏レバー 9.0
パセリ 7.5
卵黄 6.0
しじみ 5.3
えだまめ 2.5
ほうれん草 2.0

また、ほうれん草に含まれる鉄は体に吸収されにくいというデメリットもあります。そもそも鉄は体に吸収されにくいミネラルで、食事から摂取した鉄の30%以下しか吸収されません。

そのため吸収率の低さを見込んでしっかり鉄の多い食品を摂取しなければならないわけですが、鉄の吸収率は動物性食品に含まれる鉄(ヘム鉄)と植物性食品に含まれる鉄(非ヘム鉄)でも異なります。

ヘム鉄の吸収率は15~30%ですが、非ヘム鉄はたった5%。ですから鉄を補給する目的なら野菜より動物性食品を食べたほうが断然効率が良いのです。

しかもほうれん草には、鉄の吸収を阻害するシュウ酸が含まれているため、ほかの野菜よりも鉄の吸収率が低くなりやすく、鉄欠乏性貧血の予防にはそれほど適していません。

というわけで、今まで鉄欠乏性貧血を治すために一生懸命ほうれん草を食べてきた方は、鉄が豊富なレバーや貝類、または赤身の肉や魚から鉄を補給するように献立を調整してみてくださいね。

ほうれん草は動脈硬化の予防におすすめ

ほうれん草に含まれる栄養素に動脈硬化を予防する効果が期待できます。

βカロテン、ビタミンC、ビタミンEは抗酸化作用があり、血管壁が劣化するのを予防します。また、ナトリウムを排出して血圧の上昇を抑制するカリウムも豊富で、動脈硬化の原因となる高血圧を予防します。

植物の葉に多く含まれる「クロロフィル」やほうれん草の香りのもとになる「ピラジン」にも血液を改善して動脈に血栓ができるのを予防する効果が期待できます。

βカロテンとビタミンEは脂溶性のビタミンで、油と一緒に食べると吸収されやすいので、ソテーにして食べるのもおすすめです。

ほうれん草は女性に必要な葉酸が豊富

ほうれん草には、葉酸が豊富に含まれています。葉酸という名前は、ほうれん草の葉から発見されたことが由来するくらいで、ほうれん草は野菜の中でも葉酸の含有量がトップクラスになっています。

葉酸は細胞や赤血球を作る時に必要な栄養素で、特に妊娠中の女性や妊娠を希望する女性は不足してはいけません。胎児の神経を正常に成長させるために必要です。

また私達は鉄が不足するだけでなく葉酸が不足しても貧血を起こしやすいので、葉酸もしっかり摂取しなければなりません。葉酸が不足すると正常な赤血球が作られなくなる「巨赤芽球性貧血」が起こりやすくなります。

これは鉄不足で起こる「鉄欠乏性貧血」より発症頻度の少ない貧血ですが、葉酸は野菜に多く含まれるため、野菜をあまり食べない人は葉酸不足から巨赤芽球性貧血を起こしやすくなることも知っておきましょう。

ほうれん草は鉄と葉酸が含まれているので、鉄欠乏性貧血と巨赤芽球性貧血を同時に予防する効果が期待できます。

ほうれん草は便秘予防にも!

ほうれん草に含まれる食物繊維には、便秘を予防する効果は期待できます。その量は小松菜を上回ります。

また、ほうれん草に含まれる食物繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維のバランスが良く、腸の調子を整える効果が大きい点でも優れています。

実はほうれん草より使える?小松菜の栄養価の特徴は

小松菜のメリットはほうれん草同様に栄養価が高い点です。またアクやクセがないのも魅力。シャキシャキした茎の硬さは、人によってはデメリットと感じられるかもしれません。

小松菜はカルシウムが豊富

小松菜に含まれるカルシウムの含有量は、ほうれん草の約3.4倍、野菜の中でもトップクラスとなっています。

野菜よりも魚介類や乳製品に吸収率の高いカルシウムが豊富に含まれますが、アレルギーやカロリーが気になって魚介類や乳製品が食べられない人は、小松菜から積極的にカルシウムを摂取していくと良いでしょう。

カルシウムは骨粗しょう症の予防に欠かせない栄養素でストレスを緩和する作用もあります。不足しやすいので意識して摂取していきましょう。

貧血予防にはほうれん草より小松菜を

「貧血にほうれん草」は間違いありませんが、鉄ならほうれん草よりも小松菜に多く含まれているため、小松菜を食べて鉄を補給するのがおススメです。

小松菜に含まれているのは、ほうれん草と同様に吸収率の低い非ヘム鉄です。しかし鉄の吸収を高めるビタミンCも多く含まれているので、小松菜は野菜の中でも鉄を補給するのにピッタリな食材といえるのです。

また、ほうれん草ほどではありませんが葉酸を補給することもできます。

小松菜は下茹でせずに食べられる

小松菜はほうれん草と異なりシュウ酸が少ないので、下茹でせずにそのまま調理することができます。尿路結石が気になる人も小松菜なら安心して食べられます。

小松菜はビタミンCが豊富

小松菜には、ほうれん草よりもビタミンCが多く含まれています。しかも、ほうれん草と異なりアクが少ないので、そのまま調理したり生食したりでき、加熱に弱いビタミンCを損失せずに効率良く摂取することもできます。

ビタミンCは抗酸化作用、美肌作用、免疫力アップなどさまざまな効能を持つほか、鉄やビタミンEなどほかの栄養素のはたらきを高める作用があります。小松菜を食べるとビタミンC、鉄、ビタミンEがまとめて摂取でき、健康効果も期待できます。

生食できてクセがないことから、スムージーの材料にもぴったりですよ。

小松菜は茎の硬さが気になることも

ほうれん草はゆでると葉も茎も柔らかくなるのですが、小松菜の茎は繊維が強くて硬いので、人によっては食べにくいと感じたり、離乳食や高齢者の食事に使いにくい場合があります。

茎のシャキシャキした食感が好きな人は、さっと炒めたり漬物にしたりして歯触りを楽しむのも良いですが、茎が苦手な人はスムージーに使ったりフードプロセッサーですり潰してスープに使うとおいしくいただけるのではないでしょうか。

甲乙つけがたい2つのエリート野菜!上手に使い分けて健康に

ほうれん草と小松菜は栄養価の高いエリート野菜でありながら、スーパーから手頃な値段で入手できる庶民的なところも大きな魅力といえるでしょう。旬の冬には甘みも増してよりおいしくなるので、積極的に活用したいですね。

余談ですが、最後にほうれん草と小松菜の見分け方をおさらいしておきます。

  • 歯の先端が丸みを帯びているのが小松菜
  • 葉の縁がギザギザして茎の根元が赤いのがほうれん草

ほうれん草と小松菜を上手に使い分けて、その栄養を健康に役立ててくださいね。

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